松ぼっくりの大きい種類や拾いやすい場所は?松ぼっくり大きさ別一覧

      2018/09/19

松ぼっくりの種類と大きさ

 松ぼっくりは、自然が作り出す芸術作品。拾い集めて飾ったり、リースやスワッグなどクラフトアートにして楽しめます。

 アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツなど日本定番のマツだけでなく、北米原産のマツやマツ科以外の針葉樹もあるので、さまざまな形や大きさの松ぼっくりが拾えます。

 この記事では、松ぼっくりの種類や大きさを一覧で見ながら、松ぼっくりを集めるコツも探っていこうと思います。

 松ぼっくりは「秋」のイメージですが、それ以外のシーズンが拾いやすかったりもするので、そのあたりについても見ていきたいと思います。

松ぼっくりの種類と大きさ比べ

 松ぼっくりと一口に言っても、とても多くの種類があります。公園や街路樹、山の登山道沿いなど、場所によってさまざまなタイプの松ぼっくりが拾えます。その大きさもさも3㎝ほどの小さなものから30㎝を超える大きなものまで、さまざまです。

 松ぼっくりで最もスタンダードなタイプは、裏山や里山のマツ林で拾えるアカマツや、海岸沿いに多いクロマツの松ぼっくりです。また、和風の庭や公園では、ひとまわり大きめでごつごつと荒い感じのゴヨウマツの松ぼっくりもよく見かけます。

▲海岸で拾えるのはクロマツの松ぼっくりが多い。

 また、公園や街路樹、公共施設のエントランスなどに植えられているマツ類のなかには、30㎝前後のとても大きな松ぼっくりを付ける種類があります。巨大松ぼっくりを付けるマツは北米原産のものが多くダイオウマツ、ジェフリーパイン、オオミマツ、シュガーパインなどが有名です。

▲大王松の松ぼっくり。もともと北米原産のマツだが公園や寺社などに植えられていることが多い。

 その他にもいろいろな樹種に「松ぼっくり」ができます。マツ科だけでなくヒノキ科のメタセコイアの実なども「松ぼっくり」の一種として扱われることが多いです。日本で見ることのできる松ぼっくりの大きさを一覧にまとめてみました。

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松ぼっくりの大きさ・拾える場所別一覧表
ヒノキ
ヒノキ科ヒノキ属
山林 1cm 丸い鞠のような球果実で、五角形の盾のような鱗片が開きます。
コメツガ
ツガ属
高山 1.5〜2cm 山登りをすると群落に出会うコメツガ。小さく可愛らしい松ぼっくり。
スギ
ヒノキ科スギ属
山林 2〜2cm 丸く鱗片の先はトゲトゲした形状をしていますが、触っても痛くはありません。
メタセコイア
ヒノキ科メタセコイア属
並木・公園 2〜2.5cm ヒノキ科だが小さな松ぼっくりのようなかたちをしている。鱗片を横からみると唇のようで小さいけれどもユニークな球果。公園などに多く植えられているので見つけやすい。
ラクショウ
ヒノキ科ヌマスギ属
公園 2〜3cm 公園によく植えられている丸く鱗片が開いていないマリのような球果。
ツガ
ツガ属
山林 2〜3cm コメツガよりも標高が低い山の中腹に日本を代表する針葉樹。ブナ林のなかに混じって開き気味
カラマツ
カラマツ属
山林・並木・公園 2〜3.5cm 紅葉する針葉樹として有名なカラマツ。秋には、松ぼっくりの殻を枝ににつけたまま落葉する姿が見られます。鱗片が卵がたで丸みを帯びややそれかえった端正がとれたかわいらしい毬果です。春の花がその年の秋に熟します。
ヒメバラモミ
トウヒ属
山林 3〜5cm 本州中部のアルプスなどに多いトウヒの種類。細長いトウヒタイプの松ぼっくりでは最も小さい。
アカマツ
マツ属 
里山・庭木 3〜6cm 雑木林や里山など内陸部にはえる松。春に咲いた花が翌年秋に熟し松ぼっくりとなります。種子は片翼につつまれていて、晴れた日に松かさが乾燥して開き、種子が飛びます。スタンダード・ざまつぼっくり
ハイマツ
マツ属 
高山 3〜6cm 高山にはえるマツ。楕円形の毬果。背丈が低いため、樹木についている毬果をよく観察することができます。ほかのマツ科とは違い種に羽がなくホシガラスなどの鳥や動物によって種子が広げられます。種子の大きさが8~10mmと大きく、松の実と同じように食べられます。
クロマツ
マツ属 
防潮林・庭木 4〜6cm 海岸線沿いに多く植えられているクロマツ。松ぼっくりも黒みを帯びています。鱗片や種子の感じもアカマツにくらべ大き目で雄々しい感じがします。春の花が1年半かけて松ぼっくりになるところはアカマツと同じ。
トウヒ
トウヒ属
山林 4〜7cm エゾマツの本州で育つ亜種。縦に長いラグビーボール型の長円形の松ぼっくりです。
シラビソ・オオシラビソ
トウヒ属
高山 4〜7cm 亜高山帯を代表する針葉樹で、落ちる前の球果は青〜紫色をしているのが特徴です。ほそながい枕状の球果でかさはあまり開きません。
エゾマツ
トウヒ属
山林(北海道) 4〜8cm マツと名が付きますがトウヒのなかまです。トウヒよりもひとまわり大きい縦長の松ぼっくりです。
ゴヨウマツ
マツ属
山林・庭木・公園 5〜8cm 鱗片がぶ厚く、やや下向きにゴツゴツとした感じでかさが開いて種が出ます。花は5〜6月で翌年秋に松ぼっくりが熟します。
ヒマラヤスギ
ヒマラヤスギ属
公園・並木 6〜13cm たまご型の毬果実は、上から見るとシダ―ローズとも呼ばれます。名前にスギと付きますがマツ科です。花は10~11月に咲き、翌年の秋に熟します。種と一緒に鱗片がはがれ落下していくので、松ぼっくりのかたちで落ちていることはあまり多くありません。
ハリモミ
トウヒ属
山林 7〜12cm 中部から九州の山地に多く自生するトウヒ。葉はハリのように痛い。
イタリアカサマツ
マツ属
公園 8〜12cm 鱗片ひとつが大きい
モミ
モミ属
山林 9〜13cm 重鱗のすきまが狭く包輪がトゲのようにはみ出たかたちがユニークです。5月の花が秋に熟します。モミ類の松ぼっくりは、鱗片が順番に剥がれ落ちていく
ストローブマツ
マツ属
公園 8〜15cm アメリカ五大湖周辺からカナダに生息する。かなり細長くやや湾曲します。北海道に植林されています。
テーダマツ
マツ属
公園 8〜15cm アメリカ南東部アパラチア山脈のマツ。1年型のバランスよいかたちの松ぼっくりがなります。日本でも温暖地の公園に植えられています。
ドイツトウヒ
トウヒ属
公園 10〜20cm クリスマスツリーとして日本でも販売されるヨーロッパを代表する針葉樹です。細長い鱗片の先はやや尖りぎみで美しいかたちの松ぼっくりです。鳩時計のお守りはドイツトウヒの松ぼっくりを型どったものです。
チョウセンゴヨウ
マツ属
山林 10〜20cm 翼がない1cm〜1.5cmの大きな実はデンプンやタンパク質が豊富で「松の実」として食用にされます。自然状態では、かさが開かずリスなどがかじることで種でがこぼれひろがりますが、乾燥させると鱗片がめくれあがり綺麗な松ぼっくりとなります
ダイオウマツ
マツ属
公園 15〜20cm 葉の長さが世界で最も長く30cm~50cmなるロングリーフパインとも呼ばれます。日本でも洋風の庭園を中心に庭木にされます松ぼっくり
ジェフリーパイン
マツ属
公園 15〜30cm 北米カリフオルニア、ネバタ、メキシコのバハカリフォルニアの亜高山帯にはえる。樹脂がバニラ香。鱗片の先端に内側向きのトゲがはえる
オオミマツ
マツ属
公園 30〜50cm カリフォルニアの松。白い樹脂をかぶった大型の松ぼっくりとなります。
シュガーパイン(サトウマツ)
マツ属
公園 30〜50cm ナガミマツとも呼ばれ、世界最長の松かさで種子は食用に。北米原産の松で樹脂に甘みがある

▲世界最大のシュガーパイン(Pinus lambertiana)の松ぼっくり

松ぼっくりが拾える場所や時期と見つけるコツ

松ぼっくりが見つかる場所は?

 松ぼっくりが見つけられる場所は、都会でなら、公園や、ビルの間の広場、街路樹などが多いと思います。

 ほんらい日本のマツはアカマツ、クロマツ、ゴヨウマツなどが定番ですが、都会では西洋風の植栽が好まれることから、外来の種類が植えられることが多いようです。

 あんがい都会では、ヒマラヤスギ、メタセコイヤ、ヒノキなどのマツ科マツ属以外の松ぼっくりのほうが見つけやすいかもしれません。山ではすぐ落ち葉などに埋もれてしまうことも多いため、街路樹や街の広場などにある針葉樹の下のほうが、松ぼっくりを見つけられる場合もあります。

▲唇のような形が印象的なメタセコイアの松ぼっくり。

 山にトレッキングやハイキングに行ったときは、ツガ、モミ、標高が高いところではコメツガ、シラビソなどの細長い松ぼっくりに出会うこともあるかもしれません。

▲シラビソやオオシラビソなど亜高山帯のマツ属は細長い松ぼっくり。

 典型的な松ぼっくりを拾うには、大き目の自然公園内でアカマツかクロマツを探すか、少し田舎にドライブに行き、里山のマツ林や海岸へりのクロマツ林を探してみることをおすすめします。

マツぼっくりを拾う時期

 松ぼっくりは秋の風物詩のイメージで、秋の季語にもなっているのですが、松ぼっくりを拾うのは、あんがい春先の方が拾いやすいことがあります。

 マツ科をはじめ針葉樹の花はたいてい4月~6月の春先に開花します。松ぼっくっりには1年型と2年型があって、2年型のものは、春に咲いた花が翌年の秋に松ぼっくりとして熟します。

 松ぼっくりは、種を飛ばすのが目的ですので、他の木の実のように熟して腐って地面に落ちる必要がありません。松かさは基本的に固い木質で、熟して種を飛ばした後も、そのまま実が枝についたままになっています。そのため、松ぼっくりが落下するのは、春一番のような強風が吹いた後がいちばん多いのです。

 クリスマスシーズン前にリースやスワッグに使う松ぼっくりを集めることも、樹の上の方に着いてるのは見えるのに、あんがい下には落っこちていないこともあります。松ぼっくりは秋に限らず、1年中拾えるものですのでえ、松ぼっくりを大量に使いたいときは、1年かけてコツコツ集めておくのがポイントです。

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松ぼっくりの種類と樹種タイプ別特徴

 松ぼっくりはマツ科針葉樹の球果・毬果(どちらも読みは「きゅうが」)です。松かさとも呼ばれます。球果は、ふつうの植物でいえば果実にあたるものですが、果肉にあたる部分が無く、殻と種子だけの「裸子植物」です。

 厳密にはマツ科マツ属の球果のことを「マツぼっくり」と呼びますが、マツ科マツ属以外のマツ科トウヒ属・モミ属、さらにはスギやメタセコイアなどヒノキ科の針葉樹の球果も「松ぼっくり」といえます。(針葉樹の種類については⇒『知っておきたい針葉樹の代表品種』の記事も参照してください)

 公園や街路樹、山の登山道などで拾える松ぼっくりの種類は、樹木が何科?によって、下記のような特徴があります。

・マツ科マツ属…いわゆる松ぼっくりの形です。かたちの大小や細長さ、丸っこさなど、鱗片先が丸まっているか尖っているか?など樹種ごとに表情が違いますが、基本は松ぼっくりタイプです。

・マツ科トウヒ属・モミ属など…縦長で寸胴型のタイプが多く、種を飛ばしながら鱗片がはがれていくので、松ぼっくりのように全体が丸ごと殻として拾えません。ヒマラヤスギ(マツ科ヒマラヤスギ属)も鱗片が剥がれ落ちるタイプですが、ヘッドの部分だけがまとまって拾えるためそこが「シダ―ローズ」となります。

▲いわゆる「シダーローズ」は縦長の球果のヘッドの部分。下のほうの鱗片は、種と一緒に剥がれ落ちていく仕組みになっている。

・ヒノキ科…スギやヒノキやメタセコイアの玉果実は球状の毬やサッカーボールのような形になっています。サッカーボールのちょうど縫い目にあたる部分が割れて開きます。

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松ぼっくりが種子を広げる仕組み

松ぼっくりのカサの開閉

 鱗片という木質の板状の鱗片(りんぺん)が重なりあって、筒状あるいは玉状になっています。鱗片の根元に種が隠れています。種は多くは翼が着いていて、風に乗って散布されるよ仕組みです。

 鱗片は、湿度によって閉じたり開いたりするのがポイントです。雨の日は閉じていて、乾燥すると開いて、風にのせて種を飛ばします。

 おもしろいのは落ちて拾った後の松ぼっくりも、開閉をするということです。松ぼっくりをクラフトで使う場合は、虫よけや消毒のために数分間湯煎しますが、乾かす時にさらに、かさが開いていくのを観察することができます。

 乾燥でカサが開きやすいという特徴は、意外なことに山火事とも関係があります。北米の針葉樹のなかには、山火事の乾燥熱で松かさが開き、大量に種をばらまき、火事のあと、森が再生しやすくすなるメカニズムを供えているものもあるのです。(山火事については⇒『山火事と森林・温暖化の関係』の記事も参照してください)

▲チョウセンゴヨウの実を食べるエゾリス。チョウセンゴヨウの実は「松の実」として食用にされる。

動物が食べて広がるタイプ

 松ぼっくりのカサ(鱗片)の奥には、種子が挟まっていますが、羽根が無いタイプの種子もあります。

 こうしたタイプは、基本的に鳥やリスなどの小動物に食べてもらうことで広がります。ただ、針葉樹の種子は、被子植物のように種は固くはなく、いわゆる「マツの実」のように柔らかく、食べられた種は動物に消化されてしまいます。ですので、動物が食べ残したものだけが散布されます。果肉部分を動物に食べてもらい、種子は消化さずに動物のフンに混じて広がる被子植物にくらべると、繁殖力が弱いのがわかります。

 リスが、松ぼっくりをかじって芯だけ残した「森のエビフライ」は有名ですが、質実剛健な針葉樹のイメージとはうらはらに、あんがい健気でつつましく繁殖している針葉樹の姿が見てとれるようです。

▲リスが松ぼっくりの鱗片と種を食べて残った芯は「森のエビフライ」と呼ばれる

以上、松ぼっくりの大きさ別の種類や採れる場所、それぞれの特徴などについて見てきました。

なお、クラフトに使う時は、虫防止のために、必ず数分間、煮沸消毒した後、新聞紙の上にひろげて数分乾かしてから使う用にしましょう。

いろいろな松ぼっくりを探して楽しんでみましょう。

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