登録車と軽自動車の違いや新車販売台数ランキング。どちらが良い?
2018/05/08
「登録車」という言葉は、ふだんあまり聞きなれないですが、車のことをいろいろ調べていると出てくる言葉ですね。いったい、どういう意味なのでしょうか?
結論から言えば、「登録車」は、いわゆる普通乗用車のこと、つまり、軽自動車ではない白ナンバーの車のことを指しています。
では、登録車と軽自動車は、どうして区別があるのでしょうか? また登録車と軽自動車のそれぞれの有利な点、不利な点について整理してみました。
意外にも大きな差がある登録車と軽自動車。自分にあった車は、登録車でしょうか? それもと軽自動車でしょうか?
登録車と軽自動車の区別がある理由は?
登録車の反対は届出車
そもそも「登録車」という車の区別の仕方は「道路運送車両法」に定められた、車両の分類にもとづいています。
一般的には、普通車、乗用車などと呼ばれている白いナンバーの車が「登録車」です。
それに対して、黄色いナンバーの軽自動車は、「届出車」となります。
つまり、「登録車」の反対語は「未登録車」ではなく、「届出車」になるわけです。
・登録車…普通車・乗用車のこと。白ナンバー
・届出車…軽自動車のこと。排気量660cc以下。黄色ナンバー
・登録車は陸運支局に「登録」。ナンバーに封印
・軽自動車は陸運支局に「届け出」。ナンバー封印は無し。
◎ナンバーの色には、「白」「黄」以外に、運送業者ナンバーとして、登録車「緑」、軽自動車「黒」があります。
さて、「登録車」と「届出車」の違い、つまり普通乗用車と軽自動車の大きな違いは何でしょうか? それは、財産として扱われるかどうか?の違いです。
登録車(普通乗用車)は、個人の「財産」となるため、土地や家の「登記」と同じように、「登録」する必要があります。
一方、軽自動車は、法的には財産ではなく、「ただ使用しています」という意味合いで「届け出」をする制度になっています。
財産であるかどうか?の違いは、具体的には「税金」の違いにつながっています。とうぜんながら、「財産」の方が、税金は高くなります。
登録車と軽自動車の税金の差
登録車と軽自動車の税金の差は、どれくらいあるでしょうか? 車にかかる税金には、自動車税(軽自動車税)、重量税、自動車取得税の3種類がありますが、いちばん大きな差があるのは自動車税(軽自動車税)です。
軽自動車の税率が平成27年(2015年)に値上がりして登録車との差が少し縮まったものの、依然として、軽自動車がかなりお得になっています。登録車と軽自動車の自動車税額の5年間の差は、コンパクトカー・クラス(1000cc〜1500cc)でも10万円前後、いわゆる「3ナンバークラス」になると20万円以上の差になってきます。
税金の面では軽自動車が財布にやさしいことは間違いありません。一方、登録車を持つなら税金の支払い計画をしっかりたてることが必要ですね。
排気量 | 年間の税額 | 5年間の税額 | |
届出車 (軽自動車) |
660ccまで | ¥10,800 | ¥54,000 |
登録車 (普通乗用車) |
1000ccまで | ¥29,500 | ¥147,500 | 1500ccまで | ¥34,500 | ¥172,500 | 2000ccまで | ¥39,500 | ¥197,500 | 2500ccまで | ¥45,000 | ¥225,000 | 3000ccまで | ¥51,000 | ¥255,000 | 3500ccまで | ¥58,000 | ¥290,000 | 4000ccまで | ¥66,500 | ¥332,500 | 4500ccまで | ¥76,500 | ¥382,500 | 6000ccまで | ¥88,000 | ¥440,000 | 6000cc以上 | ¥111,000 | ¥555,000 |
●エコ減税もあり、低燃費車やハイブリッド車は割引、逆に古い車両は割増。
自動車税(軽自動車税)は毎年支払うものですので、この差はかなり大きですね。
また、車検ごとに払う重量税や、車を買ったときに払う自動車取得税でも、登録車にくらべて届出車(軽自動車)のほうがが安く設定されています。
登録車と軽自動車は、今や対等の立場
では、登録車と軽自動車はなぜ税額が違うのでしょうか?
もともと車といえば、登録車が標準的なもので、車は誰でもが所有するものではない「贅沢品」であったため、税金もそれなりの額に設定されていました。
しかし、高度経済成長のなかで、国民全体の自家用車所有率をあげる意味で、税金の安い軽自動車という枠が1969年に新たに設定されたのです。
軽自動車は「庶民でも車に乗れるように」税制優遇する目的で定められた規格とも言えるわけです。
軽自動車は排気量660cc以下の規格ですが、これは日本独自のものです。軽自動車の規格は国内市場だけで通用するものなので、輸出需要は狙えません。ですので、国内でしっかり売れるように、税金も抑えられてきた、という面もあります。
そうしたことから、軽自動車が出始めた当初は、「軽自動車は性能が劣るけれどもお金がかからないから乗る車」というイメージがあり、「軽自動車の黄色ナンバーが恥ずかしい」という印象すらありました。
しかし、現在は、軽自動車の性能が格段にアップしてきたため、かつては若干不安のあった高速走行でさえ、走りや安全性の面でも、ほとんど気にならなくなってきています。
少なくとも街乗りに関しては、登録車と軽自動車の差は、もはや、ほぼ無くなってきているのが実情です。差があるといえば、軽は乗車人数が4人に限られる、ということだけ。排気量の小さい登録車よりも、高機能な軽自動車のほうが価格が高い、という現象すらおきています。
登録車と軽自動車の販売台数ランキング
軽自動車の性能が上がり、登録車と軽自動車が対等の立場になったことは、自動車の販売台数ランキングにもあらわれています。
全自動車のうち約6割が登録車、約4割が軽自動車になっています。
下記の表は、2016年の4月〜9月までの、新車販売台数の統計データーです。(日本自動車販売協会連合会・全国軽自動車協会連合会調べ)
この例では、半年間の新車販売数が103万6千台、そのうち登録車が57万6千台、軽自動車が46万台となっています。
順位 | メーカー | 車種 | 販売台数 | |
1 | トヨタ | プリウス | 136,616 | 登録車 |
2 | ホンダ | NBOX | 85,503 | 軽自動車 |
3 | トヨタ | アクア | 81,826 | 登録車 |
4 | ダイハツ | タント | 70,119 | 軽自動車 |
5 | トヨタ | シエンタ | 62,794 | 登録車 |
6 | ホンダ | フィット | 52,675 | 登録車 |
7 | スズキ | アルト | 45,716 | 軽自動車 |
8 | トヨタ | ヴォクシー | 42,800 | 登録車 |
9 | トヨタ | パッソ | 42,611 | 登録車 |
10 | トヨタ | カローラ | 42,255 | 登録車 |
11 | スズキ | スペーシア | 40,764 | 軽自動車 |
12 | 日産 | ノート | 40,627 | 登録車 |
13 | スズキ | ハスラー | 40,204 | 軽自動車 |
14 | ダイハツ | ムーヴ | 39,757 | 軽自動車 |
15 | ホンダ | N-WGN | 39,435 | 軽自動車 |
16 | ホンダ | ヴェゼル | 37,252 | 登録車 |
17 | トヨタ | ヴィッツ | 36,794 | 登録車 |
18 | スズキ | ワゴンR | 36,778 | 軽自動車 |
19 | ダイハツ | ミラ | 33,667 | 軽自動車 |
20 | ダイハツ | キャスト | 28,660 | 軽自動車 |
登録車vs軽自動車・コストでは軽自動車の勝ち!
登録車と軽自動車は、財産であるかそうでないか?の違いから、税金の額が大きく異なっていますが、それ以外にも維持費がだいぶ違います。
軽自動車の方が、登録車に比べると、燃費、高速代、消耗品代、保険料と、税金以外にもコスト安になることがたくさんあります。
たとえば、登録車と軽自動車の実質燃費の平均値をざっくり比較すると、登録車にくらべ軽自動車が2倍ほど燃費が良いという結果になります。
平均的な燃費は、軽自動車で15km/リッターから25km/リッター、登録車では5km/リッターから15km/リッターになります。
1万km走行する場合のトータルのガソリン代は、登録車(平均燃費10km/L)では約15万円、それに対して軽自動車(平均燃費25km/L)では約半分の7万5千円ですみます。
また、高速代は、たとえば東名高速の東京〜御殿場が、軽自動車では2090円、1300ccの登録車では2570円。軽自動車が登録車に比べて2割ほど安くなっています。
消耗品費のなかで、軽と登録車の差がとくに激しいのは、タイヤです。軽では1本5,000〜10,000円程度、普通車では10,000円〜20,000円です。4本一度に交換した場合は4万円ほどの差がついてきます。
保険料では自賠責が約16%軽自動車が安くなっています。任意保険は契約内容や保険会社によりますが、たとえば36歳の20等級の人の保険見積もり例では、ワゴンRで約25,000円、プリウスで31,000円と軽自動が2割安くなっています。
登録車 | 軽自動車 | ||
燃費 | 平均燃費 | 10km/L | 20km/L |
1万キロあたりの燃料費 | ¥150,000 | ¥75,000 | |
高速代 | 東京〜御殿場の例 | ¥2,570 | ¥2,090 |
消耗品費 | タイヤ代4本交換の例 | ¥60,000 | ¥32,000 |
保険代 | 自賠責 | ¥22,470 | ¥18,980 | 任意保険 | ¥31,400 | ¥24,710 |
長距離・高速・峠道では、登録車の勝ち!
さて、税金(自動車税)をはじめ、燃費、高速代、維持費や保険料などの点で、圧倒的に維持コストがやすい軽自動車ですが、やはり、性能に限界もあります。
1人〜2人、あるいは子ども二人の4人家族とかであれば、街乗りでは登録車にまったくひけをとらない軽自動車ですが、さすがに大人が3人以上になってくると、走行時に重たさを感じます。
社用車(軽自動車)に、男性3人と一緒にお客様のとこ行くってなかなか、きついね(笑)
— まちゃこ@EARTH (@mAchakOlatE) 2016年5月17日
もちろん長距離ドライブでは、やはり登録車にかないません。
高速では安全性の面では、登録車と軽自動車は互角の性能ですが、高速走行では、軽自動車に限界があります。
しかしあれね、高速で4人乗った軽自動車はきついね
— いしーこーき (@iruka2301trek) 2016年6月24日
峠道の対策として、軽自動車にはターボが標準装備されている車種が多いですが、やはりターボでも十分ではありません。
山の中をドライブ。軽自動車は小さくていいけれど、坂道は少しきつい。 pic.twitter.com/ugaruNFRtT
— rurou (@sasuraist) 2016年10月15日
そして、夏場のエアコンなどでは、少し古い車になると、軽自動車は、だいぶ不利になります。
車のエアコンのことについて調べていたら、軽自動車は特にクーラー効かないとのこと。フム。そして走行せず停止していたらなおさら効かない。クーラー効いているから大丈夫でしょ、と夏場に子供を車に放置するのは厳禁ですぞ!
— ウキキ (@wl_o_lw) 2010年7月29日
こうしてみると、やはり登録車の実力が浮き彫りになってきますね。
コンパクトカーでエコカー減税を使えば、登録車もだいぶ経費が落とせます。長距離や大人3名以上で日常使う人は、迷わず登録車に乗るほうがよさそうです。
以上、登録車と軽自動車の違いについてみてきました。
ほんらい車は「登録車」が基本ですが、廉価(れんか)版の登録車として誕生した軽自動車がシェアの4割を占めるようになりました。
経済的に余裕があれば、もちろん登録車が「大は小をかねる」という意味でも便利です。しかし、コストパフォーマンスでは素晴らしいポテンシャルの軽自動車もとても便利。それぞれのメリットとデメリットをよくみて、どちらが自分にあっているか?じっくり考えていきましょう。
また、車購入を検討している方は、
⇒「未使用車購入のメリットデメリット」
⇒「残クレとカーリースどちらがお得?」
の記事にもぜひ目を通してみてください。
それでは、素敵なカーライフを!