花火の日本と海外での違いとは? 日本花火の3つの繊細な特徴とは?
2018/08/05
日本の夏の伝統・花火大会の季節です。花火大会は、年一度は足を運びたい風物詩ですよね。最近は猛暑の影響もあって秋の花火大会も増えてきてますが、花火や花火大会が日本が誇る伝統であることに違いありません。
ところで花火は日本だけでなく、世界中にある文化です。日本の花火は、海外の花火とどう違うのでしょうか?
海外の花火の特徴
花火は、中国から火薬の技術とともに世界に広がり、特にイタリア・スペインなどヨーロッパと日本で発展してきました。
日本の花火は、世界の中でも独自の発展を遂げたと言われています。その背景には日本人ならではの繊細な美意識や細かい技などがあります。
海外の花火と日本の特徴を整理していきましょう。
まず、海外の花火の特徴として、演出や色彩があります。
海外の花火技術は、今の日本の花火にも数多く取り入れられています。次のような技術は、もともと海外で発展した花火技術です。
- 1・音楽に合わせた連続発射(スターマインなど)
- 2・カラフルな火薬の発色
いまでこそ、スターマインなどは、日本の花火大会で定番となっていますが、もともと海外で発達した技術なんですね。
日本の花火の特徴
では、日本独自の花火技術には、どんなものがあるでしょうか? 海外から称賛される技術です。
- 1・球形に開く花火
- 2・同芯円状に開く花火
- 3・「星」が途中で色が変わる変わり玉
これらが、日本独自の花火の特徴です。このなかでも2と3は、明治以後に西洋からカラフルな火薬が入って来てから発達した技術なので、言い方をかえれば、日本と西洋の技術のミックスということですね。
特に2の花火の色については、もともと日本には和火と呼ばれる火薬そのものの色(淡いオレンジ色)しかありませんでした。明治になり、鉱物を使って、赤・青・緑・黄などの発色技術が西洋より入り、さまざまな色彩を用いることができるようになりました。
その結果、星の色が途中で変わったり、幾重にも重なった花火が可能となり「八重変芯変化菊」などの表現が可能になったのです。
日本ならではの繊細な花火技術とは?
日本の花火には、日本人ならではの繊細な技術や感覚があらわれています。
たとえば、球形に開く日本独自の花火技術。綺麗な球形に開くためには、寸分の狂いなく、花火の玉に星を並べていく職人技が必要です。もし花火の玉の中に微妙なズレがあった場合、打ち上がった瞬間、大きな誤差となり、かたちが崩れてしまうからです。
星の色が変わる技術でも、繊細な表現が花火に込められています。(「星」についてはこちらの記事⇒『花火の仕組み』)の記事を参照ください。
たとえば、全体にオレンジの和火で花開いた花火が、消える手前に星の色が変化して、さまざまな色の残像だけ残す……といった微妙な表現手法があります。ほんとうに繊細で芸術的な表現をしているのも、日本の花火ならではですね。
近年の花火大会は、ミュージックスターマインなど西洋的な演出が増えて来ていますが、日本花火のもつ繊細さを、じっくり観るように心がけてみましょう。
きっと今まで気づかなかった新たな発見があるはずです。