吉日の使い方と意味。手紙やお礼状、ビジネス文書で使う場合の注意点

      2019/08/18

吉日の使い方

 この記事では手紙や案内状などでの「吉日の使い方」について解説しています。(吉日の種類・お日柄・縁起かつぎなどについては⇒「吉日の由来。大安・天赦日・一粒万倍日などの根拠は?」の記事をご覧ください。

 吉日とは、「良い日どり」の意味ですが、案内状や手紙のなかで、「○月吉日」というふうに、日付として吉日を使うことがあります。

 どんな場合に、日付を吉日にして良いのか? 逆にどんな場合はいけないのか? 

 具体的なケースごとに、吉日の使い方を見ていきましょう。

手紙などで○月吉日とする意味は?

 手紙の結びなどで「○月吉日」という使い方。なんとなくニュアンスはわかるけど、いざ、自分で使おうとすると、「吉日」を使ってもよいかな?と悩むことがあると思います。

 そんな時は、「吉日」を使うほんらいの意味を考えてみれば、おのずと答えが出ます。

 もともと、手紙の日付を「吉日」とするのは、「縁起をかついでいる」のが理由なのです。しかし、現代では「縁起担ぎ」というよりも、日付をぼやかしたい時に日付の代わりに使える、という実用的な理由で用いられることが多いです。

 手紙を書いた日をはっきりさせにくい場合で、なおかつ、お祝いごとなど目出たい行事の案内などで使います。

 案内状なども、手紙の一種ですので、「何月何日に書いた」という日付を入れるのが、ほんらいの作法です。

 しかし、案内状などは大量にまとめて印刷することが多く、住所を調べながら随時発送していると、書いた日と届ける日にタイムラグが生じるケースがあります。書いた日と届ける日が空きすぎるのもちょっと違和感がありますよね。場合によっては相手に失礼にもなるので、書いた日付をぼやかしたい・・・そんな時に「○月吉日」とします。

 また、会の案内状の場合は、会が開催される日付と混同され間違えられないように、あえて書いた日付を書かないで、吉日としておく、という使い方もあります。縁起かつぎなどを、あまり信じていなくても、案内する開催日そのものをはっきりさせる効果が高いので、書いた日付を吉日とするやり方は、積極的に取り入れたいものです。

 日付に吉日を使う意味は、おおむね、そんなところで、それ以上は、とくに深い意味はないようです。あまり「お日柄」とかと結びつけて深く考える必要はないでしょう。

投函までのタイムラグがあるから書いた日付をぼやかしたい

開催日などのメインの日付情報と混同されないよう、あえて書いた日を隠す

というように、今では縁起よりも、合理的な理由から「○月吉日」が使われているわけです。

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吉日を使ってもよい手紙の種類は?

 「○月吉日」を使える手紙は、原則、お祝いごと(慶事)の案内状になります。

「○月吉日」が使える手紙

・婚礼関係(結婚式/披露宴)の招待状

・建築関係(建前・上棟式や地鎮祭のお知らせ

・創立記念日や謝恩会、祝賀パーティなどの案内

・還暦や米寿や誕生日などの会の案内

・親睦会・決起会などポジティブな集まり

 これらの案内では、迷わず「○月吉日」を使ってかまいません。というか、メインの会の開催日と混同しないように、むしろ「○月吉日」を使うべきです。

吉日を使えない手紙の種類は?

 逆に使えないのは、お葬式や法会などの弔事(ちょうじ)はもちろんのこと、公的な文書やビジネス文書などです。

 ただし、ビジネスや公文書でも、記念日や祝賀会、親睦会などのお祝いごとの案内では吉日を日付として使います。が、報告書などでは使わないのが一般的です。

「○月吉日」が使えないもの

・弔事(お葬式/法会)の招待状

・報告書、請求書、督促状、注文書などのビジネス文書や公の文書

 

吉日を使ってもよい? 微妙なケースは?

 前項まででは、吉日を日付に使う基本原則について述べましたが、それらの原則にあてはまらない場合もあります。使ってもよいか?と悩む、微妙なシーンもけっこうあります。たとえば、次のようなケースです。

「○月吉日」が使えるか微妙で悩むもの

・お祝いごとのお礼状

・新製品発表会やDMなど

・新装開店のプレオープンやレセプションなど

お礼状に「吉日」は使ってもよいか?

 まず、よく悩むのが、お礼状です。

 結婚式などお目出たい会のお礼状、あるいは内祝いなどに添えるお礼状では「○月吉日」と表記される場合もあります。ただ、これは、微妙なところです。

 ほんらいのマナーからすれば、お礼を言う場合に日付をぼかすのは、ちょっとひっかかるところだと思います。はっきりとお礼を伝えるという主旨からすると、日付を曖昧にすべきではありません。

 きちんと感謝の意を伝える意味から、したためた日付をそのまま書き、相手に届くのにタイムラグが生じないように投函する、それがベターな方法だと思います。

 なお、スマホ時代だからこそ見直したいお礼状の書き方について⇒「お礼状の書き方」の記事も参照ください。

顧客向けのレセプションなどに「吉日」は使ってもよいか?

 会社の新製品発表会やDMでのキャンペーンのご案内、新装開店のレセプションなど、お客様に向けて出す手紙については、悩むところです。

 「へりくだって謙虚なスタンスでお客様にご案内する」という立場からすれば、「吉日」とするのはちょっと強気な感があるかもしれません。お客様にとって「吉となるかどうか?」は、実際に製品やサービスを使ってみてからの、あくまでお客様の判断になるわけですから、吉日とするのが、押しつけがましいととられる可能性はあります。

 ただ、実際には、こうした顧客向けの案内状で「吉日」を使うことは、すっかり定着しています。お客様に自信をもっておすすめできるという意味で「吉日」を使う、という理解で良いのかもしれませんね。

 いずれにせよ「受け取る相手がどう思うか?」そこが、ゆるぎない基準になります。

 また、こうしたお客さま向けのビジネス文書の場合は、どんなスタンスでお客様との距離感のバランスをとっていくか…? そうしたマーケティング戦略しだいで、書くべき文章も違ってきます。

 そのあたりも考えながら、受け手の立場になってみて、吉日を使うかを、検討してみましょう。

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吉日を使ってよいか? 悩む場合の裏技

 吉日を使えないビジネス文書などで、日付を使いたくない場合はけっこうあると思います。

・書いた日と届ける日にタイムラグが生じ、相手に失礼になる

・日付を付けると重たくなる、あるいは誤解を生じる可能性がある

など、理由はさまざまだと思います。

 このような時は、日付を書かずに月だけ、にしてしまいましょう。

 ただし、書いた月が相手に届く月とずれるのは、あまりよくありません。たとえば平成○年3月と書いてある手紙が4月に届くようでは、アバウトでいいかげんな印象をもたれてしまう可能性があります。相手次第では、そこまで気にしない人もいるでしょうが、同月に届くよう調整することを、おすすめします。

 どうしても、月をまたいでしまいそうな場合は、月ではなく、「平成○年春」などの表現も可能です。

 このように、曖昧になっても、
・とくに気にならない、
・相手に失礼が無いと思われる
そうした場合は、敢えて日付を書かないという手もあるわけです。

 ちなみに、9や4など、9や4が縁起が悪いということで、かわりに長月(ながつき=9月) や卯月(うづき=4月)を使うこともできるようですね。「平成○年長月吉日」といった感じですね。

吉日を使う場合の注意点

 そのほか○月吉日を使う場合の注意点や、バリエーションについても、みておきましょう。

吉日と西暦との組み合わせは?

 平成○年○月吉日が、ほんらいの使い方ですが、「20○○年○月吉日」はありでしょうか?

 そもそも「吉日」というのが和暦に由来しているところから、西暦と組み合わせると違和感を持つ人も多いようです。

 しかし、大安吉日のような暦のうえでの吉日ということではなく、一般的に「おめでたい日」という意味での「吉日」と考えれば、、「20○○年○月吉日」もありだと思います。

 これも、受け取る人次第ですね。西暦+吉日の使い方に違和感を持つかもしれない相手だったら、平成○年○月吉日としておいたほうが無難です。

日にち+吉日

 ときどき、「○月○日吉日」というふうに、日付を書いてあるのに、さらに「吉日」と付け加えてあるものもあります。ほんらい、日付をぼやかすために吉日を使うのですから、日付と吉日がだぶっているのは違和感がありますね。

 ○日吉日では、くどい、というか、今日は吉日ですということを強調しすぎてる感があります。ふつうはやらないことですので、避けておいたほうがぶなんです。

佳日/嘉日

 吉日と同じ意味で佳日嘉日(かじつ)が使われることもあります。あまり使われないので、高尚な感じがしますね。全体のバランスのなかで使いこなせるなら、使って良いと思います。浮かない程度で。

 敢えて使わずに「吉日」でも意味は一緒ですので、独りよがりにならないように注意しましょう。あくまで、受け取る相手の立場を考えましょう。

○月吉日を書く場所

 平成○年○月吉日は、手紙の末尾に右よせで書きます。案内状などでは、手紙の本文の上側の社名などを入れる部分の上に日付を書きますが、こちらで吉日を使っても、慶事の案内などであれば問題はありません。

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吉日を使うからには大安に書くべき??

 さて、「吉日」を書く日が実際に大安などの吉日にあたっているかどうか気にするべき?という疑問をもつ人もいるでしょう。

 結論を言えば、そこまで気にすることはないですね。仏滅に書いて、吉日と記しても、とくに問題はないと思います。

 そもそも「大安吉日」というのは迷信ですのでそこまで気にすることはない
と思います。

 吉日は、日本の伝統な暦のなかで使われてきた習慣です。六曜である大安などが最もポピュラーですが、最近では「天赦日」や「一粒万倍日」などもよく耳にしますよね。

 暦の吉日は、干支の組み合わせなども絡んできますので、とても多くの作法があって、こだわりだすときりがないものです。

 また、これらの吉日は、「習慣」とはいえ、科学的な裏付けがあるわけではなく、あくまで「迷信」です。今どきは、気にしすぎる必要がないと考える人も多いです。(詳しくは
「吉日の由来と根拠は?」についての記事を参照してください)

 ですので、吉日と手紙に記する日付が、実際には大安にあたってなくても、そこまで気にしなくて良いです。

 ちなみに、結婚式の案内状などが大安に届いたり、消印が大安にあたっていないといけないとかいう作法もあります。ぶっちゃけ、大安など六曜じたいが、実は明治時代にはじまった、たいして歴史も深くない迷信ですので、そこまで気にしてもよいのでは、と思います。

 ただし、手紙は受け取る人次第です。消印が大安でなかったら不快に思ったり縁起が悪いと気にする人が受け取る人の中にいると思えるのであれば、そこは受け手の価値観にあわせておきましょう。

 

 

 以上、吉日の使い方、をみてきました。

 暦のうえの吉日そのものは迷信みたいなものなので、どうでも良いっちゃ良いのかもしれません。

 それよりも、「○月吉日」という表現を使うことで、手紙を受け取る相手が、良い気分になってくれたらいいな、縁起が伝わって良いことがおこってくれたらいいな、と相手に気を配ることが主旨だと思います。

 「○月吉日」という表現のなかにある、相手をおもんばかる心を、たいせつにしていきたいものですね。

なお、手紙の封の仕方について→封緘(ふうかん)のマナーといろいろな方法の記事も参照にしてみてください。

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