打ち上げ花火の仕組み。花火が上がるのは何故? 色が出る仕組みは?

      2018/08/05

花火の仕組み

夏の夜空を豪快な音とともに彩る花火。今年の夏も花火大会をたっぷり楽しみたいですね。

ところで花火はどうやって打ち上がっているのでしょうか? 打ち上がって空中で爆発する仕組みは? さまざまな色が出る仕組みは?

美しい花火が華開く、精巧な仕組みについてみてみましょう。




花火の仕組みの基本は3種類の火薬

打ち上げ花火に使われる火薬には、

  • 打ち上げるための火薬=揚薬(あげやく)
  • 爆発させるための火薬=割薬(わりやく)
  • 色を出すための火薬=(ほし)

の3種類があり、それぞれの火薬が、いろいろな材料やレシピの組み合わせで出来ています。花火業者によっても、秘伝のレシピがあります。

揚薬…うちあげるための黒色火薬。花火の玉の中には入っておらず、打ち上げ筒の中で爆発させる。玉に使う粉火薬ではなく、パワーがある粒火薬でできている。

割薬…花火の玉を上空で爆発させるための火薬。麻灰、硝酸カリウム、過塩素酸カリウムなどが配合されている。

…花火の色を出す火薬。花火の「花びら」一枚に対して、ひとつの星が使われている。星には、酸化剤、可燃剤、炎色剤の3つの素材が使われています。

花火が打ち上がる推進力は?

花火の打ち上げには、「打ち上げ筒」が使われます。打ち上げ筒は、大砲のようのなものです。筒の底に仕込んだ揚薬が爆発して、筒のなかの花火の玉を爆発力で飛び出させます。

花火の玉は「ヒョロロロー」と音を立てたり火花をばちばちさせながら揚がっていくので、花火の玉がロケットのように推進力をもっているように見える時があります。

しかし、打ち上がっていく時の音や火花は、「曻曲導(のぼりきょくどう)」などと呼ばれる演出のための仕掛けで、花火そのもに推進力はありません。

あくまで、打ち上げ筒の中の揚薬の爆発力で、花火玉が飛びす仕組みになっています。

ちなみに、飛び出すスピードは、どれくらいでしょうか?

小さな3号玉で時速170km/h、尺玉(10号)では時速290km/h、2尺玉(20号)では320km/hにもなります。

筒の中の揚薬に点火する方法は、花火職人が火種を放り込む方法から、電気的に制御された導火線で点火する方法など、いくつかの方法があります。花火の大きさやプログラムによって使い分けられます。

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花火が空中で花開く仕組みは?

花火が空中で爆発し花開く仕組みは、花火の玉のなかに仕込まれた、割薬の力によるものです。割薬には導火線つながっていて、導火線には打ち上げと同時に火が着くようになっています。

花火が打ち上がりながら導火線がどんどん短くなり、割薬に火が着くと、爆発(花火用語では「開発」と言います)し、色を出しながら燃える星と呼ばれる火薬が飛び散って、花火となります。

特に日本の花火は球形に開くので、割薬の微妙な配合が重要です。割薬の配合や仕込み方を間違えると、花がいびつなかたちになってしまいます。

綺麗な丸いかたちで花開くのは、花火の玉に割薬を仕込む職人技があるからこそなのです。

花火のいろいろな色が出る仕組みは?

花火の玉の中には、さまざな色に燃えるように火薬を配合した丸い火薬の玉がいくつも仕込まれています。これが「星」と呼ばれるもので、花火の最も大事な部分です。

花火の色は、ストロンチウム、シュウ酸、バリウム、銅、チタン、アルミニウムなどの鉱物を燃やすことで基本色を出します(炎色反応)。さらに、基本色どうしを掛け合わせることで、さまざまな色合いを作っていきます。

色を出すための鉱物は、低温では燃えないため、高温で燃やすための酸化剤や可燃剤も駆使されていて、これらの成分の配合も、とても微妙なものになっています。

また、日本の花火の特徴として、ひとつの星に何種類もの火薬を塗り重ねる「掛け星」という製法があります。「掛け星」の技のおかげで、星が色を変化させながら燃えていく、とても繊細な表現が可能になっているのです。

日本の花火技術のなかでも、とくに星の繊細な表現は、ほんとうに世界に誇れる技術です。ただし、花火の色に関しては、もともと西洋の技術なんです。このことについては→「花火の色の仕組み」の記事も参考にしてみてください。

 

以上、花火の仕組みについて、基本的なことをみてきました。火薬を自在に扱って、芸術的な表現をする、花火師たちの巧みの技に思いを馳せると、花火大会の楽しみも倍増ですね。

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