入道雲と積乱雲の違いと、バックビルディング線状降水帯の基礎知識
2018/07/24
夏の風物詩「入道雲」は、夕立を降らせて、暑い夏をクルーダウンしてくれます。時には雷を伴う怖い雲ですが、それでも、真夏に恵の雨をもたらす入道雲は古くから日本人に親しまれてきました。
青空に、もこもこと空高くそびえ立つ大きな「入道雲」は、「積乱雲の一種」です。もともと、「入道雲」と「積乱雲」は、ほぼほぼ同じものを意味していました。
しかし、温暖化時代の「積乱雲」は、これまでの「入道雲」に比べて、より強大化する傾向があります。ゲリラ豪雨やバックビルディング型線状降水帯など、甚大な豪雨災害をもたらすのが、今の「積乱雲」なのです。
この記事では、「入道雲」と「積乱雲」の違いや特徴について整理するとともに、豪雨をもたらす温暖化時代の積乱雲について、最低限知っておきたい基礎知識をまとめてみました。
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積乱雲といえば大雨と雷。本編では主に大雨について述べています。雷について詳しくは⇒『避雷針と雷の仕組み』の記事を参照ください。
入道雲と積乱雲の関係
入道雲は積乱雲と同じ?
「入道雲」とは、積乱雲の一種、というか、積乱雲が発達していく過程で見られる雲の一形態の呼び名です。
もう少し厳密に言えば、「入道雲」は、積乱雲に発達する一歩手前の雲である「雄大雲(雄大積雲)」、および、積乱雲のうちの「無毛雲」のことです。
雄大雲も積乱雲も、対流雲というタイプの雲で、上昇気流によって垂直に高く成長します。対流雲は成長のステージによっていろいろな呼び方がありますが、対流雲のステージのある段階を「入道雲」と呼んでいます。
ざっくりとした捉え方では「入道雲」と「積乱雲」は同じものと言えないこともないですが、必ずしも「入道雲=積乱雲」とも言い切れません。
厳密に言えば、入道雲の位置づけは下表のようになります。
雲の種類 | 雨・雷 | 高度 | ||
積雲 | 扁平雲 | 綿雲 | 雨なし | ~5km |
並雲 | ~8km | |||
雄大雲(雄大積雲) | 入道雲 |
雨あり・雷なし | ~12km | |
積乱雲 | 入道雲 |
無毛雲 | 雨あり・雷あり | |
アンビル(かなとこ雲) | ~16km | |||
多毛雲 |
この表について少し詳しく解説していきましょう
対流雲の種類と特徴~積雲・雄大雲・積乱雲
対流雲とは? 層状雲との違い
雲は、その成り立ちや形ちから、層状雲と対流雲のふたつに大きく分けられます。
すじ雲、うろこ雲、ひつじ雲、おぼろ雲、うね雲のように、横に水平に広がるタイプの雲が層状雲です。層状雲は、たとえば、うろこ雲なら高度5㎞~10㎞、ヒツジ雲なら2㎞~7㎞付近と、雲の分布高度が決まっています。
一方、対流雲は地表付近から、雲ができる限界の1万数千メートルまで、垂直に一気に高く伸びていく雲です。入道雲も積乱雲も、対流雲の一種です。
対流雲は、大きくわけると、
1積雲(せきうん、別名:わた雲)
2雄大積雲(ゆうだいせきうん、別名:雄大雲)
3積乱雲(せきらんうん、別名:かみなり雲)
の3段階に分けられます。
対流雲はすべて「上昇気流」によって生まれる雲です。対流雲は、すべて、雲の底が平らで、上の方がモコモコと丸みを帯びた形をしています。上昇気流で生まれた小さな積雲が、発達して雄大積雲や積乱雲になるのです。言い方をかえれば対流雲は一種類で、発達の段階ごとに名前がある、と言えるのです。
「積雲→雄大雲→積乱雲」の成長過程
積乱雲は冬も含めて1年中発生します。
そもそも、本格的な雨を降らせる「雨雲」には、この積乱雲と、層状雲の一種である乱層雲の2種類しかありません。
乱層雲…前線上に発生する長雨を降らせる雲。
積乱雲…時に雷を伴う大粒のにわか雨を降らす。積乱雲が集合すると線状降水帯や台風になる。
また、積乱雲は必ず雷を伴っているのが特徴です。雷は夏だけでなく、冬も起き、とくに北陸地方〜秋田にかけての冬の雷は有名です。この冬の雷も積乱雲によって起こります。
このように、1年中発生する積乱雲ですが、とくに夏はダイナミックに成長過程を観察することができます。巨大な入道雲もはじめは小さな綿雲だったものが急成長したものです。
朝にできた小さな綿雲(=積雲)が、夏の昼間の暑いエネルギーで水蒸気をどんどん上昇気流にのせて、並雲となり、そこからさらに成長を加速させ、夕方までに大きく成長し、雄大雲(=入道雲)となります。入道雲は夕立を降らせ、さらに発達したものは雷を伴う積乱雲となるのです。
とはいえ、すべての積雲が積乱雲にまで発達するわけではありません。
気温や風や水蒸気量などの条件がそろって、はじめて積乱雲にまで発達します。多くの積雲は、小さな綿雲(=扁平雲)や、背の低い入道雲の子供(=並雲)の状態からは発達せず、消えてしまいます。
雨を降らす雄大雲、つまり入道雲まで発達しても、雷まではできずに、適度な夕立を降らせて、積乱雲になる前に消える入道雲もたくさんあります。
対流雲の種類
これらの、対流雲の、各ステージについて、もう少し詳しく特徴をみていきましょう。
積雲(扁平雲・並雲)の特徴
積雲は、いわゆる綿雲(わたぐも)で、ふわふわした小さな雲ですが、上昇気流によって作られる積乱雲の卵です。
500mから2000mと低い位置にあり、最も雲らしい身近な雲です。小さいながらも入道雲のように、底が平で上がモコモコしたかたちをしているのが特徴です。天気が安定している時は好天積雲・扁平積雲と呼ばれ、それ以上は成長しません。
扁平雲が少し成長して、モコモコとブロッコリーやシュークリームのような形に盛り上がってくると「並雲(なみぐも)」と呼ばれます。高さは数km~十数kmほどとなり、あるていど雲の層が厚くなり光を通さなくなるので、底はグレーに見えます。が、まだ雨を降らすほどではありません。
雄大積雲(入道雲)の特徴と頭巾雲・ベール雲
並雲が、上昇気流でぐんぐんと発達して、高さが数十km~1万メートルクラスに達したものが、雄大積雲つまり入道雲です。
夏は雲頂までの高さは1300ⅿにも達し、雲の厚さそのもの1000mあることもあります。あまりにも高いため近いと雲の姿を見ることはできません。入道雲として見えるのは数十㎞離れているものです。
並雲の段階では雨は降りませんが、雄大積雲は雨雲となります。
激しい上昇気流によって、水蒸気が集められ、雄大積雲の上には「頭巾雲」ができることもあります。頭巾雲がさらに大きくなると「ベール雲」と呼ばれますが、いずれも、まだまだ雄大積雲が発達することを示しています。むかしから山歩きでは「頭巾雲」をかぶった「入道雲」の下は大雨が降るとされ要注意のサインとされてきました。
近年はヒートアイランド現象の影響で、都会でも「頭巾雲」をかぶった入道雲が観察されます。都会で「頭巾雲」をかぶった入道雲をみかけたら、その下ではゲリラ豪雨が降っている可能性が高いです。
積乱雲(入道雲、かなとこ雲、無毛雲・多毛雲)の特徴と千切れ雲・アーチ雲・漏斗雲・乳房雲>
雄大積雲はさらに発達すると、雷が発生します。上空にできた氷の粒(雹=ひょう)が落ちてくる時に、上昇気流で押し上げられる水の粒と衝突して、摩擦で帯電します。その電気エネルギーが雲の中に溜まって雷となります。雷が発生すると「雄大積雲」は「積乱雲」と呼ばれます。
積乱雲が成長のピークを迎えると、雲の頂上は対流圏界面に達します。対流圏界面は、「対流圏」と「成層圏」の境目です。雲が存在できるのは対流圏だけなので、成層圏にぶちあったた雲は、上ではなく横へと成長していきます。
積乱雲の頂部がきのこや傘のように横へ広がり出した積乱雲を「アンビル(anvil)・かなとこ雲」と呼びます。鍛冶屋が鉄を叩く台にするのが金床(かなとこ)ですが、成層圏にぶちあったた最上部が平らに広がる姿からそう呼ばれます。
かなとこ部分は氷でできていますが、わずか10分から30分ほどのあいだに長さ数十㎞の広さに急速に拡大するのが特徴です。その時、積乱雲の中では秒速10mという恐ろしいスピードの上昇気流で、次々と最上部に水蒸気を押し上げています。
「かなとこ雲」は、ふつうの入道雲よりも一回り大き、入道雲の進化形ともいえるでしょう。
さて、かなとこ雲のアンビル部分はやがて、ジェット気流に流され毛羽状に形がほつれていきます。形がほつれだした積乱雲は「多毛雲」と呼ばれます。逆に、もこもこした丸みを形を保っているものを「無毛雲」と呼びます。積乱雲のなかでも「入道雲」と呼ばれるのは、おおむね、無毛雲までと考えてよいでしょう。
多毛雲のほつれた先端は、高層雲である巻雲とつながっていきます。ここまで発達すると、積乱雲はピークを迎え、あとは衰退していきます。
このように、上昇気流で生まれた小さな綿雲(積雲)が、さらなる上昇気流でどんどん大きくなっていったものが、入道雲・積乱雲です。そのエネルギーを使いきると、自然に消滅する…ひとつの寿命はそれほど長くないのが、ほんらいの入道雲や積乱雲です。
積乱雲とさまざまな雲
入道雲と夕立が最近少なくなっているのは…
入道雲と積乱雲のいろいろな呼び方
冒頭に書いたように、入道雲は、日本の夏の風物詩です。和歌や誹諧では「雲の峰」と歌われ、現代の歌の歌詞にも盛んに登場します。
日本では親しまれている入道雲ですが、アメリカでは
scary cumullonimbus(恐ろしい積乱雲)
crayzy thunderstorm cloud(クレージーな雷雲)
などと呼ばれて、嫌われています。
アメリカの積乱雲は、しばしば「スーパーセル」と呼ばれる巨大な積乱雲の集合体に成長し、竜巻を引き起こすため、日本で言えば、台風かそれ以上に「危険な雲」と考えられているわけです。
それにくらべると、日本の伝統的な感覚では、積乱雲もまた自然の恵みとして受け入れる風土があります。入道とは、もともとお坊さんのあたまのことです。大入道などの妖怪の意味にも使われますが、ほんらいはそんなに悪い意味の言葉ではありません。
また、日本各地に、「~太郎」「~次郎」などと、入道雲が出現する方向の山や川になぞらえた呼び方があります。入道雲が「太郎雲」とも言われるゆえんです。
京都・大阪 | 丹波太郎(丹波山地) |
山城次郎(奈良盆地) | |
比叡三郎(琵琶湖〜比叡山) | |
関東 | 坂東太郎(利根川) |
山陰 | 石見太郎 |
四国 | 伊予太郎・四国三郎 |
九州 | 比古太郎・筑紫太郎 |
入道雲と夕立
入道雲、積乱雲は、ほんらい、積雲から雄大雲そして積乱雲へと夏の午後~夕方にかけて、急成長して、そして雨を降らせて、消えてしまうものです。
ですので、その寿命は長くても数時間程度。雨が降る時間も、20分ほど、長くても1時間くらいです。
ひとつの入道雲が降らす雨の量は多くても1時間あたり30ミリ程度となります。実際、夕立が1時間続くことも少ないので、ふつうの夕立であれば10ミリ程度の雨です。
夕立は雨を降らせて涼しいだけでなく、積乱雲の雨は、上空の冷気とともに降りてきます。ですので、入道雲が降らす夕立は、夏の適度な冷却装置として、メリットも多かったわけです。
ところが、近年、気が付くと、適度な夕立は少なくなってきています。その替わりに、ゲリラ豪雨や、大洪水をもたらす集中豪雨が増えてきました。
温暖化で夕立から集中豪雨にかわった理由
地球温暖化の原因は、人間の活動による二酸化炭素やフロンなど温室効果ガスの増加です。しかし、それ以上に、温暖化を加速させる大気中の成分が「水蒸気」です。
水蒸気は、直接温暖化の原因になっていませんが温室効果があり、温暖化加速の原因になっています。温暖化した結果、海水の蒸発が盛んになり、大気中の水蒸気量は増え、水蒸気が温室効果ガスとしてさらに大気を温めていく悪循環におちいっていると言えるでしょう。
一般に、大気中の水蒸気量が増えると、気候は極端に激しく変化するようになります。たとえば、温暖化時代には、台風の数は減るけれどもひとつの台風が狂暴化する傾向にある、と言われています。
夕立が減り集中豪雨が増えてきた原因も、まさにそこにあるわけですが、ここで、入道雲や積乱雲が発生する条件について整理しておきましょう。
・サマール(上昇気流)が発生するよう充分に地表が暖ためれられていること。
・上空の気温が低く、気温差による上昇気流が起きやすいこと。
・大気中の水蒸気量が豊富にあること
・上空の高高度帯が乾燥していないこと(高高度の水蒸気量が豊富にあること)
・雲粒の核となるエアロゾルが多いこと。
さて、温暖化になって「夕立」が少なくなったと言われています。その理由のひとつとして考えられるのは、上空の気温が高くなり、入道雲が出来にくくなったこと。ひと昔前は、春秋がしっかりと涼しく季節にメリハリがあり、夏でも上空の空気は冷やされていたため、真夏は夕立を降らす積乱雲(入道雲)が、毎日のようにできていたのです。
ところが、温暖化のため、春秋の気温も上がり上空と地表の温度差が少なくなり、積乱雲ができる条件がそろわずに夕立が減ってきたわけです。
ところが、夕立が減った一方で、ゲリラ豪雨や、バックビルディング型と呼ばれる集中豪雨が増えてきています。次項で、積乱雲が集中豪雨をおこす仕組みについてみていきましょう。
集中豪雨をもたらす積乱雲=バックビルディング型線状降水帯
夕立が少なくなり、かわりに増えてきたゲリラ豪雨やバックビルディング型の激しい雷雨。夕立が1時間あたり30ミリほどの雨量に対して、集中豪雨では、1時間あたり100ミリという激しい雨を降らせます。
80ミリ以上の雨は、まさに滝のような、バケツをひっくり反したような雨で息苦しくなる圧迫感があり、車のワイパーが効かないのはもちろん、周囲の声や音もまったく聞こえないような状態です。
このように、激しい雨が降るのはなぜなのでしょうか? それは、積乱雲は、水蒸気が豊富であれば、自己増殖を繰り返すという性質を持っているからなのです。
水蒸気で自己増殖する積乱雲
積乱雲の特徴は、ひとつの雲が、まるで生き物のように成長と自己増殖を繰り返すことです。
積乱雲は、上昇気流で水蒸気が高度1万メートル付近に一気に持ち上げられ冷やされ、それが雹(ひょう)や大粒の雨となって、冷気とともに地上に降りてきます。つまり水蒸気が地表から高度1万メートルの間を、ぐるぐると「対流」している状態です。この対流がまるで生き物のようなので、細胞になぞらえて、積乱雲のなかで起きている対流のことを「セル」と呼びます。
数十分間の夕立を降らせて、その後消滅してしまう「入道雲」は、セルがひとつでできた積乱雲です。
しかし、近年は、セルを複数もったマルチセルやスーパーセルと呼ばれる積乱雲の発生が増えてきています。
積乱雲では、ひとつのセルが、上空の冷気を引きずり降ろしながら雨を降らします。引きずり降ろされた冷気は、残っている周囲の温かい水蒸気の下に潜り込んで、暖かい空気を持ち上げ、上昇気流が生まれます。
この、上昇気流が次の積乱雲の素になります。水蒸気が豊富であれば、水蒸気が水や氷になる時に熱を奪う「潜熱(せんねつ)」が盛んに発生し、上昇気流を加速させます。こうして、次々と積乱雲の対流(セル)が発生しつづける状態が、生まれるのです。
近年、大雨災害をもたらしいているのが、この積乱雲の集合体マルチセルなのです。かつての入道雲の夕立のように、ひとつのセルで積乱雲が寿命を終えるのではなく、セルがいくつも出来つづけるため、長時間の集中豪雨となるのです。
線状降水帯
積乱雲の集合体といえば、台風が思い浮かびますが、最近は、線状降水帯という言葉を、よく耳にするようになりました。
線状降水帯は、積乱雲がいくつも線状に並んで、大雨を降らすものです。
線状降水帯には、
スコールライン型
バックビルディング型・サイドビルディング型
があります。
スコールライン型は積乱雲が横一列に並んで通り過ぎていくパターンです。雨の範囲は広いですが、一か所からみれば、ひとつの積乱雲が通り過ぎるだけですのであくまで一過性の大雨です。いわゆるスコールなので、集中豪雨とはなりません。
大雨災害をもたらすのはバックビルディング型の線状降水帯です。積乱雲の進行方向の後ろに、次々と新しい積乱雲が生まれるものです。結果、同じ場所で強い雨が降り続けます。
近年、バックビルディング型の線状降水帯の大雨災害が毎年のように起こっています。
2018年7月 | 西日本 |
2017年7月 | 九州北部 |
2015年9月 | 関東・東北 |
2014年8月 | 広島 |
2013年8月 | 秋田・岩手 |
2013年7月 | 島根・山口 |
2012年7月 | 九州北部 |
2011年7月 | 新潟・福島 |
バックビルディング型の線状降水帯はどうやってできる?
バックビルディング型の積乱雲が発生するには、鉛直シアーとよばれる、地表付近と高高度の風のスピードや向きのずれが、見逃せない要素とされています。
この鉛直シーアーが大きく、なおかつ水蒸気の量が豊富な時に、次々と積乱雲が発生します。これは実は、台風ができるいちばんはじめの過程とよく似ています。
台風は、赤道付近のモンスーントラフと呼ばれる熱く高湿度な海域で発生します。モンスーントラフでは鉛直シアーが大きくなおかつ水蒸気量が豊富にあります。そのため積乱雲が自己増殖を繰り返しながら次々と発生し、やがてクラウドクラスター呼ばれる積乱雲の固まりを作ります。それがコリオリの力で回転を始め移動しながらさらに成長したものが台風です。
つまり、バックビルディング型の線状降水帯は、日本本土の上空で、台風の卵が生まれてきているような、そんな状態なのです。
バックビルディング型の積乱雲は、まさに、温暖化の申し子と言ってもよいのではないでしょうか。
ここまで、入道雲・積乱雲・バックビルディング型線状降水帯など、夕立や集中豪雨をもたらす雲の仕組みについて見てきました。
こうしてみてみると、「入道雲で夕立で昼間の暑さが落ち着いて、快適な夏の夜を過ごす…」そんなバランスのとれた夏の気候は、もはや過去の話なのかもしれません。
これからは、入道雲が近づいてくるのを見たら、夕立を楽しみに待つのではなく、台風の卵なみの集中豪雨を発生させるかもしれない雲として、注意警戒していくべきです。
風情のない時代になってしまったのかもしれませんが、大雨災害への危機意識をもち、充分な備えをしていきましょう。それと同時に、温暖化の進行を止め、かつての入道雲と夕立の夏を取り戻せないか、考えていかなければならいのです。
なお、災害時の「避難勧告」や「避難指示」にどう対応するべきか?⇒「台風など災害時の避難の判断基準は?」の記事にも目を通しておきましょう。