新緑の時期と名所(関東)。新緑の色や香りをたっぷりと楽しむには?

      2018/05/11

新緑

 鮮やかな緑がまぶしい、新緑の季節です。

 新緑は、紅葉と同じように、四季の表情が豊かな日本ならではの、繊細な自然の風景です。新緑の木々を見ていると、樹木のエネルギーを、分けてもらえるようで、とても元気が出てきます。

 この記事では、新緑の時期新緑の名所(関東地方)を紹介しながら、新緑の香り・色・仕組みなどについても説明していきます。

 新緑をたっぷりと奥深く楽しむための基礎知識です。ぜひ目を通してみてください。

樹木や森のことについては、次の記事もあわせてぜひお読みください!!
⇒「これだけは覚えたい広葉樹の種類と名前」
⇒「雑木林とは?その種類と成り立ち」
⇒「日本の原生林一覧」

新緑の時期

 新緑とは、春に樹木が新芽を出すことです。落葉樹が多い日本の山では、冬のあいだ枯れていた山に、緑が戻ってくる様子は、紅葉とならぶ山の樹木の大イベントです。

 新緑の時期は、桜(ソメイヨシノ)が終わってから梅雨入り頃まで、が基本です。

 落葉樹の枯れ木に新芽が出始めてから、黄緑の新しい葉が広がり、やがて緑を濃ゆくしていくまでの期間です。新緑の期間に、はっきりとした定義はありませんが、だいたい梅雨に入るまでの、1カ月から2カ月近くの間を、新緑と呼びます。

 新緑がはじまる時期は樹種にもよりますが、西日本〜関東の平野部で4月下旬〜、高原地帯では5月中旬〜下旬、東北の高原や北海道では6月下旬〜7月が新緑のはじまる時期になります。

新緑の時期の目安
沖縄県 本島北部 2月下~4月上
鹿児島県 屋久島 3月下~5月上
熊本県 阿蘇 4月下~6月上
広島県 宮島 4月下~6月上
高知県 四万十川 4月下~6月上
和歌山県 熊野 4月下~6月上
京都府 京都 5月上~6月上
岐阜県 飛騨高山 5月上~6月上
三重県 伊勢志摩 5月上~6月上
富山県 立山・弥陀ヶ原 6月中~6月上
長野県 上高地 5月下~6月上
長野県 軽井沢 5月下~6月上
山梨県 富士五湖 5月中~6月上
静岡県 伊豆半島 4月下~6月上
東京都 等々力渓谷 4月下~6月上
東京都 奥多摩 5月上~6月上
栃木県 奥日光 5月下~6月上
新潟県・福島県 奥只見湖 5月下~6月中
岩手県・秋田県 安比高原 6月上~6月中
北海道 大雪山 6月上~7月下
【注意】あくまで目安です

 紅葉の見ごろが2〜3週間前後なのに対して、新緑の見頃は1〜2カ月と幅があります。紅葉は気温に反応してほぼ一斉にはじまりますが、木々が新芽を芽吹くタイミングは、木々それぞれでかなり時間差があり、また、新芽を伸ばす期間も長いためです。

 また、新緑の時期は、春の山の花々と時期が重なります。山桜、山ツツジ、山藤など春の花も同時に楽しめるのが特徴のひとつです。山の花については、⇒「野生ツツジの魅力と名所」⇒「花木の種類と名前」の記事も参照してください。

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新緑を120%楽しむシチュエーションは? 関東近県の新緑の名所を紹介

 新緑は緑があるところであれば、どこでも見ることができます。いつも生活している近くの街路樹や公園でも、樹木の新緑は充分感じられると思います。

 ですが、より積極的に新緑を楽しむことができるシチュエーションがあります。

 たとえば次のような感じです。

新緑をより積極的に楽しめるポイントは?

・ブナの森

・残雪と新緑

・青もみじ

・雑木林

・ローカル線と新緑

・草原

・クスノキなど常緑樹の新緑

…このように、ぜひいちどは訪れてみたい新緑のポイントがあります。紅葉にくらべるとスルーされがちな新緑ですが、こうしたシチュエーションでは、インパクトのある圧倒的な新緑の魅力を楽しむことができます。

 では次に具体的に、関東地方でおすすめの新緑の名所を紹介していきます。もちろんここで紹介するのはごく一部です。新緑がたっぷり味わえる場所を探す、参考にしてみてください。

ブナ林の新緑〜檜原都民の森

●見頃時期:5月下旬〜6月上旬
●主な樹種:ブナ、カツラ、クリ、サワグルミなど
●東京都西多摩郡檜原村 ●アクセス:JR五日市線武蔵五日市よりバス75分

 落葉広葉樹林のなかでも、一番人気のブナの森。ブナ林は優しい感じの樹形と、明るく感じられる林が、とても落ち着きます。新緑のブナの萌黄色を下から見上げると、木漏れ陽の中に輝くブナの葉を楽しめます。また、ブナ林は明るいため、曇りや小雨の時でも、新緑の魅力を味わうことができます

 都心から最も近いブナ自然林として貴重な檜原村の都民の森は、三頭山(みとうさん 1,531m)と三頭大滝を中心とした森です。標高差500mほどのハイキングコースで、良く整備されているので、気軽に森林浴を楽しめます。軽く山歩きをしながらブナ林の新緑を、味わってみましょう。

【関連記事】
もちろんブナ林は全国各地にたくさんあります。次の記事でも、ブナ林をはじめ原生林を紹介しています。
⇒「日本の原生林一覧」

残雪と新緑〜谷川岳ロープウェイ

●見頃時期:5月中旬〜5月下旬
●主な樹種:ナナカマド、ミズナラ、ブナなど
●群馬県みなかみ町 ●アクセス:上越新幹線上毛高原駅バス50分、上越線水上駅からバス25分

 新緑の楽しみのひとつに、「新緑+残雪」を同時に楽しむコースがあります。東北などの春が遅い地域では良く見られる風景ですが、標高の高い山や⇒高原でも、白と緑の織りなす美しい光景が見られます。新緑がふもとから登ってくるグラデーションと、山頂付近の残雪のコラボは感動的です。

 群馬県と新潟県の境にある谷川岳ロープウェイは残雪と新緑を気軽に楽しめる場所のひとつです。標高746mの山麓駅から1319mの天神平まで新緑の尾根に沿って、15分かけてロープウェイは登ります。さらに1502mの天神峠までリフトで登れば、高山独特の残雪の谷川岳とナナカマドの新緑を見ることもできます。

【関連記事】新緑を見るのに欠かせない乗り物といえばロープウェイやゴンドラ、リフト。⇒「関東近県のロープウェイ、ゴンドラ、リフト〜65路線を紹介」の記事もぜひ参照してみてください。

青もみじ〜鎌倉

●見頃時期:5月上旬〜5月下旬
●主な樹種:カエデ類
●神奈川県鎌倉市 ●アクセス:横須賀線鎌倉駅・北鎌倉駅

 新緑の若々しい透き通るような色のもみじ(カエデ)を「青もみじ」と呼びます。もともと季語では「青楓」(あおかえで)と言う言葉があったのですが、最近は「京都で青もみじを見よう」というキャンペーンの影響で、「青モミジ」が広まっています。また、もみじのなかには新芽が真っ赤な色をしたものもあり、そちらは「春もみじ」と呼ばれます。

 京都の青もみじが有名ですが、関東では、鎌倉で青もみじを鑑賞する人が増えています。円覚寺・長谷寺・明月院・妙法寺などなど、秋の紅葉が綺麗なところであれば、青もみじもばっちり。5月の頭であれば、赤い新芽の春もみじを探してみるのも楽しいですね。

雑木林の新緑〜狭山丘陵トトロの森

●見頃時期:4月下旬〜6月上旬
●主な樹種:コナラ、クヌギ、エゴノキなど
●埼玉県所沢市 ●アクセス:西武狭山線西武球場駅徒歩10分

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 新緑の季節に、里山の雑木林を楽しんでみましょう。雑木林はコナラとクヌギを中心とした里近くにある林です。もともと薪の供給源として活用され、人の手が入った「二次林」です。コナラやクヌギのような落葉広葉樹は、自然状態では常緑樹に淘汰されてしまうものです。優しい緑の木漏れ日の広葉樹林の新緑は、人の生活と自然の共同作業によってうまれる光景なのです。

 そんな里山の雑木林の魅力が残されている「トトロの森」。狭山湖周辺に残る武蔵野の雑木林を、トラスト運動などで保存しているエリアで、首都圏では貴重な存在です。近くには茶畑の新緑も見られ、新緑を求めての散策には最適です。

【関連記事】
雑木林についてより詳しくは次の記事をごらんください。
⇒「雑木林とは? 雑木林に生える木の種類や利用方法」

ローカル線と新緑〜渡良瀬渓谷鉄

●見頃時期:5月上旬〜6月上旬
●主な樹種:ケヤキ、エノキ、ムクノキ、アラカシ、シラカシ、アカメガシワ、ニセアカシアなど
●群馬県みどり市 ●アクセス:

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 新緑と鉄道は深い関係にあるかもしれません。忙しい日常のなかで新緑がはじまっていることに気づくのも、たいてい通勤電車の車窓からだったりします。遠くに行きたくなりますよね。そう思ったら次の休日には、新緑の渓谷を走るローカル線の小旅行に出てみましょう。

 わたらせ渓谷鉄道は、関東の人気ローカル線のひとつ。かつては足尾銅山の貨物輸送線として栄え、現在は渡良瀬川の景観を楽しむトロッコ列車が人気です(【参考記事】 森を楽しめる鉄道⇒「トロッコ列車とレールバイク」の記事も参照しください)。とくに草木湖の長いトンネルを過ぎ、沢入り(そうり)駅〜原向(はらむこう)駅の間。この区間は並走する道路が川の対岸にあるため、ほんとうに新緑と清流のなかを走ります。文字通り新緑のトンネルとなる人気ポイントです。

【関連記事】
新緑の旅をよりいっそう盛り上げる「アウトドア鉄道」の旅もおすすめです。
⇒全国のトロッコ列車&レールバイクの一覧の記事もぜひ参照してみてください。

草原の新緑〜箱根仙石原

●見頃時期:4月中旬〜5月下旬
●主な樹種:ススキ
●神奈川県箱根町 ●アクセス:箱根登山鉄道強羅駅よりバス20分

 新緑は樹木だけでなく、実は、草でも見応たえがあります。草原の新緑を見に出かけるのもありですね。日本の湿潤な気候では草原は手入れをしないと、すぐ森に戻ってしまいます。そこで春先に野焼きをしてリセット。4月頃から草の新芽が芽生え5月前後に草の新緑の絨毯の光景が出現するわけです。

 箱根の仙石原は秋のススキで有名ですが、5月の連休前後には新緑の草原で爽やかな解放感を満喫できます。箱根湿性花園ではサクラソウや黒百合など春の高山植物もあわせて楽しめます。

クスノキ〜目黒林試の森公園

●見頃時期:5月中旬〜6月上旬
●樹種:クスノキ
●東京都目黒区 ●アクセス:東急目黒線不動前駅徒歩10分

 常緑樹でありながら春に落葉し新葉に入れ替えるクスノキ。東京では4月末〜5月頭に落葉することが多いようですが、あっという間に散り、すぐさま新芽が出てくるので、その落葉タイミングに出会うのはなかなか難しそうです。逆に、葉っぱが入れ替わった新緑のクスノキを見るには5月中旬以後がねらい目でしょう。

 クスノキはもともと西日本に自生している木で、東日本では人の手で植えられたもので、最近は街路樹などに多く植えられています。また、神社の境内などにクスノキの古木が多く、樹木の生命力の力強さを感じる新緑を楽しめます。。都心部で大きなクスノキの古木を見るなら、目黒の林試の森公園。林業研究のために植えられた樹齢100年の新緑のクスノキを、下から見上げてみましょう。トトロ感あふれる新緑に、元気づけられること間違いありません。

【関連記事】
「トトロの住んでいる木」クスノキは有名ですが、その他にもたくさんある樹木の名前って覚えにくいですよね? この機会に樹木の名前を覚えてみましょう。
⇒「広葉樹の種類と名前の覚え方」

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新緑を楽しむための基礎知識

新緑を表す日本語

 寒い冬を耐えて春の訪れを謳歌する新緑の光景は、日本の文化のなかにも深く根ざしてきました。

 そのため、新緑を表す言葉には味わい深い表現が多くあります。

 新緑にまつわる季語は歳時記の季節では「初夏」「夏」になります。

新緑を表す日本語

・山萌ゆ

・芽ぐむ

・山笑う

・山滴(したた)る

・万緑(ばんりょく)

・新緑の衾(ふすま)

 新生の季節を経て、緑を増していく木々の変化に、日本人は、特別な思いを感じてきたわけですね。

さまざまな色がある新緑の緑

 新緑の頃の山の色は、一口に緑と言っても、いろいろな緑が集まっています。

 新緑の山を眺めていると、山の緑は、決して緑一色ではないことに、あらためて気づくでしょう。

 新緑の色とは、黄緑をさらに黄色に近づけたような色のことを指します。

 新緑の緑を表す言葉にも、実にさまざまな言葉があり、繊細な感覚で自然の色彩を区別してきた日本人の豊かな感性が見てとれます。

新緑の緑を表す色

・若草色

・若芽色

・若葉色

・若菜色

・萌黄(もえぎ)色

・萌木(もえぎ)色

・鶸(ひわ)色

・浅緑(あさみどり)

・鮮緑(せんりょく)

・柳緑(りゅうりょく)

・鸚緑(おうりょく)

新緑が黄色や赤なのはなぜ?

 木々の若芽や若葉は、黄色に近い緑色をしていて、木が成長するにつれて、緑が濃ゆくなっていきます。

 これは、新芽・若芽のうちは、まだ葉緑素が少なく、葉のなかのカロチノイドの色が強く出ているためです。

 カロチノイドは細胞を太陽光線から守り抗酸化物質として働いています。

 また、春もみじやアカメガシワやヤマザクラのように、赤や赤みがかった緑をした新芽の樹木もあります。

 これは、赤いアントシアニンによって、新芽を紫外線から守るためだと考えられています。

新緑の香りとその効果

 新緑は色だけでなく、その香りも人々の心をとらえてきました。

 新緑の香りの頃を

「風薫る」
「薫風(くんぷう)」

と表現する言葉があるように、新緑の樹木の香りを、人々は感じてきたわけです。

 実際、緑の植物には「青葉アルコール
cis-3-hexenol 」や「青葉アルデヒドtrans-2-hexenal」などヘキサノールとよばれる成分がいくつか含まれていて、これが「草の香り」の素になっていることがわかっています。

 草の香りは、植物が傷つけられた時に防御本能として出るものです。

 葉っぱを食べた青虫にも草の香りが取り込まれ、その香りを合図に、青虫の天敵である寄生蜂が飛んでくることも観察されています。

 このように、ほんらいは植物が傷ついた時に出る香りですが、風が吹いて木々の葉が擦れた時に、微量の青葉アルコールなど香り成分が放出されるのでしょう。

 この繊細な「青葉の香り」を、感じ取ってみましょう。

 実は、この草の香り成分は、人の脳の視床下部に消して神経細胞を活性化させることが、医学的に証明されています。

 草の香りを嗅ぐことで、免疫やホルモンや自律神経にプラスに作用します。

 その結果、集中力が高まったり疲労回復、ストレスの低減につながるといわれています。

 古くから人々は、新緑が運んでくる薫風に、ただならぬパワーを感じていました。それが、科学的にも根拠があることが、わかってきたわけですね。

▲レアな「針葉樹の新緑」を楽しめるカラマツ。上高地の春の風景。

新緑と樹木の種類

 新緑を見るときに、ざっくりと樹木の種類を知っておくことで、より深く新緑を楽しめるようになります。

 樹木には、次の4種類があります。

樹木の分類

落葉広葉樹(夏緑樹)…ブナ、ナラ、ケヤキ、カツラ、カエデなど

常緑広葉樹(照葉樹)…シイ、カシ、クスノキなど

落葉針葉樹…カラマツ

常緑針葉樹…スギ、マツ、モミ、ツガなど

 このうち、落葉樹、つまり紅葉する樹木が、春になると一斉に新芽を出すため、最も新緑がはっきりとわかります。

 つまり、

紅葉の名所=新緑の名所
というわけですね。

 さて、新緑がもっとも美しいのは落葉樹林ですが、常緑広葉樹も、春〜初夏に新枝を伸ばします。濃い緑の先から、まったく違ったた色の黄緑の葉っぱの枝が伸びてきます。

 つまり、常緑広葉樹の森でも、新緑を味わうことができるのですね。

 紅葉が無く1年中緑の常緑広葉樹の沖縄では2月頃から、「うりずん」と呼ばれる新緑の季節に入ります。

 一方、寒い地方に自生する常緑針葉樹は、あまり「新緑」の感じはありません。というのも、葉の寿命が3年から長いものは10年とかあるからです。常緑針葉樹では、葉っぱの入れ替わりは徐々におこなわれているのです。

春の落ち葉と紅葉??〜クスノキの新緑の秘密

 ところで常緑広葉樹のなかには、春〜初夏に葉っぱを一斉に入れ替えるタイプがあります。トトロの木で有名なクスノキや、沖縄に多いアコウの木がそれにあたります。

 一瞬の出来事ですが、春先に、紅葉と落ち葉が観られ、その後、またたくまに新緑に染まっていきます。

 お寺や神社などに巨木が多いクスノキの新緑はとくに力強く、下から見上げると、美しい春の木漏れ日とともに圧倒的な生命力を感じることができます。

 実は、ほとんど気づかれないうちに、葉っぱを入れ替えているのですね。

新緑パワーの源は何?〜木々のサバイバル

新芽は秋に準備されている

 落葉樹は、冬の間葉っぱを落として、寒さを耐え忍んでいますが、実は、秋のうちに、新芽の準備はもう終わっています。

 冬の落葉樹の枝を注意してみると、冬芽が既についているのがわかります。

 ブナ、ナラ、ケヤキ、カエデ、ツツジなどは、うろこのような鱗片状の冬芽を付けています。

 モクレンやヤナギは、毛に覆われた冬芽で、寒さを乗り切ります。

落葉樹が葉っを入れ替える理由

 落葉樹はこのようにして、冬を乗り切り、春に、一斉に新葉を開かせて、初夏から夏の間、たっぷりと光合成をして、秋には葉っぱを落とします。

 何年も葉っぱを使う針葉樹に比べると、広葉樹の葉っぱは半年ほどもてば良いので、薄い葉っぱで大丈夫です。

 葉が薄いぶん、たくさんの葉っぱを夏に付けて、日差しの強い春〜夏のあいだ、効率よく光合成をおこなうことができます。ですので、常緑樹に比べて、早く成長できます。

 賢い仕組みをもった落葉樹ですが、実は、樹木の寿命は、常緑樹に比べて、短いという宿命があります。

 逆に言うと、常緑樹は成長が落葉樹よりも遅いため、春〜夏は落葉樹の影で、ぼちぼち成長し、冬の間も葉を落とさず、細く長く光合成を続けます。

 そのぶん成長も遅く、落葉樹に負けがちなのですが、落葉樹の寿命尽きたあと、とってかわろうと気長に育っていくものなのです。長期的にみれば常緑樹のほうが強いのです。

 このように、樹木は、森のなかで、自分のポジションをとるために、長いスパンで、静かな闘いを続けてると言えます。

 どっしり構えてのんびりしているように見える森の木々たちも、実は、生き残りに必死なのです。

 新緑を見ると気持ちがリフレッシュされるのは、そうした樹木の生命力のエネルギーが伝わってくるからかもしれませんね。

 

 

 以上、新緑について、時期や代表的な新緑のスポット、そして新緑のメカニズムなどについてお伝えしてきました。

 紅葉にくらべると、少し地味な印象を受ける新緑ですが、心身ともリフレッシュできる新緑は、1年のサイクルのなかで見逃したくないものですね。また、観察力や樹木の知識を身につけるきっかけになると思います。

 新緑のパワーを、自分自身のパワーアップにつなげていければ良いですね。

 また、日本の森については、以下の記事で知識を広めておくと、より深く新緑を楽しむことができますので、ぜひ、参照してみてください。
⇒「広葉樹の種類と名前?」
⇒「雑木林とは?その種類と成り立ち」
⇒「日本の原生林一覧」
⇒「スギやヒノキの人工林を広葉樹林に戻せるか?」

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