テレマティクス保険は日本で普及する? お試しで割引率をチェック!

      2017/02/12

テレマティクス自動車保険

 テレマティクス保険が、新しい自動車保険として、注目を集めていますね。

 テレマティクス保険は、車に積んだ専用のドライブレコーダーが、ひとりひとりの運転状況を記録して、データに応じて保険料を割引する仕組みです。

 日本でも少しずつ導入がはじまっているテレマティクス保険ですが、欧米に比べると、取り組みのスピードは、ゆるやかです。今後、日本でもテレマティクス自動車保険が定着していくのでしょうか?

 この記事では、テレマティクス保険の仕組みやメリット・デメリットについて整理しながら、テレマティクス保険を気軽にお試しする方法についてもお伝えしていきます。

テレマティクス自動sy保険で、安全運転が評価される仕組み

テレマティクス保険は運転方法と距離で保険料が変わる

 テレマティクス保険は、「どんな運転をしているか?」を専用ドラレコなどでチェックして、安全度の高い運転をしている人の保険料は割り引くという仕組みです。

 安全度の高い運転をしているか?は、具体的には、次のような指標で判断されています。

テレマティス保険で割引になる運転ポイントは?

・急ブレーキをしない

・急ハンドルをしない

・急にふかしたりせず、アクセルの使い方が繊細

・夜間やラッシュアワーの運転が少ない

・乗客数が少ない

・トータルの走行距離が短い

 これらのポイントを専用ドラレコが計測して情報がセンターに送信され、そこでドライバーの運転点数をチェックして、保険料に反映させるのです。

 保険のタイプによって、運転行動連動型(PHYD)走行距離連動型(PAYD)のふたつに分かれています。

 PHYDはPay How You Driveの略で、急ブレーキや急ハンドルなどの運転方法で保険額がかわるもの、PAYDはPay As You Driveで走行距離連動型や走行時間帯で保険額がかわるものです。

 保険によっては、この両方がミックスされたものもあります。

 いずれにせよ、安全運転で走行距離が短ければ、それだけ事故のリスクが低くなるので、そのぶん保険料を安くしよう!という、わかりやすい仕組みです。

 ある意味、従来の保険にくらべて、より「公平な」自動車保険なのです。

利用ベース保険「UBI」とは?

 テレマティクス保険は、車に乗せた専用端末とGPSを駆使した保険システムです。海外では、
「ブラックボックス保険」「GPSカー保険」
とも呼ばれています。

 「テレマティクス」は「通信情報処理」という意味ですが、主には、自動車で通信を使って情報をやりとりする仕組みのことをさします。

 もともと、保険ではなく、業務用の車両の運行や安全を管理するためにGPSと専用端末を使い実用化されてきたものです。テレマティクスを使った業務管理は、すでに、トラック業界やタクシー業界で盛んに行われています。その技術を保険に応用したものがテレマティクス保険です。

 テレマティクス保険は、「利用ベース保険」UBI= usage based insuranceとも呼ばれます。

 利用ベース保険とは、ユーザーひとりひとりの利用状況に応じて、保険料を割り当てるものです。

 車両ごとの走行距離や走行時間帯、運転の安全度(ブレーキングやハンドリング)などのデーターにもとづいて、保険料を変えていきます。

 車の運転の安全度が低い人や、夜間やラッシュアワーなどの時間帯に運転することが多い人は、事故のリスクが高くなるので、そのぶん保険料が割高になる。逆に、常に安全運転の人は安くなる、という仕組みが、UBI・利用ベース保険だということです。

 そして、安全運転をしているかどうか? をチェックする技術がテレマティクスなのです。テレマティクスと利用ベース保険が結びついたのが「テレマティクス保険」というわけですね。

テレマティクス保険が、欧米で盛んなその理由は?

欧米ではテレマティクス保険が大人気だが、日本では・・

 より安全な運転、より環境にやさしい運転をした人の保険料が安くなることから、テレマティクス保険は次世代の自動車保険と注目され、欧米では利用が着実に増えています。

 自動車保険のなかでのテレマティクス保険が占める割合をみてみましょう。2017年の時点では、イギリスで約20%、アメリカで約10%のシェアとなっていますが、2020年には、イギリスで40%、アメリカで25%ほどまで伸びるのではないかと試算されています(SAS Instituteの2012年調査による)。

 ところが、日本では、テレマティクス保険は、まだまだ黎明期で、急速には広がる気配をみせていません。

 日本での個人向けの本格的なテレマティクス保険としては、ソニー損保が2015年に発表した「やさしい運転キャッシュバック型」が、ほとんど唯一といってもよい感じです。

 2017年の春には、セゾン自動車火災保険が「おとなの自動車保険」のなかのオプションサービスとして運転診断をする専用レコーダーを配布したり、東京海上日動がパイオニア製のドライブレコーダーを安くレンタルしたり、といった、テレマティクス保険に向けた動きは確かにあります。

 しかし、これらの動きはまだ保険の前段階で、端末を保険契約者に提供して、事故サポートや安全運転の情報を供給するかわりに、ドライバーの運転情報などを収集するという、テスト的なものにとどまっています。

 このように、本格的にテレマティクス保険が普及するのには、日本では、まだまだ時間がかかりそうな状況です。

日本は、現状の自動車保険の仕組みが優秀すぎで・・・

 日本のテレマティクス自動車保険が、海外に比べて発展していないのには、実は理由があります。

 それは、現状の日本の自動車保険システムが、もともととても便利であるため、あえてテレマティクス保険に切り替えるメリットが、さほど大きくないからなのです。

 逆に言えば、イギリスやアメリカでは、それまでの自動車保険システムがあまり良くなかったため、急速にテレマティクス保険が伸びているわけです。

 日本の自動車保険が素晴らしいのは、強制加入の自賠責制度があること。自賠責のおかげで、日本の自動車保険加入率は100%です。それに対して、イギリスは加入率96%、アメリカではなんと66%とかなり低水準です。

 そして問題は、保険料が高いこと。日本の自動車保険料は平均で年間7万円ほどなのに対して、イギリス11万円、アメリカ10万円となっています。

 年齢が20歳前後の若者であれば、さらに高くなります。日本でも若年者の保険等級は高く設定されていて、平均で20歳前後では13万円/年ほどになります。

 ところが欧米では、若者の保険料がさらに高く設定されていて、イギリスでは30万円/年、アメリカでは22万円/年とかなり高額になっています。

 このように、欧米で、テレマティクス保険が急速に普及している背景には、この保険料の高さにあります。保険料が日本の1.5〜2倍以上で、とくに若者の場合は、月に1万5千円〜2万円以上の保険料がかかっているため、ほとんど無保険で乗るしかないという悲惨な状態だったわけです。

 ですので、テレマティクス保険は、若者を中心に欧米で爆発的に支持されて急速に伸びているわけです。

 日本の保険は、等級などの制度の基準が統一されてて、どの保険会社でも変わりません。しかし、欧米では割引基準も保険会社ごとでバラバラでかなり不透明な状況です。ですので、安全運転度や走行距離によって割引されるテレマティクス保険は、透明度が高い割引制度、というのも支持されている理由なのでしょう。

 こうした欧米の状況に比べると、日本の自動車保険制度はほんとうに良くできています。現状に不満がないので、あえてテレマティクス保険に頼る必要がない・・・それが、日本でのテレマティクス保険の普及を、かなりボチボチなものにしている要因なのです。

テレマティクス自動車保険のメリット・デメリット

 欧米ですでに運用がはじまっているテレマティクス保険ですが、どのようなメリット・デメリットがあるのか? 整理しておきましょう。

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テレマティス保険のメリット

・若い人や免許取り立ての人にとては、保険料が安くなる

・安全運転に関する情報がフィードバックされ、安全意識が高まる

・その結果、安全運転が増え、事故が減れば、保険額も最終的には値下げできる

・事故やトラブル時には、GPSで瞬時に保険会社や救急期間へ自動的に緊急連絡できる

・GPS機能で、盗難車対策ができる

・未成年者運転を保護者が把握できる

・どんな運転をしていたか?をリセール価格(下取り価格)に反映させ、中古車市場が適正価格になる

 日本では、そもそも欧米ほどは保険料が高くないので、割引効果はそれほど大きくないと考えられます。

 しかし、なによりも安全運転がチェックされることから、自然と安全運転になり事故が減ることが期待されます。事故が減れば、保険料も全体として安くできるようになるというメリットは大きでしょう。

 また、GPSでの管理システムを利用して、盗難車対策などができるのも大きいメリットです。

 やさしい運転をしていれば、それが中古で売るときにも、下取り価格の評価の対象になることも、将来は予測されるでしょう。

 このようにテレマティクス保険には、さまざまなメリットがあるわけです。

 一方で、次のようなデメリットもあります。

テレマティス保険のデメリット

・保険料を気にするあまり、急ブーキをかけるのをためらい、結果として事故につながってしまう。

・ラッシュアワーになると保険料が高くなるため、それまでに運転を終わらせようとして、逆に荒い運転になった。

・運転評価の基準作りが難しい。統一の基準が作れないと、保険会社の乗り換えなどができなくなるので、普及しない。

・安全運転をするドライバーだけが加入して、安全運転をしないドライバーが加入しない。そうすると、保険料金が集まらないため、コストを回収できない。

・プライバシーをどこまでセキュリティー管理できるか、微妙。

 これらのデメリットの声は、実際に運用がはじまっているイギリスやアメリカでの事例です。

 案外デメリットもあるテレマティクス保険なのですが、とくに気になる問題は、加入が自由だと、加入者にかたよりが出るというところです。

 いつも安全運転の人は問題ないと思うのですが、たとえば仕事が忙しくいつもスピーディに車を操っている人など、テレマティクス保険にまったく魅力を感じない可能性は高いです。敢えてこの保険に入ろうとしない人も、かなり多いのでは?と思います。

 加入者が増えない限り、GPSやドラレコなどのテレマティクスの設備のコストが回収できません。

 このことを考えると、強制加入的なシステムにしない限り、テレマティクス保険は成立しないかもしれません。が、プライバシーの点から強制加入にできるのか?は、なかなか難しい部分でしょう。

 こうしてみると、案外、簡単ではありません。

 最終的にテレマティクス保険が普及するかどうか? まして、現状の保険制度がうまくまわっている日本で、どの程度普及するか?は、まだまだ未知数だといえます。

日本のテレマティクス保険を体験してみよう!

日本のUBI保険とテレマティクスサービスの一覧

 日本で個人ユーザー向けの本格的なテレマティクス保険としては、2017年の時点では、ソニー損保 「やさしい運転キャッシュバック型」があげられます。これが、ブレーキやハンドル操作を評価するPHYD型の唯一の個人向けサービスとなっています。


日本のテレマティクス保険の実情
会社名 保険名 対象 保険種別
ソニー損保 やさしい運転キャッシュバック型 個人(誰でもオッケー) PHYD(運転行動連動型UBI保険)
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 つながる自動車保険 トヨタT-Connectユーザー専用 PAYD(距離連動型)
損保ジャパン ドラログ 日産リーフ・ユーザー専用
スマイリングロード 業者向け
チューリッヒ Z-Assist ドラレコ貸し出しなどの安全運転支援サービス(保険ではない)
セゾン自動車火災保険が おとなの自動車保険・つながるボタン
東京海上日動 ドライブエージェントパーソナル
アクサ損害保険 MIRAI DRIVE PROJECT

 日本で実用化されているテレマティクス「やさしい運転キャッシュバック型」以外にも、トヨタの純正ナビT-Connect車専用であいおいニッセイ同和損害保険株式会社が「つながる自動車保険」として、日産リーフ専用に損保ジャパンの「ドラログ」としてPAYD(距離に応じた割引)があります。が、これはあくまで車種限定での運用にとどまっています。

 そのほかは、保険ではなく「テレマティクスサービス」が、提供されています。

 ドライブレコーダを貸し出しつつ、安全運転のアドバイスなど、有益な情報を提供するオプションサービスが増えてきています。東京海上日動「ドライブエージェント」、セゾン自動車火災保険が「おとなの自動車保険」チューリッヒ「 Z-Assist」などのサービスです。が、これらはあくまでテレマティクス技術の試験や利用ベース保険(UBI)のためのデータ収集といった感じで、実際の保険として機能しているものではありません。

PHYD型テレマティクス保険が体験できる!【1ヶ月無用トライアル】

 現状では唯一の個人向けPHYDテレマティクス保険・ソニー損保の「やさしい運転キャッシュバック型」は、実は1ヶ月間の無料お試し期間があります

 「やさしい運転キャッシュバック型」では、一ヶ月のあいだ、実際に専用ドラレコを借りて自車に取り付けて、自分のブレーキングやハンドリングがどの程度安全と評価されるのか?を体験できます。

 ドラレコは点数制で、この点数によって、5%〜20%のキャッシュバックがあるわけです。ちなみに20%キャッシュバックされるのは、90点以上。

 実際に、どの程度の運転で90点以上になるのか?を体験できるので、興味がある方は、ぜひこのお試しにトライしてみましょう。

 これなら割引いける! と実感すれば、この保険に乗り換えを検討してみるのもありだと思います。

  

  

 以上、テレマティクス保険について、そのメリット・デメリットや、日本での普及状況などについてお伝えしました。

 テレマティクス保険が普及すれば、もちろん安全意識が高まり、事故が減るでしょう。しかし、それは裏を返せば「監視されないと安全運転」ができないという意味でもあります。

 もし、事故を減らすために、強制保険にテレマティクス保険が採用されるようになれば、ある意味「監視社会」に大きく一歩近づくことにもなりかねません。

 テレマティクス保険そのもは良い仕組みですが、強制されなくても、自ら進んで安全運転ができるように、ドライバーが安全意識を再認識することが、まずはいちばん大切なことかもしれませんね。

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