ワンポールテントの選び方。初心者向けの基礎知識とおすすめリスト。

      2017/10/10

楽しいワンポールテント

 ワンポールテントが人気です。これこそがテントです!という感じの三角屋根がとってもワクワクしますよね。屋根が丸いドームテントより、なんとなくお洒落感が高いので、やっぱりワンポールテントが欲しい!と考えている人は多いです。

 ただし、ひとくちにワンポールテントと言っても、大小さまざまで、構造的にもいろんなタイプがあり、なかには、初心者が使いこなすにはハードルが高いものもあります。

 そこでこの記事では、20ブランド44種のワンポールテントをリストアップして、初心者向け、高級ライン、ベテラン向け、の3タイプに分類しながら、失敗しないワンポールテントの選び方を探ってみました。

 初心者は絶対に知っておきたいワンポールテントのポイントや、おすすめの製品についても紹介しています。




 

ワンポールテントはホントに初心者向け?〜購入前に最低限知っておきたいこと

ワンポールテントとドームテントの違いは?

 ワンポールテントは三角屋根のテント。ネティブアメリカンのテントに形が似ているところから「ティピ」とも呼ばれます。また、モンゴルのテントのような「ゲル」タイプのワンポールテントもあります。

 ワンポールテントは、テントの真ん中に一本柱があるのが特徴です。一方、テントの主流であるドームテントでは、二本以上のポールをトンネル型に曲げたものが柱になっています。

 ワンポールテントは最近ブームになっていますが、まだまだ小数派。だからこそワンポールが目立つしお洒落なのかもしれませんが、はたして、デザインの好みだけで選らんでしまって大丈夫なのでしょうか?

 実は、デザイン以外にも注意したいポイントが、なにかとあるんです。

 まず、ワンポールテントとドームテントの違いについて知っておかなければなりません。

▲今や、キャンプといえばワンポールテント。だけど、ドームテントとの違いをきちんと知っておいてからワンポールテントを選ぼう(写真はノルディスク/アルフェイム)(写真はイメージです)

 ワンポールテントとドームテントでは、構造に大きな違いがあります

 下の図を見てみましょう。

ドームテントとワンポールテントの違い

 ドームテントは、グラスファイバーのポールをアーチ型に曲げて、グランドシートの角にひかっけて、ドーム全体を膨らますような仕組みになっています。

 ドームテントは、ポールを装着すれば、大きな袋のような状態になりますので、仮に風が無ければ、そのまま使えます。

 一方、ワンポールテントは、テントの角を、ペグで地面に固定(ペグダウン)して、そのうえでポールを一本立ち上げます。テントのフラシートをペグが引っ張ることで、ワンポールが突っ張って立っている状態です。つまり、ペグが無ければ、ポールは倒れてしまうのです。

 ドームテントがポールだけの力で立っているのに対して、ワンポールテントは、ポールとペグがセットではじめて立ち上がるテントだということです。

 このことは、とても大事な基礎知識ですので、しっかり頭に入れておきましょう。

ワンポールテントならではの特徴は?

 ワンポールテントには、ドームテントでは味わえない、特徴がいくつかあります。メリットとデメリットは表裏一体ですが、ワンポールテントを選ぶときには、デザインだけではなく、ワンポールテントならではの特徴がどう活かせるか?を考えながらチョイスすると、奥の深い楽しみ方ができます。

ワンポールテントならではの特徴は?

●ワンポールテントのメリット

・ルームワンポールテントは、「デザイン的に可愛い

・コットン混紡などもあり、質感がお洒落

・サイズによっては中で人が立てるので居住性が良い

換気性が良く、テント内でストーブやバーナーが使用可(あくまで自己責任で)

タープ的に使えるため、テント内で自然の地べたを楽しめる。

風がある時の設営がドームより楽。

・ポールをストックで代用するウルトラライト・スタイルが可能(上級者向け)

●ワンポールテントのデメリット

・ペグが打ちにくいところ・効きにくいところでは設置が難航する。

・前室が無いものは、出入り口から風雨がモロに入るため不便。

・厳し目の環境下ではドームテントの方が安心安全。

 では次に、それぞれのメリットでメリットについて、詳しく見て行きましょう。

 お急ぎの方は、おすすめワンポールテントとタイプ別リストへジャンプしてください。

ワンポールテントには必ず予備のペグを用意しておくこと!

 よくテントの記事や宣伝で、「ワンポールテントは、ポールが一本だから立てやすくて初心者向け!」みたいに書いてあるのをみたことがありませんか?

 実は、これは、ちょっと事実と異なります。

 キャンプ経験者なら、ほとんどの人が「初心者ならとりあえずドームテントが良いんじゃない?」と、初心者にはドームをすすめるはずです。

 実際のところ、設置のしやすさ、使い勝手、悪天候時の安心感など、ドームテントの方が、いろんな環境下で安定感があると言っていいでしょう。

 ただ、風が強い時の設営に限って言えば、ワンポールの方がドームより立てやすいです。とは言え、それも、慣れた人の場合です。

 また、大型のツールームのドームテントと大型のワンポールテントを比較した場合、慣れている人であれば、ワンポールの方が、立てやすいかもしれません。

 しかし、初心者に限って言えば、とりあえずドームテントの方が無難に使いやすい、というのが事実です。

 なにしろワンポールテントの設営では、ペグダウンが命だからです。角は全部ペグで固定しなければならないので、たとえば8角形のワンポールテントなら、8箇所ペグダウン、つまりペグを打ち込まなければならないのです。

 「ペグダウン」は、地面の状態が適度に柔らかすぎず固すぎずであれば、とくに何の問題もありませんが、固い地面だったり、石が多かったり、逆に砂でさらさらだったりすると、一気に、ペグダウンは難しい作業となります。とくに初心者は、なかなか簡単にペグ打ちを決めることはできないでしょう

 ましてや、ワンポールテントの場合、ペグの位置を綺麗に均等にテンションがかかるように打たないと、テントがしわくちゃだらけになってしまいます。

 経験者なら、サイトの地面を見れば、どんなペグが打ちやすく強度があるか? 見てわかります。ですので、あらかじめサイトの地面の状態を調べておいて、それにあわせた種類のペグを持って行ったり、複数のペグを準備して、地面の状況に応じてペグダウンをしていくものなのです。

 もし、キャプ初心者がワンポールテントだけをもって、いきなりサイトに行き、付属のペグがそこの地面と合わなかったら、最悪、テントが立ち上がりません・・・・。

 ドームテントなら、最低でもテントの型にはなりますが、ワンポールでペグが打てなければ、テントの形にすらならないのです。

 ですので、初心者でワンポールテントを購入する人は、付属のペグだけではなく予備のペグも併せて購入しておくことをお勧めします。

 それから、付属のプラスチックのハンマーは使いものにならないので、ハンマーも用意しましょう。

ワンポールテントで最重要はペグ

・いろんな状況下の安定感・安心感ではドームテントが勝る。ワンポールテントを初心者が購入する場合はそのことは念頭においておこう。

・ワンポールテントはペグが無いと立たない

・ペグダウンは、地面の状況によっては、なかなか上手くいかない。

・ワンポールテントにするなら、予備のペグとしっかりしたハンマーも併せて用意しよう!

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▲ワンポールテントでまずはじめにチェックすべきがペグのこと。ワンポールではペグが効かないとどうしようもないので、土質にあわせて数種類のペグを準備しておくなど、ペグにはとくに気を配るべき。(写真はイメージです)

ワンポールテントの適切な大きさは?

○人用のカタログスペックはサバ読み過ぎ

 さて、ワンポールテントを選ぶ場合にはずせないポイントとして、「サイズ」があります。

 というのも、ワンポールテントは、三角の形状のため、テントの端っこの方が屋根がとても低くなっています。

 そのため、テントの床面積いっぱいいっぱいまで使って寝ることができません。

 よく、ワンポールテントのカタログなどに、床面積いっぱいいっぱいに寝袋が並んだ図を見かけますが、実際は、そんなに詰め込むと悲惨なことになります。

 ですので、ワンポールテントの使用人数は、カタログスペックよりも1人〜2人、減らして考えるべきです。

 おおまかなサイズの目安と、適正人数は下図のようになりますので、参照してください。

ワンポールテントのサイズ1人用 直径2.4m × 高さ1.5m
1〜2人用

○このクラスのワンポールテント…天幕デザイン:キャンパンダ、キャンパーズコレクション:MP-2、モンベル:モノポールテント、バンドック:ソロピティー、シエラデザイン:オリガミ3、ドッペルギャンガー:T3.ライダーズワンポールテント、ニュートラルアウトドア:GEテント2.5、ブラックダイアモンド:メガライト、ヘリテイジ:クワッドサルーン、ノースイーグル:フェザーライト200、…etc

ワンポールテントのサイズ2人用 直径3.0m × 高さ1.8m
2〜3人用

○このクラスのワンポールテント…ロゴス:ナバホTepee300、ノルディスク:アスガルド12.6、小川キャンパルジャパン:ピルツ9、ローカスギア:「カフラ」シリーズ、ティンティピ:Olivin2Combi、キャプテンスタッグ:ヘキサゴン300UV、コールマン:ウィンズライトティピー、ノースイーグル:300…etc

ワンポールテントのサイズ4人用 直径3.8m × 高さ2.3m
3〜4人用

○このクラスのワンポールテント…ティンティピ:オニキス5、ロゴス:ナバホTepee400、天幕デザイン:CIRCUS TC、小川キャンパルジャパン:ピルツ12、ニュートラルアウトドア:GEテント3.0、…etc

ワンポールテントのサイズ6人用 直径4.6m × 高さ3.3m
5〜6人用

○このクラスのワンポールテント…ノルディスク:アルフェイム12.6、ノルディスク:アスガルド12.6、ノースイーグル:BIG420、小川キャンパルジャパン:ピルツ19、ドッペルゲンガー:2ルームワンポールテント、キャプテンスタッグ:オクタゴン460UV、リュクス:メガホーン2…etc

ティピ型ワンポールテントは狭い?

 通常のティピ型のワンポールテントは、完全な三角形のためデッドスペースが生じます。

 裾に近づくにつれ、どんどん天井が低くなっていくので、テントの端っこの方は、ほとんど利用できないのです。

 インナールームを入れれば、端の幅50cmほどは、デッドスペースになります。とくにテント内は結露することが多いため、インナーを使わずに、シングルゥオールで、屋根が低くなっているテントの端に寝ていようものなら、悲惨なことになります。

 ですので、ティピ型のテントは、床面積の何割かはデッドスペースになる、ということを頭に入れておく必要があります。

 その点、同じワンポールテントでも「ゲル型」は、デッドスペースが生じないため、とても合理的なのです。

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▲ゲル型のワンポールテントがデッドスペースが少ない。写真はニュートラルアウトドア/GEテント)(写真はイメージです)
ワンポールテント大きさと収容人数

・ワンポールテントの使用人数は、カタログスペックよりも少なめに考えること

・「ティピ型」のワンポールテントは、端の方に屋根が低過ぎるデッドスペースが生じることを考慮する。

・デッドスペースを解消した「ゲル型」のワンポールテントが居住性高くひろびろ使える

ワンポールテントには初心者用とベテラン用があるので注意!

 ワンポールテントが、ドーム型テント主流のなかで、最近増えているのにはいくつか理由があります。

 ひとつは、いちばんピンと来る理由ですが
「お洒落で可愛いから」
ですね。

 また、大型のワンポールテントは天井が高いため、中で人が立っても余裕で、ふつうの家のように快適です。

 最近流行のグランピングでも、ワンポールテントが主流です。コットンのテント地が高級感があるのと、冬にテント内でストーブなどが使えるところがワンポールならではの利点です。

 この手の、グランピングで使えるような大型のワンポールテントは、憧れますが、お値段もそれなりです。

 それから、もうひとつ、ワンポールテントが人気の理由は、「軽い」ことです。

 ただ、これは「ワンポールテントはすべて軽い」という意味ではありません。

 大型で、布地のワンポールテントであれば、むしろドームより重たいですよね。

 つまり、ワンポールテントの一部に、「超軽量テント」がある、というわけです。

 この超軽量ワンポールテントは、シルナイロンなど新素材の布地で、軽くて薄くてペラペラなのに、本格登山でも使えるような耐候性を備えています。テントではなく「ツエルト」「シェルター」などと呼ばれるものです。

 ワンポールのシェルターは、たいていポールは別売りになっていて、多くの場合は登山用のストックをポール替わりに使って立てられるようになっています。つまり、できるだけテントを軽くするために、ストックを柱にできる簡易テントとして、「ワンポール・シェルター」が流行っているわけです。

 このシェルター・タイプのものは、使いこなすには、かなりの経験が必要です。インナールームはもちろん、ペグやポールは別売りになっているだけでなく、結露したり風のばたつきが少ないよう工夫して設営するなど、使いこなすテクニックが必要なのです。

 「ワンポール・シェルター」にはデザインがお洒落なものも多く、「差を付けるワンポールテントはこれだ!」と思わず欲しくなりますが、初心者の人は使いこなしには技術が必要だ、ということを念頭においておきましょう。

▲シェルター系のワンポールテントが使いこなせるようになれば、ベテランの域。写真はローカスギア/カフラシル。(写真はイメージです)

 以上のように、一口にワンポールテントと言っても
「グランピングなど高級指向」
「軽さ重視の本格派用シェルター」

と、初心者向けではないものも多数存在することを、念頭においておきましょう。

 初心者がワンポールテントを選ぶ場合は、初心者向けのものをチョイスした方が無難だということになりますね。

初心者向けのワンポールテントと上級者向けの違いは?

・ルームワンポールテントは、「デザイン的に可愛い」「グランピング的に高級感と冬のストーブなどを楽しむ」「軽さ重視」と、3つの方向性に分類できる

・グランピングでも使える大型のテントは、高額なので初心者向けとはいえない。

・超軽量の「ワンポールシェルター」は初心者が使いこなすのは難しい

・初心者に優しくないワンポールテントもあるということ。初心者に優しいのは、「初心者向けのワンポールテント」だけ。

▲ふたつの出入り口を開放して、下は自然の地面のまま。こんな楽しみ方がワンポールテントの醍醐味。(写真はオガワキャンパル/ピルツ)(写真はイメージです)

ワンポールテントを選ぶとき、スペックのチェックポイント

グランドシートとインナールーム

 ワンポールテントの最大の魅力のひとつは、テントの中がそのまま地面で、そこにコットなどを置いて寝るという、最高の楽しみ方ができることです。

 ナチュラルな自然の地肌を近くで感じながら寝るのは、案外やみつきになります。

 構造上、床(グランドシート)が一体化しているドームテントでは絶対に味わうことができません。

 ですので、ワンポールテントの醍醐味としては、床(グランドシート)が無いもの、ということになりますが、実は、フライシートだけのワンポールテントは、設営がむちゃくちゃ難しいです。

 ですので、初心者は、グランドーシート一体かグランドシートが脱着可能なもの、あるいは自立式のインナールームが付属しているものから入門していった方がよいでしょう。

 逆に、キャンプに慣れているひとなら、グランドーシートなしでも立てれるものをチョイスして、「ワンポールナラでは」を満喫しましょう。

ワンポールテントのタイプ
ワンポールテントのインナールーム

 自立式のインナールームは、フライを使わずに、メッシュテントとしても使えますが、実際はメッシュテントとして活用する場面って、ほとんどありません。

 しかし、インナールームは、蚊が多い春〜夏は蚊帳として必須ですし、インナーを入れることでダブルウォールになるため、結露がポタポタ落ちて来るのを防いでくれます。

 インナールームは自然の地面の上で寝る楽しみは味わえませんが、初心者はまずインナールームを使うことが無難でしょう。

 また、何よりも、インナールームまたはグランドシートが無いと、何もないところに寸法と角度を測りながらペグを打たなければなりません。ペグ打ちがかなり難易度の高い作業になってきますので、初心者は、自立型インナーがあるものが良いでしょう。

グランドーシーとインナールーム

・ワンポールテントの最大の楽しみは、自然の地べたを活かして、グランドシートを使わないこと。

・ただし、初心者には、グランドシートや自立式インナールームがあるタイプでないと、設営のハードルが高い。

・インナールームは蚊の多い春〜夏は蚊帳として必須である。秋も結露がポタポタ垂れるのを防止するので、必須。つまり、初心者にはインナールームが必須と考えよう。

・ワンポールテントには、インナールーム別売りや付いていないものもあるので選ぶ時に注意。

▲初心者向けのワンポールテントは前室ができるハーフインナールームがセットになっているものがおすすめ。写真はノースイーグル/ツーシーンワンポールテント(写真はイメージです)

快適な居住空間に欠かせない前室

 ワンポールテントは、入り口が斜め上に向かって開いているので、出入りの時に雨に弱いのが最大の弱点です。

 晴れていればなんでもないですが、強めの雨が降っている時は、出入り口を開けた瞬間、テント内がみ水ひたしになります。

 それを避ける意味でも「前室」がポイントになります。

 前室は、インナールームの手前にできる屋根だけの土間スペースです。

 前室があれば雨の日の出入りも楽々ですし、広めの前室であれば、そこでバーナーを炊いて調理をすることも可能です(換気ができる場合のみ)

ワンポールテントの前室

 前室は、
①吊り下げ式のハーフサイズのインナーを使うもの
②出入り口のフライを、補助ポールを使って、タープ的に拡張しているもの
の2タイプがあります。

 ①は大型のワンポールテントによくあるパターンです。自然の地面と、快適な寝室の両方を活かせるので、ワンポールテントの楽しみ方としては、ベストな構造です。ただし、グランドシートが無く、ハーフインナーだけの場合、テント設営が難しいので、初心者は、グランドシート+ハーフインナーのタイプのものを選びましょう。

 ②の補助タープで出入り口を拡張しているものは、一気にワンポールテントの居住性、機能性が高まります。補助ポールを使う時点で「ワンポール」では無くなってしまいますが、最も快適かつ合理的なタイプです。とくに1〜2名の小形のワンポールでは、その便利さを痛感することでしょう。ただし、かたちが三角ではなくなってしまうので、お洒落感や可愛らしさは若干落ちます。

 なお、出入り口のフライシートをもちあげて、ひさしにできるタイプもありますが、横から風雨がだいぶ入ってきますので、ひさしのみのものは気休め程度と考えて良いでしょう。

 できれば、前室があるものを選ぶことをおすすめします。

初心者が気にしたいポイント「前室」

・ワンポールテントの出入り口は風雨にメチャ弱い。

・そこで「前室」があるタイプが良い。

・前室は、ハーフインナー方式と補助ポールで出入り口拡張の2パターンがある。

・初心者は前室ありのものが無難。ただし、出入り口拡張型では可愛さやお洒落感は多少犠牲になる。ハーフインナールームがおすすめ。

ワンポールテントのその他さまざまな機能

ワンポールテントのさまざまな機能

ベンチレーション

 ワンポールテントは、屋根の頂点についた換気穴(ベンチレーション)で天井部の換気ができるのも特徴です。

 この換気部分の穴を利用して、薪ストーブの煙突を出したり、また、煙突専用の穴が付けられているモデルもあります。

 天井換気は、夏は涼しく、冬はテント内でのストーブ暖房を可能にしてくれます。

 小形のワンポールテントでは、常時開いているベンチレーションですが、大型ワンポールテントの場合は、室内からひもを引っ張って開閉できるものもあり、ワンポールテントの楽しみのひとつとなっています。

 ワンポールテントは天井部のベンチレーションだけでなく、全体に換気性能が良いのもメリットです。とくに、フライシートの裾部分に隙き間があるのが、開放感をもたらしてくれます。

 ただし、裾部分の換気は工夫が必要です。ハーフインナーなどの場合は、インナーが無いとこころから、すきま風がだいぶ入ってくるので、夏は涼しいですが、秋口や標高が高いところでは、逆に寒すぎる場合があります。

 大型のワンポールテントでは、裾にスカートが付いていてそれが開閉できるものを選ぶと、快適です。

タープとワンポールテントの接続

 ワンポールテントとタープを接続する場合、テントのポールを、タープのポールと供用することで、スムズーに接続できます。

 ベンチレーションの隙き間からロープを通して、工夫してテントのポールにタープの片端を接続したりします。

 が、はじめから、タープ接続用のループが付いているものもあり、カラビナなどでタープと連結できます。

 これはマストの機能ではないですが、あればとても便利ですね。ただし、強風が吹いている場合は、タープが引っ張られて、テントが倒壊するリスクがあるので注意しましょう。

コーナーループ

 ワンポールテントの「基礎」とも言える、ペグをひっかけるためのコーナーのループです。

 ここが壊れてしまうと、ワンポールテントは立たなくなってしまいますので、この部分の作りがしっかりしたものを選びたいですね。

 また、このループが長さ調整可能になっているタイプもあり、テントをピンと美しく張るのにとても便利です。

ガイロープ用ループ

 ガイロープはワンポールテントを安定させるのに、必ず設置します。

 ガイロープのテンションを調整するの「自在」がロープにセットされているものが便利ですね。

 ただ、上級者用のワンポールシェルターなどでは、ロープも自在も付属していないものもあります。

 その場合は、自分で自在を用意するか、「自在結び」を覚えておくかします。

出入り口の数

 大き目のワンポールテントでは、出入り口がふたつ付いています。これは大勢で寝る時に出入りに便利ということよりも、二カ所を開放して、タープとして使うのが、お洒落で、いかにも「野営」って感じがして、良い感じです。

 虫のいない季節なら、2カ所の出入り口を開放したワンポールテントのなかにコットを置いて昼寝、なんて、最高ですね!

ワンポールテント選びのチェックポイントまとめ

・初心者にはドーム型がベターなことをわかったうえで、それでもこだわりたい人はワンポールテントを!

・ペグが打ちにくい・効きにくいところではワンポールテントの設置が難しい

・付属のペグやハンマーは充分か?

・ワンポールテントには「初心者向け」「高級」「経験者用シェルター」の3タイプがある。お目当てのテントは、どのタイプ?

・インナールームが付属か?別売りか? 自立式か吊り下げ式か?

・グランドシートはインナールームと一体か?別か? フライ
と一体かどうか? 付属か別売りか?

・前室のありなし。ある場合は、どんなタイプの前室か?

・出入り口がふたつあればタープとして最高

・ベンチレーションの機能と、裾スカートの有無や開閉

・タープ連結用のループは付いている?(必須ではない)

・コーナーループが長さ調整可能なら設営しやすい

・初心者はガイロープに自在が付いているかもチェック

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ワンポールテント製品の比較とおすすめ

 それでは、次に、ワンポールテント製品について、タイプや特徴を整理したうでの、おすすめを紹介してきましょう。

初心者向けのワンポールテント

 初心者向けのワンポールテントなかでは、インナールームとセットで前室があるものが便利です。

▲テンマクデザイン/ PANDA[パンダ]レッド … 女子キャンプを想定してデザインされた超可愛いワンポールテント。ハーフインナーで前室ありの充実の機能。出入り口2カ所あるのでフライのみでタープ的に使用するのも快適。四角形なので設営も簡単。

▲バンドック/ソロピティー…小さいながらもしっかりとした前室やタープ接続用ループなど充実機能。実売1万円前後で買えるので、入門用やサブテンととして最適。

▲コールマン/エクスカーション…ソロ〜2人用の210と2〜3人用の325がある。補助ポールで入り口前の前室スペースをたっぷり確保されていて、使い勝手が良い。

▲ノースイーグル/ツーシーンワンポールテント…ハーフインナーで、広々した前室をもつ3~4人用。壁面の窓状ベンチレーションで快適性抜群。コスパが高い人気商品。

▲ドッペルギャンガー/ツールームワンポールテント…3〜4人用の充実でお手頃価格の入門最適のワンポールテント。入り口タープ+ハーフインナールームで機能性高い。
入門に最適のワンポールテント一覧
フライとインナーがセットになったお手頃価格のもの
メーカーメーカー/製品名 角数 直径m 高さ 重さ フライ耐水圧 インナールーム 前室 出入り口 ベンチレーション タープ接続
ノースイーグル/ワンポールテント300 8 2.7〜3 2.7 7 1500 2
ノースイーグル/BIG420 8 4.5 3 11 1500 2
ノースイーグル/フェザーライト200 6 2.6 1.9 3.3 1500 1
ノースイーグル/ツーシーンワンポールテント500 8 5.4 3.3 12.7 1500 2
ロゴス/ナバホTepee 400 6 4 2.3 5.8 1600 1
ロゴス/ナバホTepee 300 6 3 1.8 4 1600 1
コールマン/エクスカーションティピ インナー4 フライ8 1.5〜2.1 1.7 4 1500 1
コールマン/ウィンズライトティピー インナー6 フライ8 2.3〜3.2 2 5 1500 1
ドッペルギャンガー/T3 6 2.4〜2.8 1.7 2.8 2000 1
ドッペルギャンガー/2ルームワンポールテント 8 4.5 3 7.5 2000 1
ドッペルギャンガー/ビッグワンポールテント 8 4.6 3 8.8 2000 2
ドッペルゲンガー/ライダーズワンポールテント 5 2.5 1.8 2.5 2000 1
キャプテンスタッグ/アルミワンポールテント300UV 8 3 1.8 3 1000 1
キャプテンスタッグ/ヘキサゴン300UV 6 3 1.8 3.2 2000 1
キャプテンスタッグ/オクタゴン460UV 8 4.6 3 11.5 2000 1
バンドック(カワセ)/ティピー型ワンポールテントBDK-09 6 2.8 1.6 2.2 1500 一体 1
バンドック(カワセ)/ソロティピー 4 2.4 1.5 2.2 3000 一体 1
キャンパーズコレクション/モノポールテントMP-2sp 5 2.1〜3.1 1.5 2.5 2500 付自 1
キャンパーズコレクション/モノポールテントMP-2 4 2.1〜3.1 1.5 2.7 2500 付自 1
テンマクデザイン/キャンパンダ 4 2.4 1.9 1.5 1500 付吊 2
※上記テントは、フライシートの材質はすべてポリエチレン系
※インナールーム…上記はすべてインナールームセットのテント「吊」は吊り下げ式。「自」は自立式でメッシュテントとして使える。※前室…◎はインナーがハーフルームなどで広い前室があるもの ○は入り口補助ポールで拡張したもの △は入り口のフライがひさしにできるもの
※ベンチレーション…○はトップのベンチレーションがあり、◎はスカート部分にもベンチレーションあり

高級目の本格的ワンポールテント

 グランピングでも使われているような、本格的なワンポールテントです。

価格が10万円前後以上ですので、初心者はいきなり手を出すべきではありませんが、ワンポールテントの醍醐味にハマると、最終的には、このクラスのテントに行き着くと言われています。

▲ノルディスク/アルフェイム12.6…美しいフォルムの憧れのワンポールテント。ゴージャスな本格派のオートキャンプに最適のモデル。

▲小川キャンパルジャパン/ピルツ…ワンポールテントの代名詞ともいえるモデル。サイズは12にハーフインナーを組み合わせることで、ゆったりと本格的にワンポールテントを満喫できる。

▲ニュートラルアウトドア/GEテント…ワンポールテントはティピ型が多いが、こちらは「ゲル型」。壁があることでデッドスペースが少ないので、空間を有効利用。合理性とお洒落さを両立させた一品。
おしゃれなワンポールテント一覧
少し高級目でお洒落感たっぷりの中級者向け
メーカーメーカー/製品名 角数 直径m 高さ 重さ フライ材質 フライ耐水圧 前室 出入り口
ニュートラルアウトドア/Geテント3.0(ゲル型) 8 3 2 7 Po 3000 1
ノルディスク/アスガルド7.1(旧ナンド)(ゲル型) 6 3×2.6 2 17 Po 350 1
ノルディスク/アスガルド12.6(ゲル型) 6 4 2 18.5 Po,Co 350 1
ノルディスク/アルフェイム12.6 10 4 2.75 12 Po,Co 350 1
コールマン/ウェザーマスター(R) 4S T.P.クレスト 10 2.1〜3.3 2.5 14 Po 3000 2
小川キャンパルジャパン/ピルツ9 8 3.2 2.4 7.1 Po 1800 2
小川キャンパルジャパン/ピルツ12 8 3.9 2.6 12.7 Po 1800 2
小川キャンパルジャパン/ピルツ19 8 4.6 3.3 Po 1800 2
ユニフレーム/REVOルーム4プラス 5 4.3×2.3 2.6 5.8 Po 2000 1
ティンティピ/オニキス5 8 3.8 2.3 3.5 Ny,PU
Po,Co各種
? 1
ティンティピ/ オリヴィン 2 6 2.8 1.69 3.4 Po ? 1
天幕デザイン/CIRCUS 300ST 4(ペグ10) 3.1 2.5 14 Po,Co 1500 1
天幕デザイン/CIRCUS TC 5 4.2 2.8 8.5 Po,Co 撥水加工 1
シエラデザイン/オリガミ3 5 1.9 1.5 1.5 Ny 1500 1
※フライシート…Po=ポリエチレン、Po,Co=ポリとコットンの混紡、Ny=ナイロン、S-Ny=シルナイロン、Ny,Pu=ナイロン,ポリウレタンコート
※インナールーム…上記はすべてインナールームセットのテント「吊」は吊り下げ式。「自」は自立式でメッシュテントとして使える。※前室…◎はインナーがハーフルームなどで広い前室があるもの ○は入り口補助ポールで拡張したもの
※ベンチレーション…上記テントはトップとスカート部分の両方にあり

登山でも使えるシェルター

 ウルトラライト・スタイルのトレッキングのロングトレイルやトレイランで使われる超軽量のシェルター。(ロングトレイルについては、⇒「ロングトレイルとは」の記事を参照してください)

 登山のビバークにも対応した高機能の布地だが、初心者に使いこなすのは難しいタイプ。

▲ブラックダイヤモンド/メガライト…シルナイロン素材の4シーズン対応の本格派。登山用シェルターとしても。
ワンポール・シェルター
ウルトラライトな上級者向け
メーカーメーカー/製品名 角数 直径m 高さ 重さ フライ材質
ローカスギア/カフラ・シル 4 2.8 1.7 0.75※ S-Ny
ローカスギア/ハピ・イーヴェント 4 2.7〜1.8 1.3 0.75※ Pu
ローカスギア/アポロ・タイベック 8 2.7 1.7 0.57※ Pe
リュクス/ミニピークII 4 2.1×2.5 1.37 0.97※ Pe
リュクス/シル・ヘックスピーク 6 3.4 1.6 1.91※ S-Ny
ヘリテイジ/クワッドサルーン 4 2.4 1.5 0.68※ Ny
ブラックダイアモンド/メガライト 4 2.1 1.45 0.67※ Ny
シックスムーンデザイン/ゲイトウッドケープ 4 1.1×2.6 1.6 0.33※ Ny
快速旅団/スタンダード参天Simple 8 2.8 2 1.75※ Ny
※フライシート…Po=ポリエチレン、Po,Co=ポリとコットンの混紡、Ny=ナイロン、S-Ny=シルナイロン、Ny,Pu=ナイロン,ポリウレタンコート
※インナールーム…上記はすべてインナールーム別売り
※重量は、ポールとペグを除いたフライシートのみの重量。上記製品はポール・ペグが別売りが基本

 

 

 以上、ワンポールテントの選び方やお勧め品などについて、詳しく解説してきました。

 ワンポールテントは、製品の入れ替わりが早く、わりとすぐ廃番になったりします。

 気に入ったデザインと納得できる機能を備えたものを見つけたら、チャンスを逃さず、ゲットしたほうがよいかもしれませんね。

 

 それから、ワンポールテントを購入前に、とりあずレンタルしてみるのも、ひとつの方法ではあります。

 ただワンポールテントのレンタルは、決して多くはありませんし、種類もほとんど選べません。やはり、入門者クラスの低価格帯のものを購入したほうが早い感じがします。

 それでも、とりあえずレンタルを使って見たい方は、下記のアウトドア用品レンタルサービスで探してみてください。

また、テントの生地の防水性を示すものに「耐水圧」があります。耐水圧については、⇒レインポンチョの基礎知識の記事のなかで、素材の防水性や透湿性について解説していますので、そちらを是非参考にしてください。

 それでは、ワンポールテントをフル活用して、その醍醐味にたっぷりハマってみてください!

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