ブラックサンタの正体とは?ブラックサンタがドイツ生まれって本当?
2016/10/21

ブラックサンタは本当にいるみたいですね。
ブラックサンタは、幼稚園児から小学生など小さい子どもを持つ家庭を中心に恐れられているキャラクターです。もともとクリスマス行事が盛んなドイツには「ブラックサンタクロース的なもの」がいるのですが、日本のブラックサンタは、ドイツの流れをくんでいるというよりも、自然発生的に生まれてきたものです。
クリスマスを迎えるこのシーズン、子ども相手に「ブラックサンタが来るよ〜」というネタをつかうシーンも多いでしょう。また、昨年話題となった「PKCZ」や「おそ松さん」の流れで、自分自身がブラックサンタのコスプレをする人もいると思います。
そんなふうにブラックサンタに関わるすべての人が、あらためて「ブラックサンタって何?」ってことを、この記事を読んで、しっかり確認しておいてほしいと思います。日本や海外のブラックサンタについて基礎知識を深めるとともに、サンタクロースの正体にも迫っていこうと思います。
子どもたちが信じるブラックサンタとは?
子どもたちのあいだで話題の、ブラックサンタとは、どういうサンタでしょうか?
- 悪い子の家に現れる(時としてサンタさんが来た後に現れる)
- せっかくもらったプレゼント持ちさってしまう
- 一番大事な物をひとつだけ持っていく
- あまり酷い子はさらっていく
- 親がプレゼントをあげない場合「ブラックサンタする」と表現する
・・・・とまぁ、ふつうのサンタさんの逆の行動をするやつです。
子どもたちの間ではかなり恐れられていて、幼稚園の年長さんあたりでは、クリスマスシーズンにはブラックサンタの件が話題にあがることも多いです。
サンタの存在に疑いをもちはじめる小学校低学年ですら、ブラックサンタの存在は恐れているようなところもありますから、その存在感はしっかりとしたものがあります。
年の瀬の子どもたちにとっては恐怖の存在ブラックサンタ。親としては、ついつい「脅し」に使ってしまうことも多いと思います。
「片付けないとブラックサンタが来るよ!」
「姉弟喧嘩ばかりしてると小人さんがブラックサンタを呼ぶよ!」
などなど、子どもたちがすぐおとなしくなり効果的なので、ついつい使ってしまいます。
もちろん、しつけで「おどしはNG」ですので、基本、親がブラックサンタで脅すのは、原則、良くないことですね。
ついつい使ってしまった場合は、ブラックサンタの脅威にこどもがしゅんとしてしまわないように、言うことを聞いたあとには、「よくできたね、これでサンタが来るね」というフォローも忘れないようにしましょう。
ところで、脅し育児はNGですが、「交換条件」を子どもに提示することはOKです。
つまり、「おもちゃを片付けないなら、おやつはあげない」はNGでも
「おもちゃを片付けたら、おやつにしようね」はOKです。
ブラックサンタねたを子どもに対して使う場合は、そのあたりを気をつけていきましょう。
ブラックサンタは英語で何と言うべき?
次に、「ブラックサンタ」という言葉のもつ意味についてもみておきましょう。
そもそも、ブラックサンタはここ20年くらいで広まってきた言葉です。
幼児たちのバイブルである、「それいけ!アンパンマン」のTVアニメ版の2003年放送のものに「ブラックサンタとすてきなプレゼント」という回があります。ちょうど、ブラックサンタが定着しはじめてきた頃の作品です。
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ここで少し「ブラック」という言葉について、考えてみましょう。ブラック企業という言葉に代表されるように、「ブラック=悪いもの」という定義で、日常に使われるのが最近の風潮です。
しかし、英語でブラック○○と言えば、「ブラックミュージック」のように、黒人系のことを指します。ですから英語の「ブラックサンタ」は「黒人のサンタ」のこと。日本でのブラックサンタのニュアンスの英語は、「アンチ・サンタ anti santa」になりますね。
「ブラックユーモア」のように古くから定着している言葉もあるのですが、国際基準では「black」というのはあくまで「黒人の・アフロアメリカン文化の」という意味で、悪い意味では今は使いません。
和製英語の「ブラック」の使い方は、これからますます国際化するシーンでは、注意をしないと、国際的にマズい雰囲気を起しかねませんね。
ちなみに、ブラック企業のことは、英語では「sweat shop」となります。sweatは汗という意味ですが語源は「生き血」。「従業員の生き血を吸ってなりたっている店」というニュアンスになります。中国語でも、ブラック企業は「血汗工場」という言い方が定着しつつあるようですね。
まぁとにかく、日本の社会では、ブラック・サンタという、ある意味ネガティブな概念が、幼稚園児の頃から浸透しているわけです。それもこれも全体にブラック化する大人社会の影なのかもしれませんね。
クリスマスの本場ドイツのブラックサンタ
では、ドイツに実在するブラックサンタについてみてみましょう。
Twitterからの引用写真になりますが右の人(?)が、ドイツに実在するブラックサンタ=クネヒト・ループレヒトです。
Knecht Ruprecht mit der roten Nase. Gesehen in Zell am Harmersbach. pic.twitter.com/teXkuT8WQN
— andorf.de (@andorf_de) 2015年12月6日
左の赤い人が、聖ニコラウスさんで、サンタクロースの原型となった人ですね。ドイツ版ブラックサンタのクネヒト・ループレヒトは聖ニコラウスの家来です。
このtwitter投稿の日付に注意してほしいのですが、クリスマス前になっていますよね。
実は、ドイツをはじめとするヨーロッパの一部の地域では、12月6日が「聖ニコラスの日」とされていて、プレゼントはこの日にもらえるものなのです。
聖ニコラスは、良い子にはプレゼントをあげますが、悪い子にはクネヒト・ループレヒトがお仕置きをしたり、石や石炭をあげたりすることになっています。クネヒト・ループレヒトは、まさにブラックサンタですね。
同じく聖ニコラスの家来で、クネヒト・ループレヒトよりも、さらに化け物チックで恐ろしい「クランプス」というのもいます。クランプスは、アドベントの期間クリスマスマーケットに登場することもありますし、スイス、オーストリア、ルーマニアでは、「クランプス・ナイト」という行事があります。そうとうリアルに怖いので子どもにクランプスの画像は見せないようにしましょう。クランプスのは「ブラックサンタ」というよりは「なまはげ」に近いものですね。
さて、ここで少し、サンタクロースの歴史についても、ふれておきましょう。
キリスト教では12月6日が「聖ニコラスの日」として、子どもたちにプレゼントを渡す行事としてお祝いされていたのですが、16世紀の宗教改革の時代に、プロテスタントの宗派では「聖ニコラスの日」は廃止されてしまいました。
しかし、子どもたちにプレゼント渡さないのは可哀想なので、クリスマスイブに「クリストキント」という名の天使が、プレゼントを持ってくるという習慣になりました。
一方、アメリカに渡った移民たちのあいだで「聖ニコラスの日」は受け継がれ、聖ニコラスは19世紀にアメリカで「サンタクロース」へと変化していきます。
20世紀初頭には、世界中にアメリカ生まれのサンタクロースが広まり、日本の大正時代でも、サンタクロースとプレゼントはすっかり定着した行事となっていました。
アメリカ生まれのサンタクロースはヨーロッパへは、「逆輸入」のかたちで入っていきました。現在、ドイツでは、クリスマスイブにプレゼントを持って来るのは、「クリストキント(天使)」であると主張する派と、サンタ(Weihnachtsmann)が持ってくると主張する派に分かれています。クリスマス期の小学校では、毎年クリストキント派とサンタ派の論争が展開されるのです。
アメリカ式サンタは、北欧諸国でもひっぱりだことなります。アメリカでサンタキャラが作られた時は、サンタは北極に住んでいるという設定だったのですが、ヨーロッパへサンタが逆輸入されてからは、北欧各国が、サンタの故郷は我が国だ!と主張をして、今でも、激しく主張しあっています。
フィンランドはサンタは北極からフィンランドのラップランドへ引っ越したと主張し、一方、デンマークはアイスランドへ引っ越したとの見解を崩しません。最近は、アメリカのアラスカやカナダにも、「サンタクロースの本拠地」ができて、北極圏に近い国では、サンタの故郷合戦が展開しているのです。
ちなみに、サンタをお手伝いする小人さんは、もともとデンマークやノールウェイにいるニッセという小人の妖精。クリスマス時期が近づくと、ユール・トムテやユールニッセと呼ばれて、プレゼントを作ったり、良い子の行いを監視したりしてサンタの手伝いをしています。
このように、サンタは、時代とともに、それぞれの地域で、いろいろな変化を遂げてきました。
サンタクロースは、それぞれの国の風土と混じり合いながら、その土地の人々に夢を託されて、変化し続ける存在なのかもしれませんね。
日本生まれの「ブラックサンタ」が、これからどう育っていくのか、見守っていきたいところですね。
以上、ブラックサンタとサンタクロースの歴史について、みてきました。
今年のクリスマスは、子どもたちの元へはブラックサンタが現れないよう願っています。
大人は、悪い行いを悔い改めない人が多いので、どんどんブラックサンタが来た方が、良いかもしれませんね。心あたりのある人はアドベントの期間、しっかりと悔い改めるようにしましょうね。アドベントについては、こちら⇒「アドベントカレンダーとアドベントの意味とは」の記事を参照してください。
また、ブラックサンタではなく、ふつうのサンタに興味がある方は、こちらの記事もおすすめです。⇒「チャリティーサンタを家に呼ぼう。それともサンタになってみる?」