月でウサギがなぜお餅をついているの? ウサギの見つけ方は?
2016/09/04
ふとした瞬間に、夜空を見上げると、満月。ほっと癒される気分になりますよね。でも、そんなとき、そういえばお月さまのうさぎって、「どこがうさぎなのかって未だにはっきりわからないよ……?」と思う人は少なくないでしょう。
お月様のどこにウサギがいるんだっけ? これって世界共通なんだっけ?
なんだかもやもやと疑問が出てきました……。この機会に、月とウサギの関係について、整理しておきましょう。
月のウサギの由来
「お月様のなかでうさぎがお餅をついている」これは、もともと、インドが発祥で仏教の説話がもとになっています。
力尽きて倒れている旅の老人をみかけたウサギが、自らたき火の中に身を投げて、老人の餌になり助けようとし、それを観ていた神様が、ウサギの行いを讃えて、ウサギを天に昇らせ、月にウサギが住むようになった……。
そういうお話です。手塚治虫の大河マンガ『ブッダ』の冒頭にも出てくる話なので、聞いたことがある人も多いと思います。
月に住む兎の話は、中国、モンゴル、韓国、タイなど、アジア全体に広く伝わっています。が、お餅つきをしているのは、日本と韓国です。なぜお餅なのかといえば、ちょうど9月の十五夜の時期に、お月様に収穫に感謝をするという風習が根付いて、月の兎と豊作が結びついて、お餅をついている、となったわけです。
ちなみに、中国では、薬草をついていると言われています。
月の模様がウサギに見えない時は、観る時間に注意
月の模様は、餅つきウサギのように、見えるような、見えないような、正直微妙な模様ではあります。
「どこが…?」と思う人も多いかもしれないのですが、実は、「うさぎに見える時間帯」が限られているのです。
なぜなら、時間帯によって、うさぎの模様は動いていくからなんですね。ひょっとして、まったくうさぎに見えない場合は、月を観ている時間帯が違うかもしれません。
下の図で確認してみましょう。
満月は、日没の少し後に東の空に姿を表します。
その時、次のような模様になります。
この時は、下のような感じで、うさぎがお餅をついている模様に見えますよね。
しかし、時間がたつにつれ、模様が回転し、明け方には、うさぎはさかさまに見えます。
こうしてみると、うさぎに見えるのは、東の空の早い時間の模様だけだということがわかります。
世界各地では、月の模様は、うさぎではなく色々なものに例えられています。カニ、ライン、女の人の顔、カエル、ワニ、ロバ……世界各国でいろいろです。模様を観るタイミングによって、いろいろなものに例えられているのですね。
月の模様が回転する理由
月は、地球に対して、常に同じ面を向けています。
月は、常に地球に同じ面を向けるように自転しながら、地球の回りをまわっています。この自転周期と公転周期が同期しているため、常に同じ方向を向くのです。
これは惑星と衛星の関係ではよくあることで、地球の引力に引っ張られて、いつも同じ面を見せているわけです。
ウサギのいる面しか、地球からは観れません。ですので、月の裏側は、探査機を飛ばして写真を撮るまで、人類が観ることは無かったのです。
月の裏をはじめて写真にとったのは1959年のソ連のルナ3号でした。が、その時の写真はごく一部で、月の裏の全貌がわかったのは、NASAや日本の月探査衛星「かぐや」が調査した、ごく最近のことです。
さて、月は、常に、うさぎの模様がある方を地球に向けていますが、模様は動きます。地球が自転しているため、夜の間に模様が回転していきます。といっても、月だけが回転しているのではなく、夜空全体が回転しています。他の星座も、月の模様が回転するように、一晩のうちに反時計回りに東から西へ大きく回転しているのです。
以上、月のウサギの模様についてでした。常に地球側を向いているけれど、時間帯によって、うさぎが横になったり、逆さになったりすることを覚えておけば、いつでも月のウサギを見つけられると思います。
また、月が出る方向や時間にも規則性があります。こちらの記事⇒「上弦・下弦など月齢ごとの月の出方」の記事も参照してみてください。
たまには月を見あげて、まったりと癒されてみましょうね。
それから、月にうさぎを見つけたら、思わずスマホで撮影したけど、撮ってみたら小さくてがっかり…なんて経験をしたことないでしょうか? 月を大きく撮影する方法については、⇒「月の写真を大きく撮ってみよう!」の記事も参照してください。