デフロックとは? 4WDやトラックでどう使う? 雪道での注意は?

      2017/02/19

デフロックとは

 デフロックは、オフロードなど悪路走行性を良くしたり、スタックした時に脱出するための機能です。とくに、4WD車に乗る機会のある人は、デフロックについて注意が必要ですので、デフロックの仕組みを理解しておくべきです。

 また、オフロードでジムニーを操ったり、サーキットでドリフト走行する車マニアの人たちにとっても、デフロックは重要なポイントです。

 さらに、大型トラックや農耕用トラクターでも、デフロックがそれぞれ特殊な意味を持っています。

 このようにデフロックとは、車の種類によって、いろいろもつ意味合いが違ってくるのですが、結局、デフロックとは何か? がひととおりわかるよう、車マニアではない一般素人向けに解説していこうと、思います。

デフロックとは? 何のための機能なのか?

スタックして、空回りする時に、抜け出すにはデフロック!

 デフロックとは、車がハマったりした時に、活躍する機能です。

 車がスタックした時は、4つある車輪のうちの、ひとつかふたつの車輪が空回りして、車が動かなくなっています。アクセルをふかしても、空回りするばかりです。

 そんな時、デフロックをオンにすると、車は動き出します。

 そもそも、ひとつの車輪がスリップして空回りしても、残りの3つのタイヤが動けば、スリップから簡単に抜け出せそうなものですよね?

 でも、実際には、タイヤが、ひとつでもスリップしてまうと、アウトです。アクセルをふかしても、スリップしたタイヤだけに駆動が伝わり、残りの3つのタイヤには駆動が伝わりません。それはデフという機能のせいです。

 なので、デフの機能が働かないように、デフをロックしてしまうと、残りの3つのタイヤにも駆動が伝わり、スタックから抜け出せるようになるわけです。これがデフロックです。

そもそも「デフ」は何のためにある?

 では、デフという機能は何のためにあるのでしょうか?

 デフは、車がカーブを曲がる時に、駆動する車輪の回転数を調整するものなのです。車が曲がる時には、不可欠のものです。

 たとえば車が右に曲がる時、内側に来る右の車輪と、外側に来る左の車輪では、動く距離が違いますよね? 外側の車輪のほうが急いで回らないと、回りきれません。つまり、車が曲がる時には、左右で車輪の回転数が変わるわけです。

 車の車輪にはエンジンから回転がシャフトやギアを使って伝えられていきますが、もし左右の車輪が同じ回転数で駆動されたら、なかなか曲がるのが難しくなります。

 そこで、左右の車輪のまんなかに「デフ」というギア機能をつけて(デファレンシャルギア)、そこで、曲がる時に左右の回転数を、それぞれ適切な回転数で曲がれるよう、自動的に調整するようになっているのです。

スタックすると「デフ」の機能が裏目に出てしまうのはなぜ?

 ふつうの道を曲がる場合には不可欠な「デフ」なのですが、この回転数の自動調整の仕組みが、車がスタックした時には裏目に出てしまいます

 デファレンシャルギアで回転数を調整する場合、抵抗が少ない車輪が多く回り、抵抗が多い車輪は回りにくくする、という仕組みになっています。

 右に曲がる場合は、右の車輪の方が、無駄に多く回ろうとするので、抵抗が大きくなります。ですので、抵抗が多い右へいかすぶんの駆動力を、抵抗が小さくなおかつ多く回転させなければならい左へ振り分けるようにしています。クラッチやギアを使って、抵抗が少ない方へ、駆動力を振り分けるのがデフの仕組みです。

 では、スタックして片方の車輪が空回りした場合、デフはどんな動きをするか?を見てみましょう。

 空回りしている車輪は、限りなく抵抗が少ないので、デフの機能によって駆動力が伝えられます。一方、空回りしてない方の車輪は抵抗が大きいため、デフ機能によって、駆動力が伝えられません。だから、回って欲しい方の車輪が回らず、空回りする方ばかりが回わってしまうのです。

 ここで、デフの調整機能をロックするとどうなるでしょう? どちらの車輪にも均等に駆動力が伝えられるので、空回りしていない車輪にも駆動力が伝えられ、スタックから抜け出すことができるわけです。
これが、デフロックの役割です。

 こうした左右の車輪を同時駆動に切り替えられるデフロック機能は、おもにSUV車やトラクターなどに装着されています。

左右の車輪のデフロックとは別物の、4WDのデフロックとは?

 さて、ここまでは、左右の車輪の回転数を調整するデフの仕組みとデフロックの機能について見てみました。

 ところが、この左右のデフをロックする仕組みというのは、トラクターでは標準装備ですが、一般の街乗り用の車両ではついていません。

 なぜなら、今の日本では、農業や土木関係以外では、ほとんど敢えて悪路を走行する必要はないので、デフロックがなくても困らないのです。

 ただ、街乗り中心でオフロードも少しこなせるようなRV車では、自動的にデフロックを調整してくれるリミテッド・スリップ・デフという機能が備わっています。

 さらに、悪路走行を前提としたSUVやクロカンには、左右のデフロックを利かすための、「フロントデフロック」や「リアデフロック」が装着されているものもあります。

 これらはいずれも、左右の車輪の回転数を調整するデフロックなのですが、これとは別に「4WDのセンターデフ」というのがあり、むしろこちらの方が重要なので、ぜひ理解をしておく必要があります。

 4WDに乗る人は必須の知識ですので、少しややこしいですが、説明していきます。ここからが、今日の本題です。

4WDのセンターデフとは何か?

4WDで曲がる時、内輪差が問題になる

 車が曲がる時、左右の車輪に回転数の差が生じることは、前に述べましたが、前後の車輪でも、回転数に差が生じています

 車が曲がる時は、内輪差と言って後ろの車輪の方が、前輪よりも内側のカーブを通るようになります。内輪差で人や自転車を巻き込まないように!ということは、教習所で習ったはずです。

 内輪差があるため、前輪より、後輪の方が、短い距離を回ることになります。ですので、前輪と後輪にも回転数の差が生じるわけです。

 ただ、通常の2WDの車であれば、前輪か後輪のどちらかがだけが駆動されていて、一方はただ引っ張られているだけなので、回転数の差が生じても、何も問題がありません。

 しかし4WDでカーブを曲がる時に、前輪と後輪に同じ回転数で駆動が伝えられたら、どうなるでしょう?

 前後と後輪が強制的に同じ回転数になってしまうため、とてもギクシャクした動きになり、場合によては、車が止まってしまいます。この現象を「タイトコーナーブレーキング」と言います。

 「タイトコーナーブレーキング」は4WD車だけに起こる現象です。が、これを防ぐには、どうしたら良いでしょう?

 左右の車輪の回転数を調整するのにはデフ機能が用いられましたよね? それを、前後の回転数調整に使えば良いわけです。これが、「センターデフ」です。

4WD車のセンターデフロックの仕組みは?

 4WD車が曲がるときに問題になる「タイトコーナーブレーキング」を解決するために、フルタイム4WD車には必ずセンターデフが装備されています

 このため、フルタイム4WDがスタックした場合、4WDなのにセンターデフのおかげで、2WDと同じになり、空回りしてしまうこともあります。

 そこで、フルタイム4WDのSUV車などには「センターデフロック」の機能がつけられているのです。

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 街乗り用のフルタイム4WD車にはセンターデフロックのスイッチが無いものも多いですが、これはセンターデフのロックを、自動的に調整するオンデマンドデフが備わっているからです。

軽トラ4WDなど、2WD←→4WD切り替え車は要注意!

パートタイム4WD車にはセンターデフが無い。

 フルタイム4WDは、通常走行時はセンターデフのおかげで、普通にカーブも曲がれます。そして、スタックしたきは、センターデフロックまたはオンデマンドデフの自動制御でセンターデフロックが、かかります。センターデフロックがかかれば、4輪すべてに駆動がまんべんなく伝わります。4WDが機能することで、空回りしていない車輪がしっかり回りだし、スタックから抜け出せます。

 ところが、パートタイム4WDでは、このようにすんなりといきません。

 パートタイム4WDは、手動で4WD←→2WDを切り替える車です。

 軽トラの4WDは基本これですし、一部のSUVやクロカン車にもパートタイム4WD車があります。

 注意すべき点は、パートタイム4WD車には「センターデフがついていない」ということです。つまり4WDに入れると、常に「センターデフロック」がかかった状態になっているのです。

 軽トラの4WDでハンドルを切ると、ギシギシととても曲がりにくく場合によっては「タイトコーナーブレーキング」がかかってきます。

 ですので、パートタイム4WDでは、悪路と正常路で4WD←→2WDを、こまめに切り替える必要があります。

パートタイム4WD車は雪道で注意

 パートタイム4WD車は、4WDに入れるとセンターデフが常にロックされた状態になっています。

 ですので、4WDに入っているなら、カーブを曲がるときは細心の注意が必要なのですが、とくに、気をつけなければならいのは、雪道やアイスバーンです。

 雪道や凍結の恐れのある峠道で、センターデフがロックされた状態の4WDは、カーブでの制動がとても悪い状態になります。前後のタイヤが無理やり同じ回転数で回わろうとするので、曲がりきれないことが、とても多いのです。

 冬の峠道で、4WDのランクルやSUV車が転落している光景を目にしたことがあるかもしれません。なぜクロカン車が?と疑問に思いますが、センターデフをロックさせていた可能性が高いです。

 ですので、パートタイム4WDのセンターデフロックは、雪道では使わない!ということを覚えておきましょう。

 なお、フルタイム4WD車でセンターデフの入り切りスイッチがないものでは、オンデマンドデフが自動で調整してくれてますので、雪道でも安心して走れます。ただし、車種によりセンターデフの仕組みはいろいろですので、フルタイム4WD車で雪道を走る前にはメーカーやディーラに、確認をとるようお願いいたします。

4WD車が高速走行で気をつけたいこと

 さて、4WDとセンターデフの関係で、もうひとつ注意したいのが、高速走行時です。

 センターデフは、4WD車がカーブを曲がる時に、前後の車輪の回転数を変えるための機能でした。

 一方で、直進している時でも、前後の車輪の回転数が変わることがあります。それは、タイヤの磨耗に差がある時です。多少の磨耗の差は、通常の走行ではたいした問題になりませんが、高速走行などでは、その微妙な差が問題となってきます。

 パートタイム4WDの場合、高速走行時には2WDにするべきですが、もし忘れて4WDのまま高速を走行したとします。その時、前後のタイヤの磨耗に差があると、回転数が違うべきなのに、デフロックがかかった4WDの状態なので、無理やり同じ回転数で駆動が伝わっています。この結果、駆動部に負担がかかり、前か後ろのデフ(左右用のデフ)が焼き付けをおこしてしまうのです。

 実は、フルタイム4WDでも、タイヤの磨耗の差があまりにも激しい場合、高速走行でセンターデフに負担がかかり、最悪の場合は、そこから発火する、という現象もあります。

 このことから、とくにフルタイム4WDのタイヤは、常に4本同時交換し、回転数を合わせた方が良い、と言えそうですね。

大型トラック(後軸2輪車)のデフロックとは?

 次に、大型トラックのデフロックについてもみてみましょう。

 大型トラックは、ふつう、車軸が3つあります。後輪が二つならんでいますよね。このタイプのことを「後軸2輪」と言い、二つの軸は「後前軸」と「後後軸」と呼ばれます。

 「後前軸」と「後後軸」が両方とも駆動するのが2デフ車、「後前軸」だけが駆動するものが1デフ車と呼ばれます。

 さて、2デフ車の場合は、4WDと同じように、「後前軸」と「後後軸」の間に微妙な回転数の差が生じるため、あいだに、インターアクスルデフがついています。後軸2輪のインターアクスルデフは、4WDのセンターデフにあたるものです。

 後軸2輪車は、たとえばバックで歩道をまたぐような場合、車輪が近づき過ぎているために、ひとつの車輪が浮いて空回りしてしまうことが少なくありません。

 そんな時に、インターアクスルデフを「デフロック」させるスイッチをオンにします。

トラクターのデフロック

 トラクターでは、4WDもありますが、原則、後ろの大きなタイヤが駆動しています。

 トラクターも畑間を移動する時は、ふつうに公道を走ることが多く、当然、きちんと曲がれるように左右の車輪の間にはデフがついています。

 畑の作業では、たとえばプラウ耕などでは、車体を斜めに傾けながら鋤(すき=プラウ)を引っ張って畑を耕していきます。車輪が傾いているため、浮いている方が空回りしやすくなります。こんな時に、デフロックをかけます。

 ただ、畑の作業では、畑のはじっこにいったら、旋回します。その際はデフロックを外さないと、上手く曲がれません。

 ですので、デフロックを入れたり切ったりしながら走ることがもっとも多いのは、トラクターかもしれませんね。

走り屋さんにとってのデフロック

オフロード走行のデフロック

 ジムニーなどオフロード車で、とんでもない悪路を走るのを趣味にしているマニアな人も多いです。

 そういう人たちは、悪路専用に、左右のデフをロックして、片輪が中に浮くような凸凹道を走るのを楽しんだりしています。

 デフを完全にロックするかわりに、ロックのかかり具合が微妙に自動調整されるリミテッド・スリップ・デフを取り付ける場合もあります。

 デフにリミテッド・スリップ・デフを組み込むと、2WDの車でも4WD並みに悪路に強くなります。とくに雪道や凍結路では、リミテッド・スリップ・デフの2WDのほうが4WDより安定して走りやすいケースもあるようです。

 ドリフト走行のデフロック

 後輪をロックさせて真横に滑らせて、コーナーを曲がっていくドリフト走行を、サーキットなどで楽しんでいるマニアな人たちもいます。

 ドリフト走行でもデフロックやリミテッド・スリップ・デフはとても重要な要素になります。ドリフトではわざと車輪をスリップさせるので、通常のデフがついていると、スリップさせたところへ駆動の力が逃げていってしまいます。

 スリップしてもスピードを落とさないためには、左右の車輪間のデフ内のギアを、溶接して、常にデフロックするように改造したりします。

 ただ、デフロック改造車は、公道を走ると、カーブを曲がりきれない可能性があるので、たいへん危険です。公道を走る場合はデフロック改造はやめましょう。信頼のおけるパーツメーカのリミテッド・スリップ・デフを組み込むのなら、大丈夫です。

 

 以上、デフロックについて、いろいろなケースをみてきました。

 とくに四駆にのる際は、センターデフがどうなっているか?確認を忘れずに。

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