台風の避難はどのタイミングで行う? 避難指示や避難勧告に注意。

      2018/09/01

台風による河川氾濫

 台風がなによりも怖いのは、人命や財産にかかわる災害を引き起こすことです。日本の本州では、台風の風そのもの被害は、フィリピンなど熱帯地域などに比べると比較的少ないものです。しかし、台風による土砂災害や高潮災害などで、多くの人命が失われてきています。

 ですので、台風が接近して、記録的な大雨や、地域によって高潮が予測される場合は、生命を守るために避難が必要となります。

 台風時の災害については、決して楽観視することなく、「避難」に積極的になるべきです。また、日頃から台風時の避難について、あらかじめ想定しておくことは、とても重要です。

台風被害の歴史を知ることが、避難判断のひとつの基準

 まず、台風時に避難をするべきかどうか?を判断する前提として、自分が住んでいる地域の過去の台風災害歴について、しっかりとした情報を学ぶことです。

 その地域は、台風で、土砂災害、洪水、高潮などの被害が過去に無かったかどうか? です。特に、地元ではなく新しく引っ越した地域などでは、必ず情報をチェックする必要があります。

 地元の人に聞くのもいいですが、過去に台風災害があった地域では、各自治体で災害リスクを予測するハザードマップが準備されています。自治体のホームページなどからアクセスできるようになっているので、まずはチェックをしておきましょう。

 とくに台風関係での災害では、災害の種類別に、土砂災害警戒情報、河川氾濫の浸水想定区域、高潮の浸水想定区域など、とくに避難や注意が必要な区域などが指定されているので、自分の住む地域が含まれていないか、知ることができます。

 住み慣れた土地でも、この機会に、あらためてハザードマップを確認してみるのも良いと思います。

 ただし、注意したいのは、過去に台風被害が無かったからと言って、避難をしなくても良いわけではない、ということです。台風災害では、過去何十年も被害がないところが、突然、土石流に飲み込まれる例も少なくありません。

 たとえば、2011年の台風12号では、奈良県や和歌山県や三重県の各地で、台風通過後に「深層崩壊」とよばれる大規模な土砂崩れがおき、土石流により多くの人命や家屋が失われました。これらの災害では、「危険箇所」と言われていないところに土石流が押し寄せたばかりではなく、避難所に指定されていた小学校が土石流の被害を受けた例もあったのです。

 前例がないからと言って楽観視せず、災害が起こりうるリスクがある場合は、常に避難を想定する、という心構えが必要です。

 また近年は温暖化の影響で、風速25m以上の暴風を伴った台風の上陸も増えつつありますので、風による被害にも充分な警戒が必要です。台風の風被害については、こちらの記事⇒「台風の強さの基準」も参照してください。

台風の三大被害の避難タイミング

 さて、台風での三大被害は、土砂災害・河川氾濫・高潮といえますが、それぞれについて、「避難」を視野に入れるべきタイミングを、どうやって見はからったらよいでしょうか?

 避難のタイミングの基準のひとつは、なにより、自治体と気象庁が発表する警報などを参考にするべきです。以下の表の情報が発令された場合は、避難を想定した準備が必要です。

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台風の3大被害と避難を準備する目安
災害 避難を準備する目安
土砂災害 大雨警報・土砂災害警戒情報の発表
洪水 指定河川降水予報の発表
高潮 暴風警報および高潮警報の発表

 これらの、情報が発表され、さらに災害リスクが高まると、各自治体から

【避難準備情報】→【避難勧告】→【避難指示】

の順で避難に関する指示が出てきますので、それに従って行動しましょう。

 特に、避難準備情報の段階で、高齢者、障害者、乳幼児などの災害時要配慮者は、先に避難する必要があります。

 台風での災害は、避難行動が遅れると、暴風雨で身動きがとれず避難そのものができなくなる可能性が高いので、特に早めの避難が必要になります。

 避難勧告が出る前でも、自主的に避難することは、恥ずかしいことでも何でもありません。台風災害のリスクが高いと判断される時は、早めの避難にこしたことはありません。

 「隣近所が避難してないから大丈夫」などとは考えず、自分や自分たち家族の状況を冷静に判断し、早目に自主避難する心構えを日頃からもっておきましょう。

 台風の避難などを判断するための詳しい情報は⇒【NHK各地域災害情報】が便利です。台風情報の強さや進路など気象情報については⇒「台風の最新情報の集め方」の記事を参照してください。

身近に潜む台風災害

 さて、住んでいる地域によっては、土砂災害や水害や高潮の被害が無縁に思えるところもあるでしょう。

 しかし、そういう避難を必要としない地域だからといって、決して油断してはいけません。

 台風時の事故でいちばん多いのは、「用水路や側溝やマンホールなどに落ち流される」というものです。

 一時的な増水や大雨で、道が川のようになっていて、用水路と道の区別がつかなかったり、マンホールが浮き上がり穴が空いている場合が多々あります。

 日頃は水も流れていないような小さな用水路でも台風時には濁流となります。台風時の突風でふらいついて足元をすくわれたら、用水路の濁流に飲み込まれて助からないケースになることも少なくありません。

 また台風の暴風域(風速25m/s以上)に入った場合は、看板や屋根など重たいものが風で飛んでくるほどの風となります。台風の強さによっては、電柱が倒れたり車が転覆したりします。

 こうしたリスクを避けるためには、なにより、台風時の外出を控えることです。

 「様子を見て来る」と言って、暴風域接近中に外に出かけるのが、最も危険な行為であることを、しっかりと認識しましょう。必要な対策は早めに終らせて、まずは「自宅に避難する」という考え方で台風に備えるべきです。

 

 

 以上、台風で避難するケースや、身近に潜む危険について述べました。

 台風時に適切な行動がとれるよう、地域の災害情報や防災情報を日頃からしっかりと確認しておくようにしましょう。

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