熱中症予防強化月間2017年/職場や現場での熱中症対策を完璧に!
2017/06/28
いよいよ熱中症の季節が到来です。今年の熱中症対策は万全でしょうか? この記事では、「熱中症対策強化月間」の実施項目のなかでも、とくに現場のリーダーや責任者などが、おさえておきたいポイントについて、まとめてあります。
2017年も7月が熱中症予防強化月間にあたっています。もちろん、5月〜6月から熱中症対策は必須ですが、夏本番を迎える7月が、最も注意と対策をおこないたい季節です。しっかりと予防策をおこなって、熱中症を防いでいきましょう。
【参考記事】→熱中症対策グッズ2017
熱中症予防強化月間の目的は?
熱中症予防強化月間は、毎年7月に設定されて、職場や学校やスポーツをする場などで、広く熱中症への予防を呼びかけていこうというものです。
厚生労働省・文部科学省・環境省・気象庁・農林水産省など関連する国の機関が共同でおこなっているキャンペーンで、2013年より毎年おこなわれています。
国民ひとりひとりが、熱中症へ対する知識をしっかり深めること、現場の監督や指導者が、対策をきちんと理解して、適切な予防策を行うよう注意を促すこと……などを目的としているキャンペーンです。
2017年の熱中症予防強化月間、特に建設現場では徹底すべし!
2017年も、例年どおり7月が熱中症予防強化月間と定められ、ポスターや垂れ幕などで、各所で注意を喚起することになっています。
2017年の熱中症予防強化月間の趣旨としては、昨年に引き続き、とくに、建設作業現場等での予防策を強化するように、という目標が設定されています。
昨年2016年の、職場での熱中症被害は462人、うち亡くなった方は12人でした。そのうち建設現場関連で熱中症で亡くなった方は7人で、一昨年に比べると減少しています。職場での熱中症対策への意識が高まってきた結果だと思います。ただ、減少したとはいえ、作業中の熱中症による死亡事故はあってはならないものです。熱中症災害ゼロを目指して、今年も万全の対策をしていきたいものです。
温暖化の勢いは誰も止めることはできず、相変わらず暑い夏が続いています。ここ数年の東京の夏の気温を見てみましょう。
- 2016年 猛暑日3日 真夏日57日 平均気温24度
- 2015年 猛暑日11日 真夏日47日 平均気温24度
- 2010年 猛暑日13日 真夏日71日 平均気温25度
※猛暑日は35度以上、真夏日は30度以上、平均気温は東京の6月〜8月の気温
数値的には、昨年2016年は、猛暑日の数が少なく、比較的マシな暑さだったようです。しかし、真夏日は、一昨年に比べ増加していて、2016年は、じわじわと暑い夏だったようです。
2017年も「平年並または平年より高い」という長期予報になっていますので、引き続き、熱中症には厳重な警戒が必要です。
熱中症の災害をゼロにするために、とくに注意したい3つのポイント
2017年の熱中症予防強化月間で、特に注意を促している内容に、以下のようなものがあります。
- 暑さに順化しているかどうか?のチェックの徹底
- 帰宅後の熱中症発症の防止
- 熱中症対策の管理責任者をおき、予防体制を強化する。
暑さに順化のチェックの徹底
熱中症対策として、暑さへの順化は、重要なポイントです。
そもそも熱中症が増えてきているのも、エアコンの普及で暑さに慣れていないことが原因だったりします。また、赤道直下で暮らす人々の熱中症患者が多いかといえば、そんなことはありません。
人間の適応力はすさまじく、暑さに慣れている人は、熱中症にもかかりにくいのです。
逆に言えば、暑さになれていない人は、格段に、熱中症にかかりやすくなります。
ですので、現場にいるメンバーが、どの程度、熱暑順化できているのか? お互いがきちんと知ることが、とても大切です。
たとえば新人や臨時の作業員などは、熱中症にかかるリスクがベテランよりもはるかに高いということを、職場すべての人がしっかりと認識する必要があります。
スポーツ・サークルなどでも、毎週参加している人とたまに参加している人では熱暑順化が違っています。
メンバー全員が、人により熱暑順化の程度が違うことをしっかりと認識して、気を遣っていく必要があります。
もちろん、暑さに慣れているベテランだからといって、油断は禁物です。暑さに慣れている自信のある人も、定時給水や適度な休息をとり、無理をしないようにしましょう。
帰宅後の熱中症発症の防止
熱中症で亡くなる事故の場合、一人暮らしの人が帰宅後に発症して亡くなってしまう例があります。
熱中症の重度の段階では、意識がもうろうとしたり、意識が無くなったりします。一人暮らしですと、いざ重度の症状が出た時に、誰も気づかず、そのまま亡くなってしまうというケースがあるのです。
そのため、2017年の熱中症予防強化月間では、職場の作業員などが、帰宅前に熱を測定するなどして異常が無いか充分にチェックをしてから帰宅するような仕組み作りを推奨しています。
もし、平熱より高い場合は、濡れたタオルや氷で、首筋・太もも付けねなどを冷やし、体温を下げてから帰宅することが望ましいとしています。
また、帰宅直前にも、お互いの声かけで、様子が変わったことが無いかをチェックする習慣をつけていきましょう。また、異常があれば、本人も周りも、気軽に申告できるような、何でも言い合えるオープンな雰囲気作りも、とても重要になってきます。
熱中症対策は、職場みんなで作り上げていくものですね。
管理体制の強化
熱中症についての正しい知識を備えている人を選出し、管理責任者としておき、予防体制を強化することが推奨されています。
通常は現場監督などが現場のリーダーがその任につくことが多いかと思いますが、役割が形骸化しないように注意しましょう。
現場作業では、個々の作業員は「暑いのは自分だけではない」という思いから、どうしも無理をしてしまい、自分の状態に気づけないことも多いです。そんな時に、客観的に作業員の様子をよく観察して「大丈夫?」と声をかけたり「少し休むように」と指示を出すなど、責任者的立場の人が、熱中症対策を積極的にリードしていくことが大切、だと思います。
熱中症管理責任者は、スタッフの、動きが緩慢だったり、顔色がおかしかったり、声をかけても返事が曖昧だったり、などのちょっとした変化に気づけるように、目配りを徹底していくべきです。
以上2017年の熱中症予防強化月間で、特に注意喚起されているポイントについてみてみました。
もちろん熱中症対策は、以下のような基本対策もあわせて実施することが必須です。
- WBGT値の活用・WよGT値により、余裕のある作業内容・場所・時間の調整⇒参考記事「WBGT値の仕組みと活用」
- 喉が渇く前の定時の給水
- 個人の病歴などにあわせた適切な塩分補給
- 休息所の充実
- トイレに行きやすい環境作り
- 熱中症についての知識の共有
- 単独での作業をさける
熱中症での災害を、絶対にゼロにする心構えで、しっかりと対策をしていきましょう。