月の満ち欠けの影響。植物との関係や人の体調や精神面への影響は?
2016/09/04
新月から満月へ満ち欠けを繰り返す月。月の満ち欠けは、地球上の生命に何か影響をおよぼすのでしょうか?
古来より月は、信仰の対象とされてきましたが、科学が発達した今でも、神秘的な月の動きには、奥の深い意味があるように感じてしまいますよね。
ほんとうのところ、月の満ち欠けは、たとえば人の体調などに影響を及ぼすのでしょうか? また、農業では今でも月の満ち欠けにあわせて農作業をする人が多いと言います。月の満ち欠けの影響について探っていきましょう。
月の満ち欠けと植物の生育の関係は、農家では常識?
古来より、植物と月の満ち欠けの関係は良く知られており、伝統的な農業の教えのなかだでは、「月の満ち欠けを意識する」ということが必ず言われます。
月の満ち欠けを重視する農法としては、ドイツの学者シュタイナーが提唱した「バイオダイナミック農法」が有名ですが、これは全体としては、オカルト的な農法で、農業業界では一般には支持されていません。
しかし、シュタイナーの農法のなかでも、月と植物の関係については、多くの農家の間で定説となっていることと、共通していることが少なくないのです。つまり、シュタイナー農法のような特別な栽培方法ではなく、ふつうの農家でも、月の満ち欠けを意識することが、少なくないってことなんです。
農家のあいだで良く言われている月と農作物の関係には、次のようなことがあります。
- 満月の数日手前に種を撒くと良い
- 新月から満月へ向かう時に、地上部へエネルギーがあがる
- 満月へ新月から向かう時に、地下部へエネルギーが下がる
- 満月で一斉に羽化する害虫が多い
こうした現象は、農業の現場では広く言われていることで、このサイクルを利用して、収穫や肥料のタイミングを決めている農家は少なくないのです。
月の満ち欠けは、人に影響を与えるか?
このように、植物や虫は、少なからず月の満ち欠けの影響を受けているようなのですが、人間はどうなのでしょうか?
アメリカ人の精神科医アーノルド・L・リーバーが提唱した「バイオタイド理論」というものがあります。『人間の体は水分80%なので、潮の満ち引きのように月の引力の影響を受ける。そのため、月の満ち欠けによって次のような、傾向がある』とする説です。
その理論をベースに、月の満ち欠けと人の体調や精神面について、次のようなことが、よく言われています。
- 新月…浄化・解毒の時期。何かを新しくはじめたり、デットックスをするのに良い。
- 上弦〜満月…吸収する時期。積極的に活動する攻めの時期
- 満月…統合の時期。ものごとをみなおして検証するタイミング。
- 下弦…発散・整理の時期。清掃や断捨離、ダイエットを始めるのに良い
(上弦・下弦の説明や見分け方については「上弦の月、下弦の月、有明の月…見分け方や由来」の記事を参照してください。)
1カ月をこのようなサイクルで送るライフスタイルは、メリハリが効いて、生活を充実させる効果が大きいです。
しかし、残念ながら、今では、こうした、月のサイクルと体調や精神面でのつながりは、科学的な根拠は無いとされています。
月の満ち欠けと、月経周期は関係があるか?
月の満ち欠けは、植物には影響を与えるようですが、人間の体調や精神面へ影響を与えることについては科学的根拠がありません。
体調や精神と月の満ち欠けを結びつけて考える根拠のひとつに、女性の月経周期があります。月経は基本的に28日周期で、月の周期29.5日なので、特に、女性の体と月の満ち欠けに深い関係があるのでは?とする説です。
しかし、実は、これは偶然のことで、たとえばチンパンジーは34日、ゴリラは45日の月経周期です。月の満ち欠けと因果関係は無さそうですよね。
たとえば女性みなが排卵日が新月とか決まっているのなら話は別ですが、月経周期と月の満ち欠けは人によってバラバラなので、科学的な関係は無いと考えるのが妥当です。
そもそも、月の引力は、月の満ち欠けとは関係なく、地球に作用しています。
月の引力は、1日サイクルで強い弱いを繰り返していて、海の満潮・干潮を作り出しています。この、満潮・干潮の月の引力は、満月でも新月でも、変化はありません。
つまり、月の引力そのものは、月の満ち欠けと関係は無いんですね。
月の満ち欠けよりも、「大潮」が地球に影響を与えている
では、農業で月の満ち欠けと植物の因果関係が言われているのは何故なのでしょう?
まず、植物体内の養水分が、新月と満月の「大潮の時」に大きく動くということは、科学的根拠がありそうです。
大潮は、月に2回、新月と満月の時に起こります。海の満潮・干潮の差が激しくなることで、地域によっては15m以上も干満差が出るところがあるくらいです。
大潮の時は、月と太陽と地球が、一直線に並びます。このため、月の引力だけでなく、太陽の引力が影響して、干満の差を激しくさせるのです。
それだけ引力の変化があるので、植物体内の養水分に影響を与えると考えるるのは妥当です。
ただ、それだけでは、新月と満月とでは同じ現象がおきるはずですね。
しかし、植物の開花や伸長を深く観察すると、新月と満月を見分けて、それに合わせて活動しているように見てとれます。
植物は光に敏感な生き物で、光の量や、一日の日の長さというものに、とても大きな影響を受けます。満月の光は、光合成をするほどの量はないですが、開花やその他の成長に影響を与えるには充分な光の量だと考えられます。
このため、いくつかの植物では、満月や新月のサイクルに合わせて、開花や結実など行うのです。
以上、みてきたように、月の満ち欠け、というよりも、月と太陽の引力と、月光は、植物の活動になんらかの影響を与えると考えられます。
しかし人の体調や精神面との月の満ち欠けは、直接的な因果関係は無さそうですね。
それでも、月の満ち欠けの1カ月のサイクルに合わせて、自分なりのルールを作り生活を送ることは、生活スタイルの充実につながりますし、1カ月単位で規則正しい生活をすることが、体調管理にもつながるでしょう。
そうした意味では、新月・満月にあわせたライフスタイルを送ることは、決して間違いではないですね。
参考記事⇒「スーパームーンの影響は?」