カエデとモミジの違いと種類。日本の紅葉の主役カエデ類の基礎知識。

      2019/10/24

カエデの種類

 カエデモミジは日本の秋を彩る代表的な樹木です。

 欧米にくらべると、日本には倍以上のカエデの種類があり、それが日本の紅葉が特に美しい理由のひとつになっています。多彩なカエデの種類によって微妙に異なる紅葉の色あいが生まれ、錦織の奥行きの深さをかもしだしているのです。

 この記事では、日本でよくみられるカエデの種類を整理しながら、カエデとモミジの違いについてもまとめてあります。

 日本の秋を語るうえではずせない、カエデと紅葉の基礎知識を確認しておきましょう。

【関連記事】高い山の尾根や山頂では、標高の低いところとは、まったく違った紅葉風景が展開されます。紅葉登山で人気の⇒『ナナカマドやダケカンバの紅葉について』の記事もぜひ参照してください。

カエデとモミジの違いは?

モミジはカエデ類のなかの種類

 カエデの種類の説明に入る前に、まずカエデとモミジの違いについて整理しておきましょう。

 結論をまずいえば、植物の分類上で言えば、「カエデ」しかありません。モミジはあくまでもカエデ属のなかのいくつかの品種につけられた名前です。

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 カエデといえば、手のひらのよう切れ込みが入り分かれた葉っぱの樹木をイメージすると思います。実際、カエデという名前は「カエルの手」が語源になっています。しかし、カエデ類の葉のかたちは、「カエルの手型」だけではありません。実は、三角や五角形に近い形や、ふつうの丸葉まで、さまざまな葉の形をもった種があるのです。

 カエデの手のひらのように葉が分かれているものを裂片(れっぺん)と言います。カエデ類の裂片数は種類によって裂片が3つのものあれば、10以上あるものもあります。

 このように、さまざまな形の葉があるカエデ類ですが、カエデのなかでも、裂片数が5~9くらいで、なおかつ裂片の切れ込みのバランスが良く、手のひらのような美しい形をした葉をもつ種類を、とくにモミジと呼んでいます

 具体的には、

・イロハモミジ
・ヤマモミジ
・オオモミジ

の三種類のことを「もみじ」と指すといっていいでしょう。

 ただし、「モミジ」の種類には、植物の分類学上は、しっかりとした定義はありません。種類としては、すべてカエデ類になります。

カエデとモミジの関係
カエデ類 特にバランスよく美しい裂片と色彩をもつ種 イロハモミジ
ヤマモミジ
オオモミジ
もみじ
そのほかのカエデ イタヤカエデ
ウリカエデ
メグスリノキ
トウカエデ
などなど
かえで
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もともとの「もみじ」の意味は

 ほんらい、古語では、「もみづ」「もみづる」は、葉が赤く色づくという意味の動詞です。「もみ」は、紅を作り出す時に紅花を揉むことから、「紅色」を意味します。それが、紅葉(こうよう)するを指す「もみじ」という名詞になりました。

 ですから、ほんらいの「もみじ」という意味では、

・柿モミジ
・桜もみじ

のように、カエデやモミジに限らず紅葉(こうよう)する葉をあらわす言葉です。

 それがいつしか、カエデ属のなかのモミジ(イロハモミジ・ヤマモミジ・オオモミジ)を指す言葉になったわけです。それだけこのモミジたちの紅葉が色濃く葉のかたちもバランスが取れていて、まさに自然の芸術作品だといえるからでしょう。

▲自然の芸術作品ともいえるモミジ。名実ともに紅葉(こうよう)を代表するもの。

カエデにはどんな種類がある?

 さて、カエデの種類は、日本には自生種が約26種あり、その他にも江戸時代以後品種改良されたものや、植栽や公園で植えられる西洋種などがあります。

 代表的な品種としては、まず、カエデのなかのモミジである、イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジがあげられます。

 カエデの代表としては、モミジよりもやや大柄で切れ込みも浅い、イタヤカエデハウチワカエデ、があります。

 カエデのなかには、ウリカエデ、メグスリノキなど葉がモミジ型でないものもあります。ただ、葉の形はモミジやカエデのイメージとは違いますが、カエデである以上、紅葉は美しく黄色~オレンジ~深紅に染まるものがほとんどです。

 また、中国からの外来種のトウカエデ、北米からの外来種サトウカエデアメリカハナノキも植栽や公園で、紅葉に美しい彩を加えています。

 さらに、カエデには品種改良されたものも多く、とくに茶花や盆栽の素材では、「野村」「青龍」といった品種が好まれます。

 ひとつ注意しておきたいのは、フウのなかまです。フウは漢字ではカエデと同じく「楓」と書きますが、マンサク科の樹木です。葉の形も似て紅葉もするので、モミジやカエデとあわせて、フウが植栽されているこことも多いです。

 では、それぞれの品種について、以下にもう少し詳しくみてみましょう。

日本でみられるカエデの種類一覧

モミジとも呼ばれる代表的なカエデ

イロハモミジ

●別名:イロハカエデ、タカオカエデ 
●学名:Acer palmatum 
●自生地:福島以南本州太平洋側・四国・九州 ●樹高:10-15m
●紅葉の色:黄色~赤
●葉の裂片数:5~9 ●葉の大きさ:4-7cm

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モミジの代表種。イロハモミジ=イロハカエデ。沢沿いや谷間をメインに、各地に自生し、いわゆる名所や公園などでも数多く植栽されています。モミジと言えばこれ、葉を「イロハニホヘト」とかぞえたことから」。紅葉の標本木。紅葉は、黄色~赤。京都の紅葉の名所にちなんで「タカオモミジ」とも。同系列の園芸品種としては『赤字錦』『獅子頭』など

ヤマモミジ

●学名: Acre palmatum var.mastumurae 
●自生地:北海道~本州の青森から石川までの日本海側 ●樹高:5-10m
●紅葉の色:黄色~赤
●葉の裂片数:9 ●葉の大きさ:5-10cm

日本海側の雪の多い地域に。オオモミジの変種とされ、葉のノコギリ状のギザギザがやや深いのが特徴。イロハモミジやオオモミジのことを「ヤマモミジ」と指すこともありますが、それは誤用です。

オオモミジ

●別名:ヒロハモミジ 
●学名:Acer palmatum var. amoenum 
●自生地:北海道本州太平洋側、福井以西の日本海側・四国・九州 ●樹高:5-15m
●紅葉の色:赤
●葉の裂片数:5~9 ●葉の大きさ:7-12cm

イロハモミジよりもやや大ぶり。イロハモミジの着zギザが不規則なのに対して、オオモミジのノコギ歯は規則的にならんでいる。裂は7片が多い。葉は紅と黄色が混ざる。園芸品種に『野村』『大杯』『一行寺』

カエデの代表的な種類

イタヤカエデ

●別名:エンコウカエデ、アサヒカエデ、ナナバケイタヤ、(イタヤモミジ、トキワカエデ、) 
●学名:Acer mono Maxim
 

●自生地:北海道~九州 ●樹高:15-20m
●紅葉の色:オレンジに近い黄色
●葉の裂片数:7~9 ●葉の大きさ:6-14cm

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板屋カエデ。黄葉するカエデの代表。やや赤みをおびた黄色になる。名前の由来は、板の屋根があるかのように木の下に雨が漏らないほど葉が茂ることから。カエデの種類のなかでは唯一葉のふちがノコギリ状にギザギザしていない。森林のなかでは優占種とはならないが、ブナ林の主要構成種であり、状況によっては樹冠部分に達する高層木となっています。春先に採取した樹液を煮詰めてカエデ糖(メイプルシロップ)を作ることもできるのものこの種です。
 イタヤカエデの変種はたくさんあり、種類により裂の数や切れ込みの深さがいろいろあります。オニイタヤ…7裂で切れ込みが浅い、アカイタヤ…5裂で切り込み浅く横に細長、イトマキイタヤ…葉裏に蜜毛がある、エンコウカエデ…切り込みが深く横に長い、他に、ウラゲエンコウカエデ、エゾイタヤとたくさんの亜種があります。

ハウチワカエデ

●別名:メイゲツカエデ、フルムーンメイプル 
●学名:Acer japonicum 
●自生地:北海道~本州 ●樹高:10-15m
●紅葉の色:朱色〜濃いオレンジ
●葉の裂片数:9~11 ●葉の大きさ:7-12cm

羽団扇楓。もっとも葉っぱが大きいかえで、裂片は9〜11と多い。葉の切れ込みは浅く円形に近いのが特徴です。天狗のうちわのかたち。黄色~朱色・濃いオレンジにに紅葉します。北海道では庭木として植えられることが多いのも特徴です。品種によっては粘りけのある樹液を出すもののも。花も大きく2.5cmほどあり、プロペラも大きく開きます。園芸品種がいくつかあり、なかでも『舞孔雀』は独特の葉のかたち。

コハウチワカエデ

●学名:Acer sieboldianum 
●自生地:本州・四国・九州 ●樹高:5-15m
●紅葉の色:黄〜薄いオレンジ
●葉の裂片数:9~11 ●葉の大きさ:4-8cm

小さい葉だが柄は長い。紅葉が美しい。

オオイタヤメイゲツ

●学名:Acer shirasawanum 
●自生地:福島以南~四国 ●樹高:10-20m
●紅葉の色:黄色~赤
●葉の裂片数:9~13 ●葉の大きさ:6-12cm

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大板屋明月。それらしい名前ですが園芸品種ではありません。葉が大きく9~11裂。丸めの葉から明月と呼ばれていますが、形状としてはハウチワカエデとほぼほぼ同じです。ハウチワカエデは毛がはえていますが、オオイタヤメイゲツは無毛なところで区別します。紅葉は黄色や赤

さまざまなカエデの種類

オガラバナ

>●別名:ホザキカエデ 
●学名:Acer ukurunduense 
●自生地:北海道、中部以北、奈良県、四国 ●樹高:5-10m
●紅葉の色:黄色〜オレンジ
●葉の裂片数:5~7 ●葉の大きさ:5-15cm

亜高山性のカエデ。葉裏は白毛。茎がもろく麻のオガラ(中が中空になっている)に似て、初夏に房状の黄色い花を咲かすことに由来する名前。

ミネカエデ

●学名:Acer tschonoskii 
●自生地:北海道、中部以北 ●樹高:3-10m
●紅葉の色:黄色〜オレンジ
●葉の裂片数:7 ●葉の大きさ:8-13cm

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日本アルプスの高山2500m以上に多い亜高山性のかえで。葉は黄色く柄は赤くなる。

コミネカエデ

●学名:Acer micranthum 
●自生地:本州~九州 ●樹高:3-5m
●紅葉の色:黄色〜赤
●葉の裂片数:5 ●葉の大きさ:5−8cm

ブナやミズナラに混じり落葉樹林を構成するモミジ。深めの5裂で中央の3列がとがっている。全体が赤くなるものも多く葉の大きさもこぶりで形のバランスもよいことから、「もみじ」と呼ばれることも。。

ヒナウチワカエデ

●学名:Acer tenuifolium 
●自生地:関東以西・四国・九州 ●樹高:3-5m
●紅葉の色:黄〜オレンジ
●葉の裂片数:11 ●葉の大きさ:8-11cm

深い切れ込みがあり、切れ込みの隙間が窓のように空いている。

カジカエデ

●別名:オニモミジ 
●学名:Acer diabolicum 
●自生地:宮城以南太平洋側~四国・九州 ●樹高:15-20m
●紅葉の色:黄色~赤
●葉の裂片数:3~5 ●葉の大きさ: 6-15cm

葉がゴワゴワして梶の木に似ていることから付けられてなめ、切れ込み少なくメープルのようなイメージのカエデ。実の果実が固く冬中、木についている。

アサノハカエデ

●学名:Acer argutum 
●自生地:福島~四国  ●樹高:5-10m
●紅葉の色:黄色
●葉の裂片数:5~7 ●葉の大きさ:10-15cm

葉脈がへこみ麻の葉のように見える。

テツカエデ

●学名:Acer nipponicum 
●自生地:岩手、秋田以南、四国、九州 ●樹高:8-18m
●紅葉の色:黄色
●葉の裂片数:5~8 ●葉の大きさ:25-30cm

とても大型

モミジ葉ぽくないカエデ類

ウリカエデ

●学名:Acer crataegifolium 
●自生地:福島以南の本州、四国、九州 ●樹高:3-8m
●紅葉の色:黄色〜赤
●葉の裂片数:3 ●葉の大きさ:4-8cm

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山に自生するポピュラーなカエデ。カエデのなかでは葉が小さくいいおう3裂の切り込みがあが、不明瞭でもみじっぽくはないですが、全国の山野に多く自生する標準的なカエデのひとつです。花は黄色。

ハナノキ

●別名:ハナカエデ 
●学名:Acer pycnanthum 
●自生地:岐阜県、長野、愛知の低山湿地のみ ●樹高:15-30m
●紅葉の色:黄色〜赤
●葉の裂片数:3 ●葉の大きさ:4-10 cm

春先に葉よりも先に紅色の花が咲く。岐阜など一部の地域にだけ生息する。紅葉は美しい。ウリカエデ系の葉のかたち。カラコギカエデに似ているがハナノキは葉に裏が白い

カラコギカエデ

●学名:Acer ginnala 
●自生地:北海道、本州、四国、九州 ●樹高:2-5m
●紅葉の色:赤
●葉の裂片数:3 ●葉の大きさ:5-15cm

高原の湿地に生える潅木性のカエデ。裂がはっきりしない葉のかたちで、樹皮が鹿子状にはげている。

ウリハダカエデ

●学名:Acer rufinerve 
●自生地:本州~九州に分布。 ●樹高:小高木
●紅葉の色:黄色〜赤
●葉の裂片数:5角形 ●葉の大きさ:6-15cm

ゆるやかな3裂というかほぼ5角形の葉のカエデ。名前の由来は若い木の枝が緑で甜瓜に似ている。雌雄別株。東北でこけしの材料として使われる。

ホソエカエデ

●別名:ホソエウリカエデ 
●学名:Acer capillipes 
●自生地:福島以南・四国・九州だが西日本は稀 ●樹高:5-15m
●紅葉の色:黄色〜赤
●葉の裂片数:5角形 ●葉の大きさ:7-13cm

ウリハダカエデとほぼ同じだが、柄が赤味を帯びている。

ヒトツバカエデ

●別名:マルバカエデ 
●学名:Acer distylum 
●自生地:本州秋田・岩手以南~近畿東部 ●樹高:10
●紅葉の色:
●葉の裂片数:丸葉 ●葉の大きさ:6-17cm

正真正銘カエデの種類だが切れ込みがない丸葉。関東地方には多く自生。

チドリノキ

●別名:ヤマシバカエデ 
●学名:Acer carpinifolium 
●自生地:岩手以南の本州・四国・九州 ●樹高:5~10m
●紅葉の色:黄色
●葉の裂片数:やや尖ったしずく形の葉 ●葉の大きさ:8-13cm

切り込みのない葉はクマシデによく似ている。翼果の飛ぶ様子が千鳥に見えることにちなみつけられた名前。沢沿いな湿り気が無いところに生えるのはカエデならでは。ほぼ同じようなカエデに「ヒトツバカエデ」がある

メグスリノキ

●別名:チョウジャノキ 
●学名:Acer maximowiczianum 
●自生地:東北南部~九州 ●樹高:10-15m
●紅葉の色:黄色~ピンク
●葉の裂片数:三葉 ●葉の大きさ:5-14cm

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小さな三つの葉がセットになった複葉で、いわゆるモミジやカエデの葉のかたちではありませんが、カエデのなかまで、紅色~褐色に紅葉します。やや湿気のある谷間などに自生するほか、庭木としても。名前の由来は、樹皮や葉を煎じて目薬に利用していた歴史があることです。

ミツデカエデ

●学名:Acer cissifolium 
●自生地:北海道~九州 ●樹高:10m前後
●紅葉の色:黄色~真紅
●葉の裂片数:三葉 ●葉の大きさ:4-8cm

メグスリノキに似たタイプで3枚の複葉ですが、葉がより尖っていて。葉柄が長いことでメグスリノキと区別されます。柄が赤く黄葉します。

外来種のカエデ

トウカエデ

●別名:サンカクカエデ 
●学名:Acer buergerianum 
●自生地:外来種 ●樹高:5-20m
●紅葉の色:黄色~赤
●葉の裂片数:三角 ●葉の大きさ:5-8cm

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中国原産で18世紀に渡来。京都東福寺の通天橋に植えられたことから通天楓とも呼ばれる。三角葉で浅い三裂の切れ込みですが、街路樹などで植わっているものは剪定されているため、裂数が増え、切込みも深くなりカエデらしい葉形になっているものも多く見られます。鮮やかなオレンジから紅色に紅葉。剪定してこじんまりとした樹勢にまとめられることと排気ガスにも比較的強いため街路樹に多様されます。街路樹に植わっているカエデはほとんどトウカエデデス

サトウカエデ

●学名:Acer saccharum 
●自生地:外来種 ●樹高:30~40m
●紅葉の色:黄色~赤
●葉の裂片数:3〜5 ●葉の大きさ:7-15cm

カナダの国旗になっているメープル。メープルシロップや建材。日本のかえでより大型。

アメリカハナノキ

●別名:ベニカエデ 
●学名:Acer rubrum 
●自生地:外来種 ●樹高:10~40m
●紅葉の色:赤
●葉の裂片数:3〜5 ●葉の大きさ:8-10 cm

北米系のカエデで「レッドメープル」と呼ばれる品種。紅葉の紅が深く、植栽に多く植えられています。

ネグンドカエデ

●別名:トネリコバノカエデ 
●学名:Acer negundo 
●自生地:外来種 ●樹高:5-20m
●紅葉の色:黄色~赤
●葉の裂片数:5枚複葉 ●葉の大きさ:4-10 cm

北米系のカエデだが、もみじ葉ではなく5枚複葉。深緑が美しく庭木で人気。

クスノハカエデ

●別名:マミク、マモク 
●学名:Acer oblongum var. itoanum Hayata 
●自生地:沖縄 ●樹高:10
●紅葉の色:紅葉なし
●葉の裂片数:1枚葉 ●葉の大きさ:5cm

沖縄に自生する常緑樹のカエデ種。葉はクスノキのような一枚葉でもちろんで「もみじ度」はゼロのカエデ。

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園芸品種のカエデ・モミジ
野村モミジ 春の新芽が赤紫のモミジ。秋に向け葉色が悪くなり紅葉はしない。
青龍モミジ 江戸時代からある品種。葉の深い切れ込みの特徴が枝垂れモミジ。紅葉は真紅。
珊瑚閣(さんごかく)モミジ 枝が赤くサンゴのよう。紅葉は黄色のみ。
赤七五三 一本の木に葉の裂片3枚、5枚、7枚の葉が同時になる。
大杯(おおさかずき)モミジ 枝が赤くサンゴのよう。紅葉は紅になる
鷸立沢(しぎたつざわ)モミジ ヤマモミジの園芸種。春もみじの代表
カツラモミジ 春はオレンジがかった新芽、夏は緑葉、秋はオレンジの紅葉と、葉色が季節により変化。

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▲春の新芽が赤い野村もみじと桜のコラボ。
カエデ似てるけど違うフウの種類
フウ 台湾原産。マンサク科で中国ごでは「楓(フウ)」と呼ばれているが、カエデとは異なる。オレンジ色に紅葉。
モミジバフウ 北米・中南米原産。カエデの種類によく似ているがマンサク科。樹形はまっすぐとすらりと伸びて街路樹に使われている。大正時代に日本に渡来した。黄色に紅葉

カエデ類の特徴は?

 さて、ここで少し専門的になりますが、カエデ類の植物上の特徴についてもまとめておきましょう。

 カエデ類の特徴としては、葉が対性(たいせい)しています。対性は葉っぱの着き方ですが、枝に葉が左右かわりばんこにつくのが互生(ごせい)、左右並んでつくのが対生(たいせい)です。

 植物のほとんどは互生です、対生する樹木は、よく見かけるところではミカンやアジサイなど約20種属が知れています。案外、対生する樹木は多くないので、植物学上では、カエデの大きな特徴のひとつとなります。

 カエデは、翼果と呼ばれる羽のある種をつけるものが多いことでも知られます。

 また、新緑と同時に赤や黄色の花を咲かせるので、カエデ類の花も、案外見逃せない楽しみになっています。

 そして何より、カエデ類は、一部の例外を除いて、美しく紅葉する、ということです。

 黄色、橙、ピンク、赤、紅と、品種によっても紅葉の色あいはだいぶかわってきます。

 というか、紅葉の色の具合は、葉っぱ一枚ごとのふくまれている糖分の量で変わってきます。そのため、ひとつの枝でもさまざまな色合いの変化があります。

 カエデ類のもうひとつの特徴としては、湿気を好むことから、谷間や沢沿いに多く自生していることです。

 とくに山合いの渓谷は、空気がきれいで気温差も激しいことから、美しく紅葉(こうよう)する条件が整っています。紅葉の名所に渓谷が多いのは、こうした理由もあるわけです。

カエデ類の分類方法

 カエデは以前はカエデ科カエデ属に分類されていましたが、最新の分類ではムクロジ科カエデ属になります。

 これは1998年から採用されているDNA解析にもとづく新しい被子植物の体形APG分類体系に

 ちなみに、ムクロジ属には熱帯果樹のライチやランブータンがふくまれています。カエデとあまりイメージは結びつかないですが、遺伝学的にみると近い仲間になるようです。

カエデとモミジの特産品

 カエデの利用方法としては、メイプルシロップの採取が有名です。もともと北米の先住民が発見したものです。

 メイプルシロップの採取は、春先に木の根に溜まって凍っていたシロップが溶けだして、幹へあがっていく時期を狙って、3月~4月に行われます。

 樹径30cm以上の幹にドリルで穴をあけ、パイプを差し込み、バケツに誘導し、樹液をとります。それを精製してシップに仕上げます。

 日本でも「カエデ糖」として、カエデ類の樹液のシロップ作りは行われてきました。

 現在でも、秩父地方では、地域おこしの一環として、近隣の山のカエデからカエデ糖を取り出し、スイーツ作りに活かして特産品にしています。

●秩父地方のカエデからとったカエデ糖を使ったスイーツ

  

 特産品といえば「もみじ」の葉の商品化に力を入れている愛知県多治見市の活動も見逃せません

 紅葉の赤色は、葉っぱに残された糖分が分解されポリフェノールになることで生まれます。つまり、紅葉の赤はポリフェノールなのですね。(紅葉のメカニズムについては⇒『紅葉の仕組み』の記事も参照してください)

 ポリフェノールといえば抗酸化物質として、体に良いものです。

 その紅葉の効能に注目した「もみじ茶」や「もみじサイダー・もゆるは」は、ぜひチェックしてみたい飲料ですね。

●愛知県多治見市の特産品。

 

 

 以上、カエデの種類や、カエデとモミジの区別について、述べてきました。

 公園や渓谷や山など紅葉の名所を訪れた際は、カエデの種類にもぜひ注目してみましょう。紅葉の楽しみがより奥の深いものになること、うけあいです。

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