字が汚い原因をとりのぞいて改善する、シンプルな4つのステップ。
2017/08/23
汚い字を直すのは無理だとあきらめていませんか?
スマホやPC時代で、文字を書くことが少なくなったこともあり、ひさしぶりに字を書いてみたら下手すぎ…。「自分が書いたメモすら読めない」ということさえありますよね。
そんなふうに絶望的に字が下手なのに、履歴書やお礼状など、どうしても手書きの文字を書かなければならない時があります。
そこでこの記事では、ちょっと意識するだけで字が綺麗に見えるようになるコツを4つのステップにわけて紹介していきます。すぐに「美文字になる」ということはありませんが、少なくとも、読めないということは無くなり、読み手にも失礼ではなくなる、最低限問題がない字にはなるはずです。
- ステップ1汚い字を直すためのイメトレ
- ステップ2最低限、読めるようにするための即効性のある3つの技
- ステップ3美文字を目指すための原則
- ステップ4ひらがな・漢字を綺麗に書くコツ
ステップ1誰でも汚い字が直せるイメージトレーニング
小学校1年生のほうが字が上手い!?
綺麗な字をを書くための第一歩は、「自分は汚い字しか書けない」という思い込みを捨てることです。
字を書くときに人は、無意識のうちに頭のなかに字の仕上がりのイメージを描きながら書いています。
自分の字は汚いと思い込んでいる人は、「綺麗な字」をイメージできていないから、汚い字しか書けないのです。
逆にいえば、綺麗な字を書くためのちょっとしたコツを知り、綺麗な文字のイメージをつかむだけで、汚い字はある程度改善できるのです。
ある調査では、小学校1年生と6年生の字の綺麗さを比較したところ、小学校1年生のほうが「綺麗な字」を書く子供が多かったそうです。
つまり、字を習いたての時は、綺麗な字のイメージがしっかりと頭に入っているから、素直に綺麗な字が書けるのです。それが、学年があがるうちに、いわゆる「クセ字」になって、だんだんと「汚い字・読みにくい字」になっていくわけです。
今、自分でも読め無いほど汚い字を書いているあなたも、小学校1年生の時は、お手本を一生懸命みながら、一生懸命丁寧な字を書いていたはずなのです。
そのことを思い出すだけでも、綺麗な字に大きく一歩近づくことになるのです。
汚い字は遺伝する? 直らないと思い込んでいませんか?
字が汚い人の多くは「汚い字は遺伝するのではないか?」とすら思っています。
遺伝なら治ら無いから、仕方がないと、あきらめる理由にしているわけです。
しかし、結論からいえば、字の汚さは遺伝しません。
字を習いたての1年生の時は、みな綺麗な字を書いていることから、「クセ字」や「読め無いほど汚い字」は、遺伝ではなく、後から後天的に身についてしまうものだということがわかるでしょう。
ところで、字は、遺伝はしないのですが、その人の性格をよく表していると言われています。「字は心の顔」などとよく言われていますよね。
筆跡から性格を診断する「筆跡心理学」(グラフォロジー)という学問があるくらいで、フランスやイタリアでは「筆跡診断士」の資格を持った人が、履歴書の筆跡を診断し採否の参考にすると言われています。
また、筆跡を変えると、性格も変わるとする説すらあるようです。それくらい、性格と字は深い関係にあるのです。
これ例からも、「字の綺麗さ」には「心理的要因」が大きく関わっていることがわかるでしょう。
ですので、まずは、「汚い字は直らない」という思い込みをなくすことが、綺麗な字を書くための第一歩となるのです。
ステップ2丁寧な印象を与えて読みやすくするための3原則
では、次に、汚い字を改善するために、具体的に何をすれば良いでしょうか? 字の練習をする以前に、まず、次の3原則をしっかりとおさえておきましょう。
この3原則を意識をしているだけで、かなり改善できるはずです。
これだけでは「美文字」にはなれませんが、少なくとも「自分でも読めない」というレベルを抜け出し、「字が上手くないけど、丁寧に書いているな」と読み手に思わせることができるでしょう。
1.丁寧に書くこと。
2.レイアウトを意識すること。
3.自分の字の癖を見つけ、それを修正するイメージをもつこと。
【汚い字から抜け出すコツ1】手書きの履歴書は丁寧に書くだけで好印象に
字が汚なくなるのは、テストや宿題のせい?
字が汚い人が、真っ先に取り組めて、すぐに効果が出る改善方法があります。それは、「丁寧に書く」ということです。
たぶん誰もが、小学校1年生の時にはじめて字を習った時は、とても丁寧に書いていたと思います。それが、学年が上がるにつれ、だんだん雑になっていき、字のかたちが崩れてくるのです。
宿題やテストなどで「早く書かなければならない」プレッシャーもあって、どうしても丁寧さがなくなってしまうのですね。
社会人や大学生になると、何か書く場合は、ほとんどスマホかPCになっていて、手書きの文字はあまり書かなくなります。
それでいっそう字が下手になっていくわけですが、とにかく、はじめて字を習った小学校1年生の気持ちに戻り、丁寧に字を書いてみましょう。
案外、丁寧にゆっくり書きさえすれば、そこそこのレベルの字になったりするものです。
字が汚い人が履歴書を書くポイント
社会人や大学生になると、テストや宿題まみれの学生の時にくらべると、はるかに手書き文字を書く機会は減ります。
そんななかで、手書きで悩むもののひとつに「履歴書」があります。
履歴書でも、まずは、ゆっくり丁寧に書くことさえ気をつければ、そこそこの仕上がりにはなるはずです。もちろん、一度、下書きをして、わからない漢字などはあらかじめ調べておいてから、下書きを見ながら清書をします。
「読みやすく丁寧な印象を与える字」を目標にしましょう。
あまりに乱雑でクセの強い字は、やはり、採用担当者にあまりよい印象を与えません。とくに、強い癖字で、数字が判別しにくいような字は、仕事の上でも支障をきたすことが多いので、マイナス評価につながると考えてよいでしょう。
自分の字が極端にクセ字になっていないかまずは確認してみましょう。
独りよがりにならず読み手のことを考えていれば、マイナス評価を与えることはないでしょう。
字の上手い下手ではなく「丁寧かどうか?」 そこがいちばん大事だということです。
【汚い字から抜け出すコツ2】全体の字のバランスや配置に気を使うだけで読みやすが格段にアップする
読みやすい字を書く場合に、ひとつひとつの文字の綺麗さよりも、まずは「全体のバランス」に注目してみましょう。
字の間隔を揃えたり、漢字とひらがなの大きさのバランスを整えるなど「レイアウト」を意識することで、文章全体の読みやすさがたちまちアップします。
あまりぎゅうぎゅうに詰め込んだ文だと、相手の「読む気」さえ無くしてしまいます。
空間を意識して、ゆったりとしたレイアウトを気をつけるだけで、「丁寧で読みやすい文」にだいぶ近づきます。
具体的には、以下のポイントに気をつけて書いてみましょう。
癖字を治すのには時間がかりますが、レイアウトを読みやすくすることは、すぐにでも実行できることです。
効果が大きいのでまずは、試してみましょう。
1.字と字の間(字間)、行と行の間(行間)を一定に保つ。
2.漢字は大きめ、ひらがなはやや小さ目に書く(漢字が10としたらひらがなは7〜8くらいの感じで)
3.「の」「が」「と」「に」などの助詞はやや小さ目に書く
4.画数の多い漢字はやや大きめ、画数の少ない漢字はやや小いさ目を意識する。
まずは、1と2のポイントを気をつけましょう。慣れてきたら、3、4のコツも取り入れていきましょう。
1は、字間、行間を意識することで、文字そのものが多少汚くても、読みやすさや丁寧さが伝わりやすくなる効果的な技です。
2の、漢字は大きく、ひらがなは小さくというのは、印刷のプロのデザイン現場でも使われる技です。印刷物を注意して見ていると、漢字は大きく、ひらがなは小さくなっているはずです。
3の助詞をやや小さ目に書くのは、文章の流れが把握しやすくなり、スっと入っていきやすくなるからです。
4は、画数の少ない漢字は空間が多いため、画数の多いみっしり詰まった字にくらべると、目の錯覚で大きく見えるためです。
たとえば
「響」「田」「塾」
「口」「競」「文」
を比べてみると画数の少ない「田」「口」「文」がやや大きく見えますよね? ですから手書きの場合は画数の少ない文字をやや小さ目に書くことで、スリムでしゅっとした印象を与える文に仕上がるのです。
【汚い字から抜け出すコツ3】癖字を直すポイントをみつける。
綺麗な字を書くためには「綺麗な字とはどんなもの?」というイメージを持つことがまず大事だということを、冒頭の章で述べました。
それと同時に「自分の字のどこが汚いのか?」を、具体的に知ることが大切です。
いわゆる「癖字」とひとことで言っても、どんなふうな癖がついているか? 美文字と呼ばれるお手本と、見比べてみてどうなのか?ということを具体的にチェックする必要がありまね。
次のポイントを参考に、自分の字のどこをどう直すべきなのか?チェックしてみましょう。
1.角がしっかり書けている? まる文字になっていない?
2.字のパーツとなっている小さな丸や四角が潰れていないか?
3.自己流の行書体や速記文字になっていないか?
4.字の線がまっすぐ引けている? 蛇のようにぐにゃぐにしていない?
5.漢字のハネる位置は正確? 必要以上にハネていない?
6.極端な右下がり、右上がりのへしゃげた字になっていないか?(全体に揃ってやや右あがりのものはOK)
クセ字のなかで、とくに多いのは丸文字や潰れ字です。
また、自己流で省略して「口」を「◯」で書いたり、適当につなげて書いたり、筆順を無視していたり、Myルールの行書体になってしまっていることがとても多いです。
クセ字対策の基本は「楷書(かいしょ)で丁寧に書くこと」。一度、時間をたっぷりととって、落ち着いて楷書で書いてみましょう、自分のクセ字の原因がどこにあるか、見えてくると思います。
また、綺麗な手本を、ちょくちょく見るようにして、「模範となる字」のイメージを固めることも大切です。
お手本についてはペン字の本を一冊買うのもよいですが、パソコンがあれば、ワードなどには「教科書体」のフォントがたいてい付いています。フォントを「教科書体」に指定してプリントアウトしたものを見本としてもよいでしょう。
WEBで無料で観れる「教科書体」や「ペン字書体」などもあるので、チェックしてみましょう。
ステップ3美文字を目指すための基本の技
前項では、読みやすく丁寧な印象を与えるための書き方の3原則についてみてみました。
字が汚くて困っている人は、まず上記3原則から、注意していきましょう。それだけでだいぶ汚い字が改善されるはずです。
ある程度、上記の3原則が実践できるよううになったら、より綺麗な字を書くために、次からのべるコツを取り入れていきましょう。
美文字を目指すには、次の二つのポイントをおさえておきましょう。
・「止め」「跳ね」「払い」をしっかりと
・筆脈を意識する
文字の基本となる「止め」「跳ね」「払い」が美文字への道
いわゆる「美文字」を書くには、書道の毛筆を意識した筆運びをする必要があります。
書道の筆使いで、とくに注意するポイントが
止め(トメ)
跳ね(ハネ)
払い(ハライ)
の3つです。
ひらがなでも、漢字でも、「止め・跳ね・払い」の3つの筆使い(ペン使い)を意識しながら書きます。ペン字の時こそ、この筆使いを意識することが大事です。
たとえば同じ縦棒ででも「千」は払い、「干す」は止めになっています。
ペンで書く場合は、パッと見はわからないレベルの差でしかないですが、美文字を書くには、こだわるべきポイントとなります。
「止め」「跳ね」「払い」で意識したいのは、筆使いのスピードが変化する、ということです。
毛筆を思い出してみればわかることですが、書き出しや止めのところではゆっくり・じっくりと筆を運びますが、「払い」では、スっと加速させます。「跳ね」の前では一回止めてから、勢いよく跳ねる、といった具合で、字を書くスピードは一定ではないわけです。
筆やペンの動かし方に、メリハリをつけることで、美文字につながるわけですね。
楷書でも行書のように筆脈を意識する
筆脈(ひつみゃく)とは、筆を運ぶ時の流れのことで、次の画(かく)へ繫げる時の筆使いです。
きちんと筆順にのっとて、筆やペンが空中を移動していく経路が、正しくとれているか? 美文字を書くためには欠かせないポイントです。
筆順が不安な時は、確かめながら、正しい筆脈で書くようにします。
伝統的な「崩し字」である行書(ぎょうしょ)は、楷書(かいしょ)の一画一画を続けて書くものですが、楷書の場合でも、行書でつなげている画と画との間を、きちんと意識して書くことが大切なのです。
このことを重視して、行書と楷書を同時に練習するペン字練習方法もあります。それくらい筆脈がたいせつだ、ということです。
ステップ4ひらがな・漢字を上手に書くためのさまざまなコツ。
ここまで、【ステップ1】汚い字を抜け出し丁寧な字を書く原則、【ステップ2】美文字の基本、とみてきました。
さらに、綺麗な字を書くためのコツを、ひらがな、漢字それぞれでみてみましょう。
ひらがなを綺麗に書くコツ
ひらがなは「丸みのある文字」です。
極端な「まる文字」は、いわゆるクセ字ですので、読みにくいものですが、正しい書き方でも、ひらがなは、ほんのりとした丸みを持っています。
「の」「つ」「む」などが曲線で構成されているのはもちろんですが、「け」「り」「い」などの縦線も、ふっくらと、外へ広がる丸みをもたすことが、美しいひらがなを書くための原則です。
その他にも、次のポイントをおさえておきましょう。
・「丸み」や「膨らみ」を意識する
・縦線は長めに、横線は短めに書くとバランスがとりやすい。
・「も」「て」「り」「す」のような縦長系、「い」「つ」「め」などの横長系がある。縦長系はやや縦を縮め気味、横長系はやや縦に伸ばし気味に書くとバランスがとりやすい。
・「ま」「み」「る」などの「むすび(クルッと一回転させる部分)を流さず丁寧に書く。「むすび」は、完全な丸ではなく、角を作るようにするとより良い。
漢字を綺麗に書くコツ
ひらがなは丸みを帯びているのに対して、漢字は角ばった字です。
一画(かく)一画をしっかりと丁寧に書くこと、また、「止め」「ハネ」「払い」を意識することで綺麗な字につながります。
また、一画の書き出したの時に溜め込む「起筆」を落ち着いてやります。
たとえば縦に一画を引く場合でも、筆を斜めに入れてから、縦に引きますよね? この斜めに入れる部分が「起筆」です。ペン字でも、ペン運びは毛筆と同じように「溜めて」から、一画を引くようにしましょう。
起筆をきちんとやることで、しっかりと締まりのある漢字になります。
他にも、「角をしっかり」「画どうしを離さずにしっかりくっ着ける」
ことも、締まりのある字につながります。
またよく言われることですが、画と画の間をできるだけ「等間隔」にすること、空間も等間隔にすることで、漢字が美しく整います。
・「止め」「ハネ」「払い」はもちろん、角をしっかり書く
・起筆や画どおしのつながり、を意識する。
・横画が何本もある場合は、一画だけ長めにしてメリハリをつける。
・空白を等間隔にすることを意識する
・右下の払いをしっかりと伸ばすと、全体のバランスが美しくなる
・「へん」と「つくり」のバランスは、画数が多い方が広くなる。
「観」「軽」…同じくらい(幅のバランス1対1)
「院」「祝」…左が狭い(幅のバランス1対2)
「創」「形」…右が狭い(幅のバランス2対1)
以上、汚い字を改善していくためのポイントについて、みてきました。
まずは「汚い字は直せない」という思い込みを捨てること。
次に、読み手の読みやすさを意識して、全体のバランスを整えること。
そして、美文字のための基本の筆使いを意識して書くこと。
さらに、ひらがな・漢字それぞれのコツをマスターすること。
これらのポイントをおさえていけば、ちょっとずつ字が綺麗になっていくはずです。
クセ字や汚い字はすぐには直りませんが、読む人のことを思い描きながら、丁寧に書いていいくことは、すぐに取り組めることです。
また、親しい人に向けて、気軽に一筆箋を書いてみるのもよいでしょう。実践を通して、字が少しずつ上達してきます。一筆箋の書き方については⇒「一筆箋を気軽に書いてみよう」の記事も参照ください。
では、あきらめずにコツコツと「汚い字」を克服していきましょう!