高山祭と紅葉。飛騨高山で祭りと紅葉の両方を楽しむ日程とプランは?
2016/09/24
高山祭りは日本三大美祭り日本三大曳山祭のひとつに数えられる、とても美しい山車行事のお祭りです。高山祭りでは山車(だし)のことを「屋台(やたい)」と呼びます。
高山祭りは、春は日枝神社、秋は櫻山八幡宮の祭りがあり、どちらも美しい屋台と、からくり奉納が観客を魅了します。春秋の祭りはあわせて「高山祭り」と呼ばれています。
秋の高山祭り(八幡祭・はちまんまつり)は毎年10月9日、10日に開催されます。見どころである、屋台引き回しや宵祭りは9日だけのメニューになります。
この記事では高山祭りの屋台の日程や見どころについてお伝えし、さらに高山祭と紅葉を組み合わせた旅プランを提案しています。
高山祭りは飛騨の匠の技が結集した山車行事
岐阜県・高山の町は山に挟まれた小さな町で、古くから林業と木工の町として知られています。
とくに木工の技術では「飛騨の匠(たくみ)」と呼ばれる、職人技が昔から伝統的に伝えられてきました。奈良〜平安時代には、飛騨の人たちは、税のかわりに大工として都に行き、寺社の造営にたずさわりました。
また江戸時代に作られた日光東照宮の陽明門(ようめいもん)は木造建築の最高峰と称されますが、眠りネコの作者である左甚五郎をはじめ、多くの飛騨の匠が陽明門の造営にたずさわったと言われています。
また、林業が盛んで豊富な森林資源があったことから、江戸時代は幕府の直轄地(天領)とされていました。江戸の文化の影響も受けた高山の古い街並は、今でもその景観を残しています。
高山祭の見どころである「屋台」や「からくり」は、飛騨の匠の技術が結集されたものです。江戸時代中期に飛騨の名工たちが競って屋台を造りあげ、最高峰の木工技術で「動く陽明門」と賞賛されました。
さらに、江戸の後期には、谷口与鹿(よろく)という天才職人が出て、信じられないような技術の木工彫刻を屋台に残しています。
また、高山の屋台は、3階立てのような構造で、2階3階は伸び縮みするようになっています。この仕組みは、江戸式の山車独特の構造で、江戸城に入場する際、門をくぐれるように作られた仕組みだと言われています。埼玉県の小江戸・川越祭りの山車と同じように、江戸の天下祭りの流れをひく山車なのです。(天下祭りや江戸式の山車については、こちらの記事⇒「小江戸・川越祭りの見どころ」も参照してください。)
以上のように、高山祭の屋台は、飛騨の匠の技が隅々までほどこされた、美しい芸術作品なのです。
高山祭りの見どころ
美しい木工の技をたっぷり味わえる、秋の高山祭は、次のような見どころがあります。5つの見どころは、どれも見逃したくないものです。5つのメニューを観るには10月9日に一泊する必要がありますが、もちろん泊まりがけで観に行く価値は充分ありです。
●御神幸…数百名の行列がお囃子や雅楽を奏でながら神輿とともに町をまわります。
●からくり奉納…櫻山八幡宮の境内で行われます。あやつり人形が「うんてい」にぶら下がって渡るという、信じられないからくり人形が観られます。開始時間の30分以上前には場所とりが必要です。
●屋台曳き揃え…屋台11台が、八幡宮の参道に勢揃いします。11台がそれぞれの個性をもった屋台で、間近で彫刻などを観ることができます。
●屋台曳き廻し…屋台4台が、高山の町の中を曳かれます。屋台の曳き回しは秋の高山祭だけの行事です。
●宵祭…ちょうちんをつけた屋台が、昼間とはまた違った表情を見せてくれます。高山の古い街並を練り歩き、最後に伝統の曳き別れ歌「高い山」が歌われます。終わりは21時頃ですが、その頃になると若干混雑も緩和されるので、必ず、最後まで観るようにしましょう。
9日 | 屋台曳き揃え | 9時〜16時 |
からくり奉納 | 12時〜12時20分 | |
御神幸 | 13時〜15時 | |
屋台曳き回し | 13時30分〜16時 | |
からくり奉納 | 15時〜15時20分 | |
宵祭り | 18時〜21時 | |
10日 | 御神幸 | 8時30分〜11時30分 |
屋台曳き揃え | 9時〜16時 | |
からくり奉納 | 11時〜11時20分 | |
からくり奉納 | 13時〜13時20分 | |
御神幸 | 13時30分〜16時 |
以上、バリエーション豊で、一日中楽しめてしまう、秋の高山祭りです。もちろん夜まで楽しめるように、10月9日に一泊して、飛騨の匠の技を満喫してください。
高山祭りの時期に紅葉しているのは?
さて、ここからは、せっかく秋の高山まで来たら、「紅葉」なんかも楽しんでしまおう!と考えている方へのアドバイスです。
高山の紅葉の名所といえば、「せせらぎ街道」全国的にも名高いのですが、残念ながら、高山祭りの頃は、まだ「せせらぎ街道」の紅葉ははじまっていません。
そこで、より標高の高いところを目指しましょう。
この時期のおすすめは、「乗鞍スカイライン」。乗鞍スカイラインは、日本一高い自動車道で終点畳平の標高は2,702m。まさに天空の道です。
環境保護のためマイカーは走行できず、バスかタクシーのみになります。
高山から、45分ほどで、ほおのき平スキー場または、平湯温泉まで行き、そこから乗鞍スカイライン専用のシャトルバスで畳平まで行くことができます。
もうひとつのプランは「新穂高ロープウェイ」。日本唯一の2階建てロープウェイで、雲上の絶景を楽しめます。第2ロープウェイの終着・西穂高口駅(標高2,156m)にある千石園地で見頃の紅葉を観ることができます。
高山祭りのタイミングで、紅葉を観るには、上記で紹介したプランが高山市内からのアクセスもよく、是非セットで観ることをおすすめします。
なお、紅葉の見頃はあくまで例年の基準です。温暖化の影響で紅葉時期が遅くなっているとも言われていますので、高山の観光協会などに確認をしてみてください。
以上、飛騨の匠の技を堪能できる高山祭りと、足を伸ばして紅葉を観に行くプランを紹介しました。
もちろん、高山祭りだけでも充分見応えあり、行く価値ありますよ。
今年の秋は、ぜひ、高山で、美しいものを観て、心の洗濯をしましょう。