香りのある花の種類。切り花で芳香を楽しめる代表的な品種一覧 。

      2017/12/27

花の香り

 花の香りは、忙しい日常に癒しを与えてくれる、とてもありがたいものです。

 花の香りは庭木から薫ってくることが多いかもしれませんが、いただいた花束から、あるいは活けてある花から、とても良い薫りが立ち込めてきた、という経験を持つ人も多いでしょう。

 しかし、意外なことに、切り花の品種のなかでは、香りが無い花の方が多いのです。

 この記事では、香りの良い切り花品種をリストアップするとともに、花が香る仕組みなどについても見ていきたいと思います。

切り花の基礎知識については⇒『最低限知っておきたい切り花の種類は?』
切り花の扱い方については⇒『切り花を長持ちさせるコツと長持ちする品種リスト』の記事も、参照してください。
また、切り花以外の花の香りについてこちら⇒『花木の種類・開花時期や香り一覧』も参照してください。

香る切り花が案外少ないのはなぜ?

 花というと「香りがするもの」というイメージですが、香りがある切り花は、実は、案外少ないものです。よく流通している切り花のなかで香りがする種類を調べてみると、意外なことに半分以下なのです。

 また、同じ花でも品種によって、香りがするもの・しないものがある、というパターンも多いです。たとえば、香りが良い切り花の代表的な花であるバラの場合、ローズ特有の甘い芳醇な香りがするイメージですが、バラのなかにも、香りが少ない、あるいは香りがほとんどしない品種が多数あります。

 実は、切り花用の品種は、敢えて香りが少ないように品種改良されていることも多いのです。

 花の香りは、花びらなどから酵素の力によって香気成分が揮発されることで、うまれます。香気成分は酵素でコントロールされ発散されるのですが、香りを発散させるために、花は、それなりのエネルギーを使うわけです。

 となると、香りが強い花は、香りを出すためにエネルギーをたくさん消費してしまいます。つまり、香りが強い花は、どうしても日持ちが短くなってしまうのです。

 切り花は、できるだけ長持ちするほうが価値がありますから、香りをおさえて、そのぶん日持ちするように品種改良されてきたわけです。

 以上のような理由から、どんな花でも香りがするわけではありません。

 また本来、香りを持たない花も多数あります。

 つまり、香りがする切り花は、あるていど限られるわけです。

 香りがする切り花は、ある意味、貴重ともいえるでしょう。

 そこで、香りがする切り花について、代表的なものを以下にまとめてみました。

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花の香りを楽しむ切り花52種類

まずは、代表的な香る切り花12種類についてピックアップして紹介します。

 なかには、切り花としては流通が少ないものも混じっていますが、「花の香り」としてははずせないもの、という観点からチョイスしてあります。

 またこの記事のリストには、切り花にはしないガーデン用の花やハーブ類、また香りのする花木…たとえばキンモクセイ、チンチョウゲ、梅、ロウバイ、などは含まれていません。 

 あくまで、切り花としてお花屋さんなどで、よく流通しているものを中心にまとめています。キンモクセイなど樹木の花の香りについては⇒『花木の種類・開花時期や香り一覧』の記事をご覧ください。

これだけは知っておきたい香りが豊な切り花12種類

バラ

●バラ科バラ属 ●別名:薔薇
●旬の時期:5月〜6月、10月〜11月  ●出回り期間:通年

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 バラの香りは、花の香りの代名詞といってもよいですが、実は、切り花のバラは香りがあまり強くないものも少なくありません。切り花を長持ちさせるために、香りが少ないよう品種改良されてきたからです。ですので、バラの切り花を選ぶ時は、香りがする品種かどうか?チェックしながら選ぶと良いでしょう。ガーデンローズ系の品種には香りがしっかりしたものが多いです。

 香水の原料になるようなゴージャスな香りの強いバラとしては、なんといってもダマスクローズが有名で、なかでもブルガリアがダマスクローズの産地として知られています。

 香りがするバラ切り花のなかで、よりポピュラーなのは、ダマスクローズ系よりも、ティー系の香りのものです。もともとバラの
切り花品種は、中国原産のティーローズがベースになっているからです。ティーローズは紅茶に似た香りがします。

スズラン

●ユリ科スズラン属 ●別名:ミュゲ、リリーオブザバリー
●旬の時期:4〜5  ●出回り期間:10月〜7月

 スズランは、バラ、ジャスミンとならんで香水の原料として使われます。

 スズランには、日本の長野や北海道に自生する品種のほか、ヨーロッパ系のドイツスズランがあります。切り花や香水の原料として利用されるのは、ドイツ系スズランの方です。日本のスズランに比べ、葉が小さめで花が大きくて香りが強いドイツ系スズランは、結婚式でも盛んに使われます。

 スズランには案外、強い毒があり、誤まって口にしたり、活けた水を誤飲しないよう注意が必要です。

フリージア

●アヤメ科フリージア属 ●別名:香雪蘭(コウセツラン)
●旬の時期:12月〜3月  ●出回り期間:通年

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 フリージアは、早春の花・送別の花として知られています。春の送別シーズンに、思い出に残る香りの花としてフリージアを贈るのが定番です。

 ほかの切り花と同じように、品種改良が進んだものは香りが弱いので、選ぶ時に注意が必要です。原種系に近い強い香りをもつのは黄色のものに多いようです。

 香水の原料としても、バラ、ミュゼ(スズラン)、ジャスミンの3大フローラルノートに次ぎ、4番目に位置付けられることもあります。

スイートピー

●マメ科ラティルス属 ●別名:麝香連理草(ジャコウレンリソウ)
●旬の時期:2月〜3月  ●出回り期間:通年

 スイートピーの「スイート」とは、甘い香りという意味です。その名のとおり、もともと香りが強い花です。が、現在流通している品種の8割ほどは、香りがそれほど強くありません。

 ほんらいのスィートピーは、リナロール、フェルニアセトアルデヒド、ネロール、ゲラニオールなどの香気成分を豊富に含む芳醇な香りがします。現在は、ごくわずかに流通する原種系の品種である「スイートスノー」「スイートピンク」などで、そのほんらいのスイートピーの香りがわかります。

チューベローズ

●リュウゼツラン科ボリアンテス属 ●別名:月下香
●旬の時期:7月〜9月  ●出回り期間:6月〜11月

 メキシコ原産の植物でリュウゼツランの仲間。ちなみにリュウゼツランはテキーラの原料になるやつです。派手すぎず地味すぎずのちょうど良いバランスで花が連なって咲く、ハイセンスな花。

 香りは夜間、とくに月夜に強まることから「月下香」の別名があります。混同しやすい「夜来香(イエライシャン)」は、ガガイモ科の別種。

 香水の原料にトップノート(=はじめに来るメインの香り)として使われるほか、ハワイではレイの素材となっています。

ヒヤシンス

●ユリ科ヒヤシンス属 ●別名:風信子
●旬の時期:12月〜3月  ●出回り期間:11月〜5月

 ヒヤシンスは春を告げる花の香りで、さわやかなグリーンっぽいイメージから、フレグランスでは「グリーンノート」の代表的な香りとして使われます。また、イギリスや北欧ではヒヤシンスといえばクリスマスの花として定着しています。学校の水栽培のように、球根から育てて飾ることが多いですが、切り花としてもなかなかオシャレです。ただ、茎が太く花が重たいので、活ける花器は大型でやや広口のものが必要になります。

 ヒヤシンスは切り花の香り分類のなかでも、ひとつのジャンルを作っています。ヒヤシンス的な香りがする、と言われる花には、ツルバキア、ムスカリ、キルタンサス、ラケナリアなどがあります。

ガーデニア

●アカネ科クチナシ属 ●別名:梔子(クチナシ)
●旬の時期:6月  ●出回り期間:5月〜7月

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 街路樹や庭木に植えられる花木のクチナシは、ガーデニアとよばれ、切り花としても旬の時期に流通します。香りが強い白い花は、時期的にもぴったりなのでウェディングでも使われることが多いです。

 香りのする木のなかでは、キンモクセイ、ヂンチョウゲとならび3大香木のひとつに数えられます。甘さのなかに爽やかをふくむ香りは、香水のトップノートとしても定番です。

ジャスミン

●モクセイ科ジャスミナム属 ●別名:素馨(ソケイ)
●旬の時期:4月〜5月  ●出回り期間:なし

 バラ、ガーデニアとならんで、3大香花といわれるジャスミンですが、切り花としてはほとんど流通していません。活ける場合も、鉢植えや庭木の枝を切ってアレンジすることがほとんどです。

 鉢植えのジャスミンは、ハゴロモジャスミンと呼ばれる品種で、香水の原料となるグランディフローラジャスミンとは別品種ですが、香りは十分楽しめます。ちなみに、ジャスミンティーのジャスミンはマツリカジャスミン(アラビカジャスミン)というまた別品種です。

ライラック

●モクセイ科ハシドイ属 ●別名:紫丁香花、リラ
●旬の時期:5月  ●出回り期間:通年

 北海道の春を告げる花として有名なライラック。北海道では街路樹や公園に植えられえ、花というより花木に分類されるものですが、切り花として輸入ものが1年中でまわり、フラワーアレンジ的に使われています。香りが良いのは新鮮な国産のもので、5月頃に出回りますが旬が短いので、入手するにはそれなりの気合が必要です。

 香りは甘いフローラル系のなかでも「ライラック様」とよばれ、香水の世界では、バラ、ガーデニア(クチナシ)、ジャスミン、ミュゼ(スズラン)に次ぐ、重要なノートのひとつとなっています。

ユリ

●ユリ科ユリ属 ●別名:百合
●旬の時期:5月〜7月  ●出回り期間:通年

 ユリのなかでも、日本本州原産のオリエンタル系や、沖縄などにあるロンギフローラム系(てっぽうゆり)などが、強い香りを放ちます。ヤマユリはジャスミン系、カノコユリはバニラ系、ササユリはスパイス系+ヒヤシンス系、オトメユリはグリーン系テッポウユリはジャスミン系と、品種により香りの傾向が異なります。また、オリエンタル系のユリの交配種である「カサブランカ」も強烈な香りがします。

 ユリは香りが強すぎるために敬遠されるめんもあります。産地では出荷前に香りを抑制する剤を使い、適度な香りのユリを生産する方法が、試みられています。また、ユリは花粉も強烈なので花粉に香りがあるように思ってしまいますが、香りは花びらから揮発しています。雄しべを除去しても香りは残ります。

ラン類

●ラン科   
●出回り期間:通年

 ラン類のなかではカトレア
オンシジュームシンビジューム(上記写真)が香りが強いものとして知られています。

 ランの女王と呼ばれるカトレアは切り花ではあまりみかけませんが冠婚葬祭ではよく使われています。家庭ではミニカトレアの切り花が手に入れば、ぜひ活けて楽しみたいものです。

 切り花としてふつうに手に入りやすいのはオンシジュームとシンビジュームです。それぞれ香りは品種によって変わってきますが、どちらもシトラス(柑橘)系の香りがします。

ラベンダー

●シソ科ラバンドゥラ属 ●別名: 
●旬の時期:7月  ●出回り期間:5月〜7月

 ラベンダーは、香りの切り花としてよりも、ハーブとしての方がポピュラーですね。とてもリラックス効果の高いアロマオイルの原料として、またガーデニングや鉢植えで親しまれています。切り花としてのラベンダーは出荷量はごくわずかですが、もし手に入れば、最後はドライにして長く楽しむことができます。

 アロマ的な効果が最も高いのはコモン・ラベンダー(イングリッシュ・ラベンダー)ですが、切り花としてはやや花が大きいフレンチ・ラベンダーも出回ります。またレース・ラベンダーなどと呼ばれる香りがない品種もあります。

 ラベンダーは水上がりが悪く日持ちがしにくい花です。枯れる前にドライにしてしまうのが得策ですが、こまめな水切りと水換えで、できるだけ長持ちさせてみましょう。

 ⇒『切り花を長持ちさせるコツと長持ちする品種リスト』の記事も参照してください。

  

 以上12種類の香りの切り花についてみてきましたが、他にもまだまだ、さまざまな香りの花があります。

 上記12種類も含め、全52種類を、花の香りの傾向ごとにリストアップしてみました。

 ところで、花の香りの分類方法は、あくまでざっくりしたもので、主観的なものですが、おおまかに次のように分類できます。
フローラル…いわゆる花の香り・甘い香り
グリーン…青草の良い匂い
シトラス…柑橘系
ハーバール…グリーン系に近く少し癖のある感じの香り
フルーティー…フルーツ系の甘い香り
スパイシー…シナモンやクローブ的な香り
ウッディ—…香木のような香り

 下記リストで、香りの強さは「○」「◎」「◎◎」の3段階で表しています。△が付いているのは、品種によって香りのあるなしの差が激しいものです。

香りのする切り花一覧表
香りの種類 花の名前 香り強さ 科属 香りの特徴
フローラル(甘い花の香り) バラ ◎◎△ バラ科バラ属 切りバラでは香りがあるものと無いものがある
ガーデニア(クチナシ) ◎◎ アカネ科クチナシ属 クチナシは3大香花のひとつ。甘く濃密な芳香。
ハゴロモジャスミン ◎◎ モクセイ科ジャスミナム属 いわゆるジャスミンの香り。香水の原料となるガーデニアグランディフローラは別品種
ライラック ◎◎ モクセイ科ハシドイ属 ライラックは春を告げる香りだが、香水原料としては3大花香に続く位置付け。
アリウム ◎◎ ユリ科アリウム属 バニラ風の香り。ネギボウズのような花。香りのよいのはブルーパフューム種
オンシジューム ◎◎ ラン科オンシジューム属 中南米のラン。バニラ風のよいかおり
カノコユリ ◎◎ ユリ科ユリ属 ユリのなかでも癖がなく良い香り。バニラ風の香り
シャクヤク ◎◎ ボタン科ボタン属 「5月のバラ」と言われるようバラ風の香り。香水ではピオニー
ジンジャーコロナリウム(ジンジャーリリー) ◎◎ ショウガ科シュクシャ属 熱帯花のジンジャーとはまったく違う、クチナシ風の香りの可憐な雰囲気。
アマクリナム ヒガンバナ科アマクリナム属 ピンクのアマリリスのような甘い香りの花
チョコレートコスモス キク科コスモス属 黒紫の色だけでなく香りもチョコレート的。色違いや大き目の新品種は香りが弱め
ナデシコ ナデシコ科ナデシコ属 カーネーションとナデシコの交配種「ネットフレーズ」はバニラの香りがあある
パイナップルリリー ユリ科ユーコミス属 ココナツ風の香り
グラジオラス ◎△ アヤメ科グラジオラス属 夏咲が一般的だが、とくに香りがよいのは春咲きのもの
ルピナス マメ科ルピナス属 昇藤(ノボリフジ)とも呼ばれる存在感のある花。香りもよし。
アガバンサス ユリ科アガバンサス属 小さなユリのような花が密集して咲く初夏の花
ユーチャリス ヒガンバナ科ユーチヤリス属 気品あがりウェディングブーケに 
ラナンキュラス キンポウゲ科キンポウゲ属 バラ風の香り。「ミスレ」「シバス」という品種が香りが豊か。
アマリリス ○△ ヒガンバナ科ヒッペアストルム属 香る品種としては「香り舞姫」が有名
アルストロメリア ○△ アルストロメリア科アリストロメリア属 「百合水仙」の和名からすると香りが豊かそうだが、香りがああるのは一部
カラー ○△ サトイモ科オランダカイウ属 カラーのなかでも、湿地性で花色が白のものに香りがある
グリーン(草のような爽やかな良い香り) スズラン ◎◎ ユリ科スズラン属 香水の原料として代表的な花。北海道に自生するがヨーロッパ原産  フランス語みゅげ
ヒヤシンス ◎◎ ユリ科ヒヤシンス属 ヒヤシンスの香りも青葉系のグリーンノートを代表するもの。
スイセン ◎◎ ヒガンバナ科スイセン属 ニホンズイセンは冬に甘い香りを届けてくれる
ツルバキアフラグランス ◎◎△ ネギ科ツルバキア属 冬から春に咲く品種がフレグランス系。ヒヤシンスとスイセンの香り。茎はニンニク臭
ムスカリ ◎◎ ユリ科ムスカリ属 ヒヤシンスの香り つい良い香り ムスクはギリシァ語でじゃっこうの意味
オトメユリ ◎◎ ユリ科ユリ属 ヒメサユリとも言われる。香りがちょよすぎずよい
キク キク科キク属 さわやかな香りは日本人の琴線にふれる。樟脳や墨と同じ香り成分を含む。
シトラス(柑橘っぽい爽やかな香り) クレマチス ◎△ キンポウゲ科センニンソウ属 蔓植物の女王。アーマンディー系、モンタナ系の香りが良い。
ラケナリア ◎◎△ ラシュナリア科ヒヤシンス属 アフリカンヒヤシンス。多彩な形と多彩な香り
オンシジウム ラン科オンシジウム属 「シャーリーベイ」がレモン系のバニラ香りが強い。
シンピジウム ラン科シンピジウム科属 シトラス系の香り。ランのなかでは他の花と調和性が高い。
ハーバル(ハーブ的な特徴ある香り) スイレン ◎◎ スイレン科スイレン属 アニスのようなハーバルスイート
カトレア ◎◎ ラン科カトレア属 ランの女王。カトレア様と呼ばれる独特の香り
ウイキョウ セリ科ウイキョウ属 線香花火のような黄色花。フェンネルとも。独特の甘い香り 
マリーゴールド キク科タゲステ属 キクの香り。香水原料やアロマ素材になるカレンデュラはキンセンカ属の別種
ライスフラワー キク科オクゾタムヌス属 密集したつぼみと乾燥した雰囲気のワイルドフラワーだが、以外に芳香がある。
エレムルス ユリ科エレムルス屬属 ウイキョウの香りのライン使いができる花。デザートキャンドル、フォックステイルリリーの別名
フルーティー(果物のようにとても甘い香り) スイトピー ◎◎ マメ科ラティルス属 スイートピーのスイートは甘い香りの意味。フルーティーな香りの花の代表。
フリージア ◎◎ アヤメ科フリージア属 香雪蘭。フリージアの香りはフレグランスでも人気が高い
マダガスカルジャスミン ◎◎ ガガイモ科ステファノティス属 ジャスミンとは別種だがジャスミンの香り。切り花というよりブーケ素材として。
チューベローズ ◎◎ リュウゼツラン亜科ゲッカコウ属 月下香。ジャスミンとフルーティーの中間の香り。眠りをさそう
ブバルディア ロンギフローラ ◎◎ あカネ科カンチョウジ属 スイート・ブバルディアという品種がとくに香りが良い
キルタンサス ◎◎ ヒガンバナ科キルタンサス属 ユニークな小さな花。ヒヤシンスのような甘い芳香
スナップドラゴン(きんぎょうそう) ◎△ ゴマノハグザ科キンキョソウ属 ややグリーンよりのフルーティな香りの金魚草。改良種では香り少ないものも。
チューリップ ◎△ ユリ科チューリップ属 品種により香り高いものが案外、多い。
スパイシー(香辛料のような香りが含まれている) ストック ◎◎ アブラナ科アラセイトウ属 クローブの香り。スパイスしーで薬草としても
ラケナリア ◎◎△ ヒヤシンス科ラシュナリア属 シナモン的な香りプシラ、エレガンスなど品種によって香りが違う
リュウココリーネ ◎◎△ ユリ科リュウココリネ属 シュッとしたユリのような花で、品種により香りはバニラ系とシナモン系がある
カーネーション ◎△ ナデシコ科ナデシコ属 品種によりすがすがしいクローブのようなスパイシー寄りの香り
ウッディ(香木のような香り) ブルニア ブルニア科ブルニア属 実ような丸い花が集まっている。香りのあるスワッグ素材として。
ラベンダー ◎◎ シソ科ラバンドゥラ属 森の香りと表現されるように、ウッディよりのフローラルな香り。

花の香りが薫る仕組み

ポリネーターと花の香り

 ところで、花の香りは、何のためにあるのでしょうか?

 花の香りは、花粉を媒介する虫や鳥などにアピールするためのものです。

 花の香りのもととなる香気成分は数百種類が知らていますが、花はそれぞれ何種類かの香気成分を組み合わせて、独自の香りを作り出しています。

 花の種類が違えば香りも違うので、自分の花粉を、虫や鳥に媒介してもらって、遠くにある同種のめしべに授粉させることができるのです。

 花粉を運んでくれる媒介者のことをポリネーターと言います。

 花の香りに誘われて花粉を媒介するポリネーターは、主にハチ、蝶々、蛾、ハエなどの昆虫ですが、コウモリやカタツムリのような動物が媒介することもあります。 昆虫には鼻が無いですが、触覚に嗅覚受容体があり、そこで香気物質を見分けています。

夜だけ香る花があるのはなぜ?

 ところで、花によって、昼香もの、夜る香ものがあります。植物が光の強さを感知して、酵素の分泌量を変化させて、香気成分の揮発量を昼夜で調整しているのです。夜香りがする花は、蛾やコウモリなど、夜行性のポリネーターに授粉を手伝ってもらうためなのです。

 一方、香りがしない花では、花の色やかたちで、ポリネーターにアピールしています。また、風によって授粉するために香りをもたない花もあります。

 このように、花の授粉とポリネーターの関係は、とても複雑ですが、壮大で良くできた仕組みで、自然の神秘を感じるものだと言えるでしょう。

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花の香りが人にも良い影響を与える仕組みとは?

あらためて切り花に感謝する理由

 さて、本来、花粉を媒介する虫や鳥たちにアピールするものである花の香りは、わたしたち人間にとっても、とても魅力的なものです。

 なぜ、花の香気成分は、虫や鳥たちだけではなく人間も良い香りだと感じられるのか? その理由はわかっていません。

 花にとってみれば、人間にアピールするメリットが無いどころか、「切り花」として飾られてしまっては、子孫を残すことができないわけです。

 ですので、花の香りを心地良いと感じるのは、私たち人間が偶然手にした贅沢だと言えるでしょう。だからこそ、花を扱う時は、感謝の気持ちを絶対に忘れず、謙虚な姿勢で臨むことを忘れてはいけません。

花の香気成分の種類

 匂いの分野は、近年急速に研究が進み200種類ほどの香気成分のなかから、いくつかが組み合わさって花の香りが作られていることがわかってきました。ガスクロ(ガスクロマトグラフィー)という装置を使えば、どの花にどの香気成分がどれくらい含まれるか?が分析できるようなっているのです。

 たとえば、花の香気成分には以下のようなものがあります。

香気成分の例
香気成分名 香りの特徴や含まれる花
リナロール linalool スズラン、典型的な花の香り
ネロール nerol バラ
ゲラニオール geraniol バラ
イソエウゲノール iso-eugenol カーネーション シナモン
シス3ヘキセノール cis-3-hexenyl scetate 青草
ベンジルアセテート benzyl acetate
アニスアルデヒド anisaldehyde ウイキョウ
メチルベンゾエイト methyl benzoate イランイラン
メチルバニリン Methyl vanilline バニラ
インドール Indole ジャスミン
フェニルアセトアルデヒド phenylacetaldehyde ヒヤシンス

 こうした香気成分は、わたしたちが心地よいと感じ癒されるものですが、ただ気分的なものではなく、科学的に見ても有効であることが、最近証明されつつあります。

 香りは、鼻のなかにある嗅覚受容体で感知された後、嗅覚遺伝子で分析され、その情報が脳へ伝わります。脳内には、「香り地図」と言われる特定の香気成分に反応する場所があります。

 良い香りを嗅ぐと、脳の血流量やアルファー波が増加することが観察されるように、香りは脳で嗅ぐものと言っても良いでしょう。

 よく「香りと記憶は結びつきやすい」と言われますが、香りは脳の反応ですので、科学的根拠のあることなのですね。

 香りの情報は大脳皮質では記憶と結びつき、偏桃体では情動を動かすことがわかっています。

 花の香りに癒されるのは、気分的なことだけではなく、本能的にそうなっている仕組みがあるわけです。

 さらに、最近の医療の最先端では、メディカルアロマセラピーとして、治療や治癒の方法として、香りが積極的に活用されるようになってきました。

 ただ、こうした体に良い影響を与える効果はあくまで天然の香気物質にそなわっているもので、天然の香りを真似て作られた合成の香料などでは、効果が認められていないようです。

 つまり、香りのある切り花を部屋に飾る習慣があれば、それは人の心身への良い影響が期待できるわけです。

 こうしてみると、TVのCMの雰囲気に流されて、合成香料の洗濯石鹸の香りに癒されている場合じゃないかもしれませんね。

花の香りと香水の歴史

 香りのメカニズムや効果が科学的に解明されてきたのは、ごく近年のことですが、人は昔から花の香りを利用してきました。

 クレオパトラがバラのお風呂を好み、カエサルを誘惑する時もバラの香りを有効に活用したとされています。

 はじめてアロマオイルを作ったのは10世紀のアラブの学者イブン・シーナと言われています。

 精油の技術はヨーロッパへ伝えられ14世紀に盛んになります。当時のルネサンス文化の中心だったフィレンツェ地方では、ラベンター畑が広がり精油が作られていたようです。

 17世紀には、マリーアントワネットがバラとジャスミンの香りを愛したことで、フランスで香水産業が盛んになります。南フランスの「香水の町」として有名なグラースもこのころから栄えているようです。

 このように、花の香りは人類の歴史とともに歩んできているものだと言えます。人の生活と花の香りは、切っても切れない縁があるわけです。

 「そういえば、花の香りなんて、何年も嗅いだことないな〜」という人も多いかもしれませんが、忙しい日常のなかで、花の香りを嗅いで、心身ともにリフレッシュしていきたいものですね。

  

  

 以上、切り花の香りや、花の香りが人の心身にどのような効果をもたらすのか?について、みてきました。

 ほんらいは、花粉を運ぶポリネーターをおびき寄せるための花の香りが、こんなにも人にとっても有益であることは、ほんとうに不思議ですね。

 花の香りは、人間にとっては、天からの贈り物に違いありません。花に感謝しつつ、ぞんぶんに花の香りを楽しんでいきましょう。

  

【参考】花の香りといえば、こちらの記事もぜひ⇒『蝋梅(ろうばい)の香りで癒される〜』

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