針葉樹の名前と種類。これだけは知っておきたい日本の針葉樹の代表種

      2018/09/16

針葉樹

 針葉樹といばマツとスギが有名ですが、その他にも、これだけは知っておきたいという代表種がいくつかあります。

 昔から建材にかかせないクロべやアスナロ、高い山に生育するコメツガやシラビソなどです。

 また最近は庭木にかかせない「コニファー類」も身近な針葉樹ですね。

 この記事では日本の代表的な針葉樹の種類を整理しながら、これだけは名前を知っておきたいという針葉樹についてまとめてあります。なお、広葉樹については⇒『広葉樹の名前と種類の覚え方』の記事を参照してください。

【参考記事】
針葉樹の実といえば松ぼっくり。とても多くの種類があります。松ぼっくりの種類と特徴や拾える場所については、⇒『松ぼっくりの種類と大きさ比べ』の記事も参照ください。

針葉樹の名前の覚え方、ざっくり把握するコツは

 針葉樹は広葉樹にくらべると樹種の数も少なく、生育場所にメリハリがあります。そのため、広葉樹よりは把握しやすい針葉樹の名前と種類は把握しやすいかもしれません。

 ポイントとしてまずおきたいのは、針葉樹というとマツのように針のように尖った葉を想像しますが、モミやヒノキのように、ある程度の幅と厚みをもった葉の針葉樹も多いということです。一見区別がつきにくい針葉樹ですが、案外個性的な葉の形と照らし合わせながら整理すると、イメージがつきやすくなります。

 また、科別の分類では、大きく分けるとヒノキ科とマツ科が代表的な科になりますが、属が違うと樹木の性質もだいぶことなるため、科属にとらわれずに、次のような分類方法で整理していくと、覚えやすくなります。

針葉樹のざっくりとした分類法

・スギ、ヒノキなど建材・材木として有名な針葉樹

・ツガ、シラビソ、モミなど亜高山帯の針葉樹

・マツの種類

・コニファー(庭木としての)

・外来の針葉樹

 この分類の仕方は学術的なものではありませんが、針葉樹を把握するには、とっかかりとして理解しやすい分類方法です。それぞれの分類について以下に詳しくみていきましょう。

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スギ、ヒノキの仲間と木曽五木〜木材・建材に使われる代表的な針葉樹

 針葉樹は広葉樹に比べると、幹がまっすぐ伸びる性質のものが多いため、建材・木材として使われます。なかでもスギ、ヒノキが有名ですが、伝統的な建材としては、「木曽五木」に数えられる種類が定番です。

 木曽五木はヒノキ、アスナロ(ヒバ)、クロベ、サワラ、コウヤマキのことを指します。これらの針葉樹は、木曽地方に多く生育いていましたが、江戸時代になると建築需要の高まりから、急速に伐採が進みました。そのため、乱伐から守るために、当時、木曽の森林を管理していた尾張藩によって無許可伐採が厳しく禁止された樹種です。つまり、乱獲が心配されるほど建材としての需要が高かったということです。

 スギは、戦後の物資不足のなかで、成長が早く建材になる針葉樹として、人工植林が進められて一気に拡大したものです。

▲日本の伝統的な建材ヒノキ。針葉樹とはいえ厚みと柔らかみのあるヒノキの葉。

スギ

ヒノキ科スギ属
●学名:Cryptomeria
●大きさ目安:高さ40m直径2m

 人工林として日本全国に植えられて、日本の森林の18%を占める樹木です。また一方で、屋久島の縄文杉のように樹齢が1000年を超える天然の巨木もあります。スギの天然林は現在、静岡県天城、大佐渡山脈、高知県魚梁瀬、鹿児島県屋久島などに残っていますが、その他、広葉樹の原生林のなかにスギの巨木がポツリとあることも少なくありません。
スギは日本の針葉樹の代表のように思われていますが、ほんらい陽樹であるため極相林(最終的な原生林の形態)を作るスタンダードの樹木ではありません。日本の針葉樹の極相林(原生林)のメインの樹種はシラビソやコメツガです。スギは、日本海側の豪雪地帯や和歌山・屋久島などの記録的な多雨多雪地帯では原生林を作ることがあるというタイプの樹木なのです。
このようにスギはもともとはNO1の針葉樹というわけではなかったのですが、ヒノキよりも成長が早いところが注目されて、戦後の拡大造林の時期に全国に植林されました。いまでは花粉症の元凶に思われていますがスギが悪いわけではありません。スギの人工林の現状と課題については、⇒『スギやヒノキの人工林を広葉樹に戻すのはどこまで進んでいる?』。の記事を参照ください。
 杉の生息場所によってヤクスギ、アキタスギ、アシュウスギ(アシオスギ、芦生杉)などの亜種があります。なお、外来種のナンヨウスギ、ヒマラヤスギ、レバノンスギはスギと名前がつきますがマツ科です。

ヒノキ 檜

ヒノキ科ヒノキ属
●学名:Chamaecyparis obtusa
●大きさ目安:高さ30m直径1.5m

福島以西~屋久島に。最高級の建材になる樹木として知られるヒノキ。かつては日本全国に自生していましたが、寺社仏閣には欠かせない樹木で、建材として伐採されつづけ、今ではほとんどが人工林です。人工林とはいえヒノキ人工林の歴史は古く、森林鉄道が残ることでも有名な木曽赤沢には伊勢神宮の改築用に植栽された樹齢300年のヒノキがあります。ヒノキ科にはヒノキ、サワラ、アスナロ、クロベがあり見分けがつきにくいが、葉の裏の気孔帯のかたちで判別します。ヒノキの気孔帯はY字型。

クロベ 黒檜

ヒノキ科クロベ属
●学名:Thuja standishii
●大きさ目安:高さ30m直径1m

本州~四国、中部アルプス以北にはえる、日本特産の樹木。山地の尾根に生え、クライマーやトレッカーには同じみの樹木です。ネズコとも呼ばれます。木曽五木のひとつであり建材・家具・船材と昔から重宝されてきた樹木です。コニファーとして庭木にされるコノデガシワはクロベと同種で葉っぱもよく似ています。

アスナロ(ヒバ) 習檜

ヒノキ科アスナロ属
●学名:Thujopsis
●大きさ目安:高さ30m直径1m。

本州~九州。東北には変種のヒノキアスナロが生育。ヒノキ科独特の芳香(ヒノキチオール)を最も多く含み、とても腐りにくく虫にも強い樹木。寺社仏閣に多く使われます。葉の裏には、大きく白い気孔帯が放射状に並ぶため、ヒノキと区別しやすいです。庭木にも使われ品種改良もされています。かつては全国に広く自生していた樹木ですが、乱獲のため減ったのではないかと推測されています。たとえば原生林で有名な白神産地もともとは、ブナとヒノキアスナロの混合林だったのが、アスナロが伐採されブナだけが残ったのでは?と推定されています。

サワラ 

ヒノキ属ヒノキ科
●学名:Chamaecyparis pisifera
●大きさ目安:高さ30m直径1m。

岩手から九州に分布するヒノキの一種。葉の裏に見られる気穴帯がW形やX型なので、Y字型のヒノキと区別を付けます。ヒノキに比べやわらかく、家具などの加工品に使われます。

コウヤマキ

コウヤマキ科コウヤマキ属
●学名:Sciadopitys verticillata
●大きさ目安:高さ40直径1m

福島以南~宮崎以北。ヒノキ、サワラ、クロベ(ネズコ)、アスナロとともに木曽五木のひとつとされます。古くから寺社仏閣の建材として使われいます。和歌山の高野山では霊木として多く植栽され独特の荘厳な風景を作っていることでも知られます。

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シラビソ、ツガ、モミ〜亜高山帯の山岳地帯でおなじみの針葉樹

針葉樹といえば、建材になり植林されているスギやヒノキのほうがポピュラーに感じるかもしれませんが、ほんらい自然状態では、モミやツガの仲間が、安定した原生林(極相林)を作る樹木です。

とくに山の1500mから2000m付近の亜高山帯にはオオシラビソやコメツガなどの群落が見られます。登山をしない人にはあまり聞きなれない樹木かもしれませんが、これらの山にはえる針葉樹は、日本の森を代表する樹種ですので、頭に入れておきましょう。

▲北アルプス白馬・栂池のオオシラビソ。山岳地帯に自生するモミ属、ツガ属、トウヒ属の針葉樹はぜひおさえておきたい。

オオシラビソ 大白檜曽

マツ科モミ属
●学名:Abies mariesii
●大きさ目安:高さ20m直径0.6m

 青森~中部アルプスの主に多雪地帯の亜高山帯にはえる山岳地帯を代表する針葉樹です。青森ではアオモリトドマツと呼ばれる。日本の高山の自然林を代表する樹種で山登りをする人にはなじみがある樹木です。とくに雪に強いことから、豪雪地帯で多く見られ、厳冬期は樹氷になりながらも越冬します。シラビソの亜種のような名前ですが、遺伝的には別系統であることが最近わかってきました。とはいえぱっとみはシラビソと同じくモミ系独特の三角錐のバランスのよい樹形です。雪の重みで枝が下向きに伸びるものなど、さまざまな適応力を見せるのもこの木の魅力です。

シラビソ

マツ科モミ属
●学名:Abies veitchii
●大きさ目安:高さ20m直径0.6m

 別名シラベ。福島~紀伊半島の1600m~2400mにはえる亜高山帯に生える。ウラジロモミよりもさらに標高が高いところにはえるのが特徴。オオシラビソよりもやや小ぶりで、どちらかという太平洋側に多い針葉樹です。四国には亜種シコクシラベがあります。

ツガ

マツ科ツガ属
●学名:Tsuga sieboldii
●大きさ目安:高さ30m直径1m。

本州福島県以西の太平洋側、四国、九州に分布。枝は不規則で、モミやスギのような綺麗な円錐形にならないのが特徴。目立たないが広葉樹林のなかにも混じってはえている「ふつうの針葉樹」

コメツガ

マツ科ツガ属
●学名:Tsuga diversifolia
●大きさ目安:高さ25m直径1m

本州中北部~紀伊半島・四国・九州。ツガよりも葉が小さいことからコメツガと呼ばれる。1500m以上の亜高山帯にはえる。オオシラビソとならんで山岳樹木を代表するもの。

モミ 樅

マツ科モミ属
●学名:Abies firma
●大きさ目安:高さ35~40m直径1.5m

秋田・岩手~九州まで。ウラジロモミよりも標高が低いところに生える。比較的成長が早く寿命も150年~200年ほどと針葉樹としては短めの針葉樹。山に生えるモミの仲間としては、標高が低い順に、モミ→ウラジロモミ→シラビソとなります。クリスマスツリーになるのは別種のヨーロッパモミです。大きな分類としては、葉や樹形が似ているツガもトウヒもモミ系といえます。

ウラジロモミ

マツ科モミ属
●学名:Abies homolepis
●大きさ目安:

高さ30~40m直径1m

福島県~中部アルプス、紀伊半島、四国。標高1000~2000mの山に生え、亜高山帯であるシラビソ帯よりは下に群落を作ったりブナ・イヌブナ林に混じってはえる山を代表する針葉樹のひとつです。公園や神社に植えられることもあります。若い樹木がクリスマスツリーに使われます。

トウヒ

マツ科トウヒ属
●学名:Abies homolepis
●大きさ目安:

高さ40m直径1m

北海道、中部アルプス、東北、上越、紀伊半島などの標高1500~2000mの亜高山帯にはえます。もともとは北海道のエゾマツが先にあり、エゾマツが南下してきた変種だと考えられています。日本の亜高山帯ではシラビソ系やツガ系にくらべるとトウヒ系は少数派ですが、北米やヨーロッパアルプスでは主力の樹種です。

ハリモミ

マツ科トウヒ属
●学名:Picea torano
●大きさ目安:高さ35m直径1m

高さ40m直径1m

刃先が針のように尖っているトウヒの一種。トウヒならではのクリスマスツリー型の樹形から「モミ」と呼ばれるが、あくまでトウヒです。富士山麓山中湖湖畔に天然記念物のハリモミ純林があります。

トガサワラ

マツ科トガサワラ属
●学名:Pseudotsuga japonica
●大きさ目安:

高さ30m直径1m

。紀伊半島の大台ケ原や高知の魚梁瀬地方に生育する「生きた化石」的な針葉樹の一種。明治時代に新種と同定された種で、見た目はツガに似て、材木はサワラに煮ることからトガサワラと名付けられています。

アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツetc〜マツと名がつくけどマツ科だけではないので整理

 マツ類の名前や種類の把握の仕方として、エゾマツとトドマツはマツと名がつきますが、エゾマツはトウヒ、トドマツはモミの仲間です。また、カラマツは落葉針葉樹でちょっと特殊な樹木です。

 このことから、いわゆる「マツ」は、大きくわけると、平地や里山にはえるアカマツとクロマツ、山に生えるゴヨウマツやハイマツに分類されます。マツタケのマツはアカマツ、庭木のマツはゴヨウマツが多い、と覚えておきましょう。

▲里山や寺社境内などに多いアカマツは身近な針葉樹だが、カミキリが媒介する線虫によるマツガレ被害の拡大が心配されている。

アカマツ

マツ科マツ属
●学名:Pinus densiflora
●大きさ目安:高さ30m直径1.5m

北海道南部から屋久島まで分布。平地や里山にはえる松。クロマツが海岸沿いに多いのに対して内陸部に多いのがアカマツです。樹皮の色が赤いことからアカマツと呼ばれます。雑木林にも混じってはえるマツで、マツタケが生えるのもアカマツ林です。マツは建材としては真っ直ぐにならないですが、自然な湾曲を利用して、よく家の梁など建材にも使われています。

クロマツ

マツ科マツ属
●学名:Pinus thunbergii
●大きさ目安:高さ40m直径2m

下北半島~沖縄まで分布。海岸沿いや平地に多い松。標高900m付近までなら山にも生えます。アカマツの雌松(メマツ)に対して雄松(オマツ)と呼ばれる。庭木にも用いられて、盆栽風に刈り込まれます。

ゴヨウマツ

マツ科マツ属
●学名:Pinus parviflora
●大きさ目安:高さ30m直径1m

東北から北海道ではキタゴヨウ、その他の地域ではヒメコマツに分類されます。山岳地帯にに生育する日本原産の松。北海道~九州。尾根筋や山腹に生える松。灰色でうろこ状の樹皮は風合いがあり樹木も柔らかいため彫刻材として使われます。植栽すると高さが6〜8mまでしか成長しないため古くから庭木や盆栽のスタンダードの樹種になっています。

ハイマツ 這松

マツ科マツ属
●学名:Pinus pumila
●大きさ目安:高さ1m

北海道から中部アルプスの高山帯に生えるマツ。ゴヨウマツが低木化したもので積雪や強風に耐える特殊な生態系を持っていて、山岳独特の景観を作り出しています。森林限界の最後に生える樹木。低木化したナナカマドやダケカンバとともに美しい秋の山岳風景を作り出します。山岳地帯の植生や紅葉については、⇒「ダケカンバやナナカマドの紅葉」の記事も参照ください。

トドマツ

マツ科モミ属
●学名:Abies sachalinensis
●大きさ目安:高さ15cm

北海道に分布する針葉樹。比較的小さな針葉樹でマツと名がつくがモミの仲間で、樹形や葉もモミによく似ています。葉はモミよりもやや細い。北海道ではトドマツの純林のほか、ダケカンバやミズナラとの針広混合林を作ります。また北海道では植林されていて、建材やパルプに使われます。北海道では街路樹や公園木としてもなじみが深い樹木です。

エゾマツ

マツ科トウヒ属
●学名:Picea jezoensis
●大きさ目安:樹高40m樹径1m

マツという名がつくがトウヒの仲間です。北海道の亜高山帯天然林(針広混合林)のメインの樹木。植林にも使われます。

カラマツ

マツ科カラマツ屬
●学名:Larix kaempferi
●大きさ目安:高さ30m直径1m

宮城・新潟~アルプスにかけ自生、北海道以南各地に植林。別名を落葉松と言い、数少ない落葉針葉樹。カラマツ林では、ダイナミックな新緑と紅葉の風景を楽しめます。

イチイ、カイズカイブキ、ビャクシンなど〜伝統的な庭木の針葉樹

最近は「雑木の庭」ブームなどもあって、庭木には広葉樹が多く見られますが、和風の庭園のシンボルツリーは盆栽風に刈り込んだ、ゴヨウマツやクロマツが定番です。そのほかにも、カイズカイブキやイチイなど伝統的に庭木で使われる樹種があります。以下の樹種をざっくりおさえておきましょう。

▲伝統的な「散らし玉仕立て」に刈り込まれたカイズカイブキ。日本の伝統的な庭づくりでは、ゴヨウマツ、ビャクシン、キャラボク、イヌマキなどの針葉樹が活躍する。

カイズカイブキ(ビャクシン)

ヒノキ科ビャクシン科
●学名:Juniperus chinensis ‘Kaizuka’

ビャクシン(イブキ)の園芸品種で、本州から九州で庭や公園に植栽される。枝が斜めにねじれながら伸びる性質があり、枝が火炎のような樹形になります。針葉樹の庭木の代表種。

ハイビャクシン(ソナレ)

ヒノキ科ビャクシン科
●学名:Juniperus procumbens

もともと壱岐対馬沖の島に生育するイブキ(ビャクシン)が、ソナレとして庭木で植えられています。低木性で地面を覆うように枝がほとんど見えないように育ちます。

キャラボク

イチイ科イチイ属
●学名:Taxus cuspidata var. nana.

秋田~鳥取の日本海側に分布する匍匐性のイチイ。葉が螺旋状につくことからイチイと区別できます。秋には赤い実をつけ食べられるが種は有毒なので注意。

イチイ(オンコ)

イチイ科イチイ属
●学名:Taxus cuspidata

北海道~九州に分布。アララギとも呼ばれる。北海道や東北ではオンコと呼ばれ庭木によく植えられ盆栽風に刈り込まれるています。葉は尖っているが痛くない。

ネズ

ヒノキ科ネズミサシ属
●学名:Juniperus rigida

岩手県以南~九州。高さ10~30m。標高が低い丘陵地帯に生える。葉先が痛いほどに尖っているのが特徴で、ネズミ除けにしたことからネズという名前がつきました。生垣や盆栽として植えられます。

イヌマキ

マキ科マキ属
●学名:Podocarpus macrophyllus

温暖な地域の照葉樹林帯に生える針葉樹。葉が広く、ぱっと見には広葉樹に見えますが、針葉樹です。庭木や防風林に利用されています。盆栽風に刈り込んで仕上げることもある。

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コニファー類〜庭木で大人気の針葉樹の種類は?

庭木の生垣やシンボルツリーとして大人気のコニファー。今では、最も短な針葉樹です。

もともと「コニファー」は針葉樹そのものを指す英語でしたが、庭木用に改良されたヒノキ科の園芸品種の総称となっています。ヒノキの仲間は針葉樹といっても葉っぱが広く肉厚で、トゲトゲした感じはありません。コニファーは黄色やゴールド系の鮮やかなグリーンが映える品種が多く、とくに気にしなければ「針葉樹」というイメージが無いのもコニファー類の特色です。

▲さまざまな風合いのグリーンが楽しめる「コニファー」。各品種をデザインしてコニファーガーデンを作る楽しみ。

ゴールドクレスト

ヒノキ科イトスギ屬
●学名:Cupressus macrocarpa ‘Goldcrest’

樹高1m~10m。しゅっと尖った円筒形で蛍光色に近い色鮮やかな葉をもつ園芸品種。コニファーブームの火付け役となったのがゴールドクレストです。

ニオイヒバ

ヒノキ科クロベ属
●学名:Thuja occidentalis

ちぎるとレモンの香りがする北米原産の針葉樹。ヒバと名がつくがヒバ(=アスナロ)ではなくクロベの仲間。改良種がコニファーとして普及しています。葉は横向きに出るのが特徴。コニファー名は、スマラグド、ヨーロッパゴールドなど。

コノデガシワ

ヒノキ科コノデガシワ属 
●学名:Platycladus orientalis

中国原産のコニファー。葉が縦につき表うらの区別がない。エレガンティシマ、オウゴンコノテなど

オウゴンシノブヒバ

ヒノキ科ヒノキ属
●学名:Chamaecyparis pisfera cv. Plumosa aurea

サワラの園芸品種。日本に古くからある「コニファー」葉先が黄色。ニッコウヒバ、ブルモーサオーレア

オウゴンヒヨクヒバ

ヒノキ科ヒノキ属
●学名:Chamaecyparis pisifera ‘Felifera Aurea’

サワラの園芸品種。日本に古くからある「コニファー」葉先が葉先が細く糸状に垂れる。イトヒバ、フィリフェラオーレア。

レイランドヒノキ

ヒノキ科レイランドヒノキ属
●学名:Cupressus leylandii

モントレートスギとアラスカヒノキの雑種。レイランディ、ゴールドライダーなどの名前でコニファーとして生垣によく利用される。

コロラドビャクシン

ヒノキ科ビャクシン属
●学名:Juniperus scopulorum

北米原産のコニファー。葉裏が青白く、全体に青く見える。ブルーエンジェル、ブルーヘブンなど

メタセコイア、ドイツトウヒ、ナンヨウスギなど外来種の針葉樹

 街路樹・公園木あるいは庭木として、外来の針葉樹はひときは目をひきます。スギと名前がつくけれどもマツのなかまの「レバノンスギ」「ヒマラヤスギ」や、紅葉で有名な落葉針葉樹の「メタセコイア」が有名です。

▲レアな存在「落葉針葉樹」のメタセコイアは、もっともインスタ映えする針葉樹かも。

ヒマラヤスギ

マツ科ヒマラヤスギ属
●学名:Cedrus deodara
●大きさ目安:

ヒマラヤシーダーと呼ばれるヒマラヤ~アフガニスタン原産の松の一種。バランスのとれた大きな円錐形で、豊富な葉が垂れ下がる樹形が美しく、世界でも最も樹勢の美しい樹木とされます。公園に植えられています。

レバノンスギ

マツ科ヒマラヤスギ属
●学名:Cedrus libani
●大きさ目安:

かつてレバノン~シリアなど中近東一帯に自生し、建材や船の材料として古代エジプト、メソポタミア、ギリシャ文明を支えた樹木です。乱獲がたたり今は保護区に残されているだけですが、レバノンの象徴として国旗のデザインにもなっています。

ドイツトウヒ

マツ科トウヒ属
●学名:Picea
●大きさ目安:

ヨーロッパアルプスの主要な樹種ドイツトウヒ(オウシュウトウヒ)が代表種類。日本ではドイツトウヒは園芸品種としてクリスマスツリーで使われています。モミと違って葉の表裏が無いのが特徴。

メタセコイア

ヒノキ科メタセコイア属
●学名:Metasequoia glyptostroboides
●大きさ目安:

中国原産の落葉高木。高さ30m太さ1.5m。カラマツと並ぶ、数少ない落葉針葉樹。黄色~赤くレンガ色に紅葉する。滋賀県高島市のメタセコイア並木は紅葉の名所として有名。

ナンヨウスギ

ナンヨウスギ科ナンヨウスギ属
●学名:Araucariaceae
●大きさ目安:

ナンヨウスギはアジアからオセアニアの熱帯・亜熱帯地域に広く分布するグループです。比較的耐寒性の強い種類はアロウカリアとも言われ、庭木に使われます。ヒマラヤスギ、コウヤマキとともに「世界三大造園木」とも言われています。

モクマオウ

モクマオウ科モクマオウ属
●学名:Casuarinaceae
●大きさ目安:

オーストラリアや太平洋地域に広く自生する針葉樹。日本では沖縄や小笠原で防風林として移入されたものが野生化しています。

針葉樹の特徴。広葉樹との違いは?

 さて、針葉樹の葉の形が、ケヤキやイヌマキやコニファー類のように、必ずしも針のように尖っているものばかりではないことは、ここまで説明してきたとおりです。では、針葉樹とは広葉樹とくらべてどういった特徴を持つ樹木なのでしょうか?

針葉樹の特徴

・裸子植物(球果植物)が多い

・分布が寒いところに多い

・仮導管をもつ

▲ヒマラヤスギの球果は「シダーローズ」と言われバラのように綺麗。針葉樹は松ぼっくりタイプの球果を作るものが多い。

 これらの特徴は、密接に結びついて、針葉樹の特徴になっているので、簡単に見ておきましょう。

 針葉樹は原則「球果植物」に分類され、松ぼっくりタイプの「球果」を作る裸子植物です(キャラボクやナギのように果実をつける針葉樹もあります)。裸子植物は果実を作らない植物で、果実を作る被子植物より古いタイプの植物です。被子植物は果実を鳥や動物が運ぶことで、繁殖力を強め、古いタイプの裸子植物の生育地を奪いながら勢力を拡大してきました。裸子植物は結果的に、寒いところに追いやられ亜寒帯地域で生き残ることになります。裸子植物は寒いところに特化するなかで、寒さに強く、少ない日照量で光合成を効率的に行う針葉樹という葉のかたちになりました。

 また、針葉樹の大きな特徴のひとつは、水分を吸い上げる管が「仮導管」であるという点です。被子植物の多くが持つ導管は水道パイプのような一本の管ですが、仮導管は、縦に長いメッシュ構造のようなものです。水分の吸収効率は導管の方が高いのですが、導管は途中に空気が入ると水を吸わなくなる欠点があります。寒いところでは水が凍結するために気泡ができやすく、結果、導管を持つ作物は寒さに弱くなります。気泡を含みにくく、寒さに強い仮導管を針葉樹は持っているため、寒いところを中心に、生育地域を広げていったわけです。

 このように、広葉樹と針葉樹は、まったく違った植物の系列で、お互い競い合いながら住み分けをしてきた歴史があるわけです。

 ただ、日本では、針葉樹と広葉樹の両方が混じってはえる「混交林」が多く見られます。亜寒帯の北海道でも針葉樹のトドマツ・エゾマツと広葉樹のミズナラ・ダケカンバが混じってはえる混交林になっています。本州でも、モミ、ツガ、イヌブナ、カエデの混交林や、ダケカンバとモミの混交林が各地で見られます。また、広葉樹がメインのブナやミズナラの落葉(夏緑)樹林やシイやカシなどの照葉樹林のなかに、スギやモミなどの巨木がポツポツと生えている風景もよく目にすることができます。

 

 

 以上、日本の針葉樹の特徴についてみてきました。

 針葉樹はマツやスギの人工林だけではなく、亜高山帯で群落を作ったり、混交林として広葉樹と共存したりと、森林のなかでさまざまな表情を見せているのですね。

 なお、樹木の種類については、以下の記事も参照してください。

⇒「広葉樹の種類と名前の覚え方」

⇒「雑木林と里山」

⇒「日本の原生林」

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