京都・時代行列2016年。平安神宮秋祭りの有料観覧席と無料の穴場

      2016/09/24

 京都の町を、平安時代から幕末まで、各時代の衣装や小道具をまとった行列が練り歩く「時代祭」。京都が日本の都であった1000年余りを振り返り、古都・京都のアイデンティティを再確認できるような、そんな祭りです。

 綿密な時代考証によって再現された各時代の装束は、仮装行列の域を超えて、「動く博物館」とさえ言われています。

 この記事では、時代祭をしっかりと観覧する有料・無料のプランをご紹介していきます。

時代行列に込められた京都人の思いとは?

 ではまず、時代祭の成り立ちについて、みていきましょう。

時代祭は何のためのお祭りなの?

 時代祭は平安神宮の秋祭りです。平安神宮は平安京の初代である桓武天皇を祀った神社です。

 時代祭の期間中は、神幸祭、行在所祭(あんざいしょさい)などの神事が執り行われます。神輿が神社を出て、行在所となる京都御所(御苑)に着き、ふたたび神輿が平安神宮へ戻る神輿渡御の際に、総勢2000名の「時代行列」をひきつれていくのが、見どころになっています。

 時代行列は、幕末の「維新勤王隊列」を先頭に、幕末→江戸→安土・桃山→室町→吉野(南北朝)→鎌倉→藤原(平安中期)→平安初期→延暦、と歴史をさかのぼりながら、各時代の主要人物や庶民に扮したひとびとが、約2時間かけて京の町を歩きます。

 ちなみに、行列の最後の、「延暦」は、平安神宮にまつられている桓武天皇が即位していた時代で、平安初期から奈良末期にあたります。この延暦時代のあとに、行列の最後をしめるのが、神様となった桓武天皇が乗った神輿です。まさに、平安京の歴史をタイムマシンにのってさかのぼっているかのような行列なのです。

 時代祭りは明治28年(1895年)にはじまった祭りです。そもそも、平安神宮が明治28年に平安遷都1,100年目を記念して造営された新しい神社です。延暦13年(西暦794年)10月22日に桓武天皇が奈良から京都へ移り、京都が都になったとされ、その日が時代祭りの開催日になっているわけです。

 神社建立の記念式典のなかで、時代行列が行われ、それが毎年繰り広げられ、充実しながら、現在まで受け継がれているのです。

数十億円の価値がある時代行列はただのコスプレ行列では無い!

 こうしてみると、時代祭は、まさに、京都による京都のためのお祭りですね。京都が都であったことを祝い、平安京を後世まで伝えるための祭り、とも解釈できます。

 時代祭りがはじまった当時、都が東京に移ったため、京都の町は急速に勢いを失っていました。そんな時勢のなかで、「時代行列」には、京都の力を盛り返していこう!という京都の人たちの熱い思いも込められていたのです。

 時代行列は、ただのコスプレ仮装行列ではなく、「動く博物館」とも言われています。

 綿密な時代考証に基づいて、衣装やメイクや小道具などが、可能な限り、当時のものを再現されているのです。当時と同じ素材を使い、当時の技術で再現されたものばかりです。

 実は、たいへんな手間と技術が注ぎ込まれている仮装行列なんですね。

 時代行列で使用される衣装や小道具は、ふだんは平安神宮内の時代祭衣裳祭具収蔵庫に保管されています。お金には換算できない貴重なものばかりですが、数十億の価値があるとされています。

 こうした衣装や道具類の再現は、すべて京都の伝統工芸技術に支えられています。たとえば、衣装などは、通常では50年しかもたないものを、100年以上受け継いでいますが、これは伝統服飾工芸協同組合が修復・復元をおこなっていてるからです。

 つまり、時代行列は、京都の伝統工芸技術の見本市でもあるのです。

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 時代行列は、すべてが本物で、ただの仮装行列を超えたものであることをふまえたうえで、観覧するようにしましょう。時代祭の奥の深さがわかってくると思います。

時代行列をしっかり観る、有料席の選び方

 では、時代行列を実際に鑑賞するプランをみていきましょう。

 行列は先頭から最後まで観るのに、2時間前後かかります。座って観たい場合は、有料観覧席のチケット購入をおすすめします。

 有料観覧席は、2016年は8月23日(火)よりコンビニや「チケ探」などで発売されます。充実したパンフレットがついて2,050円ですので、とてもお得です。

 有料観覧席は3カ所設けられていますが、それぞれの特徴があります。

 

京都御苑内…通過時間;正午頃〜…行列がスタート時点で観れるため、いちばんピシっとした姿が観られると言われています。

御池通り…通過時間;午後1時頃〜…他の場所に比べて、若干、離れた場所からの鑑賞になりますが、逆に、行列を遠くまで一望することができます。

平安神宮道 …通過時間;午後2時20分頃〜…他の場所が座席が5〜6列なのに対して、ここは座席が3列ですので、最も間近で観ることができます。

 

 以上が有料観覧席の特徴です。いずれの席でも、できればオペラグラスなどを用意して、ディテールを観覧できるようにしておけばおもしろさ倍増ですね。

時代行列を無料で観る、観覧のおすすめ穴場ポイントは?

 有料席がゲットできなかった場合のおすすめ観覧プランです。

 

1●京都御苑内出発地点(建礼門東側)…正面でみるためには2時間くらい前から場所とり必要ですが、出発を前にして控えているキャストのすぐ近くで衣装や小道具などを見せてもらうことができます。

 

2●堺町御門…行列は御苑南口となる堺町御門から出てきます。ここからですと京都御所紫宸殿をバックに観ることができ、写真撮影などはバッチり。3時間ほど前から場所とりすれば最前列を確保できるかもしれません。TVカメラなども出ている場所です。

 

3●神宮道の二条通と応天門の間(岡崎公園)…室町時代の風流踊りが披露されます。絵巻物や屏風に描かれた風流踊りから衣装を再現し、神楽の研究者により再現された踊りが披露されます。

 

4●三条大橋のたもとの河川敷…遠目に観ることになりますが、鴨川を渡る行列は、絵になりますね。

 

5●三条〜東山付近 三条駅や東山駅出口から少し歩いて、東大路通交差点付近まで移動してみましょう。このあたりは人混みが少なく、だいたい余裕で観れます。ただし、バックの雰囲気は今いちですね。絵になる行列を観るなら、混雑はしますが上の1〜4のプランをおすすめします。

 

 

 

 以上、時代祭りの見どころや観覧ポイントについてガイドしました。

 歴史を感じながら、知的に楽しめる時代祭を、是非、体験してください。

 

 ところで、お祭りと言えば屋台も楽しみのひとつですが、時代祭りに屋台は出るのでしょうか? また、同日に開催される「鞍馬の火祭」とのハシゴは可能なのでしょうか?……これらの疑問には次の記事→「時代祭りの屋台は? 鞍馬の火祭と両方行ける?」を参照してください。

 

 では、2016年10月22日の週末を、京都で過ごすかどうか? じっくりプランをたててみてくださいね。

 

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