熱中症の原因〜増加しているのは温暖化だけが理由ではない

      2017/07/10

地球温暖化

熱中症がここ10年くらいで、話題になることが急増している感じがしませんか? 昭和生まれの人なんかだったら、「私が子供の頃は、熱中症(日射病)なんか、ほとんどなかったけど…」と思っているに違いありません。

 熱中症が増加しているのは、やはり、地球温暖化のせいなのでしょうか?

 熱中症増加の原因について、調べてみました。

熱中症は気温の上昇とともに、あきらかに増えている

 熱中症で亡くなる方や熱中症搬送数は、年により差が大きく一概にはいえませんが、増加傾向にあることは、間違いありません。

 データーをざっくり見ましょう。

 たとえば、熱中症で亡くなる方は、1900年代は、年間150人から300人ほどでした。それが21世紀に入って年間400人から1000人へと、増加しています。

 また、熱中症で救急搬送される人の数も、急増しています。

 下記のグラフは、主要都市での熱中症救急搬送車数の変化です(2000年〜2013年 国立環境研究所・環境健康研究センター資料より引用)

熱中症搬送数

 なかでも、2010年が突出していますね。

 この年は、熱中症で亡くなる方も1700人以上と、過去最高になっています。

 2010年は、観測史上最高記録の猛暑で、8月の平均気温は観測地点154地点中77地点で史上最高を記録しました。

 東京では、35度を超える猛暑日が13日(平年は0〜5日程度)、25度以上の熱帯夜が56日(平年は20日〜40日)ありました。

 このように、やはり、暑い日が増えると、熱中症患者が急増するということは、目に見えて明らかな、動かせない事実なのです。

 さて、そもそも、地球温暖化というのは、どれくらいのペースで進んでいるのでしょうか?

 下のグラフは、過去100年間の、東京の6月〜8月の平均気温のデータです。

 
平均気温の上昇

 いかがでしょう?

 じわじわと、確実に、温暖化しているというのが、実感できると思います。

 これらのデーターから、温暖化とともに、熱中症が増えているというのは、まぎれもない事実といえます。

熱中症が増加している背景にある、平均気温以外の原因

 それにしても、気温の上昇が、じわじわと緩やかに上がっているのに対して、熱中症患者は急増しているような感じがします。

 平均気温の上昇よりも、熱中症の急増のペース方が、激しいような感じですよね。その理由について、整理してみました。

猛暑日や真夏日が増えている

 これまでのデータから、熱中症の被害が増えるのは、平均気温だけでなく、特に、35度以上の猛暑日や25度以上の熱帯夜が多い年だということが、わかっています。

 下のグラフは、過去100年間の、35度以上の猛暑日の日数のデータです。

35度以上の猛暑日

 このグラフを見れば一目瞭然ですが、ここ20年で、確実に35度以上の猛暑日が増えています

 気温が35度前後になると、熱中症のリスクを表すWBGT値も28度となり熱中症の数は、急増します。

 また、熱帯夜が増えることで、特に高齢者の熱中症が増える傾向にあります。

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エアコンの普及

 エアコンが普及することで、ふたつの意味で、熱中症が増加します。

 ひとつは、暑さに慣れなくなること。

 熱中症対策のひとつに、「暑さに慣れる」ということがあります。これは、とても重要なことで、人間の体はある程度暑さに順化する能力をもっているので、ほんらいは、猛暑でもきちんと温度調整機能がはたらいて、熱中症にならずにすむはずなのです。

 ところが、エアコンが日常生活のなかに普及し、子供の頃から暑さに慣れていない人も増えてきています。

 それが、熱中症の急増の背景にあります。

 もうひとつ、エアコンを使うことによる温暖化の加速です。

 エアコンで屋内の温度は下がりますが、室外機から排出される熱風で、ヒートアイランド現象が加速しています。もちろん、電力消費そのものを増加させることでも、エアコンが間違いなく、熱中症増加の原因となっています。

 ところで、エアコンの普及が、熱中症を増加させていることも避けられない事実なのですが、一方で注意したいのは、熱中症対策に、エアコンの利用を過度にケチらないことです。

 熱中症の応急処置や、熱中症気味で体がほてるような時は、エアコンの室内で体を冷やすことは効果的ですし、熱中症の症状の悪化を食い止める効果があります。また、高齢者などが、エアコンを控え過ぎて室内で熱中症になるケースも少なくありません。

 以上のように、エアコンの使用が熱中症を増長させているのは事実なのですが、対策としてエアコンも活用せざるをえない状況になっているわけです。

居住空間の変化

 むかしの日本の木造家屋は、縁側があって、夏はあけっぱなしで、蚊帳をつって寝るような、開放的な作りでした。

 夏の暑さを、自然にしのげるような工夫がされているのが、木造家屋でした。

 しかし、プライバシー意識の傾向やセキュリティーの面から、開放的な木造住宅は減り、コンクリートの要塞のような住居が増えました。

 コンクリート住宅は、昼の間の熱が夜も冷えずに残りますので、熱帯夜を増長し、エアコンの使用量を増加させます。

 室内で熱中症が起こるようになったのも、閉鎖的なコンクリート住宅が増えたことが原因のひとつとです。

高齢者世帯の増加

 熱中症患者の50%以上は、高齢者が占めています。

 熱中症患者が急増している背景には、高齢者の熱中症が確実に増えていることがあります。

 高齢者は、汗をかく機能が衰え、温度に対する感覚も鈍くなってくるため、熱中症の予防が後手になる傾向があります。

 そのため、室内にいても、熱中症にかかる高齢者が増えています。

 また、むかしのように高齢者が子供の家族と同居していないケースが増えていますので、高齢者が熱中症にかかっても、見落とされることが多くなってきているのも、事実です。

 家族のあり方が変わってきていることも、熱中症増加の原因になっているのです。

  

 以上みてきたように、熱中症が増加する原因は、温暖化による気温の上昇だけではなく、生活スタイルの変化にも要因があるようです。

 熱中症を予防するための基本的な考え方について、「熱中症予防のポイント」の記事も参考にしながら、生活スタイルの見直しを考えてみてはいかがでしょうか。

 温暖化による気温上昇は、もはや止められないことですが、熱中症を増やさない生活スタイルの見直しは、まだまだできるかもしれませんね。

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