台風の強さの基準や段階。猛烈な台風って、実際どれくらいのレベル?

      2016/09/15

スーパー台風

 台風が発生したり近づいてくると、まず気になるのは「強さがどれくらいなの?」ということだと思います。

 台風の強さは、風の強さをもとにランク付けされています。台風の勢力を表す値には、中心気圧(ヘクトパスカル)もありますが、気圧は周囲の気圧との関係で、台風の強さと必ずしも比例しない場合もあることから、風速で強さの階級を決めています

 この記事では、台風の風速と台風のランクについて、整理しながら、「強い台風」「猛烈な台風」や「スーパー台風」が実際どれくらいなのか?イメージがもてるように説明していきたいと思います。

台風の風速と強さの呼び方と実例

 気象庁などが発表する台風の強さは、風速が基準になっています。

 基準としている風速は、台風の中心付近の最大風速です。最大風速とは10分間の平均風速のなかの最大の値です。つまり、「高めの平均風速」といったところです。

 台風は、この中心付近の最大風速を基準に、いくつかのランクに分類されています。

 気象庁の分類では「台風」「強い台風」「非常に強い台風」「猛烈な台風」の4段階ですが、国際的な基準なども織り交ぜると、以下のように7段階に分類することができます。

 

台風の風速による強さ階級
中心付近の最大風速 強さのランク
17m/s以下 熱帯低気圧
25m/s以下 (ただの)台風(暴風域なし)
33m/s以下 (ただの)台風(暴風域あり)
33m/s〜44m/s 「強い」台風
44m/s〜54m/s 「非常に強い」台風
54m/s以上 猛烈な」台風
59m/s以上 スーパー台風

 

 では、それぞれのランクについて、強さの程度をみていきましょう。あくまで目安ですが、それぞれの台風で、暴風域に入った場合に、どれくらいの影響を受けるのか、具体例で説明していきます。

暴風域がない台風

 まず、熱帯低気圧から台風へと格上げされたばかりの中心付近の最大風速が17m/sクラス。

 このクラスですと、台風とはいえ、暴風域はなく。風速15m/sの強風域だけがある「いちばん弱い台風」です。正直、このクラスであれば、風だけを見れば春一番や木枯らしなどの季節風よりもたいしたことない程度、と言っても良いでしょう。(ただし大雨などによる大災害になるリスクはあります。)

暴風域のある「ただの台風」

 その次のランクとしては風速25m/sの暴風域が出来た台風です。

 このランクは、気象庁の強さの呼び方としては、特に何もつけない、ただの台風です。ただし、暴風域があるかないか?は、強さの程度を判断するのには重要なポイントですので、暴風域の有無は、必ずチェックしましょう。

暴風域に入ると、原則、外出すると危険なほどの風が吹きますので、風に対してしっかりとした対策が必要です。対策は、必ず台風が来る前に行う必要があります。暴風域に入ってからは対策できないと考えてください。とくに風上側の窓などはしっかりしめて、周囲に飛散物などがないか対策しましょう。なお、このクラスでは暴風域に入りさえしなければ(つまり強風域の範囲では)、風の害はそれほどではないと考えても大丈夫でしょう。(大雨災害には注意)

 また、台風の風向きには一定の法則があり、特に風が強い部分などもありますので、こちらの記事⇒[台風の時の風上・風下はどちらになる?]も参照してください。

強い台風

 次に、中心付近の最大風速が33m/s以上の「強い」台風の場合。暴風域に入る場合はもちろん、強風域内でも中心に近いところではかなりの風になりますので、警戒が必要です。

 もちろん暴風域に入れば、外出禁止です。お店の看板や瓦が飛んでくる可能性がとても高いです。家の窓ガラスが割れる可能性もあるので、雨戸は必須です。

 また、注意したいのは、ドアです。ドアを開けようとしても開かなかったり、風圧でドアが恐ろしい力で閉まったりするので、とくに風上側では、暴風域突入中のドアの開閉は厳禁です。ドアに手を挟まれて大ケガをするリスクがとても高いですし、最悪、ドアを開けた時に、風でドアがひきちぎられることも考えられます。

 強い台風では、屋外のものは、基本、風でさらわれてどこかに飛んで行くと考えましょう。たとえば、ベランダや外廊下に洗濯機を置いてある場合は、洗濯機が飛ばされないように、水を満タンにしておく対策が必須です。

 また、このクラスでは、街路樹が折れたりして、頻繁に停電する可能性が高くなってきます。場合によっては停電が長引く場合もありますので、とくにスマホバッテリ−など、電源関係の確保は必須です。暴風域が過ぎるまで外出できないので、台風の進行スピードが遅い場合は、ある程度食糧など買い込んでおいたほうが良いかもしれません。

非常に強い台風

 44m/sからは「非常に強い」になります。

 このクラスでは、瞬間的に時速換算で200km以上の風が吹きます。駐車中の車が動いたり横転したりすることが、しばしばあります。トタン屋根が飛んだり木造の建築物では倒潰する恐れもあります。

 非常に強い台風の暴風域に入ると、雨戸が無い窓際に立つと、窓が風圧で押されてミシミシと動きます。アルミサッシの隙き間からも雨水がどんどん漏れて出して来ます。窓ガラスが割れないように、雨戸は必須ですが、雨戸そのものがもっていかれないようロックなどを必ずしておく必要があります。

 雨戸が無い場合でも、サッシの鍵をしっかりかけておかないと、風の力で勝手にサッシ窓が開きます。また、外で飛び回っている重たいものがガラスを直撃し割れる可能性がとても高いです。

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 なので、雨戸が無い場合は、窓の外に目合い10cm程度のネットを張り、ガラスに物がぶつかるのを予防します。が、この対策にはネットを張るためのアンカーが必要ですので、すぐに対策できない場合も多いと思います。その場合は、せめて⇒防災用・ガラス飛散シートなどを窓ガラスに張っておけば少しでも被害を軽くするこができると思います。

 いずれにせよ、こうした対策は台風が来る前におこなってください。暴風域に入ってからの屋外での対策は手遅れで危険ですので絶対にやめましょう。なお、台風後は、街路樹や電柱が倒れたり物が散乱して、ふつうに通行できない状態になり、しばらくは日常生活に支障が出ると考えてください。

 このように、「非常に強い台風」でも、かなりのインパクトと被害をともない、暴風域内で外出しようものなら、たちまち身に危険が迫ります。

では、54m/s以上の「猛烈な」台風では、いったいどうなってしまうのでしょうか……?

猛烈な台風って、どれくらい猛烈なの?

 では、いよいよ猛烈な台風についてです。ただ、猛烈な台風が、実際に日本に上陸したり通過することは、きわめて稀ですので、実はあまり例がありません。

 猛烈な台風は毎年数個は発生していますが、たいていの場合、日本に接近する時には「非常に強い」や「強い」勢力まで下がってから上陸をします。これまでの統計からいえば、実際に風速54m/s以上の猛烈な台風にさらされるリスクは高くはありません。

 

 しかし、過去に、「猛烈な台風」が直撃した事例があります。平成15年(2003年)の台風14号です。その実際の、「猛烈な台風」の実例をみてみましょう。

猛烈な台風

 この台風は、沖縄県宮古島近海で、「非常に強い」から「猛烈な」台風へ成長し、中心付近の最大風速55m/sの強さで宮古島に上陸しました。

 台風は宮古島付近で方向を変えたため、時速数kmというゆっくりとしたスピード移動しました。ですので、宮古島はまるまる24時間の間、風速25m/s以上の暴風域にはいり、中心付近が最大風速55m/sという脅威的な風にさらされたのです。

 中心付近の最大風速55m/sはあくまで平均値ですから、最大瞬間風速では、さらに強い風が吹きました。

 気象庁の公式記録では最大瞬間風速は74.1m/sでしたが、自衛隊の風速計では86m/sを記録しています。また、一説によれば、多数の風速計が故障し計測が不能な状態だったため、実際には90m/s以上の瞬間最大風速が吹いていたのでは、とされています。ちなみに秒速90mとは時速320kmです

(最大風速と瞬間最大風速の違いについては、こちらの記事⇒「最大風速や瞬間風速を時速であらわすと?」の記事も参照してください)

 さて、「猛烈な台風」が通り過ぎた後はどんな様子だったでしょうか… 

  • 島中の電柱がなぎたおされた
  • 車両の横転・転覆。飛来物に押しつぶされ車がペチャンコに。
  • 車がなぜか2階のベランダにひっかかっていた。
  • 道路標識や風力発電の風車などが倒壊。
  • 体育館の屋根が吹き飛ばされた。
  • ガソリンスタンドの屋根が崩壊した。
  • 家のガラスが、風圧で割れた。沖縄の家は台風対策の強化ガラス。重たいものが当たったのではなく風圧だけで割れた。
  • H鋼の建造物が倒壊。
  • 島中の木々の幹や葉が吹き飛ばされ、緑が無くなった。

 ……このように、台風銀座と呼ばれ日頃台風対策をしている宮古島の人々ですら、想像できなかった甚大な被害となったのです。

 ライフラインの完全復旧まで1カ月以上がかかり、激甚災害の指定を受け自衛隊の復旧支援を受けました。沖縄では台風に慣れているのと、大きな山や川がないため水害・土砂災害が極端に少ないため、台風での激甚災害の指定や自衛隊の登場は、きわめて異例のことでした。

スーパータイフーンの脅威

 気象庁の台風のランクでは、「猛烈」が最強ランクなのですが、国際基準では、さらに上のランクがあります。それが「スーパータイフーン」です。

 スーパータイフーンは59m/s以上のもので、これまでも数年に1度発生し、フィリピンなどではその勢力を維持したまま上陸しています。

 2003年に宮古島を襲った台風14号でも風速55m/sだったので、さらに想像を絶する強さがスーパータイフーンということになります。

 温暖化の影響で、台風の強さは増すと言われています。今後、日本に上陸する台風が「猛烈」〜「スーパータイフーン」並の強さになってくるのでしょうか?

 現状では、本州に「猛烈」以上の台風が上陸することは、まずほとんど無いと考えられます。しかし、沖縄地方では、いつまた「猛烈」以上の台風が来ても、おかしくはありません。

 仮にスーパータイフーンが首都圏に上陸した場合、先の宮古島の猛烈な台風の例から見ると、ほぼ首都機能が麻痺するほど甚大な被害を受けることは間違いありません。

 万が一、猛烈クラスの台風が来る場合、避難勧告などに従い、生命を守ることを最優先に行動しましょう。

  

 以上、台風の強さについて実例を混じえて見てみました。台風被害はもちろん風の強さだけではなく、集中豪雨・洪水・高潮・土砂災害・竜巻など複合的におこってきます。風速だけではなく総合的にリスクを予測して、台風から身を守っていくことが大切です。

台風そのもの強さだけを見るのではなく、あらゆる被害を想定しておくことが、とても大切です。こちらの記事

「台風の避難タイミング」

「台風の最新状況を最も正確に知る方法」

「台風の気圧と台風の強さについて」
も参照するなどして、正確な台風情報をつかんでいきましょう。

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