ベーシックインカム日本で導入なら、支給額は幾ら?か試算してみた。

      2017/10/28

ベーシックインカム

 毎月決まったお金が国から支給されるベーシックインカム。貧困対策、格差対策として、導入を望む声が高まっています。

 毎月お金がもらえるなんて、あったらいいなと思う反面、ほんとうにそんなことできるの?と、あまり現実感のない話だと思いがちです。

 ところが実は、少子高齢化が進んだ先進国が、ベーシックインカムの方向に向かうのは「必然」とも言われています。破綻している年金制度や生活保護に替わる、新時代の社会保障制度がベーシックインカムなのです。

 日本でベーシックインカムが導入されたら、支給額は幾らくらいになるのでしょうか? 現実的な財源の根拠とあわせて、ベーシックインカム実現の可能性について、みていきましょう。

ベーシックインカムとは? そのメリットは?

 ベーシックインカムとは「所得保障制度」のことで、国民ひとり当たりに毎月決まった額の所得保障を支払うものです。「市民所得」「国民配当」「社会配当」と呼ばれたり、BIと略されることもあります

 個人や家庭で、毎月お金がもらえて生活が楽になる!だけではなく、行政や企業にとってもメリットがある、波及効果の高い制度がベーシックインカムです。

 ベーシックインカムには次のようなメリットがあります。

ベーシックインカム(BI)のメリット

・貧困、格差、失業、ワーキングプア、非正規雇用、ブラック企業などがなくなる。

・生活にとらわれず気軽に仕事を替われるので、働く側も企業もストレス少ない。

・ほんとうの意味での「職業選択の自由」

・たいせつな仕事、きついけど誰かがやらなければならない仕事などは報酬がより高くなる。労働の価値と対価が適正になる。

・AIやロボットの発達で仕事そのものが減りワークシェアがふつうになる時代に適応。

・破綻している年金・生活保護制度が、ベーシクインカムとして生まれ変わる

・一律給付のベーシックインカムなので、現在の複雑な社会保険業務が撤廃。無駄な行政コストの削減。

・安心して子どもを育てられるので少子化がストップ。田舎暮らしも増え、地方経済も活性化→日本経済の足腰が強くなり内需が拡大する好循環へ

 ベーシックインカムは、ただお金がもらえるだけではなく、「働き方」や「社会のありかた」そのものに、革命的変化をもたらす新しい国の仕組み、といわれています。これらのメリットについて、詳しくみていきましょう。

ベーシックインカムで、ほんとうの意味での「職業選択の自由」が実現する。

 まず、ベーシックインカムが導入されると、貧困や格差などは、解消される方向に向かいます。

 今の日本で、貧困や格差が根深く広がっているのは、企業が人を正社員として雇いきれなくなったことが大きな原因です。

 非正規雇用が雇用全体に占める割合が37.5%というとても高い数字になっている(平成27年・厚生省データより)ことからも、貧困や格差が蔓延していることがうかがえます。

 なぜ、非正規雇用が増えてしまったのでしょうか?

 この背景には、かつては世界の「もの作り」の中心として栄えた日本でしたが、より安い労働力の東南アジアや中国などに、「もの作り拠点」としての地位を奪われてしまったところにあります。

 企業にしてみれば「正社員として養うだけの利益が無い」から、非正規雇用が増えているわけです。さらに悪いことに、近い将来AI(人工知能)やロボットの発達で、これから「ますます仕事が無くなる」と言われています。

 企業側としては、事業が大きくできなければ、コストがかかる正社員を雇いたくても雇えない、結果、非正規雇用が増える・・・この悪循環です。こうした流れは、はもう、自然に任せていては、止まらないところまで日本経済は来ています。

 こうした根深い問題を一気に解決できる可能性をもっているのがベーシックインカムなのです。

 いま、日本で現実的に考えられるベーシックインカムは、たとえば国民ひとりあたりに毎月7万円ほどの一定額を給付しよう、というものです。

 もし3人家族であれば、毎月21万円の支給になります。もちろん、ここからいろいろ引かなくてはいけないので(後述)、まったく仕事をしないわけにはいきませんが、このベースがあれば、非正規雇用でも心配なく暮らせる、というわけです。

 また、生活していくためだけに、嫌な仕事に就き、職場を変わりたくても生活のために身動きできない・・・そんな状況から抜け出せるようになります。

 「とりあえず、仕事をやめても、なんとかなる」わけです。もう、いやいや働く必要が無くなる・・・ほんとうの意味での「職業選択の自由」が生まれるのです。

 今の社会は、雇い主が完全に立場が上なので、「雇ってやってる。嫌なら辞めてもいいんだぜ」ということで、ブラック企業が蔓延しています。しかし、ベーシックインカムで、いつでも辞めれる状態になれば、全員が「売り手市場」になるわけですから、ブラック企業は淘汰されます。また、企業側は、どうしても必要な仕事には、より高い報酬を出して労働者を引き止めておかなければなりません。

 こうなることで、より適正な労働市場が生まれ、「必要とされる仕事」にはより高い報酬が支払われることになります。

 企業側のメリットとしても、「社員の生活を保障する」心配が減りますので、必要最小限の雇用が可能になり、企業の活力が増します。いまの多くの企業は、「社員を養う負担」が大きいから、余力がありません。もし、ベーシックインカムによって、労働力がどんどん流動化すれば、余力を取戻し、新しい産業やビジネスが生まれて来て、活力のある企業活動が行えるようになります。

 以上のように、ベーシックインカムの導入は、「働き方に革命をもたらす」と同時に「企業の活力を取り戻す」ことになり、雇用者・労働者お互いにとってメリットのある仕組み、だと言えるのです。

年金や生活保護はもうダメ? 次世代の仕組みがベーシックインカム

 ベーシックインカムは、働き方を改善し、貧困や格差から抜け出す仕組みですが、同時に、新しい社会保障制度でもあります。

 現在の年金制度や生活保護の仕組みは破綻していますが、いつまでも放置しておくわけにはいきません。

 年金は、今の50歳代からは、いよいよ、年金を払った額よりも支給額が下回る、年金赤字時代に突入します。つまり、今の60歳以下の人は、年金より自分で積み立てた方が確実に得をする、という計算になるわです。

 それなのに、年金は強制的にとられ、そうでなくても低い給与の手取額が激減し、ダブルワークをしなければ生活できないのが現実です。

 また、生活保護の問題も日に日に大きくなっています。

 平成28年1月のデータでは、生活保護受給世帯数は1,624,895世帯。平成14年では869,637世帯でしたので、この15年近くで、2倍に迫る勢いで増加しています。今では、なんと全世帯の約3%が、生活保護を受けているという、異常事態になっています。(世帯数5340万3千世帯・平成27年10月国勢調査で計算)

 このなかには、いわゆる「不正受給」も多いとされ、ほんとうに働けるのに受給していたり、子どもが高所得なのに親が受給しているなどの悪用が後をたちません。また、本来、受けるべき人が受給できない・申請しない、こともあり、ほんとうに、必要なひとのところへお金が回っていないともされています。

 さらに、自力で働いているいわゆるワーキングプアー層の収入よりも、生活保護受給額の方が多いというアンバランスな結果になっているのも、現実です。

 以上のように、破綻している年金や生活保護のシステムを廃止して、直接給付へ一本化するのが、ベーシックインカムです。

 年金が無くなるので、ベーシックインカムから、自己責任で積み立てをしていかなければなりません。それでも、強制的に徴収されて、確実に自分は貰える額が赤字という無意味な年金にお金を出すなら、自分で積み立てたいという人は多いと思います。

 また、現在の複雑な年金や生活保護を運用するための公務員のコストは、とても莫大なものだと言われています。これらを廃止するだけで、行政支出が減り、財政のスリム化にもつながるというメリットがあるわけです。

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ベーシックインカムで少子化に歯止め、地方再生。それが日本の活力を取り戻すことに。

 ベーシックインカムが、導入されれば、社会の活力が維持され、社会のポテンシャルが増大する方向に向かいます。

 社会の活力を無くす大きな原因が、少子化と地方の空洞化です。人がいなくなれば、経済は疲弊して、生活基盤の維持コストばかりかかり行政支出が悪化します。地方財政が破綻する方向に突き進んでいるのが今の日本ですが、ベーシックインカムが導入されれば、形成は逆転します。

 社会保障制度をベーシックインカムに一本化した場合、今の児童手当も廃止になりますが、中途半端感の強い児童手当よりも、ベーシックインカムの方が、子育て世帯にはメリットが高いです。なにしろ、3人家族では月21万円の支給、5人家族なら35万円です。ここから年金の自己積み立てや医療費を引いたとしても、まだまだ余裕があります。

 しっかりと子育てをしていくことができます。子供がほしくても、経済的にあきらめる人が多いのが今の日本ですが、ベーシックインムを全国民一律で支給する制度にすれば、速効性のある少子化対策となるでしょう。

 また、ベーシックインカムがあることで、地方で暮らすことが簡単になります。環境のよい田舎に引越しそこで子育てをする人が増えれば、地方経済が復活してきます。

 農業に取り組む人も格段に増え、食糧自給率から限界集落まで、諸問題がまとめ解決できてしまいます。

 子どもが増え、地方が活性化することは、国全体の発展には不可欠なことです。

 ベーシックインカムはもちろん、税収が無いと成り立ちません。税収を維持するには、経済の維持発展が不可欠です。ベーシックインカムの導入で、少子化や地方の空洞化にはどめをかけて、とくに内需を維持発展をさせることで、ベーシックインカムの仕組みを好循環にもっていくわけです。

 このように、ベーシックインカムは、行き詰まった国を再生させる新しい社会の仕組みそのものといえるわけです。

ベーシックインカムの財源は?

 ここまで、ベーシックインカムのメリットを見てきましたが、ほんとうにこんな夢のような仕組みが実現できるのでしょうか?

 今の日本の人口や財源からすると、毎月5万円から8万円くらいの支給額が妥当だろう、とされています。

 ここでは、全国民に一律7万5千円を支給する例で具体的に見て行きましょう。。

 全国民に一律7万5千円を支給するには、ひとりあたり、月に7万5千×12カ月=年間90万円となります。

 日本の総人口を1億2千万として、ひとり年間90万円では108兆円かかります。

・ひとり毎月7万5千円

・12×7万5千円=年間90万円

・日本の人口1億2千万人×90万円=108兆円

・ベーシックインカム実現には毎年108兆円が必要!

 こんなお金がどこからでるのでしょう?

 新たに、お金をつくり出すほどの力は今の日本には残念ながらありません。

 今あるお金を、国全体でどうやって回わすか?を考えることになります。つまり、予算配分と税収の仕組みを組み替えることで、ベーシックインカムが実現できるのです。

 具体的な例を見みましょう。

 まず、ベーシックインカムの前提として、現在行なわれている、社会保障関係の支出をぜんぶベーシックインカムにおきかえます。ただし、健康保険など医療関係はのぞきます。

ベーシックインカムに組み替える社会保障費

年金    16兆5千億円
生活保護   1兆9千億円
雇用保険   1兆5千億円
こども手当  1兆8千億円


合計    21兆7千億円

 生活保護は医療扶助と生活扶助に分かれていますが、医療扶助は残したまま生活扶助ぶんのみ廃止してベーシックインカムに振り替えます。ですので、体に疾病があり生活保護を受けなければならないひとはベーシックインカム+医療扶助の生活保護が受け取れるようになります。

 さらに、公共事業費を削減します。公共事業費は一時期にくらべてだいぶ少なくなってきた感もありますが、国と地方あわせると総予算は21兆円ほどあります。

 が、このなかには、「仕事を作るための公共工事」が含まれていて、ほんとうに必要なものは15兆円ほどに絞り込めます。

 また、中小企業や農林水産業の予算のなかにも、所得保障に近い補助金があるため、これもベーシックインカムにふりわけます。

ベーシックインカムに組み替える補助金等

公共事業費   5兆円
中小企業対策費 1兆円
農林水産業費  1兆円

 年金や生活保護など莫大な運営コストがかかる今の社会福祉制度をベーシックインカムに一本化することで、行政の人件費などが削減できます。

現在の社会保障制度の廃止で浮くコスト

人件費削減  2兆円

 以上が、現行の社会保障制度をベーシックインカムに振り替えるだけで確保できる財源です。

 ここまで合計で、30兆7千億円です。

 国民ひとりあたり毎月7万5千円のためには、108兆円ですので、あと77兆3千億円足りません。

社会保障費のベーシックインカムへの組み替え

社会保障費など 30兆7千億円
必要額    108兆円


不足分     77兆3千億円

 残りの77兆はどうしましょう?

  これは、所得税アップまたは消費税アップでまかないます。

 なんだ、結局、増税が・・・とがっかりしないでください。なにしろベーシックインカムで、毎月の給付金がありますので、増税ぶんは充分カーバーしておつりがきます

 税金の取り方としては、所得税か消費税が考えられます。

 たとえば、所得税の場合、全国民の給与所得の総額が約257兆円ほどあるとされていますので、30%の所得税(いまより20%ほどアップ)をすれば、77兆の税収となります。

 また、消費税はどうせ20%まで上がることが決まっていますが、ベーシックインカム導入を前提で25%に上げれば、内需総額300兆円の25%として76兆円の税収となります。

 これは、どちらか一方だけで77兆円を確保する試算ですので、もちろん、所得税と消費税を組み合わせれば、それぞれの増税率はもっと減ります。

 また、所得税については、所得の高い人の課税額を増やす累進課税を徹底すれば、中間層の暮らしが、結果としてかなり良くなると試算されます。

 ベーシックインカムは、税制改革と組み合わせることで、貧困対策であると同時に、貯金ゼロ家庭やワーキングプアなどにあえぐ子育て世代の中間層をバックアップする仕組みになるわけです。

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 以上、ベーシックインカムには財源の根拠がきちんと成り立つことが、おわかりいただけたのではないでしょうか?

 上の例では、税収の方法として、所得税や消費税を使うケースを見ましたが、他にも、たとえば資産税などを導入して、富の再分配をおこないながら、ベーシックインカムを展開していくことも不可能ではありません。

 所得税、消費税、資産税のレシピをどうするか?は、ぶっちゃけ、もめるところだと思います。しかし、日本の国力を維持するためにベーシックインカムが必要不可欠と考えれば、おりあいはつけられるのではないでしょうか。

 このように、ベーシックインカムは、財源的には実現可能で、「やる気さあればなんとかなる」のです。ベーシックインカムは決して荒唐無稽な話しではないのです。

ベーシックインカムの世界での導入例は?

 世界でベーシックインカムを実現している国は、まだありません

 しかし、世界の先進国の流れとしては、ベーシックインカムを導入していく方向に向かっています。実際に実験的にベーシックインカムを導入するテストが各国ではじまっています。

 たとえば、フィンランドでは、無作為に抽出した2000人の失業者を対象に、日本円で月に26万9千円を2年間支給するベーシックインカムの実験を開始しました。

 また、ブラジルでは、「市民ベーシックインカム法」が既に制定されて、段階的にベーシックインカムを導入していく方向性です。ただし、まだ現在は児童手当の拡充という段階。

 この他にも、オランダ、カナダ、イギリス、フランス、スエーデン、ニュージーランドで実験や具体的な導入へ向けた取り組みがはじまっています。

 なお、スイスではベーシックインカムを導入するための国民投票が行われるところまで進展していましたが、国民投票の結果、導入は見送られました。支給額額が日本円にして20万円以上と高額で、それにともなう増税が大きすぎたため、今回の案は否決されたようです。しかし、現実的にベーシックインカムについて議論されたことは、とても大きな意味をもつ歴史的な出来事でした。

アメリカのマイナス所得税と「自由主義」

 さて、ベーシックインカムを語るうえで欠かせない国が、アメリカです。

 実はアメリカでは、既にベーシックインカムに近いものが実現しています。

 それは、給付き勤労税額控除、いわゆる「マイナス所得税」というもので、世界にさきがけ1975年から実施されています。

 ニートが多いアメリカでは、就労意識を高めるために、働いている人でなおかつ収入の低い人の所得税がマイナスになる、つまり、働けば、政府から給付金が貰えるという仕組みがあるのです。

 アメリカも貧困問題が根深いですが、この「マイナス所得税」のおかげで、日本よりはかなりましな状態のようですね。

 「マイナス所得税」は、生活保護とちがって、働かない人には何も出ないわけです。なので、今の日本のようにワーキングプア層よりも、生活保護の不正受給者の方が良い暮らしをしているという、わけのわからない状態にはなりません。

 そういう観点から、日本でも、生活保護制度を廃止して「マイナス所得税」を導入しようという意見は以前からあります。(たとえば元・日本維新の会の橋下氏など)

 実は、マイナス所得税とベーシックインカムは、発想は同じもので、もともとは、ミルトン・フリードマンが提唱していたものです。フリードマンは、今の世界経済の根本思想である「自由主義」を唱えている、カリスマ経済学者です。

 ベーシックインカムは、全国民に給付金を支給するという点から「共産主義なのではないか?」と誤解されがちですが、もともと提唱者は、資本主義思想のトップ・リーダーであるフリードマン氏の考えなのです。

 社会保障制度を一本化することで、「小さな政府」を実現し、企業はビジネスをより自由に行えます。フリードマン氏は「自己責任」「自由競争」こそ最善という考えの人です。ベーシックインカムは決して共産主義ではなく、「自己責任」「自由競争」をつきつめた結果たどりついた社会保障制度なのです。

▲ベーシックインカムは政策次第では、格差をいっそう拡大するものになることも。「お金持ちのためのBI導入」にならないように、庶民は、厳しく見究めるべき。

貧困を解決するにはベーシックインカムだけでは不十分。ぜひ知っておきたい「お金の真実」とは?

 さて、ベーシックインカムを提唱するミルトン・フリードマン氏は、いわゆる「自由主義者」です。日本では小泉内閣の時代に「自由主義」を取り入れることで、一気に格差社会に突入したとして、自由主義を批判する人たちも多いです。

 しかし、ベーシックインカムは、反自由主義を支持する立場の人たちも導入に積極的です。新党日本の田中康夫氏が2010年に、市民派の立場からベーシックインカムを唱え話題になりましたが、最近では、「生活の党と山本太郎となかまたち」もベーシックインカム導入を公約にかかげています。

 いわゆる「市民派」で「リベラル」なスタンスである彼らがイメージしているベーシックインカムは、フリードマンの流れをくむ「自由主義者」が提唱するものとも、若干ニュアンスが異なります。

 実は、フリードマン氏よりも以前に、20世紀初頭にクリフォード・ヒュー・ダグラスという経済学者・思想家が、「社会信用論」という考えのなかで、ベーシックインカムを提唱しているのです。

 国民に一律に給付金を支給するところは、これまで述べてきたベーシックインカムと同じなのですが、ベーシックインカムと同時に「通貨改革」を行おうというものです。

 「通貨改革」をかなりざっくり説明すると、今の通貨はすべて銀行が自らの富を築くために思いのままに操っていて(いわゆるマネー)、ほんらいモノの価値を交換するという通貨の意味が無くなっている。なので、新たな地域通貨を作り、ほんとうのお金の価値を、とりもどそう! という考えです。

 具体的には、ベーシックインカムを新たに創設する通貨で支払うことで、内需を維持拡大し、一部の人が不当に富を蓄積しにくいようにする、といった流れです。

 ベーシックインカムを導入するだけではなく、同時に、クリフォード・ヒュー・ダグラスが提唱する通貨改革まで行わなないと、貧困や格差は是正されないのかもしれません。

▲今のお金の価値は「等価交換」ではなく、一部の人たちに富が集中するよう銀行により操作されている、とする意見は昔から根強い。その事実をふまえたうえで、ベーシックインカムについて語るべき。

  

  

 以上、ベーシックインカムがもたらすメリットや、財源の根拠などについて見てきました。

 ベーシックインカムは、先に上げたように、日本維新の会や生活の党などスタンスの異なる政党が、どちらも主張しています。最近では民進党も国会で提案をしていましたし、2017年の衆院選では、希望の党が公約に掲げています。

 政治レベルではなく民間からもベーシックインカム導入の声は多く、堀江貴文氏や元2ch管理人ひろゆき氏なども、導入を積極的に提唱しています。

 もちろん導入は一筋縄ではいかないでしょうが、新しい時代の社会システムであるベーシックインカム導入へ向けた議論からは、目を離さないようにしましょう!

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