ボーナスないのが普通って風潮は危険!!ボーナスなし59%の現実。

      2017/04/13

ボーナスなし

 ボーナスがない!? ひとむかし前の日本は、ボーナスが出るのが当たり前でしたが、非正規雇用が増え、いつの間にかボーナスがないのがふつう。出る方がラッキー」といわれる時代になってしまいました。

 ボーナスがあれば貯金が着実にできるし、蓄えがあれば、転職や独立など自分の夢を叶えることできます。しかしボーナスがないと、日々の生活で追われて、今の仕事にしがみつき、もし今の仕事がなくなったら一瞬で「貧困」に落ちてしまいます。そうした意味で、ボーナスは「ライフラインのひとつ」なのです。

 ボーナスがない人は、そのことに慣れてしまい、日本経済が調子悪くボーナスが出ないのは仕方ない・・・とあきらめていませんか? それは、「慣らされている」だけです。実は、日本の「総ボーナス額」を、全勤労者にふりわければ、ボーナスゼロは無くなるということが、当サイト独自の調査で判明しました。

 一部のひとたちがボーナスを独占するために、ボーナスなしが半数以上もいる日本社会の現実と、その打開策について述べていきたいと思います。

「ボーナスない」割合は約6割。

 ボーナスの支給額はテレビなどでも報道されます。夏と年末に、経団連などが大手企業の賞与支給額を発表するのは、もはや季節の行事のようになっていますね。

 ボーナスの平均が夏だけで90万円とか、逆に、ボーナスが出ない人は3割〜4割などと報道がありますが、経団連など民間企業が発表する情報は少しあやふやな情報です。報道されるボーナスの額は、企業のアンケート調査などにもとづいたもので、あまり正確ではなく、企業側が、働く人の不満をそらしたりするために、あえて操作しているとさえ言われています。

 そこで、厚生省が発表している「厚生年金加入者の賞与額」(⇒注)と、総務省の「労働力調査年報」のデーターをもとに、当サイト独自に、ボーナス支給の実情を分析してみました。

 その結果、傾向としてわかったことは、次です。

「ボーナスない」割合はどれくらい?!

・正社員のボーナスなし率は2割〜3割程度。

・しかし、非正規社員を入れると、50%〜60%の勤労者がボーナスなし

・正社員でボーナスが出ないのはほとんが中小企業

・大企業ではの管理職が高額のボーナスをもらい、無意味に格差が拡大している

 大企業はよっぽどの不祥事(たとえば電力会社の原発事故など)で従業員もボーナスなしになることがありますが、それ以外では大企業では原則ボーナスが出ます。そうなると、ボーナスゼロは、中小企業と非正規雇用、ということになってきます。ボーナスなしの比率などについて、もう少し詳しくみてみましょう。

 まず、下の図は、厚生年金加入者のボーナス支給率と、全就業者のうちの正社員・非正規社員のデーターを重ね合わせたものです。平成24年の少し古いデータになりますが、過去五年間、ほとんど比率は変わっていませんので、おおまかな傾向は把握できます。

ボーナスなしの割合。正規・非正規雇用との関係

厚生年金加入者にしめる「ボーナスなし」率と全勤労者との対比グラフ

▲総務省・労働力調査年報および厚生省・厚生年金事業年報をもとに作成

 グラフをみると、正社員で、賞与がない人は22%となっています。ただ、これには、いわゆる「大入り」や「寸志」のような一時金も含まれています。

 ガッツりしたボーナスは、最低でも、1カ月ぶんを夏冬年2回、年間で2カ月ぶんは、ほしいところですよね。

 なので20万円以下はボーナスから除外するとして、ボーナスが出ない人の割合は以下のようになります。

20万円(年間)以上のボーナスがもらえない人の割合

・厚生年金加入者のうち 40%

・正社員のうち35%

・正社員・非正規社員のうち59%

 ボーナスの季節には、70万とか90万円とか大手企業の支給額だけが報道されていますが、その裏では、勤め人(正規・非正規)のうち約6割の人が、ボーナスなしの状況に追い込まれているのです。

 格差社会といわれて久しいですが、ボーナスのありなしにも、格差がはっきりとあらわれているのが今の時代なのです。

ボーナス「90万円」は、1割の人が独占しているだけ

ボーナス支給格差の酷すぎる(?)現実

 ボーナスの格差の実態について、もう少し詳しくみてみましょう。

 下の図は、厚生年金加入者(正社員+約16%の非正規社員)のうちの、ボーナス支給額の分布です。

ボーナス支給額の分布グラフ

厚生年金加入者のボーナス支給額グラフ

▲厚生省・厚生年金事業年報をもとに作成

 厚生年金加入者でボーナスゼロは約29%です。(非正規までふくむ全勤労者では51%がゼロ)

 もらっているひとのなかでも、25%は、年間で50万円以内のボーナスとなっています。

 よく報道されているように、大手のボーナスは、夏や冬一回だけで平均90万円と言われています。つまり、年間180万円。

 しかし、上のグラフからみると、年間180万円以上ものボーナスをもらえるひとは、厚生年金加入者のうちわずか15%です。勤労者全体でみれば、ほんの10%に過ぎません。

 つまり「夏のボーナス90万円で前年よりアップ」などのような報道は、ごく一部の人たちの話です。報道では、ボーナスがきちんと出ています的な雰囲気ですが、実は、「全勤労者のうち約60%がゼロなのに、10%の一部の人が、年間180万円以上のボーナスをもらっている。」わけです。

ボーナスのほんとうの平均支給額はいくら?

 では、ボーナスの平均額、あるいは標準的なボーナス額についてもみてみましょう。

 下の表は、厚生年金加入者の、ボーナスの平均値や中央値をみたものです。

ボーナスの平均額・中央値
平均値 ゼロの人もふくむ 108万9千円
もらってる人だけ 152万8千円
中央値 ゼロの人もふくむ 40万円くらい
もらってる人だけ 120万円くらい
▲厚生省・厚生年金事業年報をもとに作成

 こうした統計を見る場合、平均値は、一部の高額所得者が平均を押し上げてしまうので、標準的な位置をあらわしているとは言えません。人数で割って真ん中の人がもらっている額がいくらか?を見る「中央値」の方が、標準的なレベルをあらわしています。

 中央値をみてみると、ボーナスをもらっている人の標準は年間120万円、夏冬一回ごとでは約60万円となります。

 もらっていない人まで含めて中央値を見るとわずか年間40万円という水準です。

 金額上の平均値が150万円なのに、中央値は40万円しかない・・・このことは、つまり、もらっている人ともらっていない人の格差がとても大きいということを、数字が示しているのです。

ボーナスを平等に分け合っても、ひとり70万円になる

 仮に、ボーナスの全支給額を、平等に割り振ると、いくらになるか?計算してみました。

 上のグラフをもとにボーナスの総支給額を推定すると約39兆円。

 これを、すべての厚生年金支給者に平等に割り振るとひとり年間100万円、非正規をふくむ全勤労者に割り振るとひとり年間約74万円の支給となります

 もちろん、自由競争社会ですので、ボーナスを全労働者で平等に割るなんてことは、実際にありえることではありません。しかし、日本経済全体で見た場合に、全勤労者に年間70万円わりあてるだけの利益額があるのに、60%の人はゼロ円で、ごく一部の人のところに集中しているということです。

 いくら自由競争社会とはいえ、格差や不平等さは、目にあまるものがあります

 ボーナスは本来、業績や能力に比例して支払われるものです。ですので格差が生じるのは当然だし、全員一律に支給する必要なんてありません。

 しかし、ほんとうに、能力や社会的な貢献度に比例してボーナスが支払われるているか?といえば、現実は、そうではないことを、社会人なら誰しも実感しているでしょう。実際の会社内では、年功上列やたまたま運良くおいしいポジションにはまったため、高額のボーナスをもらっている人たちが、沢山いるのが事実です。いま高額のボーナスをもらっている人で、ぶっちゃけたいした仕事をしていない人が、多数いるわけですね。

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 「一部の人にだけ満足いくボーナスを与え、もらえてない人間に対しては、雰囲気や情報操作でねじ伏せてあきらめさせている。」 今の日本社会は、間違いなくそういう仕組みになっていることを、ボーナスゼロの60%の勤労者は早く気づいたほうがいいと思います。

 「非正規をふくめると6割の人がボーナスなし」という超格差社会。なんらかのかたちで、格差是正をしないかぎり、社会は崩壊してしまいます。たとえば、ベーシックインカムのような、まったく新しい社会システムの導入について、もっと真剣に考えていかなければならないのかもしれませんね。たとえばですけど。(ベーシックインカムについては⇒「日本でベーシックインカムが導入されたら?」の記事も参照してください。)

「ボーナスない」状況から脱出するためには?

 さて、ボーナスが出ない!と文句を言ってばかりでも仕方ありません。ボーナスなしの対抗策について、考えてみましょう。

「ボーナスなし」の状況を打開するには?

・転職を検討する

・労働組合を作るかユニオンに加入する

・経営者と一丸になって業績をあげる

ボーナスないのあたりまえの業界なら「転職」するしかない。

 はじめから「ボーナスなし」の会社で敢えて働いている人も、案外多いものです。「新しいことがしたい!」「技術や経験を身に付けたい!ボーナスが無くてもそこで働きたい!」、そういう思いで、若い時に、ボーナスなしの業界に敢えて飛び込むパターンも少なくありません。

 IT関連などベンチャー企業にはボーナスが無いところが多いですし、飲食・レジャー・農業業界などのようにボーナスが無いのはあたりまえ、とされている業界も多いです。「やりたいことができるし、やりがいのある仕事だから、ボーナスなしでもいいじゃん!」というふうに割り切っていって、経営者も従業員もその風潮に甘んじているのです。

 しかし、ボーナスは「ライフライン」。若いうちは良いですが、ボーナスが無ければ、年をとるごとに、生活はそこそこから貧困に落ちて行き、抜け出せない泥沼に落ちてしまいます。

 35歳くらいをめどに、ボーナスなしの会社には見切りを付けて、少なくても良いのでボーナスの出る会社や業界へ、転職を考えることをおすすめします。「やりたいことをやる」それもすばらしい価値観ですが、自分のライフプランはすべて自己責任だということも、忘れないようにしましょう。

労働組合やユニオンを利用して、ボーナスを勝ち取る

 「労働組合」というとウザいようなマイナスのイメージを持つ人が多いようですが、実は、労働組合が存在していることで、勤労者の生活が守られていることを、決して忘れてはいけません。

 そもそも、ボーナスというものは、会社が支払わなければならないという法的な根拠はありません。実は、会社がボーナスを払わなくても、ぜんぜん問題ないのです。

 では、なぜ「ボーナスが支払われるのか?」といえば、それは、労働組合を通して、労働者がボーナスを要求し続けてきた結果にほかならないのです。

 ボーナスは日本では、もともと江戸時代に、年末の「お餅代」として、月給とは別に支払われたのがはじまりと言われています。明治時代には、銀行などホワイトカラーを中心にボーナスを取り入れる企業が出始めます。大正時代になり、労働運動が盛んになると、工場などでも、労働者がストライキをしてボーナスを勝ち取る動きが出てきました。戦後、労働組合が合法化されて、毎年のメイデーや賃上げのストライキで労働者の権利を訴え続けました。その結果、高度経済成長〜バブル絶頂までのあいだ、日本の景気が登り続けた時代には、多くの勤労者にボーナスが支払われるようになったのです。

 このように歴史的に見ればボーナスは労働組合が勝ち取ったものという面があるわけですが、そのことを裏付けるデータがあります。

 下の表はボーナス支給額を中小企業と大企業に分類したデータですが、中小企業のボーナス支給額で、組合ありは113万円、組合なしでは86万円と大きな差がついています。

ボーナス支給のカギは労働組合!?
中小企業 ボーナスなし 17.1% 0円
ボーナスあり 組合なし 47.1% 86万4千円/年
組合あり 5.8% 113万7千円/年
大企業 ボーナスあり 非管理職 25.5% 153万2千円/年
管理職 3.0% 293万7千円/年
▲厚生省「厚生年金事業年報」、総務省 「事業所・企業統計調査」「労働力調査年報」をもとに作成

 労働組合や労働運動じたいも、時代の流れで衰退し、いまや全企業のうち20%しか組合が無いですが、そもそも労働組合は憲法28条ですべての労働者に保障された権利で、2人以上いれば組合を結成することができます。経営者との待遇交渉やストライキの権利も保障されています。ですので、ボーナスが出ない企業は、組合を作って、経営者にボーナス支給を要求していくことができるのです。

 かといって、新たに労働組合を作る時間もエネルギーも無いでしょう。そこで、各地域にあるユニオン(合同労働組合・合同労組)に相談するのが現実的な方法となってきます。

 ボーナスがなし、という人は、同僚と話し合ったうえで、合同労働組合・合同労組への加入を検討してみましょう。

理想は経営者と従業員が一丸となって、ボーナスを勝ち取ること!

 さて、3番目の方法として、ほんらいのボーナスゲットの王道である「会社の業績をあげる」という方法です。

 とくに中小企業のなかには「ボーナスをあげられたくてもあげられない」と悩む経営者も少なくありません。

 たとえば、キャッシュフロー(資金繰り)の問題で、ボーナス時期にボーナスにあてる現金が足らない場合もありますが、そういう時のために、「賞与資金」を銀行から借りて、ボーナスにあてている、つまりどんな時でも、借金をしてでもボーナスを払おうとする経営者も少なくないのです。

 こうした、従業員の立場にたって考えられる経営者のもとでは、ボーナスが出ないことにただ不服を言うのではなく、経営者とともに業績を上げるにはどうしたらよいか? 仕事の意識を変えていく必要があります。

 会社のせいにするのではなく、自分たちの仕事の業績をどうしたらよいか? 従業員でも経営者の目線に立って、自分たちの仕事のやり方を見直してみましょう。少ないコスト(自分の給料も含む)で効率よく仕事をこなすにはどうしたらよいか? 検証をして現場から改善を試みることがとても大事です。

 また、ボーナスの支給方法も、年功序列などではなく、業績連動型として能力や貢献度によって支払われるようにすることが、とても大事です。インセンティブで社員のやる気やアイデアを引き出し、会社の業績につなげる仕組みを、きちんと構築してそれを機能させることで、業績を回復させて「ボーナスなし」から脱却すること目指していいましょう。

 

 

 以上、「ボーナスなし」の現状と、それを打開していくための方法についてみてみました。

 格差社会であることをあきらめてしまうと、日本の国力が失われて、社会が成り立たなくなります。

 今の日本の異常ともいえる、ゆきすぎた格差は是正して、働きに応じて、正しくボーナスが支給されるような、バランスのとれた社会を取り戻す必要があるでしょう。

 「ほんとうに正しい自由競争社会」という理想を、労働者も経営者もあらためて考えてみる必要がありそうです。

注)

 厚生年金は、すべての民間企業や公務員、一部の個人事業者のもとで働く人、すべてが入る社会保険です。正社員、正職員だけではなく、パート職員・アルバイトでも週30時間以上(従業員501人以上の会社では20時間以上)労働をしている場合は加入することになっています。

 正社員・正職員は100%、非正規社員のうち16%が厚生年金に加入していますので、ほぼすべての給与所得者がふくまれていると考えてよいでしょう。

 厚生年金では支給額を決める基準とすために、加入者の収入のデータをきちんと集めています。そのなかに賞与のデータもありますので、最も正確にボーナスの支給状況を把握しているデータだということになります。

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