熱射病の対処方法/熱中症や日射病の危険度別の症状と対応

      2018/07/20

熱射病

 暑いシーズンが到来。なによりも気をつけたいのが、「熱中症」や「日射病」。

 以前は「日射病」という言い方がスタンダードでした。近年は、「熱中症」という言葉が使われています。

 また、「熱射病」という言い方も聞いたことがあるのではないでしょうか?

この記事では、熱射病・日射病・熱中症の違いと対処法について、さらに、I度〜III度で表わされる熱中症の危険度(対処の緊急度)についてみてみましょう。

熱射病・日射病・熱中症の分類と違い

結論を先に言えば、熱射病と日射病は、熱中症のなかの分類のひとつです。

また、「日射病」という言い方は医学的にはあまり使われずに、強いていえば熱射病のなかのひとつの症状と言えます。

整理すると

熱中症>熱射病>日射病

という感じになります(注意;病状の重たさの順ではありません)。

「熱中症」は、暑い日射しにあたらなくても、高温多湿であれば曇りの日や室内でもかかることがあります。以前使われていた「日射病」という言葉は、晴の日でなければ問題ないという誤解をあたえるので、「日射病」という言葉は今はあまり使いません。

熱中症は室内も含めて高温多湿が原因でおきますが、なかでも、激しく日焼けするなど日射しの浴び過ぎによる熱中症の症状をとくに「日射病」として表現する場合もあります。

「熱射病」は、熱中症のなかでも、もっとも危険な段階で、体の温度調整機能が麻痺している状態のことを指します。

熱中症のなかの、さまざまな症状

熱中症は、暑さによる体温の上昇・脱水症状などが引き起こすさまざまな症状の総称です。

熱中症には、以下のような症状が含まれています。

熱中症に含まれる症状

  • 熱虚脱
  • 熱失神
  • 熱痙攣
  • 熱疲労
  • 熱射病(日射病)

基本的には、このリストの上から下に行くにつれて、重度の状態と言えます。

ただし、最近では、症状名で分類や判断をするのではなく、I度・II度・III度という緊急度別で分類・判断することが多くなっています。

I度・II度・III度の分類については、後で述べるとして、とりあえず、上記リストの症状について、簡単に説明していきましょう。

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熱虚脱

熱虚脱は熱中症の初期の段階で、暑さにやられて倦怠感や脱力感が感じられます。次の「熱失神」の前段階ともいえます。

熱失神

熱失神では、めまい、たちくらみ、頭痛、耳鳴り、吐き気、頭が重い、顔面蒼白、冷や汗などの症状がみられます。

これは、体温が上昇することで、血液が温度を下げるために皮膚に集中して、一時的に脳での血流が減少するために起きる症状です。

涼しい場所で休息すれば回復します。ただし、脱水症状を起していると回復しにくいので、見極めに注意が必要です。
熱失神の疑いがある場合は、次の記事⇒熱中症での頭痛やめまいの対処法も参照してください。

熱痙攣

熱痙攣は、手足の部分的な痙攣やこむらがえり(足などがつる)症状です。塩分不足(ナトリウム不足)が原因です。

塩分(ナトリウム)は、体内の体液の濃度や量を調整する成分で、血流や発汗とバランスをとりながら体温調整の機能を担っています。同時に、ナトリウムは筋肉の伸び縮みを調整するための物質です。

大量の汗をかき、塩分不足(ナトリウム不足)になった場合に、筋肉を動かすのに必要なナトリウムが流出して、足がつったり痙攣が起きる症状です。

休息し経口補水液などで塩分を供給します。

熱疲労

熱疲労は、脱水症状により、体温が上昇しはじめる段階です。

「熱疲労」という言葉だけ聞くと「熱失神」や「熱痙攣」などより軽い状態であるかのように誤解してしまいがちですが、「熱疲労」はかなり危ない状態です。

水分をたっぷりと補給します。全身に冷たいシャワーを浴びたり、首筋・脇の下・太ももの付けなど血管が集まる部分をアイスノンや氷で冷やしながら扇風機などで風を送るなどして、積極的に体を冷やします。そうした冷却が十分にできない場合は、医療機関を受診するなどしましょう。

熱射病

熱射病は、脱水症状が進行して、体温が上昇し、温度調整機能が破綻した状態です。

特徴として、体温が高いのに汗をかかない、という状態があり、とても危険な状態です。

応急処置とて、まず、体の温度を下げることが重要です。

「熱射病」の段階までくると、首筋や脇の下など動脈を冷すだけでは不十分です。全身を冷水シャワーをあびたり水風呂に浸かるなどの処置をしないと、体を冷やしきれません。

水や経口補水液で水分をとるべきですが、熱射病の状態になっていると、嘔吐や意識がはっきりしないため、水が自力で飲めない場合もあります。

このような場合は、点滴での水分補給が緊急で必要なため、迷わず救急車を呼び、その間、体を冷やすようにしましょう。

熱中症の危険度別分類

以上、熱中症の症状についてみてみましたが、危険度別に、対処方法などもふくめて、もういちど整理しておきましょう。

熱中症のI度

  • めまい、たちくらみ、失神(熱失神)
  • こむら返り、部分的な軽い痙攣(熱痙攣)
  • 【チェックポイント】●意識…正常 ●体温…正常 ●皮膚温度…ふつう ●汗…あり
  • 【対処】涼しいところで休息。水や塩分の補給。

熱中症のII度

  • ・頭痛・吐き気・嘔吐・下痢・倦怠感・虚脱感・失神・意識がもうろうとしている。
  • ・体温が上昇しているのに、発汗が少なかったり、肌温度が冷たいなど、脱水症状による温度調整機能が麻痺しつつある状態。
  • 【チェックポイント】●意識…正常〜はっきりしない ●体温…平熱より上昇 ●皮膚温度…冷たい ●汗…少ない
  • 【対処】体を冷やす。水や塩分の補給。病院の受診

熱中症のIII度

  • 意識障害、全身のけいれん、手足がうごかない、過呼吸、体のひきつけ、まっすぐ歩けない、会話が成り立たない。
  • 脱水症状が進行して、温度調整機能が破綻しているかなり危険な状態
  • 【チェックポイント】●意識…はっきりしない ●体温…40度前後 ●皮膚温度…触ると熱い ●汗…少ない
  • 【対処】ただちに救急車を呼ぶ。水風呂などで体を全体を冷やす。水や塩分の補給。

以上、熱射病や熱中症の分類や対処方法についてみてきました。

特に、高温多湿時での野外活動の時などは、お互いに注意を払いながら、熱中症かな?と思ったら、焦らず対処して大事にいたらないようにしましょう。

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