インフルエンザの予防は免疫力の強化から。免疫力アップする4つの掟

      2017/02/01

免疫力

 インフルエンザは、ウイルスにより体内の細胞が乗っ取られてしまう病気です。通常は、「重たい風邪」といった症状ですが、悪化すると命の危険すらある、あなどれないものです。そんな、やっかいインフルエンザを予防するには、「免疫力」が鍵になります。

 免疫というと、予防接種のワクチンや、白血球など免疫細胞による「抗体」などをイメージする人も多いと思います。

 ですが、免疫力は「抗体」による防衛システムだけではありません。腸管細菌(腸管フローラ)をはじめ、各細胞のミトコンドリアや酵素の働き、循環器系統や副交換神経なども、とても重要な免疫機能です。それぞれの仕組みが相互に関係しながら、身体全体の「総合力」として備わっているのが「免疫力」なのです。

 この記事では、インフルエンザを予防するための免疫力を身につけるポイントや、予防接種のポイントなどについて学んでいきたいと思います。

 

免疫力は体の総合力。免疫力を高める4つの基本

 人間の体の中には、細菌やウィルスなどの異物が侵入した時に、それを排除する「免疫システム」が備わっています。

 免疫システムは、たいへんよくできた高度な仕組で、何重にも展開された防衛ラインで、わたしたちの体をウイルスなどから守ってくれます。

 強力なシステムなので、免疫システムが完璧に動いていれば、ほんらい、予防接種に頼らなくても、インフルエンザを予防することができます。

 ただし、ひとたび体のバランスが崩れると、免疫システムもまたバランスを崩し、防衛能力が低下して、敵の侵入を許してしまいます。

 免疫は、白血球などの免疫系だけではなく、腸と腸内細菌、自律神経、細胞ひとつひとつのコンディション、体液の状態など、身体全体のバランスの上に成り立っています。たとえば、便秘になったり、ストレスで自立神経が圧迫されていると、免疫力は急激に衰えて、ほんらいの力を発揮できず、ウイルスに負けてしまいます。

 免疫力は、体のいろいろな器官がお互いに作用しあいながら、総合的に機能しているものです。ですから、免疫力を維持して、ほんらいのポテンシャルを発揮するには、体全体の良いバランスをとるような、食事や生活習慣がとても大切になってくるのです。

 免疫力をアップさせるために、とくに重要なポイントを、以下4つあげたいと思います。それぞれについて、詳しくみていきましょう。

インフルエンザに勝つ免疫力アップのための最重要ポイント

・体温を下げない

・鼻呼吸をする

・便秘をしない

・めぐりをよくする

免疫力を保つには体温を下げないことが大前提

 免疫力を総合的に維持する基本は、「体温を下げない」ことです。平均体温が1度下がるだけで、免疫力が30〜40パーセントも落ちるというデータすらあるほどです。

 体温の低下は、「免疫細胞の活動」と「ミトコンドリアの活動」に、とくに大きく影響します。それぞれについてみてみましょう。

ウイルスと闘う免疫細胞は、体温低下で移動ができなくなってしまう

 体温の低下は、白血球やリンパ球など免疫細胞の活動を、低下させてしまいます

 免疫細胞のうちマクロファージや好中球などは、ふだんから血液やリンパに乗って、身体中を巡回パトロールしていてます。

 細菌やウイルスが侵入すると、ふだんは腸の周辺で待機しているB細胞、T細胞が 、血液に乗ってウイルスが侵入したところへ移動します。応援部隊として、前線に駆けつけるのです。

 最前線ではT細胞のうちキラーT細胞がウイルスを攻撃します。また、B細胞はヘルパーT細胞から受けとった情報をもとに、ウイルスを捕獲する「抗体」を作ります。抗体に捕獲され無力化されたウイルスはマクロファージや好中球など貪食細胞に食べられます。ウイルスに乗っ取られた細胞はキラーT細胞により破壊されて、ウイルスを壊滅させます。

 これが、免疫細胞と抗体を利用した免疫システムです。

 この仕組みが、充分な威力を発揮するためには、免疫細胞たちが血液やリンパに乗って身体中を自由にかつスピーディーに移動できることが、必須の前提となります。

 ところが、体温が下がると、毛細血管が縮小し狭くなり、免疫細胞たちが通れなくなり、ウイルスのいる前線へたどり着けなくなってしまうのです。

細胞そのもの抗ウイルス力も見落とせないポイント

 免疫細胞の働きとは別に、細胞ひとつひとつにも免疫力が備わっています。

 ウイルスは細胞を乗っ取ろうとして、細胞内に侵入してきますが、細胞は抗ウイルス物質を出して対抗します。免疫細胞が戦いにやってくる前に、まず、細胞それぞれの独自の力で、ウイルスを攻撃し、乗っ取られるのを防ごうとするわけです。

 そうした個々の細胞の働きは、ミトコンドリアが中心になって行っていますが、体温が低下すると、ミトコンドリアの活動が抑制されてしまいます。

 ミトコンドリアはタンパク質・アミノ酸を分解して、活動エネルーギーであるATPを作り出しています。つまり、生命活動のすべてのベースになる、重要な働きをしています。いわゆる「新陳代謝」に、ミトコンドリが深くかかわっていると言ってもよいでしょう。

 体温が下がると、ミトコンドリアの活動が鈍る・・・すなわち代謝が悪くなり、細胞それぞれがもっている自然免疫力の低下につながります

 以上のような理由から、体温の低下は、免疫力の低下を招くのです。

 免疫力を保つためには、体が冷えないようにするべきですが、温かいものを飲んだり、半身浴をするだけでは体温は上がりません。

 血液やリンパの流れをスムーズに維持して、体のなかから体温を維持していく必要があります。血液やリンパの流れをよくするには、食事や生活習慣などから長期的に改善していくことがたいせつなのです。

鼻呼吸で扁桃腺の防衛力が強化。免疫力をアップするには口呼吸はNG

 インフルエンザの予防は、まず、喉からはじまります。ウイルスの侵入をいちばんはじめに食い止めるのは、扁桃腺です。

 扁桃腺にはマイクロファージや好中球などのパトロール免疫細胞が常駐していて、敵の侵入に備えています。扁桃腺が腫れてしまう場合は、ウイルスや細菌に対して苦戦を強いられている状態です。

 扁桃腺での戦いを、われらが免疫細胞に有利にもっていくためには、「扁桃腺を乾燥させない」ことがポイントになります。扁桃腺が乾燥すると細菌やウイルスなど敵に有利な状態を作ってしまいます。

 扁桃腺を乾燥させないためには、「鼻呼吸」を意識することです。

 日本人の7割以上の人が、ふつうに口呼吸をしていると言われていますが、ほんらい、呼吸は鼻で行うものです。鼻は空気内の大きなゴミをとったり空気の湿度を調整するフィルターの役割をしています。ところが人間は、二足歩行をはじめたことで、口で呼吸もできるような構造になってしまっているので、ついつい口からも呼吸をしてしまいますが、口には鼻のようなフイルター機能がありません。

 ですので、口呼吸は扁桃腺を乾燥させ、また、体の体温も下げてしまいます。扁桃腺の乾燥はウイルスにとってはより繁殖しやすい環境です。

 このとこから、免疫力を高めるには、「鼻呼吸」を意識することが、大きなポイントのひとつになります。

腸は免疫のかなめ。便秘をしない体質を作る。

 免疫細胞の70%はふだん腸の周辺部にいます。なぜなら腸内は、常にウイルスなどの異物が侵入してくる「外界」だからです。

 口から侵入した細菌やウイルスは、扁桃腺の防衛ラインを突破して、胃まで侵入してきます。細菌などの多くは胃液で溶かされてしまいますが、ウイルスは胃液で死なないため、腸に侵入してきます。

 腸は、扁桃腺や胃という防衛ラインが前にあるとしても、いつウイルスなどがやってきてもおかしくない「外界」なのです。

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 腸は食べ物を消化してウンチにする器官というイメージですが、腸の働きはそれだけではなく、免疫の最前線としても、とても重要な場所なのですね。

 腸に侵入したウイルスと、まず、闘ってくれるのは、腸内細菌(腸内フローラ)たちです。

 腸内には、100兆〜1000兆個、300種類以上の微生物が住んでいます。これを腸内フローラと言います。腸内フロラーは、消化を助け太ったり痩せたりにも影響を与え、セロトニンの分泌で鬱や心にも影響を与えることで知られていますが、免疫の面でも重要な役割をしているのです。

 腸内にはパイエル板というリンパ組織があり、扁桃腺とおなじような感じで、ウイルスや細菌の侵入を防いでいます。免疫細胞たちは、腸のパイエル板で、抗体を作り出し、ウイルスと戦います。

 70%の免疫細胞が腸周辺を居場所にしていますが、それは、腸でウイルスの侵入を防いでいるからだけではありません。腸は、ウイルスがいない時でも、訓練ができるメリットがあります。その訓練の相手をするのが、腸内フローラのうちの悪玉菌です。免疫細胞は、腸内で実践で訓練を重ね、どんどん強くなっているわけです。

 ですから、無菌状態よりも、ある程度、バイキンがいたほうが、体が強くなります。免疫力強化のためには、無菌・抗菌にこだわりすぎないほうがいいわけですね。

 さて、これらの、腸内フローラの善玉菌や免疫細胞たちは、腸内環境が悪くなると、とたんに働きが鈍くなってきます。

 腸内環境を悪化させる最大のトラブルは、便秘です。便秘は腸のぜん動運動と腸内微生物の働きを低下させ、体全体のめぐりを悪くします。めぐりが悪くなることで、さらに腸の活動を悪くするという悪循環を引き起こします。

 ですので、便秘を防ぐことは、免疫力を高めるための、とても重要な前提条件となります

 便秘予防のためには、何よりも食事です。食物繊維や腸内の善玉菌の動きを活発にする乳酸菌やオリゴ糖などを積極的にとることが、便秘の予防につながり、それが、免疫力のアップとなります。

 また、体温を冷やさないようにして、めぐりをよくし、規則正しい生活を送ることなども、腸の活動を保ち便秘を防ぐ重要なポイントです。

睡眠で免疫力が高まる理由。からだのめぐりをよくする。

 「めぐり」とは、からだのなかの水分やリンパの流れのことを指します。

 体液中には、細胞の活動で出た老廃物などの「ゴミ」が溜まっていますが、それを回収する仕組みが、血液やリンパなどの循環器系に備わっています。

 たとえばアルプミンというタンパク質が、血管やリンパのなかを循環して、老廃物や余計な水分を回収してまわっているのです。実は免疫細胞も、このアルプミンに運んでもらって、体内を循環しています。

 「むくみ」は、体のなかの運送業者であるアルプミン濃度が下がり、このゴミの回収作業など物流がとどこおることでおきる現象です。

 「むくみ」がおきて、めぐりが悪くなれば、免疫細胞の巡回が弱まるだけではなく、細胞液中の老廃物が溜まってきて、ミトコンドリアの活動も鈍くなり、結果として、免疫力が低下してしまいます

 老廃物の分解には、酵素も活躍しますので、めぐりが悪い場合は酵素を補給したり、デトックスを行うことで改善効果が期待できます。

 そしてなにより、むくみを解消したりめぐりをよくするための、ポイントは「充分な睡眠」と「規則正しい食生活」です。

 実は人間の体は、2足歩行することで重力の負担を大きく受けています。睡眠は、横になって、重力から解放されることで、体が休息できる貴重な時間なのです。重力の影響を受けにくく体内の水分の移動がしやすくなり、めぐりが良くなります。寝ている間の、体のなかの「掃除時間」をしっかり確保することが、とても大事なのですね。

 また、食事は夜9時前にすませたり、朝は水とフルーツだけにするなども、体内で、余計なゴミを出さないための工夫です。このような生活習慣の改善が、免疫力の強化につながります。

免疫力を高める生活習慣

 以上、免疫力を高めるための4つの重点ポイントについてみてきました。免疫力アップのためには、他にも、酵素の働き、副交感神経の働き、ミネラル・ビタミン・ファイトケミカルの働きなどがありますが、まず、免疫力を作るベースとなるのは、以上の4つのポイントです。

 4つのポイントは、互いに作用しあいながらバランスをとることでクリアできるものです。そのために、日頃気をつけたい、具体的な生活習慣を、とりあえず4つにまとめてみました。免疫力強化のためのコツは他にもありますが、まず、基礎となるのは次の4つです。

免疫力を高める生活習慣

・睡眠を充分にとる

・鼻呼吸を心がける

・食物繊維やミネラルの多い食事を心がける

・適度な運動。心身の過剰なストレスを避ける

 免疫力は総合的に作られていくものです。体のバランスを意識して、日頃の生活習慣を見直すことで、ウイルスに負けない体を作っていきましょう。

インフルエンザの予防接種が効かない⁉︎と言われる真相

インフルエンザの予防接種は、感染防止ではなく悪化防止

 インフルエンザと免疫について、ここまでは、「自然治癒力」を高めることで免疫を機能をアクティブにしていく方法について見てきました。

 ところで、ウイルスに対しては、人工的に免疫力を高める方法として、ワクチンの予防接種があります。

 これは、無毒化したウイルスを体内に入れることで、免疫細胞に、あらかじめ抗体を作っておいてもらう方法です。

 先に抗体を作るということは、敵が侵入する前に、敵を倒す武器を手にして、戦う経験をつんでおくという意味です。これによって、戦いを有利に進められるわけですね。

 ただ、注意したいのは、インフルエンザのワクチンは、「感染を予防する」ということよりも「重篤化を防ぐ」という意味あいで使われる、ということ。

常に変化し続ける手強い敵インフルエンザ・ウイルスに勝つには?

 インフルエンザ(とくにA型インフルエンザ)は、常に変化・進化し続けるウイルスです。突然変異をおこしやすい、ということですね。ですので、大流行(パンデミック)を引き起こす新型インフルエンザが恐れられているわけです。

 インフルエンザは変化し続けるため、タイプは無数にあり、流行している数ヶ月の期間の間でも、微妙に、遺伝子が変化してっています。ですので、ワクチンが効きかなくなる可能性も、あるのです。

 はしかや水疱瘡の予防注射にくらべると、予防確率がかなり落ちますし、インフルエンザの場合、できた抗体も長持ちしないため、毎年の予防注射が必要になります。

 また、現在日本で使われているインフルエンザのワクチンは、ウイルスから毒性をとりのぞいた不活性ワクチンと言われるものです。不活性ワクチンによって生成される抗体は、IgG抗体です。一方、海外などでは使われている生ワクチンでは、IgG抗体だけでなくIgA抗体も生成されます。

 感染を防ぐには、喉の周辺で働くIgA抗体が必要なのですが、IgA抗体は不活性ワクチンの予防接種では作られない、すなわち、不活性ワクチンには予防効果が無い、というわけです。

 このことから、インフルエンザ予防は、「予防接種に頼る」ことができませんので、あくまで、自然治癒力の免疫力をアップしていくことが大切です。

 日頃から免疫力をアップしておけば、インフルエンザ・ウイルスに遭遇した時、扁桃腺や腸管内に、速やかにIgG抗体が作られて、インフルエンザを撃退することができます。

 インフルエンザを予防するには、生活習慣を改善しながら「総合的な免疫力を高める」ことがとても重要なのですね。

予防接種については、より詳しくはこちらの記事⇒「インフルエンザ予防接種を受けないとどうなる?」も参照にしてみてください。

 

 

 以上、インフルエンザを予防するための免疫力についてみてきました。

 インフルエンザは、毒性の強い「新型」が生まれて、大流行する危険性を常にははらんでします。大流行すれば、そもそもワクチンの供給が間に合いません。

 つまり、インフルエンザに対しては、総合的な免疫力を高めておくしかない、ということなのです。

 

 日頃から、自然の免疫力を高めて、インフルエンザに負けない身体を作っていきましょう!

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