残クレ? それともカーリース? 新車購入で最もお得な方法とは?

      2018/02/27

新車購入の資金計画

 残クレ(残価設定ローン)のおかけで、新車がとても購入しやすくなっています。頭金無しの月々数万円前後の支払いで、新車に乗れる時代になりました。

 また、個人向けのカーリースも充実していて、月額支払いだけで好きな新車をとっかえひっかえ乗れる、と好評です。

 一方、新車購入では、銀行系カーローンを利用すれば頭金なし保証人なしでも、気軽に低金利ローンが組めます。

 つまり、頭金なしで月の支払いだけで、すぐ乗れる新車購入の方法として、「残クレ」「リース」「ローン」の3つの選択肢があるわけです。これら3つの方法のうち、どれが最もお得なのでしょうか? 具体的に見ていきましょう。

【参考】中古車・未使用車の非公開情報はチェック済み?

「残クレ」「リース」「ローン」でお得なのは?

 今回は、「残クレ」「リース」「ローン」のなかから、それぞれ最も注目度の高いサービスをピックアップして、具体的に試算してみました。

 ピックアップしたサービスは以下です。

スズキ自動車かえるプラン(残価設定ローン)
オリックスいまのりセブン(個人向けカーリース)
●三菱東京UFJ銀行ネットDEマイカーローン(銀行カーローン)

 今回は例として、大人気の軽自動車ハスラーを新車購入するばあいで、上記3っのサービスそれぞれの見積りを調べてみました。

 これらのサービスを比較検討してわかったことは、次のポイントです。

●残価設定ローン(残クレ)も車検・メンテナンスのサービスがついているものもあり、カーリースとサービス内容が近づいてきている。

●従来「頭金なし」といえば残クレやリースだったのが、銀行ローンも頭金なしでネットから簡単に審査・契約しやすくなっている。

●新車を乗り換えていくイメージが強い残クレやリース。でも、最終的な購入を前提とする場合も、残クレやリースが選択肢としてあり。

●「残クレ」と「リース」には、注意するべきところがあり、よくよく考え納得してから契約すること。

 詳しい比較検討を見ていきますが、まず、そのまえに、そもそも「新車に乗るメリットとは?」という点を確認しておきましょう。

貧乏人こそ新車?

 ひと昔前までは、新車を買うには、ある程度の頭金を貯めてからでないと難しかったものです。でも今の世の中、「頭金なんて用意できない>_<」という、生活にあまり余裕がない人がほとんどですよね。そんな、貧乏人でも月々一定額で安心して新車にのれる仕組みが「残クレ」「リース」「銀行系ローン」なんです。

 そもそも、「頭金も用意できない人には、新車は贅沢でね?」って意見もあるかと思います。がしかし、かならずしも新車イコール贅沢ではなく、かえって新車が節約につながるという考え方もできるわけです。

 中古車を買うと、燃費が悪くガソリン代が新車の倍以上かかったり、故障の連続で維持費や修理代で新車の額に達する、ということも少なくありません。

 「貧乏人だからこそ新車」のほうが、長い目でみれば、理にかなっているわけです。

 そうした意味で、「頭金無しで新車にのる」というのは、ひとつの節約術とも言えるわけですね。

 では、次に、まとまったお金が無くても新車にのれる方法を具体的にみていきます。

残クレ(残価設定ローン)で新車を購入

注目の残クレ「かえるプラン」は車検代が付いてくる!

 残クレ(残価設定ローン)は、頭金ならぬ「後ろ金」(残価)として、後払いする部分を差し引いてローンを組む方式です。

  たとえば、3年契約なら50%、5年契約なら30%を後払いに設定します。

 つまり3年の場合は「新車に半額で乗れる」というやつです。120万の新車なら、60万円+利子を3年ローンで払い3年間乗れます。

 3年後は、残りの60万円を再クレジットや一括で支払い買い取るか? 新車に乗り換えるか? あるいは返却して場合によってはキャッシュバックが得られるという仕組みです。(残クレの詳細については⇒新車が半額?!残価設定ローンのメリット・デメリットの記事も目を通しておいてください)

 このように頭金無しで新車に乗り換えていくのが残クレのほんらいの趣旨なのですが、実は、買取を前提に活用してもメリットがある支払い方法なのです。

 たとえば、スズキの「かえるプラン」は、なんと車検がこみこみでついています。なので、「かえるプラン」を連続して使い次々と新車に乗り換えていけば、車検費用がずっとかからない仕組みになっています(税金と消耗品費は別途負担)。

 また、「かえるプラン」の5年コースでは、満期ののち、一括払いで、買い取ることができます。その場合トータルの支払い額が通常の銀行のローンとほとんど変わらないため、乗り換えではなく買取前提でもお得に活用できるのが特徴です。

ハスラー新車購入を「かえるプラン5年」と「UFJマイカーローン」で比較してみた

 たとえば5年のかえるプランで、車体価格120万円のハスラーの新車を購入する例を見てみましょう。

ハスラーの新車を買うぞ・・
ハスラー(A 660cc 4WD オプションなし)
本体価格 ¥1,199,880
登録諸経費 ¥111,030
新車購入額 ¥1,310,910

 新車登録の諸経費が11万円かかるので、新車購入額は131万円となります。以前は、「新車購入時の諸経費はローンに入れられない」なんてこともありましたが、最近は、残クレでも銀行カーローンでも、諸経費こみで全額ローンを組めるのがふつうです。

 さて、では、ハスラーの新車をスズキの残クレ「かえるプラン」の5年コースで購入する場合をみてみましょう。利子は3.9%で計算しています(ちなみにキャンペーン中は利子が1.9%となる場合もあります)。月々の支払いが19,300円(初回のみ2,1551円)5年後の残金が333,300円となります。もし、5年後に残金を一括で支払い買い取るなら、トータル支払額が約147万円となります。

 これに維持費などを足してみましょう。3年目の車検はかえるプランにサービスで付いていますので、5年目の車検代とその他税金や維持費をプラスするとトータル約160万円との試算になります。

 一方、実質年利3%のネットDEマイカーローンで頭金・ボーナスなしの月払いを組んだ場合、5年では月々¥23,539の支払い。トータル支払額が約141万円ですが、これに車検代(3年目と5年目2回)や税金などを加えると、トータルで約157万円となります。

残クレとローンの比較
かえるプラン(スズキ残クレ)
毎月支払額(58回) 初回支払額 最終回(=残価) 手数料(利子)合計 総額
¥19,300 ¥21,551 ¥333,300 ¥163,341 ¥1,474,251
5年間の維持費用(税金、2回目車検費用、オイル等消耗品) ¥134,000
5年後に自分のものにするための総額 ¥1,608,251
ネットDEマイカーローン(UFJ銀行カーローン)
毎月支払額(60回) 手数料(利子)合計 総額
¥23,539 ¥101,430 ¥1,412,340
5年間の維持費用(税金、車検2回ぶん費用、オイル等消耗品) ¥163,400
5年後に自分のものにするための総額 ¥1,575,740

 このように、経費込みの試算では、トータルでは、かえるプランとローンはほぼ同じになります。

 かえるプランのように車検が一回分ついているなどの特典があれば、残クレとローンと比較した場合ほ、トータル支払い額は、ほとんど変わらなくなるわけです。

 ですので、たとえばもし、今はお金はないけれど、5年後には昇給などで、まとまったお金が手に入るだろうと予測できる人であれば、残クレを使って購入することを考えてもよいでしょう。残クレのほうがはじめの数年間の月々の支払い額を下げられるぶんメリットがあるというわけです。

 また、残クレや銀行ローンは、利率が変わることがありますので、安い利率のタイミングで、どちらがよりお得か?という状況は変化します。ですが、トータル支払い額ではおおむね同じ程度になってきますので、現在と将来の支払い能力に応じで選択すればよいでしょう。

もちろん、もっともお得なのは、頭金を用意して普通のローンを組むこと

 ところで、かえるプランなど残クレは、「残価にも利子がかかるので損する」という意見もあります。もちろん、それはその通りで、頭金を入れてローンを組んだほうが安いに決まっています

 車体価格120万円の5年コースの例では、残価が約33万円でしたが、これを後払いでなく頭金として入れ、通常のローンを5年にした場合どうなるでしょうか?

 月々17,609円でトータル約139万円の支払いとなり、とうぜんながら最もお得です。

頭金のあるローンが最もお得
マイカーローン(頭金あり)5年
頭金 月々支払い トータル支払額
¥333,300 ¥17,609 ¥1,389,840
残クレ5年
月々支払い 残価 トータル支払額
¥19,300 ¥333,300 ¥1,474,251

 ですので、頭金が用意できる人は、敢えて残クレを利用する必要はありません

 しかし、月々のやりくりはできても、今は、まとまったお金はなかなか用意できないが5年後には少し余裕が出るはず。そういう人には、利子を多目に払っても、頭金無しの残クレはメリットが高いと言えるわけです。

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カーリースで新車に乗る

 それでは、次に、カーリースについてみていきましょう。

 リースがローンや残クレと違うところは、税金や車検代などの維持費がこみこみになっているところです。

 車検をはじめとした維持経費こみなので月額の支払いはローンにくらべて数千円高くなりますが、維持経費を入れたトータルの支払い額はほぼほぼ同じくらいになるよう設定されています。

 契約期間も3年〜5年の乗り換えを前提にしたコース、5年以上の買取を前提としたコースと、いくつかのコースが設定されているので、残クレやローンと、ほとんど同じものになりつつあります。 

 たとえば、オリックスの「いまのりセブン・いまのりナイン」は、個人向けリースですが、7年、あるいは9年後には無償で(しかも車検2年付きで)乗っていた車をもらい受けることができるコースです。

 ようするに7年または9年のローンと同じことなのですが、ローンと違うのは、車検代や税金がすべてこみこみの料金になっていて、月額の定額料金になっているところ(タイヤなど消耗品代をのぞく)です。車検のたびに「車検代が無い〜><」と、お金のやりくりに、あたふたせずにすむのが最大のメリットなのです。

 たとえば、いまのりセブンの7年リースと、銀行のカーローンで7年契約をする場合を比較してみましょう。7年リースの月々21,816円で、これに消耗品代を加えるとトータル約185万円となります。

 一方、銀行カーローン(利子3%)で7年を組むと月々¥16,781ですが、7年間の維持経費(車検・税金・消耗品)はおおむね30万円ほどかかります。これを7年の月々に直すと、約3,600円の追加となり、月々20,414円試算になります。

 この場合総額は、カーリースの1,852,544円に対して、銀行ローンの場合¥1,759,096となり、トータルでは十万円以上銀行ローンの方がお得になっています。

 

リースとローンの比較
いまのりセブン(カーリース)
毎月支払額(84回) 総額
¥21,816 ¥1,832,544
5年間の維持費用(オイル以外の消耗品のみ) ¥20,000
7年後に自分のものにするための総額 ¥1,815,544
ネットDEマイカーローン
毎月支払額(84回) 総額
¥17,309 ¥1,453,956
5年間の維持費用(税金、車検2回ぶん費用、オイル等消耗品) ¥305,140
5年後に自分のものにするための総額 ¥1,758,096
※5年間で必要な消耗品として…オイル、オイルフィルター(エレメント)、タイヤ、ワイパーゴム、バッテリーなどを想定し試算しています。

 リースは銀行ローンにくらべると割高になりますが、定額になるので、車検やメンテナンスのたびにお金のやりくりの心配をしなくてもよいという、便利さがあります。

 またリースサービスによっては、メンテナンスなどについてのフォローが手厚いため、忙しい人やシニア世代にはとても嬉しいメリットになっています。

 なお、リースは、コースによっては、買取ができないものもありますので(例:「5年コースのいまのりくん」など)、よく内容を確かめましょう。

銀行系カーローンで新車購入する

 さて、次に、銀行系のカーローンをみてみましょう。 

 車のローンは信販系、ディーラー系、銀行系とありますが、利子などの点では銀行系がもっとも安くなっています。 

 最近は、銀行系のカーローンも審査もシンプルになってきていますので、たとえば、仕事が正社員で延滞とかない人であれば、ほぼほぼ通ります。もちろん自営業者や非正規雇用の人でも年収や勤続年数などの条件をクリアすれば大丈夫です。

 カーローンは、各大手銀行が展開していますが、地元の信金や農協などでも、かなりお得なプランもありますので、まずはチッェクしてみましょう。ただし、信金や農協では地元に住んでいることが条件の場合もあります。金融機関によって条件はさまざまなので、いくつか調べてみることをおすすめします。注意したいのは、実質年利の他にも保証金などが別途かかる場合もあるので、保証金こみの額かを確認することです。

 カーローンのなかで全国どこでも使えるものとしては、三菱UFJの「ネットDEマイカーローン」が有名です。

 金利は変動制ですが、カーローンとしては、もっとも安い水準に設定されていて、この先も3%前後で推移していくと見てほぼほぼ問題ないでしょう。保証金などが別途かかることはありませんし、保証人を立てる必要もありません。

 「ネットDEマイカーローン」は、頭金やボーナス払いも必須ではありませんので、残クレやリースと同じように、まとまった資金がなくても、月々の支払いだけで、手軽に、新車に乗れます。

 申し込み手続きがやや面倒だということもありますが、基本、来店不要で、ネット申し込みでできますので、トライしてみたいところです。

 もちろんローンの場合は、リースや残クレのような車検こみこみサービスみたいなのがありませんので、諸経費やメンテ代は別になります。しかし、メンテや消耗品など安いものをこまめに探して買うなど工夫すれば、リースで設定されている額よりも、維持費を安く抑えられる可能性が高いです。

 さらに、ローンが、残クレやローンに比べて有利な点は、新車購入時の値引きが可能ということです。新車の場合、値引きできる相場が、本体だけですと3万円〜5万円程度ですが、オプションをつければ10万円ほどの値引きも可能になってきます。

 ここまでみてきたことからも、値引き交渉をして、自分で銀行ローンを組むという方法が、トータルでもっとも安上がりになるといえそうです。

ローンなら値引き可能で最安!
月々払い 維持経費 残価 値引き 総支払額
かえるプラン ¥19,300(3年) ¥134,000 ¥333,300 ¥1,608,251
いまのりセブン ¥21,816(7年) ¥15,000 ¥1,815,554
マイカーローン ¥22,820(5年) ¥163,370 マイナス¥35,000 ¥1,509,750

新車を乗り換える場合に、最もお得な方法は?

 ここまで、「残クレ」「リース」「ローン」のそれぞれについて試算をしてみました。

 最終的に買い取る価格に、維持経費を加えると、お得なのは、「ローン」>「残クレ」>「リース」の順になります。

 ところで、3年や5年で乗り換えを予定している場合は、「残クレ」「リース」の利用では注意が必要です。

 まず一つ目は、3年目や5年目に返却するときに、キズやへこみや走行距離の程度によっては追加料金を逆に払わなくてはならない可能性が生じることです。

 また、「残クレ」や「リース」で設定する残価が、中古車で売れる値段より安すぎる可能性もあります。

 たとえば、残クレでは購入後3年の車の価値を新車価格の50%に設定しています。ハスラーの例なら約60万円となります。ところが、3年落ちのハスラーの中古でも80万円の価格がつく場合があります。もしそうなると、残価を60万に設定している「残クレ」や「リース」では、20万円ぶん損をすることになってしまいます。

 ただし、逆に中古相場3年後に下がってしまう場合もあります。注意したいのは、リースのなかには残価を契約時に設定せず、相場が下がったら残価に足らないぶんを請求されるという悪質なケースもあることです。リース契約を結ぶ場合は必ず残価設定がいくらになっているか?をチェックするようにしましょう。

 このように、もし3年で乗り換えるのなら、3年後の中古相場を予測して、50%以上で売れそうであれば、「残クレ」や「リース」を使わない方がはるかに特になる場合があります。まずは、中古の見積もりを見て、3年後の価格を予測しておいたほうがよいでしょう。

まとめ

頭金無しで新車に乗る方法 はどれがよい?
新車を購入する場合

・頭金無しで新車に乗るには、「残クレ」 「銀行系ローン」「カーリース」の3択。

・総額でもっとも得なのは「銀行系ローン」。ローン手続きや維持管理費用のやりくりが面倒くさくない人向け。

・なにかとおまかせしたい人は割高だが「カーリース」が便利

・5年後に所得が上がる予定の人は、「残クレ」がメリット高い。

・頭金が用意できる人は、迷わず、頭金+銀行カーローンで

新車を乗り換えていく場合

・新車を乗り換えていく場合、だんぜんお得なのは「残クレ」。会社によっては、車検代がゼロになる場合も。

・他メーカの車に乗り換えていくなら「カーリース」も選択肢。カーリースで乗り換え予定なら、かならず「残価設定額」を確認のこと

・3年で乗り換えていく場合、「残クレ」や「リース」を利用するより、自分で中古で販売して、新車に買い換えたほうがお得な可能性もある。

 

 以上、新車購入の手段について検討してみました。

 新車を購入するのであれば、やはり銀行でふつうに3%ほどの金利のカーローンを組むのが、もっともリーズナブルだと思います。

 新車を乗り換える場合は、中古価値が下がりにくい車種であれば、残クレやリースではなく、ふつうに中古で売って、あらためて新車を買うほうがはるかにお得になる場合があります。

 ただし、銀行ローンや中古販売は何かと手間がかかるので、いろいろお任せできる点で「残クレ」も「リース」も活用できると思います。確かに、ローンに比べて多少割高になりますが、軽自動車などですトータルわずか数万円の差です。煩雑な手続きをある程度お任せできるのなら、割高のぶんは時間を買ったと思って、「残クレ」や「リース」を活用しても良いと思います。ただし、高価な車種であればあるほど、「ローン」「残クレ」「リース」のトータル金額の差が大きく出てきますので、支払い方法の選定は、よく考えて、納得のうえで選ぶようにしましょう。

また、残クレの詳細や契約⇒残クレの契約前に絶対チッェクしておくべきことの記事も参照してください。

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