アルファ米とフリーズドライ米の違いと選び方。災害備蓄や山ご飯に。

      2017/09/13

災害用米

 「アルファ米」や「フリーズドライ米」は、お湯や水を入れて混ぜるだけで出来上がる、乾燥ご飯です。

 災害備蓄用の非常食として、また登山の行動食として以前より定評のあるのが「アルファ米」。そして、カレーメシなどでも話題になった「フリーズドライ米」も要注目です。どちらも、煮炊きができない過酷な環境でも食べられる、とても頼りになる存在です。

 ただ、注意したいのはアルファ米とフリーズドライ米は、いくつか特徴が異なる点があります。備蓄用に、登山用に、チョイスをする場合に、知っておきたいポイントですね。

 この記事では、アルファ米とフリーズドライ米の違いについてみていきながら、災害備蓄の「ローリングストック」のコツについても説明していきます。

「袋飯」対決! 軍配はどちらに?

 乾燥ご飯が入った袋に、お湯、またはお水を注ぐだけで、白米のご飯が完成! 袋のまま食べれてしまうので「袋飯(ふくろめし)」とも言われているのが、アルファ米やフリーズドライのご飯です。

 「防災用非常食」としても、「登山」のアイテムとしても、需要が高まっています。

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▲登山だけではなく、いざという時の強い味方「袋飯」

 一見、同じように思えるアルファ米とフリーズドライ米ですが、調理方法などにも大きな違いがあります。

 混乱して間違えてしまうと、美味しく食べられないこともありますので、まずは、アルファ米とフリーズドライ米の区別をしっかりとつけておきましょう。

 違いをざっくり表にまとめると、以下のようになります。

アルファ米とフリーズドライ米の違い
アルファ米 フリーズドライ米
食感 ×
戻しスピード ×
賞味期限
軽さ
コスト
そのまま食べる ×

 では、上の表を見ながら、順番に、アルファ米とフリーズドライ米の違いについて、ポイントを見ていきましょう。

▲アルファ米の老舗・尾西食品の白米のアルファ米。
▲アルファ食品の安心米も有名。

アルファ米とフリーズドライ米の味と食感は?

 まず、味ですが、どちらも、まずまずの悪くない味です。

 近ごろの非常食などの食味の向上には目覚ましいものがあります。登山でのニーズもあり、山ガールや山男子たちの評価も気になるところなので、メーカー各社も味の向上には力を入れているのでしょう。

 もちろん、ふつうに炊いたご飯の美味しさには、なかなかかなわない部分はあります。

 とくに白米の場合は、味だけでなく、ふっくらともっちりのバランス、噛みごたえなど、微妙な「食感」がとてもだいじになってきます。

 その食感のめんで優れているのがアルファ米です。

 ふっくら感やもっちり感ではアルファ米が、フリーズドライ米に勝ります。製法の違いで、どうしても食感に差が出てしまうのです。

アルファ米とフリーズドライ米の製法の違い

 では、簡単に、製法の違いをみてみましょう。

 フリーズドライは、炊いたご飯をマイナス30〜40度で冷凍した後に、真空に近い状態の釜に入れ、凍った水分を飛ばして乾燥させます。水分が飛んだあとの隙間が空いて、細かいスポンジのようなかたちになるのです。

 このスポンジ化こそが長持ちして、いつでも水やお湯で戻せる秘密なのですが、スポンジ化のデメリットとして、米の歯ごたえやもっちり感が、どうしても損(そこ)なわれてしまうのです。

 一方、アルファ米は、蒸した米を熱風で急速乾燥させます。こちらはしわしわに縮んで乾燥するようなイメージです。スポンジ化しないため、水で戻すと、ほぼほぼ炊いた状態の米に戻ります。ですので、食感はフリーズドライよりも良くなります。

 ただしこの熱風急速乾燥は、食感を維持するアルファ米のメリットであると同時に、デメリットでもあります。

 それは、アルファ米は食べられる状態にするまで、結構、時間がかかるのです。

 アルファ米は、水やお湯で戻す時間が長く必要で、お湯で15分〜20分、水では60分ほどの戻し時間が必要です。

 一方、フリーズドライ米は、早いものだと、お湯で3分水で5分という製品もあり、スピーディに食べられるところが、フリーズドライ米のポイントです(商品によってはフリーズドライでもお湯で10分かかるものあります)

▲白米のフリーズドライは、アルファ米にどこまで迫れるか? ネットでも入手しやすい、おむすびころりんのフリーズドライ米

アルファ米とフリーズドライ米の賞味期限

 さて、非常用備蓄食として気になるのは、賞味期限の長さですね。

 アルファ米は製造から5年です。一方、フリーズドライは商品によって3年半〜5年と、少し短くなるものもあります。

 フリーズドライの賞味期限に関しては、日進月歩のようで、たとえば米軍なども開発研究に力を入れているとのこと。

 もともとアルファ米も、太平洋戦争中に日本軍の携行食として開発された歴史があります。戦局が悪化して、敵に炊飯の煙を狙って攻撃されることを防ぐために開発され、実際に使われていたとのことです。

 「ミリ飯(ミリタリーご飯)」としても、アルファ米・フリーズドライ米は活躍しているということです。

アルファ米とフリーズドライ米、軽いのはどっち?

 それから、登山などに持って行く場合に気になるのが「重量」ですね。とくに、ウルトラ・ライト・スタイルの登山では気になるところでしょう。

 軽さ比べでは、フリーズドライの方がやや軽いですね。

 フリーズドライは、出来上がり状態の25%まで乾燥されています。一方アルファ米の方は、40%弱です。フリーズドライの方が乾燥率が高いので、軽くて持ち運びが便利ということになりますね。

 ただし、逆に言えば、使う水の量はフリーズドライの方が多くなるので、水を携行する場合は、結局は同じことになります。

アルファ米とフリーズドライ米、安いのは?

 さて、気になるコストなのですが、水分を入れて出来上がったお米10gあたりの金額で比較してみましょう。

 10gあたり、アルファ米が10円、フリーズドライ米は16円〜18円となっています。

 あくまで参考値ですが、白米に関してはフリーズドライ米よりアルファ米の方が、安いと言えそうです。

 もっとも商品によって、グラムあたりの単価はだいぶ変わってきますし、一概にはいえません。

 いずれにせよ、お米だけ一食ぶんで300円前後と決して安くはありません。

 それだけ手間暇もかかって出来ているものなので、非常食とは言え、大事に扱い、ありがたくいただきたいものですね。

そのまま食べれるのは?

 フリーズドライは、万が一、水が手に入らない場合でもそのままポリポリ食べれらるメリットがあります。

 一方、アルファ米は固くてそのままでは食べられません。

 よっぽどのことがないと、水で戻さず食べなければならない状況にはならないと思いますが、念のために覚えておきましょう。

アルファ米vsフリーズドライ米 結局どちらが良い?

 ここまでみてきたように、似てはいるものの、案外大きな違いがあるふたつの乾燥米。それぞれ、メリット・デメリットがあるので、一概にどちらが良いとは言えません。

 大きな違いのポイントを比較すると……

アルファ米とフリーズドライ米を選ぶポイント1

・食べた時の満足感や食感をとるならアルファ米

・スピードと軽さをとるならフリーズドライ米

 

 その他ケースバイケースで選ぶ基準が変わってくると思いますが、いちばん大事なのは「口に合うか?」ということです。最終的には、試食した感想で選ぶのがいちばん良いと思います。

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白米だけじゃない豊富なバリエーション

 ここまで、アルファ米とフリーズドライ米のスペックの比較をしてきましたが、これらはあくまで「白米」での比較です。

 実は、アルファ米・フリーズドライ米のそれぞれのラインナップには、白米だけでなく、味付きのピラフやリゾット・雑炊など、味付きご飯系の製品が多数あります。

 正直なところ、白米で勝負しても、どうしても、お米を普通に炊いた炊き立てご飯には、かないません。

 ですが、ピラフやリゾットの味付き系になってくれば、もう、非常食だとか山用の袋飯だということを忘れてしまうほど、美味しいと思える製品も、いくつかあるようです。

 まぁ、簡単に言えば、味付きで胡麻化せれば、ぜんぜんオッケーということです。

 各社が出している商品と味付きのバリエーションを一覧にしてみました。

アルファ米やフリーズドライ米やリゾット系の商品ヴァリエイション一覧
分類 メーカー 商品名 ヴァリエーション
アルファ米 尾西食品 アルファ米 白米・五目・わかめ・田舎・松茸・赤飯・山菜おこわ・白がゆ・梅がゆ・ドライカレー・チキンライス・えびピラフ
アルファ食品 安心米 白米・五目・わかめ・ひじき・鶏そぼろ・きのこ
山菜おこわ
サタケ マジックライス 白米・五目・わかめ・青菜・梅じゃこ・ドライカレー・えびピラフ・チャーハン・牛飯
モンベル 白いご飯 白米・しそ梅
フリーズドライ米 おむすびころりん フリーズドライ米 白米・しそ梅・きのこ・うめ粥
JA三重・鈴鹿 フリーズドライ米 白米・しそ梅
フリーズドライリゾットなど モンベル リゾッタ カレー・五目・梅しそ・ガーリック・コーン
永谷園 フリーズドライご飯 カレー・五目・チャーハン・ピラフ
アマノフーズ  雑炊・リゾット・おかゆ 白粥・梅粥・鮭粥・卵粥・中華粥(鶏・ホタテ)・かに雑炊・サケ雑炊・たらこ雑炊・トマトリゾット・ほうれん草リゾット・カルボナーラリゾット
番外 日清 カレーメシ ビーフ・シーフード・スパイシー・ハヤシ

 アルファ米系では、もち米をつかったおこわや赤飯が、かなりリアル感があると評判が良いですね。

 もともと腰が強いもち米は、食べごたえが出やすいです。アルファ米がはじめてな人は、まずは、アルファ米のお赤飯やおこわを試食していみるのが良いかもしれません。

 一方、フリーズドライ米は、白米よりも、むしろリゾット系のご飯で、その真価を発揮します。

 とくに山用に開発されたモンベルのリゾッタシリーズは要注目ですね。

 そういえば、カップヌードルのご飯版ともいうべき、日清のカレーメシもフリーズドライ米を使った製品です。こちらは賞味期限が製造から6カ月と短いため、非常食にはなりませんが、フリーズドライ米の新たな可能性を切り開くものとして、注目度は高いです。

 こうしてみてみると、もうひとつチョイスの基準として、次のことがいえそうですね。

アルファ米とフリーズドライ米を選ぶポイント2

・白米にこだわるならアルファ米

・味付き系なら安くて早いフリーズドライ系

 

▲フリーズドライ米はリゾットや雑炊系が強い。登山用品ブランドのモンベルのカレーリゾッタ
▲もち米はアルファ米にするのに適しているので、お赤飯やおこわのアルファ米もおすすめ

エネルギーを補給しやすい非常食はどれ? カンパンと乾燥米どちらが良い?

 ところで、非常食と言えば、ひと昔前までは「乾パン」が主流だったと思います。

 ここ十数年で、アルファ米やフリーズドライ米の味や食味が向上してきています。

 やはり、主食である「お米」をいつでも食べたい、ということですね。今や、非常食と言えばアルファ米・フリーズドライ米というイメージさえあります。

 非常時や山歩きでは、とにかく最低限のエネルギーを補給してスタミナ切れを起こさないことがとても大切になります。

 そうなると非常食や山歩き食の、カロリーがどれくらいなのか?が気になってくるわけですね。

 下記の表は、クラッカー、乾パン、お米、エネルギーバーなどのカロリー量を比較したものです。

 10gあたりと10円あたりでカロリーを比較しています。

非常食のエネルギーのコスト比較
10gあたりエネルギー
(kcal)
10円あたりエネルギー
(kcal)
ルヴァン保存缶S 50 17
カロリーメイト・ロングライフ 50 13
三立カンパン 41 17
尾西食品アルファ米 37 15
パワーバー・エナジャイズ 37 7
井村屋えいようかん 29 16

 やはり、カロリー効率とコストパフォーマンスを見ると、カロリーメイトが優れていますね。

 アルファ米は、カロリー効率やコストの面では、非常食のなかでは真ん中辺のポジションにあると言えそうです。

 ただ、やはり、主食のお米ですので、非常時に手軽にお米が食べられるということは、メンタル的にもとても大事だと言われています。

 被災時や登山の極限状況のなかで、ふだん食べ慣れたものを食べることで、活力ややる気がアップする効果は、多くの人たちが経験的してきていることです。

 効率やコストの面で優れているからといって、非常用備蓄にカロリーメイトだけしか揃えない……ていうのも、現実的ではないですよね。

 南海トラフや首都直下地震が発生した場合、避難生活はどれだけ長引くか、わかりません。ですので、家庭用の備蓄には、アルファ米またはフリーズドライ米を中心に、エネルギーバー、乾パン、クラッカー、ようかんなど、さまざまなバリエーションの非常食を用意しておくべきです。

アルファ米やフリーズドライ米などのスペックとグラム単価の比較
  商品名 製品内容量(g) 出来上がり量(g) 出来上がり10gあたり価格概算 製造よりの賞味期限
アルファ米 尾西食品アルファ米 100 260 ¥10 5年
アルファ食品安心米 100 270 ¥10 5年
サタケ・マジックライス 100 260 ¥8 5年
モンベル白いご飯 200 320 ¥14 5年
フリーズドライ米 おむすびころりんフリーズドライ米 50 200 ¥16 3年半
JA三重・鈴鹿フリーズドライ米 50 200 ¥18 3年半
フリーズドライリゾットなど モンベル・リゾッタ 85 260 ¥15 5年
永谷園・フリーズドライご飯 85 260 ¥20 5年
アマノフーズかに雑炊 21 200 ¥8 5年
番外 日清カレーメシ 107 300 ¥8 半年

 さて、災害用のアルファ米やフリーズドライ米、かなり種類がありますので、どれを選んだらよいか迷ってしまいますよね。

 基本、10袋とか30袋のセットものを買った方がお得なのですが、口に合わないものを大量に備蓄するのは賢明ではありません。

 災害時だからとりあえず食べられれば良いという考えではなく、災害時だからこそ、できるだけ美味しいものを食べるべきなのです。

 これは、災害備蓄の賞味期限切れを防ぐ「ローリングストック」の点からも、とても重要なポイントですね。

 ローリングストックは、災害備蓄を、賞味期限が近づいてきたら、日常生活のなかで食べて、また補充していく仕組みです。

 災害備蓄食料の賞味期限を忘れないように管理して、入れ替えながらサイクルをまわしていきます。

 食物を大事にする意味と、ブレずにコツコツと災害備蓄を続けるうえで、ローリングストックは欠かせません。

 これを実践すると、定期的に、災害時でもないのに、非常食を食べることになります。

 ですから、「非常用だから何でも良い」ではなく、自分の好みにあった非常食をストックすることは、マストになってくるわけです。

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山歩きの袋飯と、災害備蓄食料との関係

 美味しい非常食を探すには、山歩き関係の情報を調べてみましょう。

 先にも書きましたが、山ご飯として、アルファ米やフリーズドライ米のニーズが高まっていて、山向けの製品も、どんどんリリースされています。 。

 もともと、山のご飯と言えば、飯盒やバーナーとコッフェルを使って、お米を炊いて食べるイメージですよね?。

 でも、最近は、あまり荷物を持たない山歩きがトレンドなのです。

 ここ10年くらいで、ウルトラ・ライトという登山スタイルが広まっています。登山といえば、すごい重たい荷物を担いで登るイメージでしたが、できるだけ荷物を減らして、そのぶん長い行程を楽に進めることをテーマにしているのがウルトラ・ライト・スタイルの登山です。

 それまで山岳部とか体育会系なイメージで、荷物が重い方がカッコいいみたいな風潮すらありました。

 しかし、最近は、無理せず、できるだけ楽に登るのが、登山のコンセプトです。

 そこで、調理する手間と調理道具を減らす意味で、アルファ米やフリーズドライ米が登山でも増えてきているわけです。

 一説によると、高山では沸点が下がるため、お米がうまく炊けないのでアルファ米を使うという説がありあますが、それは、標高5000mを超えるエベレストのベースキャンプとかの話です。

 日本の山の2000m〜3000mクラスでは、そこまで気圧の影響はありません。確かに、標高2000mでも沸点が下がり、93度くらいで沸騰するわけです。ただ、それでお米が炊けないというほどではないですよね。

 ですから、山歩きでアルファ米やフリーズドライ米が広まっているのは、やはり、ウルトラ・ライト・スタイルの普及によるところが大きいのかな、と分析できるわけです。

 ところでウルトラ・ライトな山好きの間で話題になっているのが、「ビバークレーション」という、お洒落で美味しい行動食。お湯ですぐ戻るので、フリーズドライで作っているようですが、これまでにない感じとして、話題になっています。

 賞味期限は2年と短めですが、ご家庭の災害備蓄のラインナップに加えておけば、ローリングストックが楽しみになるかもしれません。

 災害備蓄はどうしても義務的になってしまいますし、できれば震災は起こってほしくないものです。

 とは言え、高い確率で発生が予測されるのも日本では仕方がないことです。(⇒「震災の発生予測は?」の記事も参照してください。)。

 「その時はその時」と、防災や備えをあきらめてしまうことが、いちばん良くないことです。

 せめて、食べ物は、納得の行くものを用意して、来るべき時に備えていきましょう。

  

  

 以上、アルファ米とフリーズドライ米の違いや、災害備蓄で重要なローリングストックなどについて、みてきました。

 日本人の主食であるコメを、過酷な環境下でも食べられるようにしたアルファ米やフリーズドライ。

 歴史的にみても、日本人は、このご飯によって、多くの困難を乗り越えてきました。非常時には、一膳のご飯に、ほんとうに助けられることでしょう。

 来るべきサバイバルの時に備えて、お気に入りの「袋飯」をストックしておきましょう!!

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