日本一大きな観音様は? 巨大観音像10選と胎内巡りの基礎知識。

      2018/09/28

大観音

 観音様は、現世の苦しみから人々を救ってくれる存在として、古くから信仰されている、身近な仏様です。

 なかでも、野外に建てられた巨大な観音像は、強烈なインパクトで、ふだん信仰をもたない者にも、何かを訴えてくるようです。

 ともすればB級スポットとして扱われがちな巨大観音像ですが、観音様の教えとは何か?をきちんと理解したうえで、大観音に接したいものです。

 この記事では全国の大観音像の大きさ一覧表のほか、行楽のついでなどにぜひ立ち寄ってみたい各地の大観音像をピックアップして紹介しながら、無宗教の人でも最低限知っておきたい観音様の基礎知識についてみていきたいと思います。

日本一大きい観音像は?

 巨大観音像は、日本全国にあり、今でも新しいものが随時建立されています。

 日本でいちばん大きな観音像は、宮城県の仙台大観音で、高さ100mにもなります。また兵庫県・淡路島にも同じく100mの淡路観音がありますが、こちらは閉鎖中の施設です。

 以下に、全国の主要な大観音像を、大きさ順にリストアップしてみました。

全国の有名大観音像一覧表
名称(所在地) 高さ 胎内巡り 完成年 材質 所属
仙台大観音(宮城県仙台市) 100m 1991年 大観密寺
淡路観音(兵庫県津名郡) 100m 1982年 閉鎖中
北海道大観音(北海道芦別市) 88m 1989年 閉鎖中
加賀大観音(石川県加賀市) 73m 1987年 天華の救済
小豆島大観音(香川県小豆郡) 68m 1995年 子安観音寺
救世慈母大観音(福岡県久留米市) 62m 1982年 成田山久留米分院
東京湾観音(千葉県富津市) 57m 1961年 東京湾観音
会津慈母大観音(福島県河沼郡) 57m 1986年 法國寺会津別館
釜石大観音(岩手県釜石市) 48m 1970年 石応禅寺
高崎白衣大観音(群馬県高崎市) 41m 1936年 慈眼院
七つ釜聖観音像(長崎県西海市) 40m 1990年 閉鎖中
田沢湖金色大観音(秋田県仙北市) 35m × 1987年 ホテル森の風田沢湖
福済寺長崎観音(長崎県長崎市) 35m 1979年 福済寺あ
谷山大観音(鹿児島県鹿児島市) 33m × 2001年 妙円寺谷山出張所
寶珠山大観音(三重県津市) 33m × 1981年 宝珠山大観音寺
七面山七寳寺・大観音(大阪府能勢町) 28m × 2002年 七宝寺
香山昇龍大観音(福岡県朝倉市) 28m × 1987年 昇竜大観音
平和観音(山梨県甲府市) 27m × 1982年 恵運院
大谷平和観音(栃木県宇都宮市) 27m × 1956年 大谷観光協会
大船観音(神奈川県鎌倉市) 25m 1960年 大船観音寺
平和観音(長野県山ノ内町) 25m × 1964年 平和の丘公園
白雲山・鳥居観音(埼玉県飯能市) 23m × 1971年 白雲山鳥居観音
平和観音(山梨県韮崎市) 18m × 1961年 雲岩寺

 上の表では、主に、胎内巡りで、観音像の中に入れるものを中心に紹介しています。この表以外にも、高さ20mクラス以下の観音像は、全国に無数にあります。それだけ、観音様は広く慕われている仏様といえます。

 ただ、観音様がどういう仏様なのか? なんとなくしか把握していない人も多いでしょう。そこで、以下に、観音様の位置づけについて詳しくみてみましょう。

観音菩薩はどういう仏様?

 観音様は、正式には「観音菩薩」と言い、広い意味での仏様の一種です。「慈悲」を象徴する仏様で、高貴な雰囲気のある中性的な優しいほほ笑みをたたえています。わたしたちを見守り、現世で救いを与えてくれると言われています。

 観音像といえば、千手観音、馬頭観音、十一面観音に代表されるように、超人的な姿をしている観音様も、古刹(=古いお寺)のご本尊などで有名です。一方、巨大な観音像は、「聖(しょう)観音」「白衣(びゃくえ)観音」「救世(くぜ)観音」など、ふつうの人間のかたちをしたタイプがほとんどです。

 観音様は宝冠をかぶっていて、手には蓮華(れんげ・蓮の花)を持っています。宝冠は貴族のシンボルで、出家する前のお釈迦様をイメージしています。蓮華は、泥の中に咲く蓮の花のつぼみで「悟り」を象徴しています。

 また、観音様は、人々を救済するためのアイテムとして、願いごとを叶える宝珠(ほうじゅ)や、穢れを消す霊水が入った水瓶(すいびょう)を手に持っていることも多いです。

大観音像が建てられた背景

 観音様は現世の悩みや苦しみを解決してくれる存在として、仏教国でとても人気がある仏様です。実際に、どのように悩みを解決してくれるのか?については、記事の後半に述べるとして、まずは、各地に建立されている、巨大な観音像について、みていきましょう。

 巨大観音像は、鉄筋コンクリート建造物の技術力が向上してきた、昭和の初期頃から、日本各地で建てられるようになりました。大仏(如来像)には、奈良の東大寺や鎌倉の大仏のような歴史的建造物もあるのに対して、観音像は比較的新しく、鉄筋コンクリート造ならではの100メートル級のものも多いです。

 観音像には、戦争や災害で命を落とした人たちへの慰霊の意味が込められています。お寺など宗教団体が建てるものもありますが、事業などで成功した人が、私財をなげうって建立したものも少なくありません。

 とくに、バブル時代には、信仰心の厚い土建業者など地方の実業家が観音像を建造することも盛んでした。なかには、観音像を中心としたテーマパークとして運営されていたものの、現在では、閉園してしまっている観音像もいくつか存在します。が、多くの観音像は、どこかのお寺か宗教法人が管理者となって、運営されています。

▲宮城県船岡城址公園の平和観音像。日本各地に、平和を願って観音像が建てられている。観音菩薩のなかの「白衣観音」はもともと争いごとや戦争を防ぐ力をもった観音様。

大観音像の楽しみ方

 大観音像は、寺院が管理するお寺の本尊とされているケースもありますが、特定の宗教のシンボルというよりは、どちらかといえば観光施設に近いものも多いです。誰でもお参りができるモニュメントという雰囲気になっています。

 もともと観音様は、慈悲の心を持った親しみやすい仏様です。ですから、常日ごろ信仰を持っていない人でも、ちょっとした観光スポットという感じで、気軽に訪れてみるのも良いでしょう。ドライブの途中などに、遠くから目にすることが多いと思いますが、是非、観音像の間近にまで立ち寄って、そのダイナミックな姿に圧倒されてみることをおすすめします。

大観音像は外から眺めるだけでなく、たいてい像の中は、「胎内めぐり」として、観覧できるようになっています。

 胎内は、らせん階段で上部まで行けるようになっているものが多く、なかにはエレベーターが付いているものもあります。

 胎内の各階には、胎内仏として、多くの仏像が飾られています。羅漢様や、名高いお坊さんの像からはじまって、四天王など守り神系、不動明王や地蔵菩薩や普賢菩薩など各菩薩、各種観音、各種如来像など、定番の仏像が、ずらりと並んだ博物館のようになっています。最上階は、弥勒菩薩や阿弥陀如来など、トップクラスの仏さまが、ご本尊としてまつられていることが多いです。

 階が上がるにつれ仏様のレベルも上がっていくので、自分自身も高い意識に変わっていく雰囲気を感じながら、最上階を目指しましょう。

 最上階は展望窓が付いていて、景色を眺めれられます。大観音像によって、見晴らしが良いところと、そうでもないところと、まちまちです。あくまで展望台は「おまけ」ですので、たとえ見晴らしが良くなくても、文句は言わないようにしましょう。

 もちろん、気軽に、興味本意で胎内の最上階を目指すのでもまったくかまいません。ただし、あくまでも「悟りの心」を目指す仏教施設ですので、最低限の礼儀はもちながら、胎内めぐりを楽しむようにしましょう。

 

 それから、階段などが急で歩きにくいところも多いので、注意しましょう。

 それでは、各地の有名な大観音のなかから、とくにおすすめのものを紹介していきましょう。

スポンサーリンク

おすすめの各地の大観音像

高崎観音

●タイプ:白衣観音 ●所属:慈眼院
●高さ:41.8m ●胎内巡り:あり ●1936年
●群馬県高崎市 ●アクセス:JR高崎駅からバス25分、関越自動車道高崎ICより20分

Akiyo Sakamotoさん(@akiyo.sa)がシェアした投稿

 国内の大観音像のなかでは最も古く、国の登録有形文化財に指定されています。美しく躍動感のあるフォルムが魅力的で、横の角度から見ると、観音さまが歩いてるような不思議なリアルさをもった像です。胎内では146体の胎内仏を拝みながら、肩の位置にある最上階まで登れます。関東八十八カ所霊場の第一番札所でもあるため、お参りする人は多く、初詣の場所として地元の人々にも愛される観音像です。

 高崎観音の周囲は、バブル期は周囲はテーマパークだったそうですが、現在は四季の自然を楽しめる観音山公園となっています。

東京湾観音

●タイプ:救世観音 ●所属:東京湾観音山寺
●高さ:57m ●胎内巡り:あり ●建立:1961年
●千葉県冨津市 ●アクセス:JR内房線大貫駅よりバス、館山自動車道富津中央IC5分

 千葉の実業家が第二次世界大戦の慰霊のために私財を投じ、地元の彫刻家とともに作り上げた観音像。特定のお寺をもたず、どの宗派の人でもお参りできるよう、普遍的な観音経や観自在菩薩をベースにした観音様となてっています。東京湾ドライブでは欠かせないポイントとして、アクアラインやマザー牧場など房総の観光ポイントのついでに立ち寄る人も多い観音様です。

 胎内は314段のらせん階段(最上段は梯子)で、観音様の冠の最上階まで登ることができます。各階に七福神や菩薩など仏様がまつってあります。海抜170mになる観音様の展望部からは、東京湾・相模湾をはさんで天候が良ければ富士山を見ることができます。

会津慈母大観音像

●タイプ:慈母観音 ●所属:やすらぎの郷・会津村(法國寺・会津別院)
●高さ:57m ●胎内巡り:あり ●建立:1986年
●福島県会津若松市 ●アクセス:関越道・磐梯河東よりIC国道49号線より3km

SHOTARO SUZUKIさん(@s.taro720)がシェアした投稿

 サクラやツツジや紅葉の名所としても有名な大庭園やすらぎの郷のなかにある慈母観音。赤ちゃんを抱いた美しい女性的な観音様。造形の美しさでは全国の大観音像のなかでもトップクラスと定評があります。40m胸の高さまで胎内めぐりができ、会津の街並み、磐梯山、飯豊連峰を展望窓から観覧できます。

 もともと地元の建設会社が平和への願いを込めて建立した大観音と庭園でしたが、現在は、神奈川県の浄土宗の寺院・法國寺が運営し、本堂では震災で亡くなったすべての方を慰霊しています。会津は「仏都」と呼ばれるほど、貴重な古仏像などが多い地域で、パワースポットとしても知られていますが、慈母観音様も現代のパワースポットとして愛されています。

釜石大観音(鎌崎大観音)

●タイプ:魚籃観音 ●所属:明峰山・石応禅寺
●高さ:48.5m ●胎内巡り:あり ●建立:1970年
●所在地:岩手県釜石市 ●アクセス:JR・三陸鉄道釜石駅からバス10分、釜石自動車道遠野ICより30分

釜石の釜崎の先端に位置する魚籃(ぎょらん)観音は、中国の唐代の故事に由来する魚を抱いた観音様です。観音様が抱く魚の上が海抜120mの展望台になっていて、観音様のお顔をすぐ下から拝めるだけでなく、太平洋の眺望を見渡すことができます。

曹洞宗の寺院明峰山・石応禅寺の代17世和尚により昭和45年に建立されたものです。海難事故とそれまで幾度もあった津波の犠牲者を慰霊する目的で建立されました。東日本震災でも観音像は被害を免れ、震災後も観光スポットとして復興に一役かっています。最近は、恋愛成就のスポットとしても密かに人気が高まっているとのこと。

小豆島大観音

●タイプ:子安観音 ●所属:子安観音寺・佛歯寺

●高さ:約68m ●胎内巡り:あり ●建立:1995年<br>●所在地:香川県小豆島郡土庄町 ●アクセス:土庄港よりバス15分徒歩10分

みやもとやさん(@mya_mo_)がシェアした投稿

 空海が開いた小豆島八十八カ所霊場のひとつ子安観音寺が、スリランカの名刹ダリダマリガワの姉妹寺院として、佛歯寺と大観音像を建設したもの。親しみやすいよう「しあわせ観音」の名が付けられ、包み込むような優しい手の形をした印象的な美しい観音様です。近年建てられた大観音の多くはバブル期に民間企業が建てたものが多いですが、こちらの観音様は純粋にお寺と檀家の寄進によって建てられた、純信仰のもの。そのせいか、周囲の景色と溶け込み違和感のない観音像となっています。スリランカの姉妹寺院ですが、上座仏教色はなく、あくまで小豆島八十八カ所のひとつ。

 もちろん見学参拝は可能で、胎内めぐりもできます。観光目的ではないため見晴らしは良いとはいえませんが、胎内の展望窓から瀬戸内海をながめることもできます。

久留米・救世慈母大観音

●タイプ:慈母観音 ●所属:成田山久留米分院
●高さ:62m ●胎内巡り:あり ●建立:1982年
●所在地:福岡県久留米市 ●アクセス:西鉄久留米駅より西鉄バス上津バス停5分、九州自動車道・広川インター10分

 九州では人気の大観音。赤子を抱いた慈母観音様。肩の高さの展望台から久留米から佐賀の筑後平野と有明海、雲仙までを一望できます。観音さまの他にも、日本唯一のインド政府公認のブッダガヤ仏塔(38m)や、地獄館が併設されていて、ちょっとした仏教テーマパークとなっています。建設当時は日本一。夜間ライトアップもやっています。

 この観音様の所属は意外なことに「成田山」です。成田山信仰は10世紀に弘法大師によりひらかれた千葉県の成田山を本山とし、「身代わり不動尊」を祀っています。久留米成田山は昭和33年に分院ができ、観音様は昭和57年に建立されました。大観音の観光地としてだけでなく、全国に広がる成田山信仰の西の拠点として栄えています。

仙台大観音

●タイプ:白衣観音 ●所属:大観密寺
●高さ:身の丈92m、台座含む地上高100m ●胎内巡り:あり ●建立:1991年
●宮城県仙台市中山 ●アクセス:仙台駅より市内バス40分、東北道仙台宮城ICより10分

墨侍さん(@sumi_zamurai)がシェアした投稿

 仙台の街中のいたるところから見ることができる大観音。願いを叶える宝珠と知恵の水の入った瓶を持つ白衣観音。エレベーターも完備された胎内は、60mの吹き抜けになっていて、宇宙船的なインスタ映えする景観としてマニアに人気のようです。胸のあたり68mの小窓から、海抜249mから仙台の市内を見渡せます。

 中山地区のニュータウン開発をおこなった業者によりバブル期に建てたられた観音像は、現在は真言宗の寺院・大観密寺によって運営されています。比較的新しい観音像で、街中にあるため「存在感がありすぎ」と言われてもいるようですが、仙台の街を温かく見守っている大観音です。それにしても、こうしたインパクトのある建造物を環境アセスや地元との協議なしに建設できてしまうバブル時代って、やはりすごかったのですね。

大船観音

●タイプ:白衣観音 ●所属:大船観音寺 ●建立:1960年
●高さ:25m ●胎内巡り:一階のみ
●神奈川県鎌倉市 ●アクセス:JR大船駅徒歩5分、駐車場無いため車での来訪は難しい

 大船観音は通勤の大動脈であるJR東海道線や横須賀線の車窓からも良く見えます。高さは低めですが、バストアップの観音さまのため、顔の大きさ感で言えば100m級の大迫力のスケール感があります。ライトアップもされているため、通勤の帰りにも目に入ってくるため、関東地方では、最も多くの人の眼にふれている観音様かもしれませんね。

 もともと戦前に護国観音として計画されたものが、戦後になってようやく平和観音として実現しました。当初は全身像の計画だようですが、地盤の関係で高さに限界かあり、結局、バストアップの珍しい観音像となったようです。沿線を通勤で通る人は、いつかの機会にぜひ近くまでおとずれてみましょう。

純金開運寶珠大観世音菩薩

●タイプ:宝珠観音 ●所属:宝珠山大観音寺
●高さ:33m ●胎内巡り:なし
●所在地:三重県津市 ●アクセス:近鉄・榊原温泉口駅徒歩10分、伊勢自動車道久居ICより20分

 高さ33mの青銅製の観音像に約1トンの金箔を施された観音様です。宝珠と蓮の花を持ち、人々が開運財運に恵まれることを願う観音様です。

 観音像と同じ境内は、なぜか、「ルーブル彫刻美術館」になっていて、フランスのルーブル美術館から実際に型どったレプリカの彫刻が、仏像に混じって展示されています。ルーブルとさまざまな仏教関係の象が境界なく同じ敷地内に展開されている様は独特で、人気のあるスポットになっています。

大谷平和観音

●別名:平和観音 ●所属:大谷観光協会・日光山輪王寺
●高さ:27m ●胎内巡り:なし ●建立:1959年
●栃木県宇都宮市 ●アクセス:JR宇都宮線よりバス

CHIEさん(@pannchie)がシェアした投稿

 石を切り出して作った、まるでシルクロードの巨大石像のような観音さま。

 太平洋戦争の慰霊のために地元の市民と観光協会が企画し、彫刻家・飛田朝次郎氏の指導のもと、掘られた観音像。他の多くの観音像が鉄筋コンクリートや鋳鉄製などであるのに対して、大谷石の砕石跡の壁面に、総手彫りで彫られている貴重な大観音像です。地元の石工職人が6年の月日をかけてレリーフ状に彫り込んだもので、胎内めぐりはできませんが、観音様のすぐそばに階段があり間近くから見学できます。

スポンサーリンク

仏様の種類と観音様の立ち位置

大観音を訪れると、多くの場合、胎内めぐりで、さまざまな種類の仏像に出会うことになります。ある程度、仏様の種類についての知識を持っておくことで、大観音訪問が、より楽しいものになりますので、仏様の種類について整理しておきましょう。

観音様は、広い意味での仏様のなかの「菩薩」の一種です。仏様には、悟りの具合などによって、階級のようなものがあります。下の図をみてみましょう。

仏像にされる仏様の分類
如来 阿弥陀如来、釈迦如来、大日如来、薬師如来、毘盧遮那仏など
菩薩 弥勒菩薩
勢至菩薩
観音菩薩 聖観音、千手観音、十一面観音、馬頭観音、如意輪観音、 准胝観音、三十三観音など
虚空蔵菩薩、普賢菩薩、文殊菩薩など
地蔵菩薩
明王 不動明王、金剛夜叉明王、愛染明王、元帥明王など
天部< 四天王、仁王、弁天、鬼子母神など
羅漢・高僧 羅漢(須菩提、羅睺羅、舎利弗)、僧(最澄、空海、日蓮、鑑真、法然、親鸞、達磨)など

仏様でいちばんランクが上なのは「如来(にょらい)」です。如来は悟りをひらいた仏様のことで、お釈迦さまや、お釈迦さまの師匠にあたる阿弥陀如来(あみだにょらい)などがいます。狭い意味での仏様(大仏など)のことを指しますが、如来の特徴は、なんといっても螺髪(らはつ)と呼ばれるパンチパーマ状の頭髪です。

 如来様がお坊さん風なのに対して、観音様は飾りをつけるなど世俗的な恰好をしています。というのも、観音様は、まだ悟りを開いていない如来よりワンランク下に位置する、(広い意味での)仏様だからです。如来は出家したお坊さんですが、観音様は世俗の者で、阿弥陀如来に仕えながら悟りの境地を目指しています。

 まだ悟っていないとはいえ、そのレベルは我々一般の人間よりも遥かに高く、悟りの一歩手前と言われています。観音様は我々一般人に救いの手を差しのべることで徳をつみ、悟りにリーチをかけている段階なわけですね。

とてもハイレベルな精神をもつ観音様ですが、未出家の存在なので、出家した如来様よりは、我々に近い、親しみやすい存在だとも言えます。それが人気の秘密なのでしょう。

観音様の目指す精神ステージとは

観音様は、現世の苦しみを救ってくれる仏様です。「観音」とは、もともとは、法華経のなかの「観音経」などで語られている、悟りへ向かう精神ステージのひとつです。それが、インドの神様などと結びついて、観音像が作られるようになりました。

ただし、もともと仏教では、妄信的に偶像を崇拝することは否定されています。また、観音信仰は、ほんらいは、観音様という超人に助けてもらおう、という他力本願な教えではありません。

 観音様は、人間の魂のなかに存在する高い精神の状態です。ほんらい誰もがもっているはずの「理知」の能力「慈悲」の精神が最大限に高められた存在が、観音様です。

 人の魂は、自分自身や人を助けるだけのポテンシャルを持っている…観音様のそうしたメッセージは、現代社会でも、リアルな説得力で、わたしたちを励ましてくれるのです。

 

 

 以上、巨大観音像と観音様について見てきました。

 人の世は、いつの時代も、辛いことや理不尽なことが絶えません。そうしたことを乗り越えるためのひとつの智慧である観音様の教えに、ふれてみることも良いかもしれません。

 もちろん、「宗教関係ないし、無宗教だし」という人も、常識的なマナーは守りつつ気軽に観音像を訪ねてみましょう。

 

 こちらの記事も、ぜひ参考にしてください⇒「お不動様の基礎知識と訪れてみたい不動尊14選」

スポンサーリンク

 - 瞑想・心の健康