経口補水液OS-1とポカリの違い/熱中症対策の飲み物を正しく理解しよう!
2018/07/25
熱中症対策の基本は水分補給です。真夏に飲むお水は、ほんとうに美味しく、ありがたく感じますよね。
ところが、いつのころからか、水分補給といえば、水ではなく、ポカリのようなスポドリ(スポーツドリンク)的なものが主流になってきました。
「水だけでは、汗で流失してしまうナトリウムが足らなくなるので、ナトリウム入りの清涼飲料水を飲みましょう」というのがその理由ですが、ほんとうのところはどうなんでしょう? そのへんについて詳しくは⇒熱中症対策用のスポーツドリンクの正しい飲み方についての記事を参照してください。
このページでは、スポドリより強力な「飲む点滴=経口補水液」の効果や利用方法についてまとめています。
飲む点滴=経口補水液はガブのみ禁止?
熱中症対として準備しておくことが推奨されている、経口補水液。なかでも、OS-1という経口補水液商品が、熱中症で救急搬送された経験をもつ所ジョージさんのCMで話題にもなり、定番となっています。経口補水液とは何なのでしょう?
OS-1とポカリが決定的に違うのは…
この経口補水液OS-1は、ふつうのスポドリなどの「熱中症対策飲料」とは異なるものです。ですので、飲み方には注意が必要です。
経口補水液OS-1は、スポドリにくらべると、だんとつにナトリウム量が多いです。スポドリは100mgあたりのナトリウムが40〜50mgほどですが、OS-1は115mgと2倍から3倍ちかくのナトリウムが含まれているのです。
つまり、かなり濃い濃度のナトリウム量ですので、経口補水液OS-1は水分補給としてガブガブ飲むのには、適していません。
OS-1は予防よりも対処に有効
OS-1は、正式には厚生労働省認可の個別評価型病者用食品と言い、使用にあたり、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士の指導を受けることが推奨されています。
つまり、薬にかなり近いものだ、ということです。
ですので、OS-1は熱中症予防の水分補給に飲むのには、適していません。OS-1はあくまで、予防ではなく対処時に飲むべきものです。めまい・頭痛・軽い痙攣など、熱中症の症状や脱水症状が出た時には、経口補水液が最適なのです。
脱水症状になっていない人が予防的に飲んでも、ナトリウム量が高過ぎるため、ナトリウムのバランスを崩してしまい、かえって逆効果のこともあります。
逆に、熱中症の症状や脱水症状が出た時は、水ではなくOS-1を飲むべきです。脱水症状になっている時は、ただの水では逆効果だからです(⇒参照記事「熱中症対策で塩分補給するべき量」)。
まとめると、OS-1は「熱中症予防飲料」ではなく「熱中症対処飲料」という位置づけです。まさに、「飲む点滴」という捉え方が、もっとも正しいです。
いざという時には効果を発揮するので、家庭や職場に常備しておくとよいですね。
もし症状が出た場合は、500cc(コップ2杯くらい)をゆっくり飲むようにしてください。
自作の熱中症対策飲料
経口補水液は、実は、自宅でも簡単に作れてしまいます。
下のレシピで作ると、ナトリウムの量がおおよそ115mg/100mlとなって、OS-1とほぼ同じです。
経口補水液の作り方
- 水…1リットル
- 塩…3g(小さじ2分の1)
- 砂糖…40g(大さじ4と2分の1)
- レモンコンク大さじ2 またはレモン半個
簡単に作れますので、自宅で脱水症状になった時とか、帰宅した家族が脱水症状かも? という時に、飲む点滴として活用しましょう。
注意したいのは、このレシピを守るということです。レシピが変わってしまうとナトリウムの吸収効率が悪くなって、かえって逆効果になることもあります。砂糖の量を減らしたり、レモンを増やしたりしたほうが美味しそうですが、あくまでも味よりも効果優先で考えましょう。
また、作りおきは雑菌が繁殖して不衛生ですので、使いきりとしましょう。
以上、脱水症状の回復処置として有効な、経口補水液についてみてみました。あくまで、メインの水分補給は「ただの水」を中心に考えましょう。経口補水液は対処的に使うという点は注意してくださいね。
では、正しい飲み方で、夏を乗り切っていきましょう!