萩の花の種類。ヤマハギ、ミヤギノハギ、ニシキハギなど17種の特徴

   

萩の種類

 萩(ハギ)は、マメ科ハギ属の総称で、枝垂れた枝に可憐な紫~白の花をたくさんつける、秋の花木です。

 都会では、庭木や寺院の境内などで見られるハギですが、もともと荒れ地や里山に生える、生命力の強い植物です。

 この記事では、代表的なハギの種類や、植物としての性質について、知っておきたい基礎的なことをまとめてみました。

 なお、あわせて⇒「ハギの名所と伝統」の記事もご覧ください。

ハギの代表的な種類の特徴と一覧

 秋の七草に数えられるハギは、マメ科のハギ属の総称ですが、とくに「ヤマハギ」「ツクシハギ」「マルバハギ」などの野生種のことを指します。

 植栽などで植えられているものでは「ミヤギノハギ」がいちばん有名です。花柄(かへい=花が連なってつく茎)が長く、花がボリューミーで、枝垂れやすいことから、最も好まれている品種です。こちらは古い時代に中国から帰化して園芸用に植栽され、一部は野生化しているようです。(ミヤギノハギの出自についてはケハギが野生化したものという説もあります)

 色のバリエーションとしては、紫の濃ゆいニシキハギ(=野生のビッチュウヤマハギの園芸種)、ピンク色に近いヤクシマハギ(=クロバナキハギの園芸種)、白地に紫の班が美しいメドハギ、白い選抜種シラハギ、シラバナハギなどがあります。

 それでは、次に、各品種について特徴などもう少し詳しくみてみましよう。以下のリストは代表的な品種をピックアップしているもので、他にもまだ亜種や園芸種があります。

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ヤマハギ

●別名:山萩、萩 
●学名:lespedeza bicolor 
●自生地:日本全土(沖縄を除く) ●花期:7月~9月

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紅紫の10mm~15mmの花。秋の七草のひとつとされ万葉の歌に詠まれているのも、ほとんどはこの品種。樹高さ2~3mで大きいものは5mにもなります。山野に広く分布、関東地方以北ではどこでもみられますが近畿以西では標高500mほどの高地にみられます。葉に毛がああることで、マルバハギと区別されます。園芸選抜・改良種に「白花萩」「立毛山萩」「霜降り萩」があります。

ツクシハギ

●別名:筑紫萩、ひがんはぎ、やぶはぎ、ニッコウシラハギ 
●学名:lespedeza homoloba 
●自生地:本州、四国、九州 ●花期:8-10月

紅紫~淡い紅色10㎜~15mmの花。別名「ひがんはぎ、やぶはぎ、ニッコウシラハギ」。山野の林縁や道ばたに自生する2mほどの落葉低木縁。ヤマハギよりも花柄が長く、花のボリューム感があります。ヤマハギが西日本では低地にやや少ないことから、古くからヤマハギと並んで親しまれているのが、このツクシハギであると推測されます。コンパクトに茂りため庭木にも。

マルバハギ

●別名:丸葉萩、みやまはぎ、こはぎ 
●学名:lespedeza cyrtobotrya 
●自生地:本州全域、四国、九州 ●花期:8-10月

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紅紫の10mm~15mmの花。別名「みやまはぎ」「こはぎ」。花序が短いため、花は控えめだが密に咲く感じ。ミツクリヒゲナガバチをはじめハナバチ類がポリネーター(受粉者)となっていて、マルバハギの群落の近くに巣を作っていることが多い。葉に毛が無いことでヤマハギと区別できる。

ミヤギノハギ

●別名:宮城野萩、なつはぎ 
●学名:lespedeza thunbergii 
●園芸種 ●花期:7月~9月

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別名夏「ナツハギ」、花序が長く優美な種で、よく枝垂れ、枝の先端が地面につくものもある。9月頃から赤紫の濃ゆい美し花。中国原産で帰化し、日本でも古くから植栽されてきました。ただし名前の由来になっている仙台の宮城野には自生していないことがわかっています。植栽に多くもちいられています。一説によるとケハギの亜種ともされますが、諸説あり同定されていません。

シロバナハギ

●学名:lespedeza thunbergii f.albiflora 
●園芸種 ●花期:

ミヤギノハギの亜種で花が純白のもの

イヌハギ

●別名:犬萩 
●学名:lespedeza tomentosa 
●自生地:本州全域、四国、九州、沖縄 ●花期:7月~9月

白い8mmの花。山野、河原に生える。鑑賞価値がやや劣ることから犬萩とされた。

キハギ

●別名:木萩、野萩 
●学名:lespedeza buergeri 
●自生地:岩手以南本州、四国、九州種子島以北 ●花期:7月~9月

別名「野萩」黄色みがかった白の地に紫の班のある花。はぎの多くは冬季に地上部は枯れるが、この種は地上部が越冬します。

ケハギ

●別名:ダルマハギ
●学名:lespedeza thunbergii patens 
●自生地:本州中部日本海側 ●花期:7月~9月

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13~15mmの赤紫で花の先端が青紫の美しい花をもつ。別名「ダルマハギ」とも。ブナ林地帯の林縁などにみられる

ビッチュウヤマハギ

●学名:lespedeza thunbergii f.angustifolia 
●自生地:本州中部~沖縄 ●花期:

濃いめの紫の花。園芸種のニシキハギのベースとなった自生種。

ニシキハギ

●別名:錦萩 
●学名:Lespedeza thunbergii ‘Nipponica’ 
●園芸種 ●花期:7月~9月

濃いめの紫の花が印象的。ビッチュウヤマハギが選抜され園芸品種となったもの。

シラハギ

●学名:lespedeza thunbergii f.alba 
●園芸種 ●花期:

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白い花が咲く。コンパクトにまとまった樹形が好まれる園芸品種ニシキハギの白花種。

メドハギ 

●別名:目処萩 
●学名:lespedeza cuneata 
●自生地:日本全土 ●花期:8-10月

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6~7mmの花。花は、白地に紫の斑が入り美しい。陽当たりのよい原野に見られます。茎がとても堅く、易占いのめどき(占い棒)に使っていたことが名前の由来。

ハイメドハギ

●学名:lespedeza serpens 
●自生地:本州全域、四国、九州 ●花期:8-10月

めどはぎ似ているが花の先端が濃ゆい紫。

クロバナキハギ

●学名:lespedeza melanantha 
●自生地:九州と愛知県の一部のみ ●花期:7月~9月

とくに濃い紅紫。花期は長いが、ぽつりぽつりと咲く。花枝が繊細な感じで、尾根すじや岩壁に咲くタイプ。

ヤクシマハギ

●学名:lespedeza melanantha f.rose 
●園芸種 ●花期:

ピンクに近い花を咲かせるクロバナキハギの矮性の園芸種。盆栽で好まれる品種。

マキエハギ

●別名:マエハギ 
●学名:lespedeza virgata 
●自生地:岩手以南本州、四国、九州 ●花期:8-9月

5mmほどの白または淡紅色の花。別名「マエハギ」花が小さく控え目。 陽当たりのよい草地、林の道端。

ネコハギ

●学名:lespedeza pilosa 
●自生地:本州全域、四国、九州 ●花期:7月~9月

8㎜の白い花。陽当たりの良い草地にはえる匍匐(ほふく)がたの萩。

ハギではないけど「〜ハギ」と名につく草花

 さて、山野草のなかにはマメ科ハギ属ではないけれども、名前に「ハギ」が含まれるものも多数あります。

 混乱をさけるために、以下にそうした植物名をピックアップしておきました。

 これらの草木は、なんとなくハギに花の姿が似ていたり、晩夏~秋に咲くことから、ハギという名がついているものも多いです。マメ科の萩とあわせてチェックしておきましょう。

ハギと名前につくけれども萩ではない草花
ヌスビトハギ マメ科ヌスビトハギ属 萩と同じマメ科で花はハギと似ているものの、こちらはあくまで木でなくて草。樹形や葉のかたちは、萩とまったくことなります。
ヤブハギ
ケヤブハギ
トキワヤブハギ
オキチハギ
ミソハギ ミソハギ科 湿原や小川のへりにはえ、お盆のころに紫の花を咲かせる多年草。

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▲こちらはヌスビトハギ。ヌスビトハギ属は、花は似ているが、枝ぶりと葉が萩とは違う。
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ハギの名前や漢字に見る、ハギの特徴

 ハギは、秋の七草のいちばん始めにあげられる、花木です。

【秋の七草】
萩、薄、桔梗、撫子、葛、藤袴、女郎花

 「萩」という字は、平安時代に日本で作られた漢字=国字です。「草かんむりに秋」という、まさに秋を代表する花のポジションを、萩が、昔からおさえていることがわかります。

 同じ国字である「椿」は木ですが、萩は草冠。ハギは木本性ですので草ではありませんが、太い幹を作らず、地際から枝が分かれて生え、枝垂れてくると株全体が葉と花に覆われて、木というよりは草に近くみえます。そういこともあって萩という漢字ができあがったわけです。

 国字ができる前は、芽子、芽小花と呼ばれていました。これは冬に地上部が枯れた後、春になるとどんどん地面から芽吹いてくるハギの性質をあわわした呼び方です。ハギの再生力の強さや、ハギの花の形から「繁殖の象徴」とされていたこともあり、「芽子」と呼ばれていたのです。

 萩には他にも、
鹿鳴草
玉見草
庭見草
初見草
古枝草
と言った呼び方があります。

ハギがマイナーになってしまった理由は?

 ハギは、他のマメ科の灌木と同じように、とても生育旺盛で強い性質をもっています。

 その強さの秘密のひとつが、マメ科植物と共生する根粒菌です。根粒菌は、植物の根に住んで植物から炭水化物をもらうかわらいに、土の中の空気の窒素分を固定して、植物に必須の肥料分を供給することができます。

 そのためハギは荒れ地生えることができ、パイオニアプランツとして、林縁(=りんえん・森林と里の境目)や河原、山火事あとなどに生えるのです。

 これまで日本は、古来からずっと、山林を切り開き、農地や村を広げてきました。つまり山と里の境界には、常に、「山を切り開いた後の荒れ地」があったわけです。

 そういう山際の開発フロンティアにはパイオニアプランツであるハギが生える。昔は、どこにもそういうフロンティアがあったので、ハギも日常でとても頻繁に目にする花だったはずです。

 いまでは、そうした開発フロンティアそのものが減っていますし、重機で一気に造成していくために、パイオニアプランツが咲く暇がない。そのためハギは、目にすることが少なくなり、とくに都市部ではお寺の境内や庭の片隅で、ひっそりと咲く花になってしまったのでしょう。

 このような萩の性質を知ることで、万葉の時代には、萩がとてもポピュラーな秋の花だったことが理解できると思います。

 

 

 以上、ハギの種類とその歴史についてみてきました。

 日本を代表する秋の花であるハギを、この機会に是非、見直してみてください。

 なお、ハギの名所については⇒「全国のハギの名所14箇所と萩の花の楽しみ方」の記事を参照してください。

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