新車が半額!残価設定ローンで得するのはこんな人【契約前に必読!】
2018/02/27
新車が半額!! という宣伝。どういう意味?!って疑問に思っちゃいますよね。
実は、これには、新車が半額で「買える」ばあいと新車に半額で「乗れる」ばあいの2種類があります。
新車半額は、とりあえず安く新車に乗れる点ではメリットがありますが、注意が必要で、人によっては損をしてしまうこともあります。
この記事では、「新車半額」を検討する場合に、かならず知っておくべき新車半額のシステムと、契約する前に必ずチェックしておきたいポイントについてまとめています。
ほんとうに新車が半額で買える、唯一のセールは?
まず、新車半額といった場合にふつうは「新車に半額で乗れる」を意味しているのですが、ごくまれに、「買える」があります。ほんとうに新車を半額で販売しているセールがあるのです。
ホンモノの新車半額セールとして有名なのは、年に4回ほど開催される楽天スーパーセールのなかで展開されるものです。
新車専門店!新車選び.COMやちいさなクルマ専門店ウイウイ練馬などと言った楽天内のショップが、ほんとうに半額で(諸経費別)新車を販売しています。
ただし、全部で十数台だけですので、宝くじなみ(?)の高競争率です。セール開始の午前0時ぴったりに購入ボタンをクリックして、運が良ければ半額新車が買えます。たいていの場合はお店までつながりません。その瞬間に、おそらく何十万人がアクセスしているので、ほんとうに運が良ければ買えるという感じだと思います。それでも、トライしなければまず絶対に当たらないので、次回の楽天スーパーセールを逃さず、チェックする価値はあるでしょう。
ネットショップでの販売ですので、納車までには陸送費用などがかかりますが、なにしろ半額です。乗りたい車が半額で売っていたら、とにかくダメもとで購入ボタンをクリックしてみましょう。
「新車半額」で乗れるのは嘘ではないけれど・・・
新車が半額で「借りられる」というハナシ
さて、今日の本題は、「新車半額で乗れる」ほうについてです。
TVのCMで「新車半額」の文字が流れていたり、街角のカーショップやディーラー販売店で、「新車半額」ののぼりが立っているやつです。これらは、すべて「買える」ではなく「新車に半額で乗れる」という意味です。
「新車半額」は、残価設定ローン(通称「残クレ」)というローンの仕組みを使った販売方法です。
新車半額ぶんの金額を分割で支払えば3年間のあいだは、新車に乗れますよ! というものです。
これは、販売というよりは、新車貸出サービスだと考えるほうが近いですね。
3年間の長期レンタル、つまり「リースのようなもの」が、新車半額の正体だというわけです。3年間のリース料が、新車価格の約半分の値段に設定されているのです。
これが、安いか高いか? そこをどう判断していったらいいのか? みてみましょう。
新車が半額の正体・残価設定ローンの仕組み
新車が半額で乗れるサービスは、オニキス、カーベル、ジョイカルなどの車販売店と、各メーカーの販売店(ディーラー)で展開されています。
いずれの販売店でも、残価設定ローン(通称「残クレ」)を利用しています。
メーカーやショップごとに、いろいろなサービス名や商品名が付けられていますが、中身はすべて、「残価設定ローン(通称「残クレ」)」です。
残価設定ローンを利用した新車半額のシステムは次のようになっています。
1 3年後の車の価値=残価を、50%に設定する
2 3年間新車価格の50%だけをローンで払う(利子は1.9%〜3.9%)
3 3年後に
A「新車に乗り換え」
B「返却」
C「買い取る」
の3つのコースから選ぶ。
4「新車に乗り換え」の場合、3年目の車検の前に乗り換えることができるため、乗り換え続ければ、車検費用が永遠にかからない(税金はかかる)
5「返却」の場合、残価(=3年後の中古下取り価格と同じ意味)を評価して、もし下取り相場が60%とかだったら、差額ぶんをキャッシュバック。逆に、傷や汚損などで50%以下に価値が下がれば、追加料金を支払う。
6「買い取る」場合は、残価ぶんの金額(まだ払っていない50%)を一括支払いまたは再クレジットで買い取る。買い取りの場合は、まんがいち傷や汚損などで価値が下がっても追加料金は無し。(残価ぶんは一括支払いのみで再クレジットできないケースもあるので注意)
・・・というシステムになっています。とりあえずは、新車の半額ぶんを3年分割で払いながらのって、後は、返却するか、買い取るかになります。つまり半額で3年借りて乗る仕組みなのです。
新車半額とはいえ、しょせんはローンなので利子がかかる
このシステムがお得なのか? 損なのか? ぱっとみよくわかりませんが、結論をいえば、トータルの支払額をみた場合は、3%年利の銀行カーローンのほうが、安くなります。
たとえば120万円の軽の新車があるとします。これを3年の残価設定ローンで、3年後の残価を50%の60万円に設定します。
そうすると、3年間の月々の支払い額は20,167円になります。3年間の間のトータルの支払い総額は¥726,012円になります。
この時点で、半額だけ払うつもりが、利子もかかってくるので約2割り増しの72万円になっています。新車価格のうち払ったのは半分だけで、半分はまだ未払いなのですけどね。
ですので、新車半額とはいえ、結局、利子も払っているので半額以上払うことになります。
下取り価格が高い車なら、残価を60%とかに設定し、3年間の月割りの合計が利子を含めて新車の半額(この例では60万円)におさまるように設定しているケースもあるかもしれません。
いずれにせよ、「新車半額」とはいえ、ただのローンの一種ですので、それなりの利子がかかってくることを、まずは理解してください。
(残価設定ローンと通常の銀行ローンの比較については⇒新車購入の最適手段は?残クレ・リース・ローンを徹底比較の記事でもより具体的に説明しています)
残価設定ローン損か得か?は、3年後の方針しだい
さて、このシステムのポイントは、3年後にどういう選択をとるかによって、得か損か?がかわってくることです。「買い取り」「乗り換え」「返却」それぞれの場合についてみていきましょう。
3年後に一括で買い取る前提なら、残価設定ローンは、それなりにメリットがある
まず、3年後に残金を払って買い取るケースをみてみましょう。
新車に乗りながら月々20,167円を支払い、さらに、3年後に残金の60万円を一括で支払って買い取るのであれば、支払い総額は約130万5千円となります。
一方、3%の銀行カーロンを5年で頭金ボーナス払い無しで組む場合なら、5年間の月々の支払い額は21,549円、支払い総額は約129万2千円となります。総額は3年の残価設定ローンとほぼ変わらないのですが、月々の支払いは残価設定ローンのほうがやや安くなっています。
このように、買取を前提として残価設定ローンを組むのであれば、月々の支払いを少し抑えられるメリットがあります。ただし、残金を一括で払った場合に限ります。残金を再クレジットしてしまうと、ただのローンより割高になりますので、はじめから、ふつうのローンを組めばよかった、ということになります。あくまで、残金一括で払うからメリットとなるのです。
つまり、今はまとまったお金はないけれど、3年後には昇給やボーナスを貯めることによって、残価をまとめて払える、そんな場合には、残価設定ローンは、大きなメリットがあるわけです。
残価設定ローンで新車に乗り換えるのが得か損か?は価値観しだい
買い取りの場合は、一定のメリットがある残価設定ローン。しかし、乗り換えの場合は、はたしてどうなのでしょうか?
乗り換える場合は、いちど返してから次の新車を改めて残価設定ローンで契約することになります。
3年間、半額だけ払って乗って、返却して、次の新車に替えてまた3年間新車半額料金を払います。返すのが前提ですので、新車を半額で借りているわけです。
ようするに新車半額の意味は、3年間、新車を新車価格の半額出して借りる、という意味なのです。
長期間車を借りる方法にリースがあります。たとえばコスモ石油の個人向けカーリース「コスモスマートビークル」で120万の新車のリースを組めば月額約22,500円かかります。こちらには税金などの諸経費込みなので、残価設定ローンの3年コースと、ほぼほぼ同じ額になります。
つまり、120万円の新車を3年間借りるのに月2万円ちょい払うのは、だいたい相場だということになります。
ただ、この相場が高いのか?安いのか?は、個人の価値観の問題になってきます。
お得感だけを考えるのであれば、ただ借りるのに月2万円は高いですよね。
どうせ月2万円出すのであれば、3年後にもうあと2年間月2万のローンを続ければ、そのまま購入できてしまうわけです。ローン完済した5年後に中古車として売り払っても、状態がよければ20%〜30%の下取り価格は付くものです。人気車で走行距離が少なければ5年おちでも45%とかになる可能性もあります。
新車に乗り換えるなら、ただ3年間借りるのではなく、5年かけてでも買い取ってから、中古で転売し、それを頭金にして、次の新車のローンを組む、というやり方がもっともお得になります。自分で中古転売するのがめんどうであれば、少し買取価格は下がりますが、新車を買う販売店で下取りに出せば良い、ですよね。いずれにせよ、5年で新車に乗り換えるなら残価設定ローンのお世話になる必要はありません。
つまり、新車に乗り換えたいなら、5年かけて買いとってから、下取りに出して乗り換える、というパターンのほうが、だんぜんお得、ということです。
一方、3年で半額で乗って「乗り換え」という仕組みには、お得感はありませんね。この場合、「下取り」ではなく、あくまで「返却」が前提になりますので、3年間借りるのに新車価格の半額+利子を払うのは、安くない、といわざるをえません。
ただ、3年で乗り換えることにお得感がひとつだけあります。それは、車検が無料になることです。乗り換えは3年目の、車検の前にできますので、車検を受けずに新車に乗り換えることができます。新車の3年間は標準でメーカー保証もついていますので、3年で新車を乗り換えつづけても、メンテナンス経費の負担はほぼゼロです。
それを考えれば、車が趣味で、いろいろな新車に次々と乗りたい!という人にとっては、3年の乗り換えプランは、とてもお得、ということになります。
「新車で半額に乗れる!」という呼びかけは、まさに、趣味で車に乗りまくりたい人に向けられているわけです。
逆に言えば、どうしても常に新車にのっていたいという強い意思のある人でない限り、残価設定ローンの「新車乗り換え」をするメリットは無いと思います。
お得感を求めている人にとっては、「新車半額」はあまり意味が無いことだ、ということになりますね。
残価設定ローンで3年で返却することにメリットは無し!
さて、もうひとつ、3年後に返却するコースについて、みてみましょう。
「乗り換え」の場合は、3年目の車検の前に乗り換えができるため、車検費用がかからないというメリットがあります。(税金はかかります)
ですので、新車に乗り続けることに価値を感じる人は、残価設定ローンを活かして、車検フリーで新車に乗り続ければ良いと思います。
しかし、3年半額ぶんを支払ったのちに「返却する」ことは、あまりにもメリットがなさすぎるので、おすすめできません。
新車半額プランで「返却」する場合、もし残価を上わまるような良い状態ならキャッシュバックが得られます。これが魅力的に思えるかもしれませんが、ここは冷静な分析が必要です。
実は、キャッシュバックの幅は、3年後の中古下取り価格の相場などから決まってきます。とりあえず50%の残価設定をしてローンをくんだが、実際は3年後にどれくらいの市場価値なるのか? ぴったり50%にはならない、というのが現実です。
もし、残価60万円で設定していたとして、3年後の下取り相場が80万円だとしたら、返却するなら20万円ぶんキャッシュバックがあってしかるべきです。しかし、実際にどれだけキャッシュバックするか・・・それは販売店のさじかけげんひとつです。きちんとキャッシュバックしてもらえるかどうか?は販売店次第になります。
また、ディーラー系の残価設定ローンでは、あらかじめ返却の場合のキャッシュバック額が1万円〜3万円などと固定で設定されているものもあります。
3年後の中古相場が低くなっていれば得ですが、逆に3年後に下取り価格の相場が新車の60%〜70%などというケースもあります。その場合は、固定のキャッシュバックだと、まるまる損をすることになります。
ですので、返却時のキャッシュバックというのは、あまり期待できるものでもないし、得をするものではないということをしっかり認識しておきましょう。
一番良いのはきちんと買い取った後に、中古車査定に出したり下取りすることです。人気車を綺麗に乗っていれば、3年落ちの下取り価格はふつうに70%とかになりますので、あらかじめ3年後の残価を50%で設定していることが、損だということに気づくでしょう。
このことから、「返却」を前提とした残価設定ローンの利用は、まったくメリットが無い、ということを肝に銘じておきましょう。
3年だけどうしても車が必要だ、という場合は、中古車のリースなどが安く利用できるので、そちらをお勧めします。
返却&乗り換え時のペナルティー
返却と乗り換えのときは、必ず「残価」の評価をすることになりますが、その基準は、とても曖昧です。ですので「残価の評価」や取り扱いをめぐって、トラブルに発展することも少なくありません。
まず、注意したいのは、返却と乗り換えの場合は、3年後に、「走行距離」と「傷や汚損」などがチェックさるることです。規定値をオーバーしていると、追加料金を支払わなければなりません。これは、必ず契約前に、どういう基準で幾らくらいの追加料金になるのか? 必ず確認する必要があります。
傷やヘコみを作ったり、内装を汚してしまう人は、どの程度の傷や汚れまでなら規定以下なのか、必ず把握しておきましょう。また、内装外装ともに綺麗に乗る自信が無い人は、買取り前提以外では残価設定ローンを利用しないほうがよいわけです。
また、これは残価設定ローンに限ったことではありませんが、大きな事故などによる修復は自己負担となりますので、ローンを組む場合は、必ず車両保険をふくむ任意保険に加入してください。
車両保険に入っていないと、まんがいち事故った場合、ローンの支払いとは別に多額の弁償金も請求されることになります。大きな事故に巻き込まれた場合は、自分に過失がなくても、車は無くなりローンの支払いだけが残るという最悪の事態になりかねません。ですので、ローンをくむなら車両保険は必須です。
「新車半額」の残価設定ローンが向いている人・向いていない人
残価設定ローンでメリットがある人
ここまでみてきたことを整理してみましょう、残価設定ローンにメリットがある人は次の2タイプの人のみになります
●【乗り換え前提で利用】どうしても新車に3年間で乗り換えていきたい人
●【買取り前提で利用】今はまとまったお金がないが3年後にはできるので後に多く払いたいという人
残価設定ローンで損をしそうな人
上記の2タイプ以外の人は、残価設定ローンを使うと、どちらかというと損をすると思います。
残価設定ローンよりはるかにお得な方法には、以下の方法がありますので、まず、そちらから検討するべきでしょう。
●新車に乗り換えるにしても、5年ローンで買取り、その後、下取りして5年後に新車に交換。
●もっとも安く購入するには、現金一括、または頭金を入れた、ふつうの銀行カーローン。
●頭金なしの銀行ローンもできる。月々の支払い額やトータル額は、残価設定ローンで買い取る方法と、おおむね同じになる。
●3年間だけ車が乗りたい人は中古車リースで充分
どうしても残価設定ローンを組む場合の注意点
向いていない人には「うーんちょっと・・・」という感じのする「新車半額システム」ですが、残価設定ローンのメリットがある人にとっては、なかなか悪くない仕組みです。メリットがある人は、積極的に「新車半額システム」を利用しましょう。
ただし、契約をする前に、必ず以下のポイントは確認して、理解・納得し、そのうえで契約をするようにしましょう。
同じメーカーのディーラーや、同じチェーン店でも、販売店ごとに細かい設定が違っていますので、必ず、検討している販売店の営業と、契約内容について細かく打ち合わせをするようにしましょう。
1・月々の支払いはいくらになるのか?
2・新車時の諸経費(税金・自賠責)などもローンに組み込めるか?
3・メーカー保証(修理・メンテ)の範囲と消耗品の負担範囲
4・残価がいくらに設定しての契約になるのか?
5・残価額の保証はあるか?(残価額の保証が無ければ、下取り相場が下がったら、差額を請求される可能性あり)
6・3年目の車検の前に乗り換えや返却が可能か?
7・3年後の走行距離数は?…乗り換え・返却時の条件でオーバーすると加算される。
8・3年後の傷や汚れの評価基準…明確な評価基準はあるか? 免責範囲はどれくらいか?(どれくらいの傷までなら無償か?)
9・追加料金の上限などあらかじめとりきめがあるか?
10・残価をあらかじめ設定しない契約方法もあるが、そういう契約内容なら話にのらないほうが無難
上記のチェックポイントに対して、販売店の担当者が、はぐらかしてきたり、明確に回答がないような場合は、新車半額はやめておきましょう。
ふつうの銀行系ローンを組んで、乗り換える時は下取りのほうが、お得なことが多いですしね。
以上、残価設定ローンについてみてみましたが、「新車が半額」という話とは少しズレてしまいましたね。
というか、そもそも、「新車が半額」というのはイメージにすぎなくて、実際には、あくまで上で述べたように「新車が購入価格の半額で3年間借りれる!」というだけの話だということです。
もちろん、メリットを感じられる人もいるはずなので、そのへんを充分に理解したうえで、契約内容をひとつひとつチェックしながら、できるだけ慎重に契約をするようにしましょう!
新車購入の方法については、こちらの記事⇒新車購入の最適手段は?残クレ・リース・ローンを徹底比較でもより具体的に述べていますので、ぜひ参照してください。
また、新車を買うときに、あわせて検討したい「未使用車」について、「未使用車の諸経費。ほんとうにお得?」の記事に詳しくのべています。