かんころ餅とは? おすすめのお取り寄せは? ふるさと納税でも。
2017/07/09
かんころ餅は、長崎・五島列島の伝統的なサツマイモを使ったお餅です。五島の冬の風物詩といえば「かんころ餅」。五島地方のみならず、長崎県民にっとっても「かんころ餅」は子供の頃から慣れ親しんだ故郷の味です。
長崎では超定番なのに、全国的にはほとんど知られていなかった、この古き良きさつまいもスイーツが、最近テレビなどで紹介されて、にわかにブームになっています。
この記事では、かんころ餅の美味しさを紹介しながら、代用食・保存食としてのサツマイモの歴史をちょっとだけひともといてみようと思います。
かんころ餅、ブーム到来の隠れた和スイーツ
かんころ餅は、長崎出身の女優・仲里依紗さんや五島出身の川口春名さんが、TV番組でオシていたことなどから、ちょっとしたブームになりました。
干し芋とお餅が合体したようなもので、それをスライスして網焼きでいただくのが「かんころ餅」のスタンダードな食べ方。外がぱりっと、中がもちっとしていて、さつまいもの香ばしさと食感でヤミツキになるタイプの和スイーツです。
かんころ餅はもともと五島では、お正月用に、各家庭で作るものでした、というか、今でも農家では毎年、家庭で作っています。
11月に北風が吹き出すころに、五島では、「かんころ棚」という専用の棚で、さつまいもを干す風景が、ここかしこに見られます。
かんころ餅は無添加の自然派おやつ
かんころ餅の材料は、さつまいも、餅米、砂糖の3点だけ。ほんもののかんころ餅では、その他の添加物を加えないのが、原則です。
さつまいもは皮をむいて輪切りにしてからさっと茹でたものを、1週間から10日ほど、カリカリになるまで干します。このカリカリに干したものが、昔は保存食として使われていたのです。
かんころ餅作りでは、この干し芋を、もち米といっしょに蒸し上げあげます。サツマイモともち米の比率が6割〜8割になるのが通常です。蒸し上がると、お味噌の練り機のようなもので、2度練りしていきます。お餅つきのように、搗(つ)く場合もあるようです。この、練りや搗きの過程で、お砂糖を加えていきます
最後に、長い枕のようなかたちに、まるめて完成です。
家庭によってレシピはいろいろなので、家庭それぞれの味があります。
できたては、そのままスライスして食べても、とってもふっくらして美味しいものです。
完成したカンコロ餅は、家庭では冷凍保存され1年中食べられています。
特産品として出荷されるものは、真空パックされていますが、お店によっては、出来たてのものをクール便で送ってくれるようです。
かんころ餅の歴史と各地のサツマイモ加工品
お正月の五島の家庭の味として伝わり、今では、特産銘菓になっているかんころ餅ですが、もともとは、干し芋は冬場の保存食、お米の代替食として作られていたようです。
昔は、冬場はとくにお米も充分に手に入らなかったため、お米と干し芋を一緒に炊いて、お米を増量していたようです。その伝統が、かんころ餅に受け継がれているようですね。
お米を節約する増量材として、替わりにサツマイモを使うということは、日本各地でおこなわれてきました。
かんころ餅と、ほぼ同じ製法で、干し芋を餅に混ぜてついて作るお餅が他にもあります。熊本の天草の「こっぱ餅」、高知県東部の「かんば餅」は、かんころ餅と同じものです。
また、干し芋ではなく、蒸したサツマイモをそのままモチ米と混ぜて搗くタイプのサツマイモ餅も、全国各地にあります。「いももち」として高知西部、和歌山日高郡に、「ねりくり」として、鹿児島、宮崎に、伝統的なサツマイモ餅とし受け継がれています。
さらに、名古屋・岐阜で「鬼まん」と呼ばれ、地元では欠かせないお菓子、「鬼まんじゅう」。これは、サツマイモに薄力粉をまぜて蒸すお饅頭です。こちらもお米が手に入りにくかった時代の代用食の名残です。
このように、全国各地で、代用食として食べられいたサツマイモの歴史が、お菓子として現代にまで受け継がれているわけです。お米が不足する事態が想像できない現代ですが、ダイエットではなくて、お米の替わりにサツマイモしか食べるのが無い、という時代があったことを、時々思い出してみるのもよいかもしれませんね。
さつまいもの保存食といえば、長崎対馬のセン
さつまいもの歴史を知るうえで、もうひとつ、紹介しておきたいのが、長崎五島よりさらに北にある対馬地方のサツマイモ文化です。
対馬は平地が無く、米がほとんど作れない貧しい島国で、何度も飢饉に教われていましたが、さつまいもが広まることで、飢饉から開放されました。ですので、対馬ではさつまいものことを「孝行芋」と呼びます。
さつまいもは低温に弱いために、とくに冬の間の保存がとても難しいものです。
そこで、対馬のひとたちが考え出したのが、さつまいものデンプンだけを取り出して、乾燥して「センダンゴ」と呼ばれる団子にして保存する方法です。
保存してあるセンダンゴは、「センチマキ」というお菓子に再加工されるほか、麺状に加工してから、食べられます。麺状にしたものは「ろくべえ」や「せんそば」と呼ばれていて、対馬の郷土料理として、今に伝えられています。
センダンゴは、茹でてから干したさつまいもを、再び水につけ、沈殿するデンプンを何度も濾過して取り出して、それを団子にするという、たいへん手のこんだ行程で作れます。
かつて、貴重な栄養素(炭水化物)だったさつまいものでんぷんを、なんとかして保存しようとした、先人たちの必死の努力が感じられるものなのです。
かんころ餅のお取り寄せおすすめはどれ?
最後に、おすすめのお取り寄せかんころ餅を紹介しておきましょう。
かんころ餅はもともとが家庭でそれぞれ作るもののため、特にレシピが決まっていません。そのため、お店によって味がさまざまです。なかには、モチ米が多くて、サツマイモの割合が低いものもあるので、さつまいも比率が高いものを選びましょう。
もち米比率の高いかんころ餅があるということは、皮肉なものです。もともとは米を節約するためのかんころ餅が、現代では、サツマイモの方がモチ米よりコスト高ってことなんですよね。
さて、数あるかんころ餅のなかで、おすすめなのが「宇久島かわむら」のかんころ餅です。五島の最北の島の宇久島の街のパン屋さんが作っていて、「昔ながらの味」と、長崎県出身者にも評価が高いです。
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また、「かんころ餅」は、五島市、新上五島町、西海市、長崎市のふるさと納税のプレゼントにもあります。ふるさと納税でゲットするのもありですね
以上、かんころ餅をはじめ、かつてサツマイモが代用食・保存食だった名残を残す、日本各地のさつま芋加工品についてみてきました。
ちなみに、さつまいも加工品といえば、「干し芋」もはずせませんね。⇒「ほし芋のおすすめは?」の記事もぜひ参考してください。
カフェのスイートポテトも良いですが、先人の苦労を今に伝える伝統的さつまいも菓子も、ぜひチェックしてみてください!