台風の動きが反時計回りな理由。北半球で左回りになるのは何故?
2019/08/18
台風は、必ず反時計回りに渦を巻くように動いています。
台風は発達した⇒積乱雲がいくつも集まってできていますが、積乱雲の固まりは、台風の目を中心に、反時計回りに回っています。
台風の動きを見るには気象庁のレーダーの動画がいちばんです。台風が接近していている時に、気象庁のホームページからレーダーの画像を動画で見ると、反時計周りに回っている様子が、手に取るようにわかるので、是非、見てみてください。
さて、このページでは、台風が反時計回りにまわる仕組みを、簡単に見ていきましょう。
【関連記事】
・台風のコースによる変わる風向き。⇒『台風の風向きの大原則とは?』
・TVなどよりも早く確実に詳細な台風情報を手に入れるには⇒『台風の現在位置や進路を気象庁HPで見るコツ』
の記事もぜひ参照してください。
台風を回しているコリオリの力とは
台風は、目を中心にして、ゆっくりと回転しながら、動いていきます。台風は北半球では左回り(反時計回り)に回っています。この動きには地球の自転が関係していて、もし南半球で熱帯低気圧が発生した場合は、反対の時計回りに渦を巻きます。
台風が反時計回りに回転するのは、北半球では「コリオリの力」が働くからです。大気中の風や雲が、地球の自転の影響を受けて、北半球では右寄りに曲がって行くのがコリオリの力です。台風の進路も、コリオリの力によって右寄りに曲がる性質がありますが、台風の回転も、コリオリの力によってできるものなのです。
台風は、中心の目の部分の、最も気圧が低い所に向かって、周囲から風が流れ込んでいきます。その際、風はまっすぐではなく、コリオリの力で、右に曲がりながら吹き込んでいきます。その結果、台風全体を見ると、左回りに回る動きとなります。
……以上のような説明をよく目にすると思います。でも、なんとなくわかるような、わからないような感じですよすね。
そこで、もう少し別の角度から説明してみましょう。
地球の自転が台風を反時計回りにまわす仕組み
下の図のように、台風が北半球にあったとして、台風の南側を1、台風の中心を2、台風の北側を3とします。
地球は反時計回りに自転しています。1、2、3の各ポイントも自転に合わせて動いているわけですが、緯度が低いほど(赤道に近いほど)、速く回る理屈になります。ほんのわずかな差ですが速度は1が早く3は遅くなります。
台風の中心が動くスピードと、南側と北側のそれぞれのスピードを、台風の中心からの視点で比較してみましょう。すると、台風の南側の1は台風の中心より速く動き、北側の3は台風の中心より遅く動くように見えるはずです。
この北と南のスピードの差を、台風の中心から見てみると、台風の南側では、西から東へ動き、台風の北側では、東から西へと動く、ということになります。
南側では西から東、北側では東から西へ力が加わることで、台風は反時計回りに回転します。これが、地球の自転が与える力、すなわちコリオリの力なのです。
地球の自転も台風のエネルギー源
台風は、もの凄い風雨をもたらす自然現象ですが、それだけの風や雨を産み出す「大きなエネルギー」のかたまりとも言えます。
台風は、温かい海水から、水蒸気としてエネルギーを供給しながら発達していきます。
しかし、台風の、あれほどの猛威を振るうエネルギー源は、温かい海水だけでは不十分です。地球が自転するために生じるコリオリの力も、エネルギー源として利用して、台風となっているのです。
台風はコリオリの力によって反時計周りに回転することで、台風が発達するエネルギーを維持しています。つまり、地球の自転で台風が回転する力が働くからこそ、台風という巨大な低気圧が誕生するわけです。
台風は、大気の動きだけではなく、地球の自転までもエネルギー源にして発生して成長していく、壮大な自然現象なのです。こうしてみると、台風は神秘的な自然現象で、地球の一部なんだなぁあということに気づくと思います。
時として人類に災害をもたらす台風ですが、台風に対して、あらためて自然の神秘的な力を感じてみることも必要かもしれませんね。
・台風は必ず反時計回りに回っている(台風の目を中心にして雲が反時計回りに動いている)
・台風の回転は、地球の自転により生じる「コリオリの力」が原因
・台風は回転するからこそ、エネルギーが増大して発達できる。
・台風は地球の一部。神秘的な自然現象といえる。
実際に、台風が接近している時は、下記の記事なども参照して、じゅうぶんに備えてください。
⇒「台風の風向きの原則」
⇒「台風の避難の大原則」
⇒「台風の最新情報を知るには」