避雷針とは?避雷器との使い分けや一般住宅にはなくても大丈夫な理由

   

避雷針

 避雷針(ひらしいん)とは、雷から建物を守るために設置されるもので、雷対策のひとつです。

 雷は、時に人命を奪ったり、火災の原因となったり、建物を崩壊させたりします。また、現代の経済活動や生活に欠かせない電子機器・電子データーや家電器具にも、雷は深刻な影響を及ぼします。

 これら雷の影響を、最小限におさえてくれるのが避雷針避雷器です。

 この記事では、避雷針の仕組みや種類について、一般常識の範囲として知っておきたいことをまとめました。あわせて雷の発生のメカニズム、一般家庭に避雷針は必要かどうか? また、雷から安全に身を守る原則についてもふれています。

避雷針とは? 建物と人を雷から守るシンプルな仕組み

 「避雷針」は、雷により建物が壊れたり火災になったりすることを防ぐ仕組みです。建築基準法により高さ20m以上の建物への避雷針の設置が義務づけられています。

 雷は200万〜10億ボルト、1千〜50万アンペアという想像を絶する電気衝撃です。もともと電気を通さない空気を切り裂いて通電するほどの、驚異的な衝撃力です。もちろん、直撃されれば、人も建物もひとたまりもありません。

 実は、日常生活であまり気づいていませんが、避雷針に、われわれは守られて暮らしているのです。

 現在スタンダードに設置されている避雷針は、雷が建物そのものに直接落ちないように、わざと避雷針に雷を誘導し電気的衝撃を地面に逃がしてやる仕組みです。いえば、避雷針が身代わりになって雷を受け止めてくれるという、シンプルな仕組みです。

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一般住宅に避雷針ついてないみたいだけど大丈夫?

雷は高い建物や木に落ちやすいため、高さ20m以上の建物(6~7階建て以上)は、避雷針の設置義務があります。また、可燃物など危険物保管施設は高さに関係なく避雷針設置義務があります。

ところが、それ以外の建物には、設置義務はありません。つまり、一般の住宅には、設置義務がないですが、避雷針を設置しなくても大丈夫なのでしょうか?

鉄筋コンクリートならまだしも、木造住宅の場合、もし雷が落ちたら、家も中の人も一瞬でまる焼けになってしまう可能性があります。それなのに、ふつうの住宅地の一軒家には、避雷針はついていません。

それは、住宅地には電柱がいくつもたっているからです。電柱の高さは10m~15mで、必ず避雷針も設置されています。ですので、もし住宅地で雷がおちるとしても、家より高い電柱の避雷針に誘導されますので、わざわざ二階建ての家屋に落ちることはあり得ないのです。そのため、一般家屋には必要ないとされているのです。

 もし、木造の2階建ての一軒家が、何もない平野にポツンと立っていたら、そこは雷が落ちる可能性は高いので、避雷針の設置は必要となってきます。実際に、雷の多い地方で、畑のなかにぽつりと家があるようなところでは避雷針を設置しているようです。

 また、景観美化や災害対策などの点から「電線地中埋没化」が進められているところも増えています。そうしたところでは、電柱が無くなるぶん、避雷針の設置は一般家屋にも必要になってきます。

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▲一般住宅に避雷針をつけなくてもよいのは、人知れず電柱の避雷針が守ってくれているから。(写真はイメージです)

避雷針の歴史と魅力

 避雷針は今から250年前に、ベンジャミン・フランクリンによって、考え出されました。フランクリンは雷に向かって凧をあげる命がけの実験で、雷の正体が電気であることを証明した人として有名ですね。

 フランクリンの避雷針の発明、欧米では、街でいちばん高い建物である教会の塔に、避雷針が取り付けられるようになりました。

 当時の避雷針には、装飾的なデザインで、風見鶏やガラスの玉が付けられていました。ガラス玉には装飾的な目的と同時に、避雷針に雷が落ちたかどうか?をチェックする役割があったようです。

 また、18世紀までのヨーロッパでは、雷除けとして船のマストの先端にガラス玉が取り付けられていました。が、こちらは今では科学的根拠がないことがわかっています。

 いずれにせよ、アンティークな避雷針は、なかなか趣があり、芸術的価値・工芸的価値が高いものです。避雷針というと、なんとなくロマンチックなイメージもあるのは、こうした欧米の古い避雷針の伝統があるからかもしれません。

 詩的なモチーフとして避雷針が使われることも多いですね。古いくはレイ・ブラッドベリの古典的SF小説「何かが道をやってくる」に登場する避雷針売りだったり、最近では、櫻坂48の歌だったりと、文学や芸能のモチーフとしても魅力があるのが避雷針なのです。

▲とても魅力的なアンティークな避雷針

ビルの中が、雷の避難場所として最適な理由は?

 避雷針は、高い建物のてっぺんに取り付けて、そこに雷を誘導して、電気衝撃を地面に流します。つまり、建物の「身代わり」になって雷を受けて、建物に影響がないように電流を逃がす仕組みです。

 建物のてっぺんにつけた避雷針から、電線を通して地面に埋め込んだアースにまでつなげるのが本来の避雷針の仕組みですが、現代の高層建物は建物の構造に鉄筋や鉄骨を使っているので、避雷針に落ちた電気は建物構造の鉄部分を通って、地面に逃げるようになっています。

ビルや鉄骨の建物は、鉄の枠で囲まれている状態です。実は、鉄に囲まれた状態であれば、中にいる人などへは、雷が落ちません。電気を通す鉄などの物質「導体」に囲まれた構造を「ファラデーケージ」と呼びますが、ファラデーケージに雷が落ちても、中の人への影響はありません。車や電車などの乗り物のなかも安全なのはそのためです。

 逆に、避雷針をつけていない木造住宅などでは、万が一雷が落ちてしまうと、ほぼほぼ火災になってしまいます。

 たとえば、寺院の五重塔。もともと宗教上の理由から、塔の先端は、鉄製の相輪が備えつけられています。この相輪が雷が落ちやすくしているわけですが、かつてはそういう知識がなかったため、相輪に逆さにした鎌をつけたり、「避雷符」といううお札をはったりして、雷除けとしていました。

 今では、きちんと相輪の先端に避雷針を付け、アース線を地面まで這わせた避雷針を付けています。

避雷針の仕組み

木造建築物では、避雷針からアース線を通して地面に電流を逃す。ビルなど鉄骨構造の建物では、構造そのものを導体として利用している場合が多い。そのため、ビル内の電子機器は雷サージの影響を受けやすい。

 

避雷器(SPD)の役割は? 電子機器を雷から守る仕組み

 さて、ここまで述べた避雷針は、建物と、中にいる人を守るための仕組みです。

 しかしPCをはじめとする電子機器・電気機器は、避雷針だけでは守ることは、できません。電子機器やデーターを雷から守るには「避雷器(SPD)」が必要となります。

 避雷器は、電子回路に囲まれた現代の生活に無くてはならない、雷除け装置です。

 雷が建物そのものや、近くの建物や木に落ちると、電磁波が発生して、電磁誘導により電線に電流が流れます。瞬間的に高圧電流が、電線や通信回線を伝わって、多くの場合電子機器を破壊してしいます。これを「誘導雷」または「雷サージ」と呼んでいます。

 PCなど電子機器はもちろん冷蔵庫など家電でも、雷サージにより壊れてしまうこともあります。

 雷サージは、たとえ電源をスイッチをオフにしている時にも、スイッチを飛び越えて、電流が流れてしまいます。コンセントを抜いてしまえば、雷サージを防ぐことはできますが、雷のたびにコンセントを抜くことは、あまり現実的ではありませんね。

 そこで活躍するのが避雷器(SPD(サージ・プロテクタ・デバイス)です。集合住宅では、建物内部の電気・通信配線を守るために、あらかじめブレーカー部分などに取り付けてあるものもあります。

 また、テーブルタップタイプのサージプロテクタも販売されているので、雷から自分で電子機器を守ることも可能です。

 避雷器の設置は、避雷針のような法的な設置義務こそありませんが、鉄骨のビルだったり、近くに鉄塔などがある場合は、ぜひとも設置するべき器具です。特に鉄骨のビルでは、建物内部の鉄製の構造に避雷針からの電流が流れるため、建物の内部配線に強烈な誘導雷が発生します。また、携帯の基地局アンテナの周囲で、電磁誘導による影響が起きやすくなっている事例が多数報告されています。

 このように、電子・電機機器に囲まれている現代において、「避雷針」とおなじく必要不可欠な雷対策が「避雷器」だと言えます。

★雷対策で必須の「避雷器(サージプロテクタ)」付きのテーブルタップ

避雷針に雷が引き寄せられるのはなぜ?

 避雷針は「身代わり」になるため、雷が落ちやすいように作られています。避雷針に雷が落ちやすいのはなぜでしょう? 鉄だから?というイメージもありますが、必ずしも鉄を狙って雷が落ちるわけではありません(なのでアクセとか眼鏡とか大丈夫です。詳しくは⇒『雷に打たれないように知っておきたいこと』)。

 雷の仕組みを理解しながら、避雷針に誘雷される仕組みをみてみましょう。

雷雲(積乱雲)のなかで電気が発生するのは何故?

 雷は、積乱雲のなかで発生します。(積乱雲については⇒『積乱雲とバックビルディング線状降水帯』をご覧ください)

 

 積乱雲のなかでは、上昇気流に乗った水蒸気が冷やされ氷の固まりとなり、大きく成長しながらさらに上昇を続けます。気温がマイナス10~15度Cとなる1万メートル付近の高さまでもちあげられると、上昇気流よりも重力がまさり、雹や氷の粒は逆に落ちていきます。この上昇気流と重力による落下のため、積乱雲のなかでは、無数の上昇する小さな氷の粒と下降する大きな氷の粒がつねにすれちがい、ぶつかりあ合っています。

 氷の粒同士がぶつかり合う時に水素イオン(H+)と水酸化イオン(OHー)の働きで電気が生じます。この現象を着氷帯電と呼びます。

 大きい氷の粒(ひょう・あられ)はマイナスに帯電して雲の底に溜まり、小さな氷の粒はプラスに帯電して雲の上部にたまります。

 このようにして、積乱雲は、プラスとマイナスの極性をもった巨大な電池のようになるのです。

積乱雲の内部と着氷帯電

1…積乱雲のなかでは上昇気流で水蒸気がもちあげられ、上空で冷やされ雹や氷粒ができる。 2…雹はやがて重力で落下し上昇する水蒸気とすれ違いぶつかり合う。この時、雹はマイナスに、水蒸気はプラスに帯電する。

積乱雲の電荷と雲放電

3…積乱雲の上下に電極ができて、電池のようになる。 4…積乱雲のなかで起こる雷=雲放電

 

帯電した積乱雲が近づくと、地表はどうなる?

 積乱雲は、帯電した氷の粒によって下側がマイナス、上側がプラスとなり、電池のような状態で、電気を蓄えていきます。

 プラスとマイナスに分かれた電極は、打ち消しあってゼロになろうとする力が強く働きます。この打ち消しあおうとする力により、電流が流れたり、放電が起こったりするのです。

 この放電が、雷となります。

 雲の上部のプラス極と下部のマイナス極のあいだに電気が走ることを「雲放電」と言います。

 一方、プラスの極性をもった地面に対して放電するものが、「対地放電」です。

 地面は、通常、プラスとマイナスのものが中和されて安定した状態になっています。

 ところが、強力なマイナス極性を持つ積乱雲の底に入ると、地面のプラス電位が引き寄せられて、地表はプラスに帯電していきます。これは「静電誘導」という電気の性質によるものです。

 プラスへの帯電は、より高く、より細いものに集まりやすくなり、プラスのエネルギーが溜まったところから、マイナスに向けて放電がはじまります。

 避雷針はまさにこの性質を利用したものです。雷雲(積乱雲)の下プラスに帯電しやすく、さらに放電しやすくするために、避雷針は尖った針のような形状をしているのです。

雷が起こる仕組み(積乱雲と地上の電位)

1…積乱雲が近づく前、地上の電位はプラスとマイナスが中和され安定している。 2…強力なマイナス電位をもった積乱雲が上空にくると、地表面にプラス電位が集まってくる。とくに細く長い構造物にプラス電位が集中してくる。

雷は下から上? 上から下へ?

 雷は「落ちるもの」だと思われていましたが、最近は、高速度カメラの映像で、下から上へ登る雷の映像がとらえられていたりします。

 地面に落ちる雷(=地帯放電)は、「落ちる」と言っても、実際は、雲から地上へだけでなく、地上から雲へも電気の流れがあります。つまり、雷は、雲と地表の間で交互に往復を何度か繰り返しています。

 一瞬のできごとですが、0.5秒ごとに次のような種類の放電が交互におこなわれます。

ステップトリーダー…段階型前駆放電。まず積乱雲底部から小さな放電がはじまり、電気の通り道を探ります。
ストリマー…(お迎え放電)が発せられます。積乱雲のマイナスに引っ張られた地面のプラスが放電されます。静電誘導という電気の性質によるものです。
リターンストローク…ステップとリーダーとストリーマーが出会った直後に、リタンストロークの本格的な放電となります。これが、雷のメイン部分で、大量の100万ボルトの電圧を持つ積乱雲から、大量の電子が地表へ降り注ぎます。数十k~200Kアンペアの大電流となりますが、高速度カメラで見ると下から上へ稲妻が走っているように見えるため、向帰還雷撃(リターンストローク)と呼ばれますが、あくまで、高電圧の積乱雲から地表に向けて電流が流れています。これが、落雷です。
ダートリーダー(矢型前駆放電)…リターンストロークのあとは、地表から雲へ向け、プラス電位が放電され、次のリターンストロークを誘発します。

雷では上記4つの放電が一瞬のうちに次々と起こっています。上記の一連の流れのあとは、タンストロークとダートストロークが交互に繰り返されます。雷の規模にもよりますが、電位差が中和される(プラスとマイナスが安定する)まで、数往復繰り返されるの通常です。

雷の仕組み。ステップトリーダー、ストリーマー、リターンストローク

3…雲からはマイナス放電のステップトリーダー、地上部の高く細い物体(避雷針や高い木など)からは、プラス放電のストリーマーが起こる。 4…ステップトリーダーとストリーマーが出会うと、本格的放電のリターンストロークが起こる。雲から地上へ大量のマイナス電位が移動する。

雷の仕組み。ダートリーダー

5…今度は地表から雲に向かってプラス放電(ダートリーダー)が起きる。 6…ふたたび雲から地上へマイナス放電のリタンーストローク。5と6が何度か繰り返されて、最終的には、雲底部と地上部の電位が中和される。
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避雷針の仕組み

 前項でみたように雷は、雲から地面に一方的に落ちるのではなく、雲と地上の間を電流が往復する現象なのです。

 さて、一連の雷の放電のなかで「雷がどこへ落ちるか?」を決めるのが、ストリマー(お迎え放電)です。雷から、はじめに発せられるステップトリーダーは、枝分かれして、どこへ落ちようか探ります。空気はもとも絶縁体で電気を通さないため、少しでも電気が通りやすいところを、枝分かれしながら探している状態です。

 一方、地表側は、積乱雲の巨大なマイナス電位からの静電誘導により、地表にプラス電位が引き寄せられていきます。なかでも、高く、尖ったところにプラスが引き寄せられやすくなり、さらに引っ張られて、「お迎え放電」が、出るわけです。お迎え放電が出たところに、メインの放電であるリターンストロークが落ちることは前項で説明しました。

 つまり、高く、尖ったものほど、静電誘導によりプラス電位が集まりやすく、結果、そこからストリーマー(お迎え放電)が発射され、そこに雷が落ちるわけです。

 この性質を利用したものが、避雷針です。

 避雷針は、わざと、ストリーマーが出やすい状況を作り出して、そこに、雷をおびき寄せる、誘雷針なのです。

避雷針の種類〜「できるだけ落とさない」最新の避雷針とは?

 さて、前項の雷と避雷針の原理を利用したものが、現在使われているスタンダードなベンジャミン型の避雷針です。

 他にも、改良型として、次のようなものがあります。

ESE避雷針…初期ストリーマーエミッション避雷針(アーリーストリーマーエミッション)early streamer emission 。ESE避雷針は、雷を誘導するためのストリーマー(お迎え放電)を出しやすくした避雷針です。電荷が溜まりやすいように球体を避雷針底部に付けたタイプや、電源をつなぎ電圧をかけてプラスイオンを避雷針周辺に放出させるタイプなどがあります。結果、避雷針を長くした場合と同じ効果が得られるとされ、雷の影響を受けない保護範囲が広がるとされています。

消イオン容量型避雷針…従来の避雷針とは逆の発想で、ストリーマー(お迎え放電)が出にくくし、雷を誘導しないように設計した避雷針です。絶縁体を挟むことで、避雷針の頂部がマイナスに帯電するようにし、さらに避雷針頂部をキノコ型にして、雷が落ちにくしています。ただ100アンペアを超える強い雷の場合は、絶縁部を通り越してしまうため、通常の避雷針と同じように機能します。このタイプの避雷針のメリットは、100アンペア以下の雷であれば、建物内に電流を流さずにすむため、電子機器への影響を押さえらえます。ただ、周辺から雷サージが侵入することは防げませんのでSPDの併用は欠かせません。

 なかでも消イオン容量型避雷針は、電子的な機器への影響がより少ない避雷針として、近年、急速に普及が広まっています。案外250年もの長い間、大幅な改良がされてこなかった避雷針の歴史のなかで、消イオン容量型避雷針は、避雷針の新しい歴史のページを開くものだといえるでしょう。

 雷は、危険であることや超スピードの現象であることから、そのメカニズムの解明は、これまであまり進んでいませんでした。近年の高速度や高解像の画像処理技術のおかげで、見えてきたことも多いようです。今後、まだまだ新しいタイプの避雷針が出てくることでしょう。

雷に打たれないように知っておきたいこと

 ここまで、避雷針の役割や種類についてみてきました。あわせて、雷から身を守るために最低限知っておくべきこともまとめておきました。

 雷雲が近づいてきた時、何が危険で何が安全なのか? 混乱した情報を覚えている人もいるかもしれませんので、ここで整理しておきましょう。

【安全】鉄筋コンクリート造のビルや軽量鉄骨の家屋

 ビルや鉄骨家屋の建築物は、建物の構造に金属が使われているため、周りが導体で囲まれ中が雷の影響を受けないファラデーケージになっています。そのため、雷からの避難所として最適です。ただし、壁に導体や電線などが埋まっているため、壁から1m以上離れた位置にいること。

【安全】屋根のある乗り物

 自動車、電車、大型船、飛行機など屋根のある乗り物もファラデ-ーケージとなるため、安全です。ただし、金属部分には触れないようにしましょう。

【安全】眼鏡・アクセサリー・時計など

 身に着けた金属のものに雷が落ちやすいと言われることがありますが、身に着けた金属がとくに落ちやすいという科学的根拠はありません。雷が来たからといって眼鏡やアクセをはずす必要はありません。ただ、だだっ広いところにいれば、金属を身につけていようがいまいが雷が落ちるリスクが高い、ということです。

【安全ではない】ゴム長靴、カッパ

 ゴム長靴やカッパが電気を通さないため絶縁装置となり雷が落ちないという噂がありますが、それは都市伝説です。雷の電圧・電流はとても高いため、その程度の絶縁体は完全に無視されます。ゴムかっぱや長靴を履いていれば危険ということもありませんが、はいているからといって安全ということもありません。

【危険】ゴルフクラブ・金属バット・傘など

 金属であるかどうかではなく、細長く高いものに雷は落ちやすい法則です。とくに、金属であればより落ちやすくなります。

【危険】海・畑・広場など

 広い空間に、ぽつりといて、自分以外に高いものがない場合は、雷に打たれる確率がかなり高まります。海やゴルフに行くときは、天気予報で雷雲の発生の可能性があるか確認し、雷雲が発生したらただちに建物などに避難するのが原則です。

【危険~やや安全】保護範囲

 原則的に、高い建物や木の近くは、雷が落ちた場合電流が枝別れして流れてくる可能性があるため、危険です。

 ただし、高い建物の頂点から45度の角度の地点で、なおかつ建物から4m離れていれば、そこは、「保護範囲」として、比較的雷に打たれにくい場所となります。最悪、どこにも避難できない場合は、この保護範囲に体が入るようにすることで、回避できる確率が高まります。

 

 

 以上、避雷針の役割について見てきました。

 温暖化時代になり、積乱雲の発生や巨大化が進むとも言われています。雷の発生が、今後増えてくることも予測されます。この機会に、雷について正しい知識をもち、自分の周囲の環境の雷対策を見直してみましょう。

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