ひとこぶラクダとふたこぶラクダの違いは? ラクダに乗れる場所は?

      2018/08/02

ラクダ

 温暖化で40度を超す暑い日がめずらしくなくなってきました。これだけ暑いと、日本も「砂漠化」するのではないかと錯覚してしまいます。

 ところで、砂漠に住む、暑さに強い動物といえば「ラクダ」ですよね。

 ラクダはどうして暑さに強いのでしょうか? またヒトコブラクダとフタコブラクダはどこがどう違うのでしょうか?

 この記事では、温暖化が進むなかで、これからお世話になることが増えるかもしれないラクダについて、知っておきたい基礎知識をまとめてみました。国内外のラクダに乗れるところもあわせて紹介しています。

ひとこぶラクダとふたこぶラクダの違い

 ラクダは地球で最後まで生き残る最強生物のひとつとも言われていますが、なんといってもその「耐暑性」。温暖化で気温が上がり苦しむ人間よりも、もはや優位な存在に思えてきます。

 ただし、ラクダでもとくに暑さに強く、湿度もある程度オッケーなのは、西アジア〜アラビア・アフリカに生息する「ヒトコブラクダ」の方。

 モンゴルなど中央アジアにいるフタコブラクダももちろん耐暑性はありますが、どちらかというと低温向けです。

 日本の動物園にはフタコブラクダのほうが多いイメージですが、世界的に見れば90%はヒトコブラクダです。

 ヒトコブラクダとフタコブラクダのそれぞれの特徴を整理してみました。

ひとこぶラクダとふたこぶラクダの違い
ひとこぶラクダ ふたこぶラクダ
生息域 北アフリカ〜西アジア〜ペルシァ湾岸〜インド西部、オーストラリア カスピ海岸〜中アジア〜モンゴル
体形 足と首が長い ずんぐり、毛深い
耐暑性
耐寒性
耐湿性 △? ×?

▲UAEドバイに住むひとこぶラクダ

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▲モンゴル・ゴビ草原のふたこぶラクダ

 前途のように世界のラクダ頭数の90%はヒトコブラクダですが、適応の範囲はやはり、ヒトコブラクダの方が広く、それは、ヒトコブラクダは湿度にも強いことによりそうです。

 ラクダは湿度には弱いと言われていますが、ヒトコブラクダはたとえばドバイなどペルシャ湾沿岸など夏の湿度が100%近くなるところでも、主に観光用ですが、活動をしています。また、インド西部のステップ気候地域はヒトコブラクダの伝統的な生育地域です。最近は、インドネシアのバリ島でも観光用のラクダが活動しています。このため、ヒトコブラクダは、ある程度の湿度に対応できると考えられます。

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ラクダの現在の世界での活躍ぶりは?

世界のキャメルライド

 アラブや西アジア地域では、20世紀初頭までは、最も効率のよい移動手段・荷役手段としてラクダが活躍していましたが、いまでは、その座は4WDの車にとってかわっています。ですので、やはり観光用でのラクダの活躍が、今ではメインとなっています。

 観光用ラクダといえば、強引な客引きとぼったくりで有名なエジプトのピラミッドなどでイメージ悪いですが、トルコのカッパドキアや、ヨルダンのペトラ遺跡など、西アジア〜中東の遺跡でラクダに乗るのは定番になっているようです。

 ラクダに乗ることをメインにした「キャメルライド」「キャメルサファリ」は、ひとこぶラクダの伝統的な生育域にとどまらず、オーストラリア、北米、東南アジアなど世界に広がっています。

 なかでも20世紀になってから、世界の主要ラクダ生息地になったのがオーストラリアです。オーストラリアのラクダは19世紀後半〜20世紀初頭に砂漠の交通手段としてもちこまれたものですが、それが野生化し、現在では、世界のラクダ頭数の1割を占めるほどまで増え、増えすぎたため外来動物として駆除もはじまっているようです。その一方で、ラクダミルクを生産するための飼育も広がりはじめて、ひとつの産業になりつつあるようです。

 ひとこぶラクダは、北米でも観光用に導入されています。もともとラクダ先祖は北米が原産とされ、それが南米に渡り、アルパカやリャマになり、ユーラシアに渡ったものが今のヒトコブラクダ・フタコブラクダだと考えられています。北米のラクダはかなり古い時代に絶滅していますが、メキシコのバハカリフオォルニアや米国の砂漠地帯で観光用にキャメルサファリが人気となっています。

▲モロッコ・マラケシュからのラクダライドは本格的なサハラ縦断にチャレンジできる。
世界各地の有名キャメルライド・キャメルサファリ
モロッコ
マラケシュ
 サハラ砂漠の玄関口マラケシュからメルズーガー、フェス、サゴラ各地へ2日〜3日かけてサハラ砂漠を横断する本格ツアーがあります。途中ベドウィンのキャンプ地で野営します。世界のラクダツアーのなかでも最も本格的なもの。マラケシュ周辺で、ショートのラクダ体験もあります。
モンゴル
 バヤウンジュール
モンゴルならではのフタコブラクダでゴビの草原を旅するキャラバン。遊牧民がやっているように、ゲルを設営して野営するツアーが人気です。バヤウンジュールはウランバートルから南西に約140kmでゴビ砂漠の北端にある村です。
インド
ジャイサルメール
かつて交易の中継地として栄えたジャイサルメール。そのおもかげを今に伝える一泊二日のラクダツアーが行われています。パキスタンまでつながるタール砂漠は、ところどろ緑が混在するステップ気候です。
オーストラリア
各地
オーストラリアは20世紀に入って新しく「ラクダ生息地」となったところですが、ラクダ観光が各地で盛んです。有名なのは西オーストラリア州のインド洋岸ケーブルビーチはラクダ観光のメッカ。美しいビーチを夕焼けからマジックアワーにかけて歩いたり、ラクダ・ウェディングなどもあります。また、エアーズロック近辺をウルルのサンセット・サンライズのラクダツアーや、パースでは市街地を歩くラクダライドもあります。
UAE
ドバイ
ドバイの街から4wdでステーションまで行き、そこからのサンセット・ラクダライド。夜はグランピングでディナーやベリーダンス鑑賞、シーシャ体験、ヘナタトゥー体験をして、4WDでホテルに戻るという、ゴージャスなツーアー。
メキシコ
カボサンルーカス
バハカリフォルニアのリゾート都市サンルーカス発の1〜3時間のキャメルライド。コルテス海と太平洋にはさまれた半島の内陸のサボテンの生える砂漠地帯を満喫。
インドネシア
バリ島
ヌサドゥアのビーチ白砂のビーチをラクダで散歩する気軽に楽しめるアクティビティ。30分コースと1時間コースがあり。

▲オーストラリ西海岸ケーブルビーチのキャメルライドはサンセットとマジックアワーで雰囲気ばっちり。

現存する伝統的なラクダ活用

このように世界的に、観光地を中心に活躍するラクダですが、ラクダを資産として保有する伝統もまだわずかに残っています。もともとアラブ遊牧民のあいだでは、らくだ一頭には成人男性の生涯年収の100ぶんの1の価値があるとされてきました。アラブ首長国連邦アブダビのアル・アインやインドのプシュカールでは、いまでも「」が開催されています。

ラクダは伝統的に資産であるとともに、もちろん、移動手段としてもかなり優秀なスペックをもっています。130~180kgの荷をつけたまま、時速5kmで数か月間旅をし続けられる耐久性は、モータリゼーション以前の社会では、とても頼りになる物流手段でした。らくだによる1日の行程(約48km)をアラブでは「らくだ日」という単位になっています。

 

 さて、かつてシルクロードからアフリカまで世界を結んでいたいわゆる「ラクダのキャラバン」は、アフリカのマリとエチオピアに現在でも残されています。サハラ砂漠マリ北部の塩産地タウデニから南の主要都市トンブクトゥへと塩の板を運ぶ手段として現在でもラクダのキャラバンが活躍しています。7kgの岩塩の板を4枚つけたラクダが、1日50km。750kmを2週間かけて、運びます。10月から5月までの涼しい時期に2000頭から3000頭ものラクダがキャラバンを組んで往復しているそうです。また、エチオピア・ダナキル砂漠のアッサル湖の塩産地でも、塩の運び出しにラクダが使われています。しかし、これらのラクダのキャラバンもいずれは車にとってかわられるのは、時代の流れとして仕方がないようです。

▲エチオピア・ダナキル低地の岩塩を運ぶキャラバン。現存する数少ないラクダキャラバンのひとつだが、存続は危ぶまれている。

ラクダミルクへの期待

 輸送手段としては4WD車にとってかわられたラクダですが、いま注目されているのがラクダミルクの生産です。

 ラクダのミルクは、牛乳の約3倍のビタミンCが含まれ、他に、ビタミンB鉄、不飽和脂肪酸がたっぷり含まれた栄養価の高いものとして、話題になっています。インドの遊牧民は、キャラバン中は、らくだのミルクだけを唯一の食料として何日も旅を続けるといいます。それだけ栄養価が高いということですね。らくだミルクで作った石鹸が、アンチエイジングの効果をうたって販売されていたりもします。

 実はラクダは乳業には向いている動物です。繁殖サイクルが長く、発情は年1回で、授乳期間13ヶ月で、乳牛よりも長くなっています。乳生産量も一日5リットル以上と、ジャージー牛に近い成績です。

▲カザフスタンの伝統のラクダ発酵乳シュバットの製品化がも進められている。

 中央アジアのカザフスタンは、ラクダ乳業に力を入れている国のひとつです。カザフスタンの伝統的なspan style=”font-weight:bold;”>ラクダの発酵乳(乳酒)シュバットは、美味しく飲みやすく、免疫グロブリンも豊富とされ、ヨーロッパへも輸出されちます。カザフスタンはほんらいいフタコブラクダの生育地ですが、乳量の多いヒトコブラクダを耐寒性のあるフタコブラクダとかけあわせたハイブリッドを作り、乳業としてのラクダに積極的に取り組んでいるようです。

  

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ラクダの暑さや砂漠への対応

 さてでは、ラクダの生物学的な特徴をみてみましょう。

 まずは、コブ。コブのなかには脂肪のかたまりが入っていて、食料や水が少ない砂漠の長旅に耐えうるようになっています。また、コブが断熱材のかわりをして、体温が上がるのを防いでいます。脂肪を分解してエネルギーとして燃焼させたあと、最終的に二酸化炭素と水が残りますが、この脂肪燃焼後の水も、ラクダの体内で利用するようにできているのです。

 つまり、ラクダのコブは、「水タンク」でもあるわけですね。

 ラクダは暑さに対応するために、体温を大きく変えられるのが最大の特徴です。34度〜42度まで、体温を変化させることで、外気温が50度といった環境にも対応できるようになっています。体温があがれば、そのぶん外気が高くなっても、暑さを感じにくくなるわけです。また、体温をあげることで汗をかきにくくして、体の水分を温存させる機能も備わっています。

 もうひとつ特筆すべきは、ラクダは体内の水分を30%失っても大丈夫だということです。人間の場合体内の水分の10%を失うと生存できないとされていますが、ラクダは体内の水分が減り血液の濃度が高くなっても、血の流れが滞おらないように、赤血球の形が縦長になっています。また、逆に血液中の水分が増えて赤血球に圧力がかかっても破裂しにくいなど、通常の動物よりも体内の水分量の変化に柔軟に対応できるのです。

 このほかにも、以下にまとめたように、ラクダには砂漠に対応するための機能がいくつも備わっています。

  

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ラクダの砂漠の暑さに対応した機能

・コブの脂肪はエネルギー備蓄だが水分供給の役割も果たしている。

・一回に水を80リット〜100リットル以上飲み溜めできる。

・体内の水分を30%失っても大丈夫

・体内の大きな水分変化に血液が対応

・砂漠の輻射熱をさけるため足と首が長い(ヒトコブラクダ)

・砂嵐に対応するため睫毛が長く、鼻の穴を閉じれる。

・膝の皮膚が分厚く、熱い砂の上にひざまづける。

・砂漠に対応した足〜ひずめが退化しふくらんでクッション状になり、かんじきのようになり砂に埋もれにくくなっている。

・トゲのあるサボテンを食べれる。

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日本でラクダに乗れる場所は?

 さて、ラクダについていろいろ知ると、どうしてもラクダに乗ってみたくなりますよね?

 現時点で日本でラクダに乗ることができる場所を以下にまとめてみました。

 残念ながら日本では、海外のキャメルライドのように長時間ラクダに乗って楽しめるところは、ありません。湿度の問題もあるかもしれませんが、バリやドバイで大丈夫ということは、沖縄あたりでは、長距離のキャメルライドは可能なのではないでしょうか? 国内でも今後ラクダライドが充実してくることを期待したいですね。

鳥取砂丘(らくだ屋)

●ラクダ種類:ひところぶラクダ、ふたこぶラクダ ●ラクダ頭数:6頭
●ライド所要時間:約6分 ●料金と定員:一人乗り1,300円、子供と大人二人乗り2,500円、
●営業時間:9時半〜16時(3月〜11月)、10時〜16時(12月〜2月)
●制限事項:ハイシーズン(お盆・GWなど)は、子供のみライド可能
●場所:鳥取県鳥取市 ●アクセス:JR鳥取駅よりバス20分、鳥取自動車道鳥取ICより20分

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 国内でラクダに乗れるところは全部で4箇所ありますが、キャメルキャラバンの雰囲気を唯一感じられるのが鳥取砂丘のラクダです。約3〜4分ほどの周遊になりますが、それでも、ラクダの背に乗った高い視点から、鳥取砂丘を見渡し、砂の上を歩く感覚は、かなり砂漠気分です。海も見えるので、ドバイにでも来た気分が味わえるかも?です。

 冬は寒さに強いフタコブラクダが活躍し、雪が積もった砂漠をラクダで歩くことも。なお、お盆やGWは、ラクダの体力を考えて子供だけしか乗れないこともあります。



横浜ズーラシア ラクダライド

●ラクダ種類:ひとこぶラクダ ●ラクダ頭数:2頭
●ライド所要時間:約3分 
●料金と定員:一人乗り500円(ズーラシア入園料は別途)、パネル入り記念写真1,100円
●営業時間:10時~、12時30〜、15時〜(6月~3月)、各回定員15名〜20名
●制限事項:身長100cm以上、体重80kg未満、5歳以上
●横浜市旭区 ●JR横浜線・横浜市営地下鉄、中山駅よりバス約15分、保土ヶ谷バイパス下川井ICより5分

横浜ズーラシアは、都市部にありながら、国内でも本格的な近自然の環境作りで定評のある動物園です。熱帯雨林の珍獣オカピがいることでも知られています。さて、そんな充実のズーラシアですが、ラクダライドも人気です。柵の馬場を回るだけですが、こぶに触ったりじっくり観察しながらラクダ乗り体験ができます。休日は子供連れで混雑するので、大人が乗るには混雑しない平日が良いです。

神戸どうぶつ王国

●ラクダ種類:ふたこぶラクダ ●ラクダ頭数:1頭
●ライド所要時間:約2分 
●料金と定員:一人乗り800円(入園料は別途)、パネル入り記念写真1,100円
●営業時間:10時30~、13時15分~、(土日祝のみ15時45分~)、各回定員20名
●制限事項:身長100cm以上、体重80kg未満
●所在地:兵庫県神戸市 ●アクセス:JR阪急三宮駅よりポートライナー14分、阪神生田川ICより15分

もともと植物園としてスタートしただけあって、温室ハウスのなかでのオオハシ(カラフルな嘴をもった中南米のの大きな鳥)放し飼いなどユニークな展示の神戸どうぶつ王国。ラクラダライドも人気ですが、ラクダと同じ仲間であるアルパカのモフモフに触れるアルパカ触れ合いもあわせて楽しみましょう。

那須どうぶつ王国

●ラクダ種類:ふたこぶラクダ ●ラクダ頭数:2頭
●ライド所要時間:約2分
●料金と定員:一人乗り700円(入園料は別途)
●営業時間:10時30分~、13時30分〜(平日のみ12時~)、各回定員20名
●制限事項:小学生以上身長120cm以上、体重60kg以上
●所在地:栃木県那須町 ●アクセス:那須塩原駅・黒磯駅より無料シャトルバス(要予約)、東北自動車道那須高原SAより15分

広大な敷地のゆったりひろびろした空間で、さまざまな動物たちとふれあえる那須どうぶつ王国。一時期休止していたラクダライドが近年復活して、人気となっています。

 



 

 以上、温暖化時代の王者となるかもしれない動物ラクダについて、いろいろ基礎知識を見てきました。

 日本では馴染みの薄い動物ですが、一気に親近感が出てきたのではないでしょうか?

 湿度に弱いため日本の気候には向かないと思われていますが、前途のように、夏の湿度が高くなるドバイやバリでも活躍しているところをみると、今後、日本でも活躍の範囲が広がってくるかもしれません。

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