レインポンチョの選び方。生地の種類から防水性能を見分けるには?

      2018/05/09

レインポンチョ

 レインポンチョは、突然の雨でも、さっと羽織れる手軽な雨具です。

 デザイン的にも可愛いのが多いので、レインコートやレインスーツではなく、あえてレインポンチョが着たい!という人は多いです。たとえばフェスの雨具として定番になっていますよね。また、自転車での傘さし運転が禁止となった今、自転車用の雨具としても欠かせません。

 レインポンチョを選ぶとき、まず、気になるのは「デザイン」だと思いますが、判断が難しいのが「防水性」です。雨具の防水性や布地の種類は、統一した表記がないため、メーカーによってバラバラ。どの、ポンチョがどういう性能なのか? とてもわかりにくい状況です。

 そこでこの記事では、レインポンチョ選びで参考にしたい、耐水性・撥水性・透湿性など雨具についての基礎知識と、アウトドアや自転車用など用途別の選び方のポイント、そして有名ブランドのレインポンチョについて、おすすめ11選をピックアップ。性能や特徴をまとめてみました。

レインポンチョのメリットとデメリット(コートやスーツとの違い)

レインポンチョのメリットはゆったり感にあり

 レインポンチョは、マント状の防水生地にフードがついた雨具。最近は、袖がついたポンチョもありますが、ぴったりしたレインスーツやレインコートに対して、大きくゆったりしたものをポンチョと呼んでいます。

 この、ゆったり感が、ポンチョの最大のメリット

 ゆったりしているから気軽に羽織れて、可愛くお洒落に見えるわけです。

 また、デイパックの上から着たり、自転車の前カゴをカバーしたり荷物もあわせて防水できてしまうのも、ポンチョならではのメリットですね。

 それから、裾や脇の下が開いているために、通気性が良いのも、大きな特徴です。レインスーツなどのぴったりした雨具の場合、防水性を高めると通気性が悪くなり、レインウェアのなかが「蒸れやすい」「暑い」という問題があります。そのためにゴアテックスなどの防水透湿素材が開発されていますが、これらの新素材は高価なのが難点です。

 その点、レインポンチョの場合、値段が安くて防水性の高いPVCなどの素材でも、ポンチョの形じたいに通気性があるため、蒸れにくいのです。透湿性の無い安価なレインスーツは、暑い時に着ると悲惨なことになりますが、ポンチョなら透湿性の無い安価な生地でも、なんとかなります。このことも、ポンチョの大きなメリットですね。(もちろん、防水透湿性のポンチョにこしたことはありませんが・・・)

▲フェスといえばポンチョ。毎年ほぼほぼ雨が降るフェスも多いので、レインポンチョはフェスのマストアイテム。

レインポンチョは雨具としては不完全?

 ゆったり感のおかげでメリットが多いレインポンチョですが、忘れてはならないのは、レインポンチョは、雨具としては、完璧ではないということです。。

 ポンチョの丈は膝からちょっと下くらいまでですので、足元はカーバーしません。

 ちょっとした雨なら気になりませんが、本降りになってくると、足元は確実に濡れます。

 完全に防水するなら、合羽ズボンのあるレインスーツしかありませんね。

 「レインポンチョは足元は濡れる」という前提で使うことが、いちばんのポイントです。

 短時間だっり霧雨程度の雨であれば、ほとんど濡れないこともありますが、ちょっと雨足が強くなったり風が出てきたりすれば、足元を防ぐのはほとんど不可能です。ひどい場合は、ポンチョからしたたり落ちる雨が、足を伝わって、シューズのなかに流れ込むこともあります。

 フェスなどでポンチョを長時間使うときは、足元は、水陸両用のレギンスやサンダルなどで濡れても大丈夫な格好をするのが前提、ということを頭に入れておきましょう。また、長靴+ポンチョの組み合わせの場合、身長が高い人はポンチョと長靴の間が広く濡れやすいので注意が必要ですね。

 自転車の場合も、風雨が強い場合は、下半身が濡れることを覚悟して使いましょう。どうしても濡れたくない場合は、ポンチョの下にレインスーツのズボンのみを履くことをおすすめします。レインスーツで自転車にのると、背中が開いてお尻が濡れやすいので、自転車では、ポンチョ+合羽ズボンの組み合わせが最強です。

レインポンチョのメリット・デメリット
メリット

・可愛くてお洒落感が高い

・荷物もまとめてカバーできる

・レインスーツに比べると通気性が良いので、非透湿性の安い生地でもまぁまぁ快適

デメリット

・足元が濡れるので完璧ではない

・絶対に濡れ無いためにはズボンのあるレインスーツを

・登山などではポンチョはNG

・自転車の場合、ばたついて視界をさえぎり危険な場合も。

▲自転車の傘さし運転が道路交通法で禁止になってしまい、自転車用ポンチョも必携品に。フードの視界や裾のバタつきなど、安全性確保できるポンチョを選びたい。

レインポンチョの選び方

 次に、レインポンチョを選ぶ場合のチェックポイントをみていきましょう。

レインポンチョを選ぶポイント

・生地の種類と撥水性・防水性・透湿性

・丈の長さ

・袖の形状

・フードの形状

・かぶりやすさ

生地の種類と撥水性・防水性・透湿性

 レインポンチョポンチョはゆったりした形状ですので、レインスーツなどの体にぴったり着くウェアに比べると、比較的、透湿性がなくても使いやすい雨具です。

 ですので、「ナイロン/PVC」や「ナイロン/PU」などの非透湿性の防水素材の製品が主流です。とくに自転車で使う場合は、裾から風が入り通気が良いので、非透湿性の素材でかまいません。

 一方、防水透湿性のポンチョは、暑い時期や運動量が激しいシーンで時で、その効果を発揮します。フェスやキャンプや低山のハイキングに、ぴったりです。ただし登山では防水透湿性のレインポンチョではなく、防水透湿性のレインスーツを着用するべきです。

 街中でちょっとした雨を避ける目的のポンチョでは、ナイロンやポリエステルに撥水加工をしただけのものも少なくありません。こうした生地は透湿性がありますが、防水性はかなり低いので、防水透湿性のものと間違えないようにしましょう。

 防水機能の詳細については、「レインウェアの防水性の基礎知識」の項を参照してください。

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レインポンチョ選びで気を付けたい丈の長さ

 レインポンチョの丈の長さは、製品やサイズによって75cm〜100cmくらいとなっています。少なくともひざ下までカバーしたいので、100m前後の長めのものの方が足元の濡れが少なくなります。特に身長が高い人は、短めのポンチョを避けるようにしましょう。

 また、丈の長さがスナップで調整できるタイプのものも、あり、これはかなり便利です。

 レインポンチョの前身頃と後身頃の長さは、使用目的によって違ってきます。アウトドア用ではデイバックごとカバーできるように後身頃が長くなっているのに対して、自転車用では前のカゴをカバーできるよう前身頃が長いです。

 ポンチョの脇部分ににスナップがついていて、止めると、袖口のようにできるタイプが多いですね。風が強い場合やアクティブに動き回るときに、必要以上のバタつきを抑えるのに便利な機能です。

 また、最近は、袖があるものを「ポンチョ」として販売しているメーカーもあります。レインコートやスーツよりもゆったりとした身頃になっているのでポンチョとして位置付けているようですね。

フード

 レインウェアではフードのかたちは重要です。ただかぶるだけではフードの形が定まらないなので、アゴ部分の紐(ドローコード)をひっぱることでフードのかたちが決まり、装着感が変わってきます。

 自転車用では、フードが左右後方の視界を遮らないようにカットが入っているものもあります。

 フェス用のレインポンチョでは、音がよく聞こえるように耳の部分がカットされているものもあります。

 またフードのつばの部分がしっかりしているものは、とくに自転車では顔に雨があたるのを防ぎ、視界を確保します。ツバがプラスッチック性の板状で、フードの紐を締めると湾曲してツバになるタイプのものがしっかりしていて安全性が高いですね。ただ、ハードタイプのツバのものはオシャレ感がいまいちですので、あくまで実用性重視の自転車用です。

脱着のしやすさ

 レインポンチョ選びのポイントとして見逃したくないのが脱着のしやすさです。

 ふったりやんだりの雨の時でも、気軽に脱いだり着たりがやりやすいのがポンチョのメリットです。襟元がボタンやファスナーで開くものが一般的ですが、最近は、前が全部ファスナーで開くタイプがとても使いやすく人気です。

 逆に、首元の前開きがなく首を通す穴しか空いていないものもあります。タープやシートとしても兼用できるミリタリー系のレインポンチョにはこのタイプが多いのです。このように、かぶりにくいタイプのレインポンチョもありますので、用途に応じてチェックするようにしましょう。

おすすめレインポンチョ

 ここまで述べてきたレインポンチョの特徴などをふまえて、おすすめのポンチョをピックアップしてみました。

フェスにぴったりのレインポンチョ

 フェス用のポンチョ選びではやはりデザインがいちばんですが、長時間〜夜間まで着用する可能性があるので、ある程度しっかりしたものを選びたいところ。コンビニなどで売っている透明の使い捨てポンチョ(PVC製、EVA製)では、あまりに心もとないですね。

 そこで、ナイロン/PU(ポリウレタン)などの素材の、「フェス用」として販売しているものがおすすめです。

 フェス用では防水透湿性はあればベターですが、非透湿性でもかまいません。ただし、防水裏地が無い撥水加工だけのポンチョでは、フェスを乗り切るのは厳しいので注意しましょう

KIU(キウ)/Rain Poncho
3rd Poncho

rain poncho=生地:ナイロン/PU、耐水圧:5,000mm、透湿性:なし、丈長:前95cm後105cm

3rd poncho=生地:ナイロン/透湿性PU、耐水圧:15,000mm、透湿性:5,000g/m2・24h、丈長:前97cm後97cm

 フェスのポンチョの定番といえばKIU。毎年、いい感じのデザインのものがリリースされるので、デザインで選ぶならKIU、という人も多いです。

 ただし、梅雨前には売り切れてしまう場合が多いので、気に入ったデザインがあれば、早めに購入しておいたほうがいいですね。

 注意したいたいのは、同じKIUのレインポンチョでも、撥水加工のみのもの(タウンポンチョ、チャリーポンポン)、防水でも、透湿性のあるもの(3rd poncho)とないもの(rain poncho)と種類がいろいろあること。デザインだけでなく、素材も確かめながら用途に応じて選びましょう。

▲KIUのポンチョのなかでも防水透湿性素材を使っているのが3rd Ponchoシリーズ。

43degrees/レインポンチョ

rain poncho=生地:ポリエステル、耐水圧:10,000mm、透湿性:8,000g/m2・24h、丈長:前92cm後97cm

 スノーボーダーのあいだで絶大な人気を誇る北海道のブランド43degreesのレインポンチョも、ファッショナブルなデザインが豊富。ファッション性で周りに差をつけたいなら、43degreesがイチオシです。

 しっかりしたフードのドローコードで自転車用にも使えるし、袖のループをたくしあげるバンドとしても使えて、タウンユースにも。

 高スペックの防水透湿性も備えているが、やや重たい。

Field Candy (フィールドキャンディー)Waterproof Ponchos

生地:ポリエステル/PU、耐水圧:不明、透湿性:なし、丈長:前75cm後95cm

 スイカやサンドイッチなどユニークなデザインのテントやタープをリリースしている、イギリスのアウトドアブランド・フィールドキャンディ。

 話題のせっかくのフェスだから個性的なデザインのポンチョを着こなしてみたい!という人向けにおすすめな、スイカ柄など4パターンの斬新なデザインのポンチョ。

 ポンチョの性能は非透湿性のポリエウレタン防水。前丈がやや短いので身長の高い人にはちょっと微妙かも。

ドッペルギャンガー/フェスポン

生地:ポリエステル/PU、耐水圧:3000mm、透湿性:なし、丈長:前97cm後118cm

 お手頃価格のアウトドア用品で人気のドッペルギャンガーの、フェスに特化したレインポンチョ。

 フェスならではという痒いところに手が届くちょっとした工夫が嬉しいポンチョ。

 とくに、フードの縁にワイヤーが入っているため、音が聴きやすいように耳を出せるようになっている仕様は、他社の製品には無い、なかなかの機能。また、丈の長さが十分に長いのも、安心して使いやすいポイントですね。

アウトドアメーカーの高機能レインポンチョ

 各アウトドアブランドから、本格的登山でも通用する防水透湿性の高機能素材を使ったポンチョがリリースされています。ただし、あくまでポンチョであるため、本格的登山ではなく、キャンプやフェス、ハイキングなどでの使用にとどめておきましょう。(なお、アウトドアウェアの機能や選び方については、⇒「マウンテンパーカーの選び方」
⇒「防寒着の選び方」の記事にも目を通して、知識を深めてください。)

 春秋のキャンプインフェスなどで、通常のフェスポンチョで濡れて寒い思いをしたことがある人も少ないでしょう。そういう経験をされた方は、本格派のアウトドアポンチョが良いかもしれません。

ノースフェイス/WPキャンプケープ

生地:ナイロン/透湿性PU(ハイベントD)、耐水圧:20,000mm、透湿性:15,000g/m2・24h、丈長:M96cm〜L101cm

 本格的な登山用レインウェア並みの防水性能をもつノースフェイスのポンチョ。

 さらっとした着心地をはじめ、手の出し入れができるフロントのスルーポケットや、サイドの蒸れ防止のベンチレーションなど、さりげない機能も便利な、高機能レインポンチョ。

 背中のTHE NORTH FACEの大きすぎるロゴが好みの分かれるところ。

モンベル/トレッキング レインポンチョ

生地:ナイロン/透湿性PU(ハイロドプロ2レイヤー)、耐水圧:10,000mm、透湿性:非公開、丈長:S前92cm後113cm〜L102cm後123cm

 冬山登山のギアで定評のあるモンベルの防水透湿素材「ハイドロプロ」を使った本格派のレインポンチョ。

 キッズ用にも同様の素材を使ったものがあるので、安心。

 透湿防水のなかでも比較的値段が抑えられているのも魅力です。

コロンビア/スペイパインズ・(ウィメンズ)・ポンチョ  
エクセターロードポンチョ

生地:透湿性ナイロン(オムニテック)、耐水圧:20,000mm、15,000g/m2・24h、丈長:スペイパインズ・ポンチョS前86cm後102cm,M前88cm後105cm , エクセターロードポンチョS82cmM95cm

 コロンビアのポンチョはメンズ用のスペイパインズ・ポンチョ、レディース用にはスペイパインズ・ウィメンズ・ポンチョとエクセターロードポンチョの2種類がある。

 スペイパインズ・ポンチョは袖があるタイプのポンチョ。レインウェアよりゆったりしているが、ポンチョよりはややスリムな感じで、アクティブに動き回るシーンには向いている。

 レディース用のみだが、通常のポンチョであるエクセターロードポンチョも、オムニテックの防水透湿性なので快適。

 デザインバリエーションもあるため、フェスなどでもしっくりくる。レティース用には、あざやかな空色に雲をあしらったデザインがあり印象的ですね。

▲袖付きのややスリムなポンチョ。メンズ用は「スペイパインズ・ポンチョ」名で検索を。
▲やはりフォルムの可愛らしさで言えば、純ポンチョの方が勝っている? 人気の雲柄は、袖ありタイプにも(レディースのみ)

コールマン/トレックレインポンチョ

生地:ナイロン/透湿性PU、耐水圧:5,000mm、2,000g/m2・24h、丈長:106cm

 コールマンの防水透湿性のポンチョ「トレックレインポンチョ」は、袖ありのタイプ。デザインもフェス雰囲気ばっちりの「フェスウェーブ」がありなかなか良いです。コールマンなら、手頃な値段の防水透湿性ポンチョが手に入ります。

 ただし、他のアウトドアメーカーのものに比べてやや耐水圧が低いのでゲリラ豪雨クラスの場合は、あまり過信しないようにしましょう。

 また、同じコールマンの「ファンスタンドポンチョ」は、袖のない純ポンチョですが、こちらは透湿性のないEVA素材。あまり動かないスポーツ観戦などには、ファンスタンドポンチョが向いてますね。

パタゴニア/ウィメンズ・トレントシェル・ポンチョ

生地:透湿性ナイロン(H2Noパフォーマンス)、耐水圧:20,000mm、透湿性:非公開、丈長:XS89cm,M94cm

 環境意識の高いアウトドア・サーフ系のブランドとして有名なパタゴニアのレインポンチョ。

 パタゴニアのこだわりのひとつである100%リサイクルのナイロンを使用。独自の防水透湿技術H2Noパフォーマンスと、撥水性が低下しないDWRを採用した、高性能のポンチョ。

 なぜかレディースしかないのは残念。やや丈が短めなので、注意。

自転車用レインポンチョ

 自転車でポンチョを使うなら、自転車専用に作られているポンチョが何かと便利で安全です。自転車用ポンチョは、フードや裾が、視界を邪魔しないように、さまざまな工夫がされています。

 自転車用ポンチョの素材は、ウェルダー加工のPVCや、ナイロン/PVCが中心。PVCは透湿性はありませんが、自転車用ポンチョは裾から風が入ってくるので、あまり蒸れることはありません。また、PVCは適度な重量感がありバタつきが少なく、しっかり防水してくれるので安心です。

リンプロジェクト/サイクルレインポンチョ

生地:ナイロン/PVC、耐水圧:不明、透湿性:なし、丈長:108cm後86cm

 自転車の旅をサポートするこだわりのサイクル用品をリリースするリンプロジェクトのポンチョ。

 裾の巻き込みを防ぐためのちょうどよい短めの丈の長さ、はためき防止のためのハンドル紐と腰紐など、本格的サイクリストにも納得の仕様。

レースレディース/カゴもすっぽりカバー

生地:ナイロン/PVC、耐水圧:10,000mm、透湿性:なし、丈長:前120cm後80cm前

 ママチャリにはカゴまですっぽり覆える前がロングになっているポンチョがおすすめ。「カゴもすっぽりカバー」は、前カゴに結べる紐付き。

 また、バイザー(つば)がハードタイプで、視界をさえぎりにくい。また、耳部分に隙間を作り、周囲の音が聞こえにくくならないように配慮。安全性に気を使っている。

 フードを絞るドローコードがしっかりしているのもポイント。ここがゆるむと、バイザーやフードの形が崩れて、視界を遮ってしまうので、チェックポイント。

Chou Chou Poche/自転車レインポンチョ

生地:ポリエステル撥水加工、耐水圧:不明、透湿性:なし、丈長:100cm

 袖ありタイプの自転車用ポンチョ。ワンピのような雰囲気で可愛らしいのがポイント。裾がゴムで絞れるようになっていて、バタつきを防止しながら、ペダルを漕ぎやすいように工夫がされている。

 ハンドル部分からの雨水の逆流防止も嬉しい機能。

 デザインも豊富で、キュートなシリーズだけれど、素材はポリエステルの撥水加工のみ。防水スプレーでメンテナンスしながら使うのが前提で、ゲリラ豪雨など突然の強い雨などは厳しい。

 このようにファッション性の高いものは、防水性能が低い場合が少なくないので注意しましょう。

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▲タープやテントにもなるミリタリー系のレインポンチョも面白い。ただし、このタイプのポンチョは防水性能が高くないものが多いので注意。
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レインウェアの防水機能の基礎知識

 レインポンチョをはじめ、レインスーツやレインコートなどレインウェアを選ぶ時に気になるのが防水機能です。

 実は、防水機能については、生地の種類などが複雑で、表示の仕方にも統一性がないため、カタログやスペックなどを見ても、どの製品が防水性が高いのか? とてもわかりにくいものです。

 通販で雨具を買って失敗した・・・!という経験を持つ人も少なくないでしょう。

 レインポンチョをはじめとして雨具を選ぶ際に、知っておきたい防水の仕組みや生地の性質について、最低限知っておきたい基礎知識を以下にまとめました。

防水機能の4つのポイント

撥水性(はっすい性)…生地の表面にコーティングして水をはじく機能をもたせてある。洗濯などで低下していき長持ちはしない。強い雨は防げない。

防水性…水を完全に通さない機能。ナイロンやポリエステルには防水性は無いため、裏地にビニールやポリウレタンなどの素材と組み合わせることで雨具となる。防水性能は耐水圧という単位で表すことが多い。

透湿性…防水機能がありなおかつ蒸れないようにするために雨水は通さないが水蒸気は通す「防水透湿性素材」を裏地に使用したレインウェアが増えてきている。「ゴアテックス」が有名。

生地の種類や加工の方法…レインウェアの生地は、ビニール(PVC,EVA)、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンなど、性質が異なる各素材の組み合わせでできています。縫製の仕方にもウェルダー加工やシーム加工などがあります。

これら4つの特徴について、もう少し詳しくみていきましょう。

撥水性

 撥水性は生地の表面にコーティングをすることで、水をはじくようにしているものです。

 表面に着いた水滴が、染み込まずに、玉のようになって生地の表面をすべり落ちるようするのが撥水性です。雨具であれば原則、生地の表面に撥水性のあるコーティングをしてあると考えてよいでしょう。

 しかし、撥水性は、雨水を通さないのではなくあくまで弾くものですので、完全な防水ではありません。撥水性だけでは、強い雨に長時間あたると、水を弾く機能が低下して水が染み込んできてしまいます

 また、撥水性は雨具を使用するたびに低下していきます。

 ですので、撥水性の処理だけをした雨具は、雨具として機能するのは、新品購入後、数回〜数十回だけとなります。

 薄手のレインポンチョなどのなかには、ナイロンやポリエステルの生地に撥水コーティングをしただけの製品もあります。薄手なので通気性もありコンパクトにたためて持ち運びなど便利ですが、撥水加工のみのポンチョは、本格的な雨は防げません。街歩きでほんの少しにわか雨を防ぐ程度の使いかたしかできないと考えてよいでしょう。

 撥水加工のみの雨具は、常に撥水スプレーをかけるメンテが欠かせませんが、最近では、DWR(耐久性撥水)弾水コーティングなど、撥水性が永続的に維持される新技術も開発されています。

防水性

 防水性は、雨を通さないまたは通しにくい性質を持った生地を使うことで、浸水を防ぐものです。

 レインウェアではナイロンやポリエステルを織り合わせた生地が多く使われますが、ナイロンやポリエステルそのものには、防水性はまったくありません。そこで、防水性のあるビニールやゴムを裏地にはりあわせて、防水性をもたせます。

 値段が千円前後の安いレインウェアでは、ナイロンの裏地にポリ塩化ビニールをあてた「ナイロン/PVC」がよく使われています。とくに自転車用のポンチョは、「ナイロン/PVC」生地のものが多いですね。

 また、裏地にゴムを使ったゴム引きの雨具は、漁業用とか洗い場の前掛けなどで使われているのが多いですね。

 これらの生地は、防水性の高い内張のおかげで、たとえ表面の撥水性が落ちても、防水機能は低下しません。

 しかし、通気性(透湿性)が悪い(ほぼ無い)という大きなデメリットがあります。

 短時間の着用であれば、通気性のない生地でもそれほど問題ないこともありますが、長い時間だったり運動中に着用すると、すぐに蒸れてしまいます。雨は防げても、汗で中がびしょびしょなんてこともありうるわけです。

 

透湿性

 防水性を高めると、通気性が悪くなり、蒸れてしまいます。かといって、通気性のある生地に撥水加工をしたものでは、長時間や本格的な雨ではもちません。

 そのジレンマを解決すべく開発されたのが、防水性と通気性を兼ね備えた防水透湿性素材です。有名なのは「ゴアテックス」ですが、各メーカーが独自に透湿性素材を使った生地を開発しています。

 素材の種類としては「ナイロン100%(透湿性ナイロン)」「ナイロン/透湿性PU(ポリウレタン)」「ナイロン/PTEE(テフロン)」などがあります。

 防水透湿性素材は、雨水は通さないけれども水蒸気は通すサイズの隙間を生地にもたせているものです。

 雨は通さずに湿気だけを逃すというのはとても不思議な感じがしますが、水蒸気の粒子は雨粒の数百万分の1の大きさですので、雨粒は通さず、水蒸気だけを逃すという生地が作れるわけですね。

雨粒や水蒸気の大きさ比べ

 雨粒…0.1〜3mm

 湯気…0.001mm(1μmマイクロメートル=1ミクロン)

 ゴアテックスの穴…0.00026mm

 水蒸気…0.00000038mm(38nmナノメートル)

 防水透湿性素材を使った雨具は、安くても5,000円、高いものでは数万円します。

 登山などの場合は、悪天候時に体が濡れると低体温症などで生命の危険にさらされることがありますので、体を絶対に濡らさないことが必要になるので、防水透湿性素材の雨具は必携です。

 一方で、街で短時間の雨よけに使うのであれば、防水透湿性素材でなければいけない、ということはありません。防水透湿性素材は何年かすると劣化してしまうので、コストパフォーマンスを考えて購入することが大事です。

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生地の種類ごとの防水性能のざっくり比較

 レインウェアには、塩化ビニール(PVC)、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンなどさまざまな素材が使われますが、素材ごとに「撥水性」「防水性」「透湿性」の性質が異なります。

 そこで、わかりやすいように、レインウェアで主に使われる素材について、性能を以下の表にまとめました。あくまで目安でざっくりとした性能比較ですが、素材を見れば、ある程度、防水性能が判断できるわけです。

 下の表の色分けでは、白がごく簡易的な雨よけ、黄色が短時間の防水、赤が本格的な防水透湿素材となっています。

レインウェアの生地の特徴
生地の種類 撥水性 防水性 透湿性 耐久性 用途
ナイロン撥水加工のみ × レインケープなど 街歩きでの、簡易的な雨よけ程度
ポリエステル撥水加工のみ ×
ナイロン/AC(アクリルコーティング) ×
PVC・EVAウェルダー加工 × × 使い捨てレインウエアなど
ナイロン/PVC(塩化ビニール) × 自転車用ポンチョなど
ポリエステル/PVC(塩化ビニール) ×
PVC・EVAウェルダー加工糸入り × 作業用合羽など
ナイロン/PU(ポリウレタン) × アウトドアブランドの通常レインウェア
ナイロン/透湿性PU 防水透湿性のレインウェア
ナイロン(透湿性) オムニテック、H2Noパフォーマンスなど
ナイロン/PTFE ゴアテックスなど

生地の種類と縫製の仕方

 レインウェアで使われる素材は、
ビニール系(ウェルダー加工)
ナイロン・ポリエステル+防水素材(縫製雨衣)

のふたつに大きく分類できます。それぞれの特徴は次です。

ビニール系生地(PVC、EVA)

 ポンチョをはじめ雨具で使われる防水生地のうち、比較的、安いのが、ビニールを加工したものです。

 ビニール生地の場合、生地をつなぎ合わせるのに熱で圧着するウェルダー加工が使われ、通常の衣服のような縫い目がないため、防水能力が高いという特徴があります。

 ただし、ビニールをウェルダー加工したものは、防水性は高いですが通気性はまったくありません

 よくコンビニや百均などで数百円〜1000円前後で売られている、ビニールのポンチョはEVA(エチレン酢酸ビニル)、PVC(ポリ塩化ビニール)などの素材を、使ったものです。PVCやEVAはそれなりに防水性がありますが、耐久性がとても弱く、動いていると気がつくと破れていて、ほとんど使い捨てです。

 そこで、PVCやEVAにナイロンの糸を入れたり、層を重ねることで強化したものに「糸入りPVC」「ターボリン」などがあります。これらの素材は、2,000円前後のレインウェアで使用されています。通気性がまったく無いですが、防水能力は高いので、大雨のなかの短時間の作業などには、糸入りやターボリンなどの強化型のPVCやEVAが最適です。

ナイロン・ポリエステル+防水素材

 ナイロンやポリエステルは、糸を織りあわせた生地です。織り合わせの種類によって、タフタ、オックス、リップストップなどの種類があり、強度や対摩擦力が違ってきます。

 ナイロン、ポリエステルは織り合わせの布ですので、隙間があるため、そのものには防水能力はありません。

 そこで、裏地に防水性のある素材を貼りあわせてレインウェア用の生地が作られます。

 防水裏地は、透湿性のあるものと無いものがあります。

 透湿性が無いものは、EVA、PVC、ゴム、アクリル、PU(ポリウレタン)など。

 透湿性のある素材は、透湿性PU(ポリウレタン)、PTEE(テフロン)、透湿性ナイロン、などがあります。これらの防水透湿性素材は、「GORE-TEX」「e-Vent」「ネオシェル」「エバーブレス」「H2Noパフォーマンス・スタンダード」「オムニテック」など、各メーカーの新素材名で呼ばれることも多いです。

 レインポンチョの生地として最も多く使われているのは、ナイロンやポリエステルに、PVCやアクリル、ポリウレタンなどの透湿性の無い防水裏地をはりあわせたものです。

 本格的登山向けのレインウェアでは、防水透湿性素材が必須ですが、レインポンチョは登山では使いませんし、そもそも通気性が良くゆったりしたフォルムですので、長時間でなければ非透湿性の生地でも問題がない場合も少なくありません。

 また、ナイロン・ポリエステルがベースの生地では、布を縫い合わせて雨具を作っていますので、縫い合わせ部分から雨が漏ってしまいます。これを防ぐために縫い目にシームテープを張って防水しています。

 ほとんどのレインポンチョはシームテープ加工はされていますが、まれに海外製の製品で、シーム加工がされてないものもあるので、注意が必要です。

耐水圧や透湿性数値の参考の仕方

 防水性を表す単位に「耐水圧」があります。これは、生地に水の圧力をかけた時に、どれくらいもつかを示すもので、単位は一般的にmmが使われます。

 普通の雨傘の耐水圧は500mm〜1,000mm、PVCなどビニール系素材で10,000mm〜、ゴアテックスなど防水透湿性素材で20,000mm〜30,000mmとなっています。

 たとえばテントなどですと、耐水圧が2,000mm〜5,000mmもあればほぼほぼ充分と言われています。

 それに対して、レインウェアの場合は、安心できる耐水圧の基準は10,000mm〜とかなり高い耐水圧になっています。

 レインウェアはテントと違い、体の圧力がかかかるために、高い耐水圧が必要なのです。たとえば、ひざまづいて体重がひざにかかっている状態で、水が浸みてこないためには10,000mm近い耐水圧が必要となります。

 ゴアテックスなどの本格的なレインウェアが万単位の高い耐水圧にしているのは、過酷な環境の本格的な登山などでの完全防水を実現するためです。登山で体が濡れてしまうと低体温症になり遭難のリスクが一気に高まります。ですので過酷な環境下でも水が浸みてこないように万単位の耐水圧が備わっているのです。

 一方、耐水圧が3,000以下レベルのレインウェアでは、強い雨や長時間の雨では、かなり不安があります。

 本格的な登山でなければ20,000mm以上は必要ないですが、長時間使うのであれば5,000mm〜10,000mm程度の耐水圧はほしいところです。

 また、防水透湿性素材の場合は、どれだけ湿気を通すか?を表す単位として、/m2/24hが使われます。防水透湿性素材によって5,000〜30,000g/m2/24hとスペックの差がありますが、実際の蒸れ具合は、使用環境や生地の厚さ(レイヤー層の数)などによっても変わってくるので、いちがいに防水透湿性の数値からだけは判断しにくいので、あくまで参考値としておきましょう。

 

 

 以上、レインポンチョの特徴や選び方、また、レインウェア選びでは是非とも知っておきたい防水機能の基礎知識について見てきました。

 使用シーンにあわせた素材の選び方が、おわかりいただけたと思います。

 それでは、お気に入りのレインポンチョを手にして、雨を楽しみましょう。

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